2022年05月09日

『好きで好きで大好きなので、いっしょに好きを伝えたい』

「魔王学園の反逆者」の 久慈マサムネ 先生が贈る新作は、人見知りな美少女留学生を
受け入れることになった少年が、彼女の「オタ活」を後押しする顛末を描くラブコメです。

(イラスト:Aちき 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/sukisukidaisuki/322112001137.html


フィンランドからの留学生“エイヤ”は絶世の美少女ながら人付き合いが悪く、周囲から
「氷のエルフ」と評される。そんな彼女が唯一、気を許せるのはホームステイ先の同級生
“桜雅”だけ。オタク文化に憧れ、留学するほどの彼女に彼が味方してくれたからで──。

好きなものをただ好きでいたいのに、身近にいる人たちがその「好き」を認めてくれない。
違った環境下にありながら、“エイヤ”も“桜雅”もオタクが故に苦汁を味わった者同士。
互いに、急速に心を寄せ合う様子が何とも微笑ましい。彼女のほうが重そうな過去ですが。

好きなものを好きと受け入れてくれる人々を探したい。“宇佐見”たちとの関わり方から
学んだ処世術を実践する一つの方法として選んだ「VTuberになる」という道。表紙の絵が
ようやく結びついたところで、いよいよ「雑談」枠も絡んでくる続きが気になるお話です。

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2022年05月06日

『この恋が壊れるまで夏が終わらない』

杉井光 先生が「新潮文庫nex」から初めて贈る新作は、読書好きな先輩に恋をした少年が
殺されてしまった彼女を救うために8月31日を巡り巡る、タイムリープ青春ミステリです。
(イラスト:syo5 先生)

https://www.shinchobunko-nex.jp/books/180237.html


きっかり12時間前に時を巻き戻す能力を持つ“啓太”は、その限られた力に虚しさを覚え
なるべく使わないように、と心に決めて生きてきた。その彼が恋する先輩“純香”の死を
目にして力を使わずにはいられない。何度も彼女を死なせることになるとは知らずに──。

美術部の先輩“道永”が“純香”を「ろくでもない」と評価した理由。何度繰り返しても
“純香”が8月31日に違った形で死に至る原因。怪しい点を探りつつ、人の心の闇に触れ、
「先輩を救えないのでは」と“啓太”が諦めかけるほど迷走し続ける展開が実につらい。

《巻き戻し》におけるある例外と、本作のタイトルが交錯することで辿り着く夏の終わり
に残る喪失感はどこか切なくて。けれど8月31日の連なりから学んだこと、気付いた点を
“啓太”が活かして次の恋に繋げることを願って止まない。そんな余韻を残す物語です。

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2022年05月05日

『イレギュラー・ハウンド いずれ×××になるだろう』

「ひげを剃る。そして女子高生を拾う。」の しめさば 先生が贈る新作は、他人の痛みを
感じる異能に悩む少年が、拾われた警察関係組織で生きる意味を模索する顛末を描きます。
(イラスト:はくり 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/irregularhound/322112000106.html


希死念慮に囚われ電車に飛び込む寸前の“桃矢”を助けた少女“ハチ”は彼と同じような
特殊能力者「イレギュラー」であると告げる。力を悪用する者たちと対抗するための組織
に所属する彼女の仕事を手伝うことで彼は自分の有用性を見い出す可能性を感じるが──。

なし崩し的に始まった捜査の対象となる“優美”は“桃矢”のクラスメイトで失踪中の身。
“ハチ”が彼女を保護できない理由、彼女もまた生きる意味を見失うほどの闇の中にいる
ことを知るうちに、生きてほしいと、自身も生きたいと思えるようになる姿に惹かれます。

“桃矢”と出会った時に“優美”が言ったあの一言と、プロローグにある独白が紐づいた
瞬間に感じた驚きは中々のもの。彼に対して“亜樹”と“ハチ”が感じた想いの違いとか、
“犬養”の信用ならない様子など、気になる要素も残っていて続きが気になる作品です。

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2022年05月04日

『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。 Another side story 後藤愛依梨 上』

しめさば 先生が贈るサラリーマンと女子高生の日常ラブコメディ。本編完結のその後を
描く外伝は、“沙優”が家へ戻った後の“吉田”と“後藤”が互いの感情と向き合います。
(イラスト:ぶーた 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/higewosoru/322105000117.html


“吉田”が自分のことを好きなのは分かっているはずなのに、踏み込ませない“後藤”の
心理を深堀りするほどに「こんなに面倒くさい人だったのか」と、彼に同情を禁じ得ない
悩ましく、もどかしい感情が募ります。“神田”の辛辣な言葉も得心がいくというもので。

赤裸々に本心を語る“神田”にせっつかれる形で臨んだ2人旅でも、恋愛に向いていない
“後藤”の本質的な部分が決定的な一歩を踏み出す邪魔をする所をみて「これは終わった」
と思うのも無理はなく。“吉田”との関係を拗らせた“三島”すら引くのも当然の流れで。

“後藤”のことが好きだ、とあれ程までに主張している“吉田”を信じていないかの様な
「たられば話」に彼女が持ち込んでしまうのも“沙優”という存在、影響力の大きさ故か。
“沙優”と再会を果たす“吉田”がどんな「答え」を出すのか、下巻から目が離せません。

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2022年05月03日

『義妹生活5』

企画・原作・脚本を担当するアニメ・マンガ動画を 三河ごーすと 先生が自らノベライズ。
第5巻は兄妹以上、恋人未満の関係となった“悠太”と“沙季”に生じる変化を描きます。
(イラスト:Hiten 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/gimaiseikatsu/322112001128.html


文化祭が迫る中、“沙季”に気があると“悠太”に告げてきた“新庄”。結果については
言わずもがなですが、この顛末が“悠太”にとって成長の証に繋がっているのが印象深い。
何かと察しのいい“藤波”が発するコメントが後々で響いてくるのも伏線のようで面白い。

“真綾”の誕生日会を前にプレゼント選びなどで“悠太”と秘密のデートに臨む“沙季”。
“読売”からも彼との関係に茶々を入れられる彼女ですが、何気ない日常の所作から彼を
パートナーとして自然と意識しているのが窺えて感慨深い。彼の目標に勘付いている所も。

書店員バイトでも感じられるハロウィンの賑やかさ。その灯りに苦い過去を持つ“沙季”。
バイト中に偶然出会った「悪魔」から呪いをかけられた“悠太”。プロローグ前の一文が
彼女の記憶に甘い現実をもたらしたとき、どんな「その先」を思い描かせるのか注目です。

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2022年05月02日

『転生ごときで逃げられるとでも、兄さん?3』

紙城境介 先生が贈る異世界転生ファンタジー。第3巻は闇のブローカー「ビフロンス」の
尻尾を掴むべく女侯爵“ラヴィニア”の拠点へ“ジャック”たちが潜入調査に乗り出します。
(イラスト:木鈴カケル 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/tenseigotoki/322111001015.html


新霊王を決める「霊王戦」。“フィル”から期待を一身に受ける“ジャック”の耳に入る
霊王戦賭博、それに関与する“ラヴィニア”と「ビフロンス」との繋がり、派閥争いの話。
潜入調査の内容も驚きの連続ですが、まさかあの局面にも影響するとはまさに驚天動地で。

迫る「霊王戦」を前に描かれる師匠と弟子の絆、“エルヴィス”に纏わる王位継承の争い、
前哨戦が漂わせる緊張感、そんな中においても“ジャック”が享受することを決めた奇跡。
それを良しとしないはずの「妹」は介入しないのか、と思っていたらアレだからもう絶句。

「彼女の愛は、神の筋書きさえ殺す」あらすじにある一言が、目次のページ表記に覚えた
違和感と結びついた時の感覚はぜひ読んで感じてほしい。“ラケル”の悲壮な姿、そして
託された想いを経て悪夢のような現実を“ジャック”は乗り越えられるか次巻も注目です。

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2022年04月29日

『結婚が前提のラブコメ6』

栗ノ原草介 先生が贈る婚活ラブコメ。第6巻は“縁太郎”が“カレン”と“結衣”からの
好意を受け止められない理由と、業界再編の荒波に向き合う顛末を描く最終巻となります。
(イラスト:吉田ばな 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530629


父親と婚活の考え方で揉めて、“縁太郎”の家になし崩し的に転がり込んできた“結衣”。
“マリア”のサポートを受けつつ、譲れない彼への不意打ちに焦りが隠せない“カレン”。
それでも選べない彼の心の頸木を解き放つために決め手となったあの一言がまず印象深い。

人生の伴侶を決めたとはいえ、「娘を一生しあわせに出来るのか」と相手の父に問われて
言い淀む“縁太郎”は不安を突かれた形で。しかも結婚相談所・連合会の解散危機という
重圧も掛かって。“誠”に相談に乗ってもらっても打つ手なし、からの逆転劇がまた熱い。

婚活って、より良い結果に向けて努力できる部分はあるものの、運命の人と出会えるかは
「縁」があるかどうか、それを掴めるかどうかが鍵なんだ。そんな想いを、自分の経験を
振り返りながら再認識させてくれたお話でもありました。無事完結をここに祝う次第です。

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2022年04月28日

『クラスのぼっちギャルをお持ち帰りして清楚系美人にしてやった話3』

「漫画エンジェルネコオカ」のマンガ動画で脚本を担う 柚本悠斗 先生が自ら編む恋物語。
第3巻は“葵”のもとを離れたはずの母親が来訪し、“晃”も彼女も選ぶ道を模索します。
(イラスト:magako 先生 キャラクター原案:あさぎ屋 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815614416/


“葵”の父親に対する肩透かしから一転、母親のクズさに対して怒り心頭に発する“晃”
には同意しかない導入部分。学園祭の準備で彼と彼女の雰囲気が更に睦まじさを増す中で
冷や水を浴びせる展開を前に、母と娘が出す結論を待つしかない彼のもどかしさたるや。

クズとはいえ、母親と一緒にいるのが娘として幸せかもしれない。そんな一縷の望みすら
打ち砕く現実に悲痛な思いを吐露する“葵”の、何と痛ましいことか。彼女を守れるのは
自分だけ、とうぬぼれていた“晃”自身との決別にも似た顛末にどこか虚しさが残ります。

タイトルにある趣意を反転させる学園祭の出し物、という演出もさることながら“泉”や
“瑛士”、バイト先の店長にも気遣われて何とか成功へ漕ぎ着けていく“葵”と“晃”の
様子が印象的。共に花火を見ながらつぶやいた彼女の願いがどこへ向かうか気になります。

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2022年04月27日

『公務員、中田忍の悪徳3』

立川浦々 先生が贈る、異世界エルフと邂逅した地方公務員の道義を描く異色作。第3巻は
“アリエル”が描く謎の紋様と2人目の異世界エルフの関連性について“忍”が探ります。
(イラスト:楝蛙 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530636


後に“忍”が「魔法陣事件」と呼ぶ今回の騒動。2人目の異世界エルフがいると思われる
場所を突き止めて邂逅するのもさることながら、「見殺しにする」と“義光”たちに宣言
していた思惑とはかけ離れた「正しい行い」に至る彼の迷走っぷりに今巻も驚かされます。

そんな“忍”の迷いを、言葉が通じないながらも理解したと思われる“アリエル”。その
身をもって何とかしたいと示す彼女の意思を感じて、流石の彼も絆されないワケがない。
彼女の言動を見ては自然と「かわいい」と内心こぼす所からも兆しは見て取れましたし。

“徹平”や“義光”が呆れ、“由奈”が蔑視する、“忍”の我が儘を押し通した結果には
当初からは想像もつかない救いと、未来の可能性を感じて穏やかな雰囲気に包まれそうな
結末に釘を刺すあの一文。意想外の新たな未知は希望か、危険か。次巻も目が離せません。

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2022年04月26日

『高3で免許を取った。可愛くない後輩と夏旅するハメになった。』

『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる』の 裕時悠示 先生が贈る新作は青春冒険ラブコメ。
高校最後の夏を前に車の免許を取った少年と後輩少女が夏旅に至る顛末と決意を描きます。
(イラスト:成海七海 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815612924/


遅刻ゼロ実現を目指す風紀委員の“あやり”に目を付けられる、遅刻常習犯の“廉太郎”。
彼は敵同然の彼女に、校則違反となる「車の免許を取得していること」が知られてしまう。
家の都合以上に車での夏旅に懸ける情熱が元で至った経緯について彼は弁明に臨むが──。

“廉太郎”の事情を知りつつも、未成年者の事故発生率を懸念する“あやり”が提案した
「テスト」をクリアできるか。先生にバレたら停学の危機を回避するのに必至で浮足立つ
彼とは対称的に、彼を気遣いながらどこかはしゃいでいる様子の彼女が何ともいじらしい。

“あやり”もまた複雑な家庭環境下にあり、“廉太郎”とも浅からぬ縁があり、その上で
彼が夏旅で目指す先にも思う所ある、となれば彼女がタイトル通りの道を選ぶのも道理で。
いつか彼女の様々な想いが報われることを願わずにはいられないロードノベルに注目です。

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