2019年03月12日

『薬屋のひとりごと8』

ねこクラゲ 先生と 七緒一綺 先生、倉田三ノ路 先生によるコミックス4巻とほぼ同時刊行
となる 日向夏 先生のシリーズ第8巻。碁に興じる“羅漢”に対して“壬氏”が仕掛けます。
(イラスト:しのとうこ 先生)

https://herobunko.com/books/hero14/9348/


白粉の問題が再燃したり、葡萄酒の品質を巡る新たな問題が発覚したりと“猫猫”の味覚が
冴え渡る顛末は薬屋としての面目躍如といった感じで実に良い。園遊会で簪を傷物にされた
“玉葉后”にその意図をズバリ言い当てるあたりは藪をつついて蛇を出す感じがして苦笑い。

多忙を極める“壬氏”の目に留まった碁の流行と“羅漢”が開催するという碁の大会。ある
願いを抱いてその大会で碁の勝負を“猫猫”の父に仕掛ける“壬氏”の何が何でも勝とうと
するえげつない姿勢はある意味潔くて好きです。思いがけない結果も引き出せたようですし。

とある高官の三つ子が引き起こした女性問題が横槍で入ったり、と話の構成としても面白い
動き方を見せる今巻。ラストで遂に“壬氏”が仕掛けてきました。よくぞやったと言いたい。
彼の王手を“猫猫”は躱しきれるのか。“玉葉后”が身内に示す強い意志と共に注目です。

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2019年03月11日

『六畳間の侵略者!? 31』

健速 先生が贈る人気シリーズ。シリーズ10周年記念ドラマCD付き特装版が同時発売となる
通算33冊目は書き下ろし込みで4つの小編を収録する「へらくれす編」第4弾となります。
(イラスト/ポコ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/828.html
https://bookwalker.jp/ex/feature/rokujoma-10year/


真夏のトライアスロンに挑まされる“ゆりか”と“クラン”が“孝太郎”に誘導されつつ
ご褒美を目指して頑張る姿や、“真希”と“晴海”がボードゲーム4番勝負に興じる中で
いつの間にか“孝太郎”をNPCに仕立てて熱が入る様子は見ていて本当に飽きないものです。

“孝太郎”指南の下、剣術の腕を上げていく“ルース”の耳に障るカブトムシの脅威再び
ということでヒーローショーで“静香”演じるカブトンガーを最初の餌食と定めた彼女が
ハイレベルな激闘を繰り広げるエピソードも面白い。彼女らしい落とし所が絶妙な配分で。

そして“晴海”が“孝太郎”と付き合ったら、という「もしも」の世界を描く初の試みは
あの時こう行動していたらあのイベントは彼女が担当していた、とか発生時期が変化した
というゲーム感覚な動きを見せるのが印象的。結末も彼女らしい纏め方でが心温まります。

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2019年03月08日

『負けませんからと言い張る顔のいい女の子を、全力で屈服させる百合のお話』

みかみてれん さんのサークル「てれたにあ」によるコミックマーケット95の新刊。学園で
行われる人気投票を前に秘密の恋人関係を結んだ女の子2人が優劣を競い合う百合小説です。
(イラスト:未幡 さん)

http://unnamed.main.jp/teretania/


お嬢様学校で生徒からの投票によって選ばれる主役。その筆頭候補“彩良”にはライバル視
すべき“瑠衣”の存在が無視できない。そんな折、“瑠衣”から「恋人になってほしい」と
勝負を挑まれる。しかもキスまでされて。負けられない“彩良”は真っ向から受けるが──。

「百日百合」とは少し趣向を変えて、“彩良”からも“瑠衣”からも積極的に相手へと迫る
駆け引きがまず見どころ。そしてその駆け引きがかなり官能的なのも印象深く、攻めてるな
と感じられます。未幡 さんによって描かれる2人の絵が描写の数々に紐づいて悶絶モノです。

恋人関係となった“彩良”と“瑠衣”の勝負の行く末がどうなるかという展開だけではなく
なぜ“瑠衣”は“彩良”に対して「こんな勝負を挑んできたのか」という背景もしっかりと
明かしてくる点もぜひ注目していただきたい。安心して楽しめる百合小説です。オススメ。

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2019年03月07日

『おいしいベランダ。 スミレと6粒のチョコレート』

竹岡葉月 先生が贈る大好評・園芸ライフラブストーリー。第6巻は友人“湊”の雲行きが
怪しさを増す恋模様を通じて“まもり”が“葉二”との選択肢について考えさせられます。
(イラスト おかざきおか 先生)

https://www.kadokawa.co.jp/product/321808000695/


“湊”の所属するサークル仲間からのたってのお願いで再び園芸名探偵として活躍の場を
披露する破目になる“まもり”は優しいというか押しに弱いというか。彼女らしい顛末に
微笑ましさを感じつつ、ささやかな反抗の先に先方が見せた仕返しも見事な采配でした。

サークルの事情も相まって彼氏である“周”が見せる価値観の違いに大いに悩む“湊”。
奇しくも“まもり”と“葉二”の間にある差異にも通じるものがありハラハラする展開が
続きます。諦めるしかない、と追い詰められていく“湊”の心情描写は胸に痛く響きます。

実家でのやり取りや成人式のエピソードを通じて“まもり”の為人がより一層浮き彫りと
なる中で“湊”の思いがけない恋の行方が彼女の想いをも後押しする結果に。更にそれを
上回る“葉二”の口から自然と紡がれた言葉が見逃せない。次巻にどう響くのか注目です。

posted by 秋野ソラ at 01:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2019年03月06日

『ファイフステル・サーガ3 再臨の魔王と草原の灰エルフ』

師走トオル 先生が贈る王道戦記ファンタジー。第3巻はかつて魔王軍に組した灰エルフの
進軍を前に人類は、そして“カレル”たちはどう臨むか。群雄割拠する動乱の世を描きます。
(イラスト:有坂あこ 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321810000867


「魔王の左腕」奪還を目指す灰エルフらにも一枚岩になれない事情がある、ということを
英雄と呼ぶにふさわしい“ギルセリオン”が自らの言動と目覚ましい活躍で示してきます。
「英雄色を好む」とはよく言ったもので、それを戦略にも活かすのだから羨ましい限りで。

灰エルフたちが見せる行動のぶれを前に“ヴェッセル”や“カレル”が頭を悩ませる中で
彼らを驚かせる不測の事態が到来。“ギルセリオン”だけに活躍の場を持って行かせない
英断とその結末もまた見どころ。あの人物が彼を前に恐れをなすのも納得というものです。

攻勢する“ギルセリオン”らとそれをしのぐ“カレル”たち。戦局は新たな局面を迎えて
目が離せない、という中で「あとがき」を通じて語られるライトノベル業界の厳しい現実。
魅力あふれる作品なだけにここで終わるのは惜しい。なんとしても次に繋げてほしいです。

posted by 秋野ソラ at 01:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2019年03月05日

『ジャナ研の憂鬱な事件簿5』

酒井田寛太郎 先生が贈る日常系ミステリー。第5巻は“真冬”との距離を感じながら迫る
卒業を前に彼女との距離感、そして自身の特技である「推理」と“啓介”が向き合います。
(イラスト:白身魚 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094517743


「ロシアン・ウイスキー・ホーリーナイト」にてシスターが持つ亡き夫の手帳に綴られた
はずの情景を探る“啓介”。あの日、何があったかはすぐ思い至りますが小説という体裁
をもって夫が何を言いたかったのか。真実を知った彼がとった行動に成長を感じられます。

「消えた恋人」では突如、学校を中退して結婚すると告げた“良太郎”の決意を受け止め
祝福するも、その相手が失踪する事態に“啓介”が直面。消えた彼女の謎に気付いた彼が
真実を告げるか悩む顛末からは推理を通じて相手を救える希望を感じており実に感慨深い。

そして「ジャナ研の憂鬱な事件簿」では、海新高校に進学したい女の子を巡る事件を通じ
“真冬”と“啓介”が将来を見据え時に語り合い、時に語らず通じ合う関係になっている
やり取りは何とも微笑ましい。2人の将来に幸あらんことを願いつつ完結を祝う次第です。

posted by 秋野ソラ at 01:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2019年03月04日

『女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合のお話2』

みかみてれん さんのサークル「てれたにあ」が贈る百合小説「百日百合」に続編が登場。
“絢”との関係を受け入れた“鞠佳”。誘い受けな彼女に想いを抱く女の子が現れます。
(イラスト:雪子 さん)

http://unnamed.main.jp/teretania/


イチャイチャするのもいいけど友達づくりもね、と“絢”にクラスメイトとの人間関係を
築いてもらおうと手を打つ“鞠佳”。その思惑をあっさり躱していく辺りは“絢”らしい。
“知沙希”と“悠愛”も瞬時に受け入れて肩透かしをくらう“鞠佳”もらしさを感じます。

アルバイトに精を出す“鞠佳”に対し突如“アスタ”が告げる女難の相。女の子が好きだ
と見抜いたアルバイト先の“冴”から思いがけず告白される“鞠佳”が悩んだ末に選んだ
相談相手“可憐”から“絢”の意外な一面が語られる場面はギャップが感じられて印象的。

“冴”の真意を目の当たりにした“鞠佳”が露にした感情。受け入れたからこそ、そして
見続けてきたからこそ、“絢”に対する想いの強さを示すことができたと推察するに難く
ありません。もちろん屈服百合としての絡みも前作に増して見どころ満載でオススメです。

posted by 秋野ソラ at 00:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 同人誌