2019年02月04日

『撃ち抜かれた戦場は、そこで消えていろ ─弾丸魔法とゴースト・プログラム─』

上川景 先生の「第31回ファンタジア大賞・大賞」受賞作。偶然手にした弾丸を使う少年が
引き起こす世界改変と、その弾丸を作った少女が示す世界の秘密について触れていきます。
(イラスト:TEDDY 先生 メカデザイン:鷲尾直広 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321809000755


弾丸魔法。東西の国が争う世界で殺戮の手段として効率化させた魔法を弾丸に込める技術。
士官候補生の“レイン”が直面した仲間の死。仇を討つため握るライフルに使うは銀の弾。
難しい距離から敵を仕留めたと思った瞬間、仲間が生きている日常に突如戻っていて──。

再編成(リプログラム)。撃った相手の全てを世界から消す、という悪魔の弾丸について
語る少女“エア”。彼女の思惑に従って敵国の要人らを抹消しようと決めた“レイン”の
内に秘める激情がまず印象に残ります。貧乏くじを引かされる“アスリー”が少々可哀想。

“エア”たちが世界を夢想していくのか、と思えばそうは問屋が卸さない。悪魔の弾丸と
同じく特別な弾丸を用意できる“エア”のような存在が他にもいて、長い歴史の中で暗躍
し続けているというのだからさあ大変。“レイン”と2人、戦い続けられるのか注目です。

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2019年02月01日

『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア11』

劇場映画の2/15公開が迫る、大森藤ノ 先生の大人気シリーズ「ダンまち」スピンオフ作品。
第11巻は武装したモンスター「異端児」の真実を前に揺れる“アイズ”の葛藤を描きます。
(イラスト:はいむらきよたか 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815600266.html


異端児たちとの結託を決断した“フィン”を前に動揺が走る「ロキ・ファミリア」の面々。
その発端となる“ベル”のあの勇姿を目にした“アイズ”もモンスターと今も変わらずに
戦えるのか不安に陥るのも納得。それを払拭する「あの人」の忌憚ない指摘が印象深い所。

何度もしてやられた人造迷宮での反省点を活かして“タナトス”の予想をはるかに超えて
攻略していく“フィン”たちの快進撃が熱い。中でも“アミッド”がその実力を如何なく
発揮する場面は必見です。“タナトス”と対峙する“ロキ”の言動にも注目が集まります。

追い詰められた“タナトス”が口にする意外な発言。最悪の見逃しに“ロキ”が気付くも
時すでに遅し。読み手という部外者でも胸が痛むほどの甚大な被害、至らしめた未だ謎の
神“エニュオ”を巡る壮大なミステリーと陰謀劇の幕開けに、期待と不安が駆け巡ります。

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2019年01月31日

『聖女様を甘やかしたい!ただし勇者、お前はダメだ』

戸津秋太 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。心を失った聖女候補の少女たちを
見届け続けたある神官が出会った同年代の「聖女様」に人生を左右される顛末を描きます。
(イラスト:fame 先生)

https://tobooks.shop-pro.jp/?pid=136275473
https://ncode.syosetu.com/n6597em/


高難易度の任務を日々淡々とこなす教皇国の特級神官“ベイル”に課せられた新たな任務。
それは超常の力を使う“ルナ”を見守り、彼女の心の拠り所になってほしい、というもの。
訝しみながら彼女が幽閉された部屋に向かうと彼はその笑顔に思わず見惚れてしまい──。

ということで思う所ある“ベイル”が“ルナ”を連れて教皇国を離れ、辺境の村で生活を
営みながらこそばゆい関係を見せつけてきます。村人同士の結婚話を聞いて、将来を意識
し合ったりなんかして。これだけ一緒にいながらなんでくっつかないの、と言わんばかり。

そんな折に村周辺に現れた魔獣の討伐に現れた勇者“ギリアン”が“ルナ”を愛人にする
と言い出したから一大事。傲慢な勇者から“ベイル”が彼女を護るという構図で済まない
意外な顛末が見所で中々面白い。目を付けられた2人の逃避行、その行方が気になります。

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2019年01月30日

『我が驍勇にふるえよ天地9 〜アレクシス帝国興隆記〜』

あわむら赤光 先生が贈るファンタジー戦記。第9巻はクロード帝国にて躍進を遂げていく
“レオナート”に対し彼を疎ましく思う三国が、そしてその糸を引く悪意が牙を剥きます。
(イラスト:卵の黄身 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797399189.html


出る杭を打ちましょうと“レオナート”に仕向ける三国同盟を実現させる手腕や先見の明。
中央帝国パリディーダで昏く野心を滾らせる“シェヘラザード”の言動が実に空恐ろしい。
“シェーラ”や“ティキ”が恋敵となる相手に手を焼くのが何とも微笑ましく映るほどに。

