2020年11月09日

『探偵くんと鋭い山田さん2 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる』

玩具堂 先生が贈るちょっと甘めの学園ミステリーラブコメ。第3巻は“雨恵”と“雪音”
2人に距離を詰められつつ、助けられながら“戸村”が数々の相談事を解決していきます。
(イラスト:悠理なゆた 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/yamadasan/322001000936.html


第四話はオンラインゲームで人探し。オフ会と称して催された「プレイヤー当てゲーム」、
その真意に会話の一部、プレイヤーの経歴、そしてあの成績表から気付くあたりはお見事。
「探偵」をする意味を山田姉妹がより意識する機微がこそばゆくてニヨニヨさせられます。

第五話は過去に文芸部から消えた原稿探し。“田草”先生が学生時代に書いたある作品を
3人の先輩が論評する、その内容からある可能性に目をつける所が何とも“雨恵”らしい。
先生を戸惑わせる発言を繰り返す“戸村”、その訳を担う姉“地穂”に注目が集まります。

第六話は自殺の恐れがあるSNSアカウントが誰かを見つける依頼。キラキラネームの依頼者
という要素があそこまで効いてくるとは、中々に興味深い展開で楽しませてもらいました。
この3人でずっと「探偵」してほしい、そう「MF文庫J」編集部には切望しておく次第です。

posted by 秋野ソラ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年11月06日

『エリスの聖杯3』

常磐くじら 先生が贈る貴族社会クライムサスペンス。第3巻は“スカーレット”が処刑
された10年前の陰謀を明るみにすべく“コニー”が命を懸けて「暁の鶏」と抗戦します。
(イラスト:夕薙 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815607692.html
https://ncode.syosetu.com/n1230ei/


“コニー”だけでなく“ランドルフ”にも危険が及ぶ緊迫した展開を“スカーレット”
による絶妙な介入が救っていくのが熱い。彼女に対する“ハームズワース”の反応が
ブレないのも印象的でした。幕間の人物紹介で都度、心和ませてもらった感もあります。

陰謀の核心へ迫るにつれ、“コニー”と“スカーレット”の奇妙な絆の終焉を示唆する
描写が差し込まれる度にどの結末へ向かうのかを想像して、ハラハラさせられました。
その中で“ランドルフ”がちゃんと“コニー”のことを考えてくれていたのが救いで。

陰謀の布石、意外な黒幕、そして残された者たちの想い。公開処刑が再来する流れを
通じてそれらを見事に昇華してくれる読了感を味わえました。泣いて、そして笑って、
運命に導かれた2人を描く挿絵も素晴らしかった。完結を心よりお祝い申し上げます。

posted by 秋野ソラ at 00:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年11月05日

『世々と海くんの図書館デート 恋するきつねは、さくらのバレエシューズをはいて、絵本をめくるのです。』『世々と海くんの図書館デート(2) 夏のきつねのねがいごとは、だいすき。だいすき。だいすきです。』

野村美月 先生が「青い鳥文庫」から児童書として贈る新作。狐の子がセーラ服を着た
少女に変身して一目惚れの男の子に会いに行き、図書館で想いを伝える顛末を描きます。
(イラスト:U35 先生)

http://aoitori.kodansha.co.jp/book/2020/22/4.html
http://aoitori.kodansha.co.jp/book/2020/22/5.html


森で暮らす狐の妖怪四姉妹の末っ子“世々”は以前、助けてくれた少年“海”を捜して
村唯一の学校にある図書館で見つける。何度も通い、盗み見るたびに高鳴る胸を抑える
彼女はある日、彼から声を掛けられる。気付かれたと怯える彼女に彼はメモを渡し──。

難しい文字が読めない“世々”は絵本を読み、“海”は成績を落とさないため勉強する。
こそばゆくてもどかしい図書館での逢瀬を重ねる2人が“由鷹”や“相沢”に応援され
絆を深める様子が微笑ましい。“相沢”の存在にも 野村 先生の作品らしさを感じます。

児童書ということで話の軸を担う絵本の選定や、漢字の開き方に対しこだわりを見せる
野村 先生の姿勢にもぜひご注目のほどを。秘密を打ち明けた“海”のように“世々”も
本来の姿を明かし、彼が受け入れてくれること、幸せな未来を掴むことを願いたいです。

posted by 秋野ソラ at 00:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年11月04日

『魔女と猟犬』

カミツキレイニー 先生が贈る新作はダークファンタジー。小国の領主が大国による侵略に
抗うため、虐げてきた魔女たちに希望を見い出していく顛末をとある暗殺者が見届けます。
(イラスト:LAM 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518641


とある屋敷で魔女の疑いをかけられ私的制裁をうけた奴隷少女に纏わる証言に耳を傾ける
小国の領主“バド”。誰もが恐れる魔女を話せばわかる人種だと判断した彼は隣国で捕縛
されている「鏡の魔女」に目をつけ、配下の“ロロ”に連れてくるよう任命するが──。

隣国「レーヴェ」に隠された思惑、二転三転する魔女への疑惑、暗殺者“ロロ”の当惑。
序章として「ギリー婦人の証言」を持ってきたことが後々で効いてくる話の動かし方に
惹き込まれていきます。読了後に見返すと表紙のイラストが持つ意味に気付かされます。

魔女に活路を見い出したはずの“バド”たちを襲う陰謀と惨劇。“ロロ”が「黒犬」と
呼ばれる所以も相まって「許されざる者」たちへの怒りが募ります。猟犬として牙を剥く
決意を固めた“ロロ”は命じられた任務をどこまで完遂できるか。注目したい作品です。

posted by 秋野ソラ at 00:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年11月03日

『キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦10』

TVアニメが放送中となる、細音啓 先生の大人気王道ファンタジー。第10巻は「天帝国」と
「ネビュリス皇庁」の思惑を超えた星の命運を握る流れに“イスカ”らが巻き込まれます。
(イラスト:猫鍋蒼 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/201705kimitoboku/322003001178.html
https://kimisentv.com/


天帝と緊張感があるようでコントのようなやり取りを繰り広げる“燐”。“メルン”から
語られる八大使徒の動向と、百年前からの因縁をもつ存在。ここでも“シスベル”の力が
鍵を握るワケですが、そんな彼女は“イスカ”により一層ご執心なようで微笑ましい限り。

“イスカ”たちを天帝の下へ誘導する“璃洒”の、腹に一物ある言動が示す意味も窺えて
「天帝国」が一枚岩ではないことが遂に共通認識となりました。それを踏まえての大激戦。
“シスベル”の力にも対策した強敵にどう立ち向かうか。その内容でも魅せてくれました。

一方で「ネビュリス皇庁」も始祖の再来により“アリス”も大苦戦。何枚も上手の強敵を
前にまさかの機転を利かせた立ち回りで驚かせてくれました。その戦いの裏で「彼女」が
示した決意がどう物語を動かしてくるか。星で起きた最悪の日、共に追体験したい所です。

posted by 秋野ソラ at 01:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年11月02日

『たとえば俺が、チャンピオンから王女のヒモにジョブチェンジしたとして。2』

藍藤唯 先生が贈る人生逆転ファンタジー。第2巻は“コローナ”が“ライラック”との
「契約」を打ち切ったその理由を追及するため、“フウタ”が抗弁の刃を振り上げます。
(イラスト:霜降 先生(Laplacian))

https://fantasiabunko.jp/product/202008orechamp/322003001194.html
https://ncode.syosetu.com/n1393fy/


まず第二幕として付けた副題のセンスがすごい。読み終えたときにそれを実感しました。
自由気ままな生き方をしながら“フウタ”の心を支えてくれていた“コローナ”。彼女の
真の姿を知ってもなお、彼女のために力をふるった“フウタ”の男気には惚れ惚れします。

冒頭で“コローナ”が“ライラック”に示した意志。その本心を察することができる彼女
だからこそ無力感を覚えたり、憤りを見せたりする行動原理も得心がいくというもので。
改悛したメイドに対して拗ねるようなそぶりを見せる王女の様子がどこか微笑ましい展開。

今回、“コローナ”が身の危険に晒されるのを救うために“ライラック”が策を巡らせる
ワケですが、それすら彼女の夢を叶えるために利用するあたりは〈奸雄〉たる所以なのか。
王女に振り回された「彼女」もお気の毒、と申し上げつつ次巻の展開にも期待しています。

posted by 秋野ソラ at 00:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年10月30日

『家族なら、いっしょに住んでも問題ないよね?2』

高木幸一 先生が贈る甘く、もどかしい青春ラブコメ。第2巻は“真”は“姫芽”に対して
恋愛感情があるのか否か、2人の過去を知った“波月”の機微を交えて迫っていきます。
(イラスト:YuzuKi 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815608064.html


演劇の練習、そして町内運動会に向けたトレーニングを通じて草原家の一員としての絆を
より深めていく“真”。ふれあいを通じて少しずつ考え方を変えてきた彼の成長ぶりが
目覚ましく、同時に彼への淡い想いを募らせる“波月”と“姫芽”の機微がもどかしくて。

“波月”から提案された「三人デート」を通じて意外にも上手くまとまった、かと思えば
自分の想いと“姫芽”の気持ちに感情を拗らせた“波月”の様子が痛々しい程につらくて。
そんな彼女の姿を見た“真”が自身の気持ちにどう決着をつけるのかが気になる展開です。

その行方は、超人的にすべてを見通す“宙子”の発言が物語ってくれているので見届けて
いただければと思いますが、ここで完結というのは何とも惜しい。禁則処理の件とか色々
思うところはありますが、高木 先生の次回作が発表されることを心より祈るばかりです。

posted by 秋野ソラ at 00:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年10月29日

『僕の軍師は、スカートが短すぎる〜サラリーマンとJK、ひとつ屋根の下』

七条剛 先生が贈る新作は、終電帰りが当たり前な日々を過ごす会社員が女子高生を助けた
お礼にと適切な助言を受け続けることで生活を一変させていく同居生活ラブコメディです。
(イラスト:パルプピロシ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815607470.html


ある日の夜、会社員の“史樹”が自宅の前で見知らぬ女の子が蹲っていることに気が付く。
彼女の名は“穂春”。お願いされて自宅へ泊めた翌朝、彼女から珍しい手土産を渡される。
「これを会社の人に渡せば定時帰りが出来る」と彼女が言うので持って行ってみるが──。

心理学の知識を活かし、アイドルグループを大躍進させた実績を持つ“穂春”の突拍子も
ないアドバイスが“史樹”に降りかかるトラブルを次々解決させていく展開が実に爽快で。
そんなサクセスストーリーに加え、勧善懲悪な要素もあるため読了感が半端なく良いです。

“穂春”はなぜ心理学に詳しいのか、あの夜“史樹”の家に居た理由は、といった疑問も
しっかり答えてくれていて物語の構成を見ても絶妙な本作、オススメするしかないです。
「妹第一主義」な“史樹”の心に“穂春”は迫ることができるのか、続きが気になります。

posted by 秋野ソラ at 00:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年10月28日

『ねえ、もっかい寝よ?』

田中環状線 先生のデビュー作は、片や酪農家を目指して、片や上京することを夢見て共に
努力を重ねた疎遠な幼馴染の男女2人が再会し、毎晩添い寝する顛末を描くラブコメです。
(イラスト:けんたうろす 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322004000050.html


幼い日に“静乃”へ精一杯のプロポーズをした“忍”。転校した彼女が同じ高校を目指す
と知り、札幌で劇的な再会と果たしたかと思えば「約束」を勘違いしていることが判明。
「ある問題」を抱える彼が悩みの種を増やす一方、彼女もとある不調が続いていて──。

保健室のベッドで一緒に寝るハプニングを迎えた“忍”と“静乃”。高校に上がってから
謎の不眠に悩んでいる2人が「添い寝」に打開策を見い出し、共に誤解も解けないまま、
夜の逢瀬を重ねていく様子、とりわけ油断も隙も露呈していく彼女の姿が実に可愛らしい。

約束の件だけでなく、価値観の違いにも振り回されながら、それでも“亮祐”や“花音”
といった良き理解者にも恵まれて「脈あり」な関係が続く展開を見届けられるのが嬉しい。
ぜひシリーズ化していただいて、2人の不眠や誤解の謎に迫ってくれることを期待します。

posted by 秋野ソラ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年10月27日

『午後九時、ベランダ越しの女神先輩は僕だけのもの』

岩田洋季 が贈る新作は純情ラブストーリー。日常生活では見せない思わせぶりな言動を
ベランダ越しであらわにする年上の想い人に振り回される少年の大切な日々を描きます。
(イラスト:みわべさくら 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322005000024.html


誰とも付き合う気がない、と公言する“夏菜子”は「みんなの女神」と称される美少女。
彼女に心酔する“つばき”から時折バスが一緒だと追究された“旭”はついはぐらかす。
家が隣なことも、部屋が近いことも、そして自分のことを好きだと言われたことも──。

“旭”は自室の窓越しに、“夏菜子”はベランダから、2人だけで過ごすゲームの時間。
彼を手玉に取るように接する彼女が時に蠱惑的で、時に可愛らしくて。釣り合わないと
思いつつも彼女が好きだと言ってくれる理由を探る彼の頑張り具合がまた微笑ましくて。

そんな2人だけの秘密を脅かす事態が去来し、ベランダ越しの距離が色々な面で抑止力
となっていた点に気付かされる展開がもう純情の極みのようでご馳走様と言わんばかり。
幸せな時を積み重ねる2人を描く みわべさくら 先生の挿絵も絶妙でお薦めの作品です。

posted by 秋野ソラ at 00:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル