2020年07月13日

『俺の女友達が最高に可愛い。2』

あわむら赤光 先生が贈るピュアフレンドラブコメ。第2巻は“琴吹”から告白を受ける
“カイ”が“ジュン”との距離感と比較して、恋愛関係の難しさを知ることとなります。
(イラスト:mmu 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815605643.html


“琴吹”からの突然の告白。“カイ”としては趣味も合う、話していて楽しい、でも恋愛
と言われてもピンとこない。“怜奈”から二者択一を求められて“ジュン”と疎遠になる
くらいなら彼女なんて欲しくない、と率直に結論づけるくらいぶれないのが実に彼らしい。

友だちだろうが何だろうが想い人と結ばれるには“ジュン”を何とかしないと、と考える
“琴吹”の思考回路は自然。なのに“ジュン”は彼女の愛らしさに首ったけで仲間としか
見ていないのだから唖然。秘密までつまびらかにしたのに報われないあたりは思わず同情。

やがて“カイ”と“ジュン”、3人で色々と楽しんだ日々から導き出した“琴吹”の結論。
彼女なりに自分と想い人との距離感を掴んだことで「名を捨てて実を取る」みたいな道を
手に入れたのが実に興味深い。彼もその意味に対して、大いに悩みぬいてほしいものです。

posted by 秋野ソラ at 00:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年07月10日

『今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。2 先輩、ふたりで楽しい思い出つくりましょう!』

かぜぱな 先生によるコミカライズ企画が進行中の、涼暮皐 先生が贈るラブコメディ。
第2巻は人気者の後輩から突然に恋人宣言された“伊織”が新たな過去と向き合います。
(イラスト:あやみ 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/osaimo/321912000702.html


いきなり「星の涙」の力で洗脳されるところから始まるラブコメ、というのも中々に斬新。
とは言え“伊織”としてもすぐ“まなつ”と恋仲になるほど素直さを持ち合わせていない
のが本作の売りでもあります。“灯火”の立場を早々にぐらつかせる容赦の無さもですが。

ふたりで楽しい思い出を作る、と嘯く“まなつ”が「星の涙」に何を願ってしまったのか。
子供心についた嘘、繋がらない面影、見てしまった泣き顔、助けられなかった事実と悔恨。
このような使い方もあるのか、と驚かされると共に彼女の優しさは心温まるのに切なくて。

叙述トリックを見抜くかのように“まなつ”の秘密を見抜く“伊織”が見せた熱い感情は
「氷点下」らしからぬ人間味が窺えて実に良かった。“こころ”は在るのに人の心が無い
とはこれ如何に。エピローグの引き具合もまた衝撃的すぎて、続きが気になるばかりです。

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2020年07月09日

『探偵はもう、死んでいる。3』

二語十 先生が贈る「第15回MF文庫Jライトノベル新人賞・最優秀賞」受賞作。第3巻は
“君彦”らが“シエスタ”の犯したミスを探り、死の真相と遺志を継ぐ意味を知ります。
(イラスト:うみぼうず 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/tantei_dead/321912000700.html


生前の“シエスタ”を参考に作られた生体アンドロイド《シエスタ》。彼女の存在もまた
驚きの種でありながら、世界の謎に迫る事実が次々と明かされて脳がもう、てんやわんや。
その中でも《原初の種》が物語の軸を握っていくのが分かると俄然、面白みが増します。

「SPES」との対決姿勢を新たに・・・と思えば“斎川”のプロデューサーを務めることになる
“君彦”の忙しなさ。彼女を襲うスキャンダルから身を守ろう・・・などと言っている間にも
彼を取り巻く面々が敵に味方に、建前と本音とが入り乱れて先の読めなさに驚かされます。

“夏凪”が“ヘル”と向き合うのも、“斎川”がこの時期で登場したのも“シエスタ”が
命を賭してでも阻止したい計画を浮かび上がらせる演出に繋がっていて見事。“君彦”が
その事実を受け止めてもなお諦めない悪あがきが通じるか否か、見届けたいところです。

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2020年07月08日

『サンタクロースを殺した。そして、キスをした。』

犬君雀 先生の「第14回小学館ライトノベル大賞・優秀賞」受賞作。望まない願いを叶える
ノートを持つ少女と共に傷心の勢いでクリスマスを無くすべく少年がある活動を始めます。
(イラスト:つくぐ 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518535


クリスマスの到来を「望まない願い」とするべく疑似的な恋人になることを望む“少女”。
突然の別れを告げられた“先輩”に新しい彼氏がいることがどうにも耐えられない“僕”。
聖夜まで残り22日、前途多難な道をゆくギクシャクした2人が辿り着く結末や如何に──。

“先輩”のことを好きだという“僕”自身が気づいていなかった感情。それを知ったから
こそ彼女は道を違えたし、“悪友”は苦言を呈してきたのだと思うとその優しさが切ない。
“僕”と“少女”の関係が偶然から必然へと変遷する過程にもそれは表れている気がして。

「サンタクロースを殺す」ということ。そして「キスをする」という意味。幸せの象徴に
導かれた終わりの瞬間“少女”が口にした言葉に、“僕”にとっての「大丈夫」なものが
形成されたことにせめてもの報いがあることを願わずにはいられない読了感を覚えました。

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2020年07月07日

『シュレディンガーの猫探し』

小林一星 先生の「第14回小学館ライトノベル大賞・審査員特別賞」受賞作。探偵嫌いの
少年が出逢った「魔女」と手を結び、秘密にしておきたい真実を探偵から守っていきます。
(イラスト:左 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518573


“令和”の妹に纏わる事件と謎。探偵を頼り解決を図るも余計な詮索をされて探偵不審に
陥った彼は文芸部部長“くりす”に「迷宮落としの魔女」と称する人を紹介される。彼の
話を聞いた彼女は、世にも奇妙なミステリーを迷宮入りにしてみせる、と豪語するが──。

“令和”の妹の周りで起こる事件に高校生探偵“太陽”やハードボイルド探偵“勘渋郎”
といった優秀な探偵が挑み、掴もうとする謎解きの手がかり。それに件の魔女“焔螺”が
霞をかけていく手管の数々が興味深い内容で。その上でしっかり「解決」する点もお見事。

“令和”の立ち位置が話の進み具合で次々に変遷していく点、“焔螺”の存在そのものが
仕掛け満載な点、そして彼の妹“弥生”に隠された本当の謎が隠しきれていない点。実に
続きが楽しみな要素を次巻でどう拾ってくれるのか、先生のお手並みを拝見したい所です。

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2020年07月06日

『Babel I 少女は言葉の旅に出る』

古宮九時 先生がWebサイトに公開していた珠玉の異世界ロードファンタジー。電撃文庫版
とは異なり、Web版に書き足しを加えて「電撃の新文芸」から改めての書籍化となります。
(イラスト: 森沢晴行 先生)

https://dengekibunko.jp/product/newrelease-shinbungei.html


大学1年生の“雫”が目にした謎の黒い穴。吸い込まれた先は異世界の砂漠。行き倒れた
彼女は助けられた国で言葉が伝わるのを頼りに新生活を始める。そこで彼女が使う文字に
興味を持つ“エリク”を道連れに元の世界へ帰る旅に出る。世界の変革へと誘う旅に──。

まずは本来の形で再始動することを決めた編集部に御礼を。再びイラストを担ってくれる
森沢 先生に感謝を。『Unnamed Memory V』と同時刊行を成し遂げた 古宮 先生に慰労を。
文庫版と比較してみるのも一興ですね。蛇が作品のアイコンになるのもなるほど納得です。

振り返ってみると“エリク”が見せる言動の数々は意味深長で、“ターキス”はウザ絡み
も目に付きますし、何より“雫”がか弱いはずなのに妙に逞しいのが古宮流な気がします。
「Unnamed Memory」を経てどんな仕掛けが明らかになるのかを楽しみに、次巻を待ちます。

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2020年07月03日

『ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか?6 〜とびっきりの王子様〜』

望公太 先生が贈る甘くて尊い年の差純愛ラブコメ。第6巻は“薫”が“妃”との新生活を
スタートさせる中、文化祭の準備中に熱意を示す“浦野”が突如引きこもってしまいます。
(イラスト:ななせめるち 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815605636.html


“浦野”がやる気を見せる理由。推して知るべし、なそれを最悪のタイミングで知られた
彼の心情が、中学時代に彼らがこじらせた恋愛模様を浮かび上がらせる展開は心痛ましく。
そんな離散する想いを繋ぎ止めた“薫”の仲間意識、そして恋愛観に筋が通っていて熱い。

ただ自滅する“浦野”を優しく突き放す“薫”が彼の気持ちを吹っ切らせるために過去の
トラウマを活かす演出がまた小憎らしい。恋人持ちの余裕すら窺えます。“浦野”の幸せ
いっぱいな顛末の裏で、“遥”もまた過去を清算できた感が見受けられて微笑ましい限り。

今巻は出番少なめな“姫”。恋人が姉と共同生活を始めてイイ感じなのを妬むの様子や、
ここぞという場面であの衣装を選んでしまうあたり、相変わらず思わずニヨニヨします。
彼もまた愛する人にとっての「王子様」の一人として共に道を進めるものと信じてます。

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2020年07月02日

『結婚が前提のラブコメ2』

栗ノ原草介 先生が贈るぜったい結婚したい系婚活ラブコメ。第2巻は交際候補が競合した
“結衣”と“カレン”を前に難しい舵取りを迫られる“縁太郎”が仲人の気概を示します。
(イラスト:吉田ばな 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518528


「お金持ちと結婚したい」“カレン”の本心はどこにあるのか。羽振りのよい“伊集院”や
破戒僧とも言えるチャラい男“玉置”とのやり取りから疑念を持ち始めた“縁太郎”がある
推論を導く中、彼女の悩みにつけ込もうとする“黒峰”が下衆な野郎で悪役っぷりがお見事。

「婚活は自分自身のためにやらなきゃダメだ」“縁太郎”がお金も労力も惜しまず、会員の
幸せを願って仲人をする姿勢が伝わってきて、思わず自分の婚活時代を想起させられました。
“黒峰”の秘書も、彼が宿敵にかなわない訳を知ってるくせに伝えないあたり底意地が悪い。

今回“玉置”をデートに誘うことを目標とする“結衣”に、彼が諭したあの一幕。いい人だ、
実にいい人だ。彼女も「いちゃいちゃするような関係」になる、というのはどういうことか
を学んでしまっただけに、“縁太郎”の悩みの種は増える一方で。次巻もお手並み拝見です。

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2020年07月01日

『董白伝 〜魔王令嬢から始める三国志〜2』

伊崎喬助 先生が贈る打擲幼女の覇道ファンタジー。第2巻は生き残りを懸け“劉備”陣営
の取り込みを画策する“董白”が思わぬ危機と遭遇して戦略の変更を余儀なくされます。
(イラスト:カンザリン 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518474


叔父たちの目論みとして皇帝“劉協”との結婚工作に担ぎ出される“董白”。当人に直接
拒否の姿勢を見せる開けっ広げな態度や、幼いながらも相国として力量を発揮する言動に
惹かれていく彼の機微が変化してく様が微笑ましい。彼女も罪作りな面白い女子のようで。

「反董白連合」の盟主を務める“袁紹”が攻勢に転じないことに業を煮やして“孫堅”が
勇み足を踏んだり、と緊迫した情勢が続く中で登場する武将たちがどことなくヘンなのも
相変わらず面白い。“張飛”が酒でやらかす被害者に“馬超”がならぬことを願うばかり。

内憂外患、人材不足、問題山積な局面を長安へ遷都する計画を逆手に叔父たちに、連合に
対して“董白”が一矢報いる展開は熱い。彼女なりに乱世を治める指針が固まったことで
“貂蝉”の目的は果たせるのか、増える敵の執念は打ち払えるか、続く展開が楽しみです。

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2020年06月30日

『後宮妃の管理人 三 〜寵臣夫婦は繋ぎとめる〜』

廣本シヲリ 先生によるコミックス1巻も発売を迎えた、しきみ彰 先生が贈る後宮物語。
第3巻は陛下との離縁を示す賢妃“明貴”の真意を“優蘭”が探り、対策に乗り出します。
(イラスト:Izumi 先生)

https://lbunko.kadokawa.co.jp/product/kanrinin/322002001181.html
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_FL00201451010000_68/


“明貴”にどす黒い感情を向けられる“優蘭”にとってはとばっちりでしかないこの案件。
「何やってんの“劉亮”!?」と言いたくなる夫婦喧嘩の背景に思わず“優蘭”を応援する
感情に一層の熱が入るというもの。彼女を気遣う“皓月”の男前ぶりも磨きが掛かります。

反旗を翻す勢いの“皓月”から、これまた精神的被害を被る“慶木”も陛下に近い考えを
見せたため“優蘭”たちからしっぺ返しを食らう顛末も興味深い。“明貴”にも非はある
ため「雨降って地固まる」形にどう持っていくのか、読み進めるにつれ期待が膨らみます。

離縁騒動に加えて難題が重なる中、“優蘭”のアイデアが見事に嵌まっていく結末は胸が
すくというもの。見ていてこそばゆくも、着実に仲を深めていく夫婦の行く末は見届ける
甲斐がありますし、“玄曽”が“皓月”を評したあの意味も見極めていきたいところです。

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