加えてツァーラント軍を率いる“アルフレッド”の異常なまでの騎士道精神を紐解く逸話。
あれを持ち出されたら流石の“レオナート”たちも苦戦必至、と予感させるにも難くない。
混沌大帝が古に抱いた悩みに共感する彼の姿も納得でそれを励ます“アラン”が格好良い。

火蓋を切った決戦、その初戦としてツァーラント軍の脅威を知る“レイヴァーン”がかの
騎士道精神に対してどんな策を巡らせるか、それぞれの勝利を見据えた戦いの顛末は熱く
そして一筋縄ではいかない厳しさを物語ります。更なる激戦の兆しと行く末に注目です。

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2019年01月29日

『Unnamed Memory I 青き月の魔女と呪われし王』

電撃の新文芸、その第一陣に選ばれたのは 古宮九時 先生が公開していた大人気Web小説。
呪いを受けた王太子と世界最強の魔女、世界の命運を握る2人の合縁奇縁ぶりを描きます。
(イラスト:chibi 先生)

https://dengekibunko.jp/product/unnamed/321809000028.html
http://unnamed.main.jp/words/


世界に5人の魔女。その1人、沈黙の魔女が掛けた「子孫が残せない呪い」を解呪すべく
王太子“オスカー”は青き月の魔女“ティナーシャ”を頼るが、解析の結果は芳しくない。
母体が呪いに堪えられない為、と聞いて彼は彼女に結婚しようと驚愕の提案をするが──。

最強の魔女を前にしても肝が据わっていて破天荒な言動を示す“オスカー”に翻弄される
“ティナーシャ”の姿に思わずニヨニヨ。何かと面倒な彼女が国内で起こる様々な騒動を
前に面倒を見てくれる様にも好感が持てます。随所に「古宮節」のようなものを感じます。

魔女ではなく1人の女性として“ティナーシャ”との結婚を望む、その理由を突き詰める
“オスカー”の真摯さも魅力的。彼女の動向を見届け続ける勢力の暗躍も気になる要素で、
次巻予告を見ただけでもう続きが待ち遠しい。長月達平 先生が推すのも納得の作品です。

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2019年01月28日

『天才王子の赤字国家再生術3〜そうだ、売国しよう〜』

鳥羽徹 先生が贈る弱小国家運営譚。第3巻は隣国となった「カバリヌ王国」にて行われる
聖霊祭に招待された“ウェイン”が、ある人物の想いに応えるべく陰謀に立ち向かいます。
(イラスト:ファルまろ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815601157.html


将軍“ハガル”との不仲説を流して反乱分子の摘発を図る“ウェイン”に声がかけられた
聖霊祭と時を同じくして開催される、レベティア教の有力者が集まる選聖会議。道すがら
かの国にマーデンの地を追われた解放軍より同道を提案された“ゼノ”が鍵を握ります。

選聖会議にて“オルドラッセ”王からありがた迷惑な話を持ち掛けられた“ウェイン”が
東奔西走していざ結果を出してみればあの始末。今回は自分で自分の予想を裏切ったので
文句は言えないか、と思えば王国の陰謀によって窮地に立たされる辺りは同情の余地あり。

“ゼノ”の正体が明らかになったと共に、解放軍と共闘してマーデン王国の再興に向けて
カバリヌ王国と戦う破目になる“ウェイン”。彼の策が今回も見事に嵌まる展開は爽快で
エピローグのまとめ方もまた絶妙。あの人物の暗躍に打ち勝てるか、彼の躍進に注目です。

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2019年01月25日

『錆喰いビスコ3 都市生命体「東京」』

高橋佑輔 先生によるコミック連載が始まる、瘤久保慎司 先生が贈るファンタジー冒険譚。
第3巻はあらゆる場所を都市化していくテロ集団と“ビスコ”らの意外な因縁に触れます。
(イラスト:赤岸K 先生 世界観イラスト:mocha 先生)

https://dengekibunko.jp/product/bisco/321807000010.html


突如現れては“ビスコ”らを退化した猿と侮蔑する“アポロ”。荒廃した今を過去の姿に
戻そうとする彼が起こす「全日本同時多発都市化テロ」、そして2028年なるキーワードと
錆やキノコといった要素が思いがけず繋がっていく話運びには何度も驚かされるばかりで。

騒動の発端から様子がおかしい“チロル”から色々と察したり、“パウー”のわがままに
応えてあげたりと“ミロ”の気遣いぶりに惚れます。真言も更にパワーアップしてますし
彼の成長ぶりが著しくて嬉しいです。もちろん大事な所は“ビスコ”がしっかりキメます。

“アポロ”が足をすくわれる契機となった「マナー」を大事にする心構え、その源にある
逸話から未来を受け継いでいく“ビスコ”らの姿が重なっていく描写は胸が熱くなります。
的場重工での一幕がまさかとんでもない引きを招くとは想定外。第二部も目が離せません。

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