2018年03月20日

『君に恋をしただけじゃ、何も変わらないはずだった』

筏田かつら 先生が贈る青春ラブストーリー『君に恋をするなんて、ありえないはずだった』
スピンオフ作品が登場。“恵麻”の友人“久美子”が進学してからの恋愛模様を描きます。
(イラスト:U35 先生)

http://tkj.jp/book/?cd=72816801
http://konomanga.jp/manga/kimikoi


場所は広島、安芸大学。合鍵を返しに、そして大事な本を返してもらうため元彼女の部屋を
訪れた“玲二”だが、すでに別の住人がいて引き下がるを得ず。帰りに職務質問を受けたり
踏んだり蹴ったりな彼は、その住人“久美子”と後輩の知人という形で偶然に再会する──。

甘え上手な美少年の後輩“奈央矢”とデキてるんじゃないか。彼が“久美子”の幼なじみで
好意を抱いたり、同郷の“冬吾”もそこに乗っかってきて、という様子をただ見ているだけ
じゃないか。不幸話が続く“玲二”を見て、恋心とは無縁な感じで話が進んでいくのが不憫。

エピローグで“恵麻”と“久美子”が互いの恋人談義をする様子、その内容が実に感慨深い。
合間に差し込まれる、ある人物が用意したト書きの台本が場面展開の隙間を埋めている演出
だと気付いてから話に惹き込まれました。今回も一筋縄ではいかない恋バナ、ぜひご覧あれ。

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2018年03月19日

『吉原百菓ひとくちの夢』

江中みのり 先生の「第24回電撃小説大賞・メディアワークス文庫賞」受賞作。江戸・吉原
の中見世で菓子専門の料理番と幼馴染で見世一番の花魁が織り成す、心温まる人情物語です。
(イラスト/殿ヶ谷美由記 先生)

http://mwbunko.com/978-4-04-893624-8/
http://dengekitaisho.jp/special/24/yoshiwarahyakka/


「カステイラを作っておくんなんし」──花魁“朝露”からの難題に困った顔をしつつも
断らない料理番の“太佑”。すまし顔の彼女が昔、彼が作った菓子を食べて満面の笑みを
見せてくれたように座敷で口にすると信じて毎日毎日、菓子作りに精を出すのだが──。

評判の菓子を求める酒問屋の跡取り息子“徳之進”に面白い菓子を所望されたり、大関を
目前にする有名力士“龍ノ井”に自身の菓子を勧めたりと技術と縁を培っていく“太佑”。
しかし同僚の“仁兵衛”から彼女は菓子に全く手を付けていないと聞きモヤモヤします。

“朝露”が“太佑”の菓子を食べない理由を吐露する場面、覗かせる心情がまた切ない。
彼が言葉を失うのも無理はなく。けれど悶々としながらも諦めず「夢」をキーワードに
彼女からあの一言を引き出す話運び、顛末から窺える2人の独特な関係に惹かれました。

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2018年03月16日

『なぞとき遺跡発掘部 卑弥呼様はどちらにいますか?』

小学館文庫「キャラブン!」の創刊タイトルに名を連ねる 日向夏 先生の新作は遺跡発掘
ミステリー。貧乏女子学生がバイト先で発掘調査にまつわる様々な事件に巻き込まれます。
(イラスト/vient 先生)

https://www.shogakukan.co.jp/books/09406494


考古学を教える“西枝”教授の研究室に所属する“灯里”は過去に不発弾を2回見つける
など妙に運がよく、ある日“古賀”先輩と共に発掘調査へ向かった先でも勾玉を発見する
引きの良さを見せる。しかしその翌日、防犯カメラにも映らない犯人に盗まれていて──。

あまりに貧乏すぎてたんぽぽすら腹の足しにする“灯里”の逞しさ、快活ぶりがまぶしい。
苦学生だからこそ福岡グルメを味わって食べる彼女の様子が飯テロ要素を含んでおります。
多少、礼を失する所はありますが、むしろ“日比野”の自然な図々しさに驚かされました。

妙に察しの良い“灯里”の気付き等から事件の謎を紐解いていく小編3つが最後の小編に
繋がっていく構成も練り込まれており、特に福岡・九州を舞台にしたことで邪馬台国の謎
を絡めた落とし所に辿り着く、土地勘を活かした内容に仕上がっています。オススメです。

posted by 秋野ソラ at 00:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年03月15日

『薬屋のひとりごと7』

花街育ちの少女が毒見役として宮廷内で難事件を解決していく様子を描く、日向夏 先生の
シリーズ第7巻。官女試験を受け、今度は医局勤めとなった“猫猫”の新生活を描きます。
(イラスト:しのとうこ 先生)

https://herobunko.com/books/hero14/7903/


半ば強制的に宮廷へ戻ってきたことで改めて色々な方の目に留まる“猫猫”。承知の上で
しれっと振舞う彼女の胆力には相変わらず恐れ入る所。しかし、“水連”の妙な後押しを
受けた“壬氏”にスイッチを入れてしまったアレは失態でした。読み手にはご褒美ですが。

変人軍師に盛られた毒の正体をあっさり見抜くなどする“猫猫”らに“愛凛”が仕掛けた
謎かけ。それが示す意味はやがて異国の少女との接触、そして巫女の食事に仕込まれた毒
という形で表面化します。ここで引っ掛かりを覚えるあたりが流石としか言いようがなく。

人の命にかかわる仕事、ということを改めて“猫猫”に植え付けた今回の顛末を“姚”の
「ひとりごと」として振り返る「終話」に哀愁を感じます。倉田三ノ路 先生のコミックも
掴みは十分で、ねこクラゲ 先生の2巻も好感触で。更なる躍進を期待するシリーズです。

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2018年03月14日

『六畳間の侵略者!? 28』

健速 先生が贈る人気シリーズ。通算30冊目はフォルトーゼが日本との国交樹立に乗り出し
“孝太郎”と六畳間の面々が新たな局面を迎える中、物語は最終章へと導かれていきます。
(イラスト/ポコ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/770.html


“真希”の手作り弁当に対する感謝の伝え方。“静香”についても同様ですが“孝太郎”に
対する信頼を超えた絆の証であり、彼が彼女らをいかに大切に思っているかの証左でもある
ということが窺えて心が温まる思いです。まさに奇跡の関係と言っても過言ではないかと。

技術力の格差など、フォルトーゼとの国交樹立に潜む暗部を伝えるサンレンジャーの面々。
彼らの想いを汲み取った“孝太郎”が“クラン”らの助力を得て陰から支えるあたりにも
背負ってきたものの重みや、取捨選択の苦しさなどが改めて浮き彫りとなる点も印象深い。

そんな“クラン”が見せる機微の変化を微笑ましく眺める最中に、“早苗”が感じ取った
謎のメッセージが遂にある現象として目に見えたとき“孝太郎”には一体何が出来るのか。
謎の女性が望む「奇跡」とは。そして最後の試練とは何を意味するのか。次巻に注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル