2018年11月09日

『ゲーマーズ!11 ゲーマーズと初恋マルチエンド』

葵せきな 先生が贈る、こじらせゲーマーたちのすれ違い青春ラブコメ。第11巻は突然に
訪れたイベントに対して“景太”たちがこじらせた想いに彼らなりの結論を導き出します。
(イラスト:仙人掌 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321806000014


奪った側も、奪われた側も動揺が隠せない、これまた不器用な関係。

敗北者にしか見えない“可憐”、勝者にはとても見えない“千秋”。まさに惨憺たる様は
見るのも痛々しく。その精神的な苦痛をもゲームで乗り越えていくあたりは実に彼女たち
らしいと言うしかなく。すべてを理解していた“真音”の立ち回りがまた小憎い演出で。

唇を奪われた“景太”が自分のことはさておいて“亜玖璃”の、そして“祐”の背中をも
押していく姿勢から、彼の本質が見えてくるという描写もまた絶妙。“祐”が彼女に対し
襟を正した場面は「ようやくここまで来たか」と胸を撫で下ろしたくなるほど素敵でした。

ここまで散々こじらせてきた想いのベクトルに一つ区切りがついたことで、気になるのが
“景太”の去就。これはもう読んで確かめていただくしかありませんが、すんなり決まる
こともないあたりが彼らしい。うれし涙の先にある真の最終巻で何が飛び出すが注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年11月08日

『自称Fランクのお兄さまがゲームで評価される学園の頂点に君臨するそうですよ?5』

三河ごーすと 先生が贈る学園ゲーム系頭脳バトル。第5巻は獅子王学園の生徒会が新しい
体制と夏休みを迎える中で、“紅蓮”たちが新たなゲームの場に臨む物語のはじまりです。
(イラスト:ねこめたる 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/f-rank/321807000181.html


理事長の思惑にまんまと嵌められてクオリアの所有権を賭けた世界各国の遊戯養成校との
戦いに参加させられる“紅蓮”の脇の甘さ。所々でそれが影を落としてくるのが気になる。
とは言え今巻はその嵐に挑む前の穏やかさを演出してきて微笑ましくなる場面が多いです。

今巻は冒頭にある“桃花”のモノローグにもあるとおり彼女の話が軸。中々に重い過去を
背負いつつ、勝負には向かない気質の彼女がどうすれば守るもののために強くなれるのか。
思いがけない才能を開花させて、意外な勝負で“紅蓮”を追い詰めていく展開が実に熱い。

「人生を賭けて戦う」なんて汚れた世界を知ってほしくない“紅蓮”の思いを知ってなお
ゲームの場に挑む“可憐”の気概が裏のテーマにもなっている印象を受けました。そこへ
畳みかけるように現れる新たな敵からのアプローチ。どんな死闘が待ち受けるか注目です。

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2018年11月07日

『ピンポンラバー2』

谷山走太 先生が贈る青春卓球ストーリー。第2巻は学園序列1位のパートナーに選ばれた
意外な人物の話を契機に、“翔星”や“瑠璃”が卓球と向き合う姿勢を改めて問われます。
(イラスト:みっつばー 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094517590


突如学園に帰ってきた“獅子堂”。彼のパートナー選びで白羽の矢が立つと信じていた
“瑠璃”の落胆、更には“紅亜”を追って押しかけてきた世界のトップ選手“メイリン”
からもダメ出しを食らう意味を推し量れなかった“翔星”の後手後手ぶりがもどかしい。

何のために卓球をするのか。思いがけず相対することになった“瑠璃”と“翔星”、各々
生い立ちがにじみ出る主張のぶつかり合いが切なくて、けれども心揺さぶられる何かが
たくさん込められていて印象深かった。“沙月”の頑張りも泥臭くて、また格好良くて。

頑なな“瑠璃”の目を覚まさせるための布石といて“翔星”が、そして“紅亜”が打った
布石が功を奏すか否か。彼の情熱が不条理に抗っていく戦いの行方、そして“瑠璃”自身
卓球とどう向き合うのか、この結末と結論は見届ける価値アリかと。続きが楽しみです。

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2018年11月06日

『どらごんコンチェルト!(1)』

『きんいろカルテット!』の 遊歩新夢 先生が贈る新作は、挫折したトロンボーン奏者が
異世界で出会ったトランペットを吹く少女との交流を描く、異世界音楽ファンタジーです。
(イラスト/三輪フタバ 先生)

https://over-lap.co.jp/Form/Product/ProductDetail.aspx?shop=0&pid=9784865543940&vid=&cat=BNK&swrd=


国際コンペでまさかの大失態を招いた“遊佐”。音楽を嫌いになるほどの失意から死をも
招いた彼が辿り着いたのは耳慣れない異国の地。彼はそこで魂を揺さぶる音色を紡ぎ出す
少女“フィリーネ”と出会い、竜神に音楽を奉納する竜楽師になる夢を手助けするが──。

音楽演奏に関する描写の妙については言わずもがな、権威に対する反抗心が窺える展開や
何のために演奏するのかを問いかけていく姿勢など、先生らしさが見える内容で安心感が
すごい。あと可愛い女の子が多く出てくる所もか。三輪 先生のイラストが花を添えます。

“ビショップ”の嫌がらせや“キトラ”が示す正しさ。“フィリーネ”へ迫る障害に対し
トラウマが残る“遊佐”が“ユーサー”として彼女に出来ることは何か。人のいざござを
前に竜神が示す託宣をぜひ見届けてあげてほしい。続刊に期待したいと思える作品です。

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2018年11月05日

『スレイヤーズ16 アテッサの邂逅』

神坂一 先生の往年の名作が復活。死闘を繰り広げた“リナ”と“ガウリイ”が里帰りする
途中で野盗騒ぎの護衛を引き受ける所から思わぬ陰謀に巻き込まれていく顛末を描きます。
(イラスト:あらいずみるい 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321806000019


独特な“リナ”の地の文、聞き慣れた呪文詠唱、おなじみの決めゼリフ。どれもこれもが
懐かしく、そして感慨深く思うのはリアルタイムで本作を読んでいた者として致し方ない
と言わざるを得ません。遠い記憶を呼び覚ましてくれる補足説明の数々も実に親切設計で。

いろいろあって大技が使えない“リナ”と“ガウリイ”とはいえ手こずる敵とはいかなる
存在か。これまた懐かしい“アメリア”や“ゼル”の手を借りて真相に迫っていく展開は
布石の打ち方、拾っていく流れも滑らかで読みやすいのなんの。只々、脱帽のひとこと。

長い時を経て『スレイヤーズ』という伝説みたいな作品に平成最後の年、新しく手にした
読者の方々にはどう映るのか実に興味津々。「ファンタジア文庫」30周年でもありますし
ぜひ新シリーズとして続けていただいて老若男女、楽しみを共感したいと願うばかりです。

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2018年11月02日

『辺境貴族、未来の歴史書で成り上がる 〜イリスガルド興国記〜』

三門鉄狼 先生が贈る新作は、所有者が好きなことを書き込める未来の歴史書を手にした
辺境の若き領主が楽な人生を手に入れるべく運命を書き換えていくファンタジー作品です。
(イラスト:東山エイト 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797398441.html


戦乱の世で戦死した父の跡を継ぎ王国の外れにある領地を預かることになった“アルト”。
遺品を整理していた彼が見つけた本から刻の精霊“クロノ”が現れるも彼女の軽いノリに
疑いの眼差しは拭えず。しかし試してみると、確かにありえない希望が現実となって──。

単純に未来が書き換えられてウハウハというワケではなくて“クロノ”が語ってくれない
未来の歴史書に課せられた制約を探りながら、窮地を救う未来を手繰り寄せていく様子を
“アルト”と一緒に考えながら楽しめる物語です。もちろん素直に読み進めるのも可です。

突然の躍進と“クロノ”の存在が気になる“アルト”のいとこ“エレナ”、彼に救われて
乙女回路が走っちゃう“リーゼロッテ”の言動も面白い。そして歴史書でもままならない
時代の流れが押し寄せてくる緊張感も見所と言えるでしょう。続きが気になる作品です。

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2018年11月01日

『俺、ツインテールになります。16』

水沢夢 先生が贈るツインテール愛あふれるシリーズ。第16巻は“エンジェルギルディ”が
“トゥアール”の身も心もかき乱す展開に“総二”がかつてないツインテール愛を見せます。
(イラスト/春日歩 先生)

https://www.shogakukan.co.jp/books/09451754


ツインテール属性を摘出したことで“トゥアール”の死が間近に迫るほど寿命が縮まった
という真実。その力が自身の右手首にあるという事実。“総二”らの葛藤すら手玉に取る
“エンジェルギルディ”の直接に力を振るわないアプローチがいやらしいことこの上ない。

“総二”のツインテール愛をもってしても“トゥアール”が持つエレメーラの呪いを破る
ことが出来ず、“エンジェルギルディ”の強さにも圧倒され、“唯乃”の死を告げられた
“総二”たちが最悪の局面となる“ペルソナギルディ”と対峙する局面はまさにどん底。

故郷を失った“トゥアール”の復讐心を止められないのか、と諦めかけたその時、我らが
“総二”の見せた勇気からの怒涛のラッシュが熱い。春日 先生のイラストもそれを後押し
してくれます。巻末でいつも通りの彼女が見られて本当に良かった。次巻も楽しみです。

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