2020年07月17日

『六畳間の侵略者!? 35』

健速 先生が贈る人気シリーズ。通算37冊目は第五皇女の参戦と共に“ラルグウィン”の
残党拠点を攻撃すると決めた“孝太郎”たちに思いがけない新兵器が立ちはだかります。
(イラスト/ポコ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/910.html


“ヴァンダリオン”の内乱において青騎士に手を貸すことのできなかったお家事情を抱え
援軍として“ネフィルフォラン”。武家の家で育った彼女の実直さと、意外にミーハーな
ところが良い対比で実に可愛らしい。六畳間の面々を見て驚く目線も新鮮で微笑ましい。

対する“ラルグウィン”陣営が用意した霊子力兵器。まだ試作の段階とは言え、青騎士が
見せつけてきた強さの秘密に近づいた点は見逃せない。突然の強襲に動揺する兵士たちの
士気を奮い立たせる統率力や、何より“孝太郎”に一矢報いる戦いぶりは魅せてくれます。

苦戦を強いられながらも六畳間の面々が活躍する姿を見せる結果として“ラルグウィン”
を追い詰める“孝太郎”。因縁の対決もいよいよ決着か、というその瞬間に思いがけない
横槍が。これには読み手としても驚かされるワケですが、新たな敵の思惑に要注目です。

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2020年07月16日

『ぼくたちのリメイク Ver.β 2』

木緒なち 先生が贈る大人気シリーズのスピンオフ。サクシードソフトで働くことになった
“恭也”に常務の悪意が降り注ぐ中、“河瀬川”たちと共に「青春やり直し」を図ります。
(イラスト:えれっと 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/bokutachi-remake/322002002164.html


第13開発部で常務に一泡吹かせてやったかと思えば、第2開発部へ栄転という名の別離を
余儀なくされる“恭也”。ここで登場の“九路田”が味のある脇役ぶりを魅せてくれます。
常務への対抗策を模索する新たな場所においても問題山積なのが、世知辛くて胃にきます。

本編では手を取り合って青春真っ只中な人生を謳歌するメンバーの一人、本作では“京一”
と良い作品を作るために真っ向勝負を仕掛ける“恭也”。その軸のぶれない姿勢には頭の
下がる思いでいっぱいです・・・その上を行く常務の魔の手が執拗すぎて腹が立ちますけど。

前巻以上に絶望的な状況へ追い込まれてもなお引っくり返せるか。“恭也”の悪あがきが
思わぬ方向へと繋がっていくエピローグは驚き半分、不安半分で。せめて“河瀬川”には
報われてほしい、幸せになってくれ、と願うばかり。次巻の展開も興味津々という所です。

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2020年07月15日

『六人のお嬢様戦争をオレだけが攻略できる』

築地俊彦 先生が贈る新作は六人六色のかわいいお嬢様ラブコメ。生徒会6人のお嬢様が
仲違いすると学園を支える寄付金に影響すると知った少年が、問題解決のため奔走します。
(イラスト:フミオ 先生)

https://famitsubunko.jp/product/321905000186.html


私立華凰学園の「六麗」、裕福な家庭のお嬢様6人が集う生徒会の部屋は使われずじまい。
新人の“茜”から説明を受けた“雪人”は考古学者の父と世界中を旅した経験を買われて
対応に乗り出す。仲良しだったはずの彼女たちが急に顔も合わせなくなった理由とは──。

“雪人”の妹“メグ”の家庭教師を口実に探りを入れても、“稟果”からは距離を離され、
“琴絵”にはスケッチブックを使われ、“クララ”と“硬”は友達のはずなのに仲が悪く、
そして生徒会長“紀良”は全てを知りながら語らず、と八方塞がりで解決策が読めません。

6人のお嬢様と交流を重ねる中で掴んだ、ある人物の秘密。そこから畳みかけるように
筋道をつけていく展開が爽快で、明かされた6人が仲違いした真相は思いがけない引きを
もたらします。ラブコメに謎解きを加えたような構成が興味深い作品で先が気になります。

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2020年07月14日

『転生魔王のジュリエット 2』

久慈マサムネ 先生が贈る恋愛×バトル学園ファンタジー。第2巻は北方魔族の最前線たる
アブソリュート帝国で身分違いの恋に悩む男女を応援する“ハルト”らの活躍を描きます。
(イラスト:みやま零 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/202002juliet/321910001008.html


政略結婚が前提とは言え“イリス”に“ヴァリオ”という婚約者がいたことにヤキモチを
焼く“ハルト”の姿に「愛されてる〜」と微笑ましくなります。“ヴァリオ”付のメイド
“リーナ”が主人を想い、彼もまた、となれば肩入れしたくなるのも人情味のある話で。

そんな許されぬ恋路すら利用してくる敵のえげつなさもさることながら、「転生婚礼」に
めっぽう弱い“イリス”の色気たるや。“ハルト”が硬派な漢じゃなかったら話が即終了
していてもおかしくない展開。同情を禁じ得ない彼ですが、どうにか逃げ切ってほしい所。

応援される側の“ヴァリオ”としても、“ハルト”が生半可な気持ちで応援しているワケ
ではないことを、彼が示す技の、そして心の強さをもって思い知らされて心折れてくれる
結末も素敵でした。後押しするのもいいですが、彼自身の恋も好転を期待したいものです。

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2020年07月13日

『俺の女友達が最高に可愛い。2』

あわむら赤光 先生が贈るピュアフレンドラブコメ。第2巻は“琴吹”から告白を受ける
“カイ”が“ジュン”との距離感と比較して、恋愛関係の難しさを知ることとなります。
(イラスト:mmu 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815605643.html


“琴吹”からの突然の告白。“カイ”としては趣味も合う、話していて楽しい、でも恋愛
と言われてもピンとこない。“怜奈”から二者択一を求められて“ジュン”と疎遠になる
くらいなら彼女なんて欲しくない、と率直に結論づけるくらいぶれないのが実に彼らしい。

友だちだろうが何だろうが想い人と結ばれるには“ジュン”を何とかしないと、と考える
“琴吹”の思考回路は自然。なのに“ジュン”は彼女の愛らしさに首ったけで仲間としか
見ていないのだから唖然。秘密までつまびらかにしたのに報われないあたりは思わず同情。

やがて“カイ”と“ジュン”、3人で色々と楽しんだ日々から導き出した“琴吹”の結論。
彼女なりに自分と想い人との距離感を掴んだことで「名を捨てて実を取る」みたいな道を
手に入れたのが実に興味深い。彼もその意味に対して、大いに悩みぬいてほしいものです。

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2020年07月10日

『今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。2 先輩、ふたりで楽しい思い出つくりましょう!』

かぜぱな 先生によるコミカライズ企画が進行中の、涼暮皐 先生が贈るラブコメディ。
第2巻は人気者の後輩から突然に恋人宣言された“伊織”が新たな過去と向き合います。
(イラスト:あやみ 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/osaimo/321912000702.html


いきなり「星の涙」の力で洗脳されるところから始まるラブコメ、というのも中々に斬新。
とは言え“伊織”としてもすぐ“まなつ”と恋仲になるほど素直さを持ち合わせていない
のが本作の売りでもあります。“灯火”の立場を早々にぐらつかせる容赦の無さもですが。

ふたりで楽しい思い出を作る、と嘯く“まなつ”が「星の涙」に何を願ってしまったのか。
子供心についた嘘、繋がらない面影、見てしまった泣き顔、助けられなかった事実と悔恨。
このような使い方もあるのか、と驚かされると共に彼女の優しさは心温まるのに切なくて。

叙述トリックを見抜くかのように“まなつ”の秘密を見抜く“伊織”が見せた熱い感情は
「氷点下」らしからぬ人間味が窺えて実に良かった。“こころ”は在るのに人の心が無い
とはこれ如何に。エピローグの引き具合もまた衝撃的すぎて、続きが気になるばかりです。

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2020年07月09日

『探偵はもう、死んでいる。3』

二語十 先生が贈る「第15回MF文庫Jライトノベル新人賞・最優秀賞」受賞作。第3巻は
“君彦”らが“シエスタ”の犯したミスを探り、死の真相と遺志を継ぐ意味を知ります。
(イラスト:うみぼうず 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/tantei_dead/321912000700.html


生前の“シエスタ”を参考に作られた生体アンドロイド《シエスタ》。彼女の存在もまた
驚きの種でありながら、世界の謎に迫る事実が次々と明かされて脳がもう、てんやわんや。
その中でも《原初の種》が物語の軸を握っていくのが分かると俄然、面白みが増します。

「SPES」との対決姿勢を新たに・・・と思えば“斎川”のプロデューサーを務めることになる
“君彦”の忙しなさ。彼女を襲うスキャンダルから身を守ろう・・・などと言っている間にも
彼を取り巻く面々が敵に味方に、建前と本音とが入り乱れて先の読めなさに驚かされます。

“夏凪”が“ヘル”と向き合うのも、“斎川”がこの時期で登場したのも“シエスタ”が
命を賭してでも阻止したい計画を浮かび上がらせる演出に繋がっていて見事。“君彦”が
その事実を受け止めてもなお諦めない悪あがきが通じるか否か、見届けたいところです。

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2020年07月08日

『サンタクロースを殺した。そして、キスをした。』

犬君雀 先生の「第14回小学館ライトノベル大賞・優秀賞」受賞作。望まない願いを叶える
ノートを持つ少女と共に傷心の勢いでクリスマスを無くすべく少年がある活動を始めます。
(イラスト:つくぐ 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518535


クリスマスの到来を「望まない願い」とするべく疑似的な恋人になることを望む“少女”。
突然の別れを告げられた“先輩”に新しい彼氏がいることがどうにも耐えられない“僕”。
聖夜まで残り22日、前途多難な道をゆくギクシャクした2人が辿り着く結末や如何に──。

“先輩”のことを好きだという“僕”自身が気づいていなかった感情。それを知ったから
こそ彼女は道を違えたし、“悪友”は苦言を呈してきたのだと思うとその優しさが切ない。
“僕”と“少女”の関係が偶然から必然へと変遷する過程にもそれは表れている気がして。

「サンタクロースを殺す」ということ。そして「キスをする」という意味。幸せの象徴に
導かれた終わりの瞬間“少女”が口にした言葉に、“僕”にとっての「大丈夫」なものが
形成されたことにせめてもの報いがあることを願わずにはいられない読了感を覚えました。

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2020年07月07日

『シュレディンガーの猫探し』

小林一星 先生の「第14回小学館ライトノベル大賞・審査員特別賞」受賞作。探偵嫌いの
少年が出逢った「魔女」と手を結び、秘密にしておきたい真実を探偵から守っていきます。
(イラスト:左 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518573


“令和”の妹に纏わる事件と謎。探偵を頼り解決を図るも余計な詮索をされて探偵不審に
陥った彼は文芸部部長“くりす”に「迷宮落としの魔女」と称する人を紹介される。彼の
話を聞いた彼女は、世にも奇妙なミステリーを迷宮入りにしてみせる、と豪語するが──。

“令和”の妹の周りで起こる事件に高校生探偵“太陽”やハードボイルド探偵“勘渋郎”
といった優秀な探偵が挑み、掴もうとする謎解きの手がかり。それに件の魔女“焔螺”が
霞をかけていく手管の数々が興味深い内容で。その上でしっかり「解決」する点もお見事。

“令和”の立ち位置が話の進み具合で次々に変遷していく点、“焔螺”の存在そのものが
仕掛け満載な点、そして彼の妹“弥生”に隠された本当の謎が隠しきれていない点。実に
続きが楽しみな要素を次巻でどう拾ってくれるのか、先生のお手並みを拝見したい所です。

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2020年07月06日

『Babel I 少女は言葉の旅に出る』

古宮九時 先生がWebサイトに公開していた珠玉の異世界ロードファンタジー。電撃文庫版
とは異なり、Web版に書き足しを加えて「電撃の新文芸」から改めての書籍化となります。
(イラスト: 森沢晴行 先生)

https://dengekibunko.jp/product/newrelease-shinbungei.html


大学1年生の“雫”が目にした謎の黒い穴。吸い込まれた先は異世界の砂漠。行き倒れた
彼女は助けられた国で言葉が伝わるのを頼りに新生活を始める。そこで彼女が使う文字に
興味を持つ“エリク”を道連れに元の世界へ帰る旅に出る。世界の変革へと誘う旅に──。

まずは本来の形で再始動することを決めた編集部に御礼を。再びイラストを担ってくれる
森沢 先生に感謝を。『Unnamed Memory V』と同時刊行を成し遂げた 古宮 先生に慰労を。
文庫版と比較してみるのも一興ですね。蛇が作品のアイコンになるのもなるほど納得です。

振り返ってみると“エリク”が見せる言動の数々は意味深長で、“ターキス”はウザ絡み
も目に付きますし、何より“雫”がか弱いはずなのに妙に逞しいのが古宮流な気がします。
「Unnamed Memory」を経てどんな仕掛けが明らかになるのかを楽しみに、次巻を待ちます。

posted by 秋野ソラ at 00:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル