2017年03月17日

『天久鷹央の推理カルテV ―神秘のセラピスト―』

知念実希人 先生が贈る新感覚メディカル・ミステリー。第5巻は天才女医“天久鷹央”が
人込みで体が腐る男、特別な治療で若返る老女、そして移植を阻む奇蹟の謎を診断します。
(イラスト/いとうのいぢ 先生)

http://shinchobunko-nex.jp/books/180090.html


「雑踏の腐敗」では夢を抱いて上京してきた“辰馬”が渋谷にいる人の多さに圧倒された
かと思えばオカルトじみた現象に直面してほぼ引きこもり状態に。そこそこの人通りなら
大丈夫なのになぜ渋谷はダメなのか。意外な理由を探り当てる“鷹央”の診断が冴えます。

「永遠に美しく」では相談者“美奈子”の母が明らかに若返っている写真を見せつけられ
俄然、鍼灸院を営む“秋源”が施術する「若返りの治療」に興味津々。もちろんそこには
裏があるのですが、元々の発端にはフェイクが仕込まれていたのにはしてやられました。

「聖者の刻印」では医療不信と、預言者なる人物の言葉を理由に娘“里奈”の骨髄移植を
認めない母親をどう説得するか。トリックを暴くだけでは解けない宗教の壁をどう崩すか、
患者のことを第一に考える、“鷹央”の成長ぶりが嬉しく感じられる内容でありました。

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年03月16日

『サークルクラッシャーのあの娘、ぼくが既読スルー決めたらどんな顔するだろう2』

秀章 先生が贈る異色のファンタジー作品。“クリスティーナ”を探す“ユーリ”たちが
“ルシオン”の許嫁と遭遇したことで彼女の国の未来を左右する騒動に巻き込まれます。
(イラスト:R_りんご 先生)

http://sneakerbunko.jp/bookdetails/?pcd=321607000405


口絵も挿絵ものっけからエロい導入から始まる今巻。“ユーリ”たちもホントに懲りない。
そこへ“ルシオン”の本性は知らずに彼にぞっこんな“サフィ”が現れて何とか落ち着く
かと思いきや誓いを立てる相手、司教としての“クリスティーナ”と再会するという悪夢。

前任の司教“ゼクト”に関する逸話の他“ユーリ”たちと別れてからクラッシャーぶりに
磨きをかけてきた“クリスティーナ”。今度は国という後ろ盾をもって“ユーリ”たちを
今回も無自覚な形で悩ませ、苦しめていく展開は喜劇を通り越した悲劇と言うしかなく。

思わぬ流れで陥った苦境の中、“サフィ”の見せた頑張り具合に思わず同情の念は隠せず。
ラストのアピールも応援したくなるところですが“エマ”には“ユーリ”を支えてもらう
必要がありますからな・・・なんて言っていたら引きがものすごく不穏。続きが気になります。

posted by 秋野ソラ at 00:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年03月15日

『六畳間の侵略者!? 25』

健速 先生が贈る人気シリーズ。通算27冊目は“晴海”が倒れ、シグナルティンが使えない
危機に陥る“孝太郎”が“エゥレクシス”や“真耶”をも唸らせる逆転の秘策を振るいます。
(イラスト/ポコ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/711.html


“晴海”が“アライア”と共にあること。そして“シグナルティン”を使い続けるその意味
に気付いてしまった“孝太郎”。六畳間のメンバーの中で自分だけが「普通の人間」という
ことが度重なる襲撃からも思い知らされることとなり、今巻はかなり悩まされる感じです。

そんな状況を知ってか知らずか、“エゥレクシス”が極秘会談で“孝太郎”に仕掛けてきた
ある提案がまた上手く隙を突いてきて。これは一枚上を行かれてしまったか、という状況を
まさか“アライア”の思わぬ布石が覆していく展開が熱い。“ルース”もよく気づきました。

そして迎えた総力戦。両陣営共に迷いを吹っ切るような戦いぶりも存分に魅せてくれました。
今巻のあとがきで提示された「#六畳間の今後」に関するアンケートは今後の世界もif話も
これだけ長く続いたシリーズなので色々とやってほしいです。ゲームブックも楽しめそう。

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2017年03月14日

『佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I'll have Sherbet! 1』

九曜 先生の「第1回カクヨムWeb小説コンテスト・特別賞」受賞作。念願の一人暮らしを
するはずだった少年が、同じ学校の下級生女子と同棲することになる学園生活を描きます。
(イラスト:フライ 先生)

http://ebten.jp/eb-store/p/9784047344990/
https://kakuyomu.jp/works/1177354054880240118


不動産屋の手違いから二重契約された部屋で美少女と言う他ない“佐伯さん”と同棲する
ことになった“恭嗣”。誰もが羨む状況かと思えば登下校は別々、学校でも接触は禁止と
厳命された彼女は部屋での雰囲気との違いに戸惑う。実はある過去が関係していて──。

自分に素直で開けっ広げな佐伯さんこと“貴理華”が耳にする“恭嗣”が校内でも指折り
の美少女“美ゆき”と付き合っていて、しかも振ったという噂。誤解を解かない彼に対し
多少の幻滅はするものの、諦めずに向き合う彼女の姿勢が実に健気で、好感が持てます。

同居人の影響を思いのほか受けていることに内心、驚きを隠せない“恭嗣”。変わりつつ
ある彼に抱く新たな興味を隠さない“美ゆき”。自然と心惹かれていく同室の異性に対し
それとなくアピールを続ける“貴理華”。三者三様の想いがどう絡んでいくか楽しみです。

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2017年03月13日

『君は月夜に光り輝く』

佐野徹夜 先生の「第23回電撃小説大賞・大賞」受賞作。皮膚が光る不治の病で余命僅かの
級友の少女を、会ったこともないという少年が見舞うことで動き始めていく愛を描きます。
(イラスト/loundraw 先生)

http://mwbunko.com/978-4-04-892675-1/


「発光病」により病室での生活を余儀なくされる“まみず”に向けて級友たちが書いた
寄せ書きを代理で届けることになった“卓也”。死ぬ直前の姉と様子が似ていたことに
何かを感じた彼は、彼女が「死ぬまでにやりたいこと」を代行しようと提案する──。

“まみず”が大事にしていたスノードームを壊した、という代償に乗ってあれやこれや
と“卓也”にお願いをしていく顛末は「彼女に余命がない」という事実を払拭するかの
ような楽しさを感じさせます。ですが、確実に迫る彼女の死を拭うことはできません。

いつしか心惹かれあう二人となった“まみず”と“卓也”が愛する人を残し奪っていく
死という絶望に対してどう結論を出すか。中原中也のある詩に引かれた線、その続きに
ある想いと、彼女からのお願いを受け止めた彼の決断をぜひ見届けてほしい秀作です。

posted by 秋野ソラ at 00:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル