2017年11月15日

『放課後、君はさくらのなかで』

竹岡葉月 先生が「集英社オレンジ文庫」より贈る新作は、事故死した女性、彼女の高校時代
の同級生、彼が受け持つ女子生徒、3人が思わぬ形で遭遇する顛末を描く青春ミステリです。
(イラスト:ヤマウチシズ 先生)

http://orangebunko.shueisha.co.jp/book/4086801485


怪我で頭を打ち一部の記憶を失った“咲良”から相談を受ける社会科教師の“鹿山”に対し
「自分は今やOLとなった“桜”だ」と告げる。交通事故で亡くなったはずの“桜”から体を
“咲良”に返したい、とお願いされた彼は動揺する暇もなくその対応に乗り出すのだが──。

“咲良”としての日常生活を壊す訳にもいかないので彼女のことをまず知ろうとする“桜”が
気付いた“咲良”の境遇。いつしか“桜”として振る舞ってしまう様子を“鹿山”が正面で
受け止める所作から、高校時代とは違うこと、けれど本質は変わらないことが窺い知れます。

やがて思わぬ所から“咲良”の気持ち、怪我の原因、そして“桜”が“咲良”のなかに居る
この不思議な現象の謎に迫ったとき、彼女の忘れていた淡い恋心が本格的に動き出していく。
そんな物語の締めくくりがこそばゆくて、将来に幸あらんことを願う他にありませんでした。

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2017年11月14日

『GENESISシリーズ 境界線上のホライゾンX〈上〉』

川上稔 先生が贈る戦国学園ファンタジー。10話上巻は本能寺の変を経て創世計画の阻止へ
本格的に動き出した武蔵を真っ向から否定する羽柴が直接対決を挑んでくる顛末に触れます。
(イラスト/さとやす 先生(TENKY))

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893403-9/


旦那ラブ全開の“クリスティーナ”と剃髪の話で盛り上がる掴みを入れつつ、羽柴と明智の
戦いを再現する「山崎の合戦」を行いたい羽柴勢から逃げる艦隊チェイスを繰り広げてくる
武蔵勢。共にアクロバティックで“鈴”さんの細やかなフォローが今回も冴えを見せます。

続いて「伊賀越え」を狙う武蔵勢にいちゃもんをつける羽柴勢との舌戦に突入する武蔵勢。
本気なんだか不真面目なんだか、というやりとりに面白さを感じつつ“羽柴”不在の今、
どうしてそこまで武蔵につっかかってくるのだろう、という羽柴勢への疑念が積もります。

そして開き直ったかのように艦上戦闘へ突入してくる羽柴勢。これまでも、そして今巻でも
度々印象的な話の展開を担ってきた“メアリ”たちとの戦闘を皮切りにこれまた衝撃発言が
投下されました。武蔵との戦いの意味を垣間見た所で次巻は中巻!? 続きが気になります。

posted by 秋野ソラ at 00:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年11月13日

『甦る殺人者 ─天久鷹央の事件カルテ─』

知念実希人 先生が贈る新感覚メディカル・ミステリー。長編シリーズ3冊目は4年前に
死んだはずの殺人鬼による連続殺人の謎に挑む“鷹央”がどんな診断を下すかを描きます。
(イラスト/いとうのいぢ 先生)

http://shinchobunko-nex.jp/books/180109.html


4年前の「首都圏連続女性絞殺事件」。その犯人「真夜中の絞殺魔」こと“春日広大”を
死亡宣告した“鷹央”のもとに、彼と同じDNAを持つ人物による同様の絞殺事件が起きたと
知らされる所から始まる本作。死者の復活、という単語が常に頭をよぎる興味を惹きます。

犯人の母親がすがった新興宗教が死んだ人間を生き返らせると謳っていた話から遺体焼失
の事件を解決する“鷹央”。しかしそれでも犯行は続き仕舞いには犯行声明まで出る始末。
双子の兄弟がいたかもしれない可能性すら潰され彼女の悩める姿が重くのしかかります。

島田荘司 先生が帯に寄せた「医師ゆえの着眼点」というコメントがまさしくその通り、と
言わざるを得ない謎の解決に今回も驚かされると共に、犯人から“鷹央”に「怪物」だと
指摘された場面が印象深く。“小鳥遊”の発言が有言実行され続けていくと信じています。

posted by 秋野ソラ at 00:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年11月10日

『落ちてきた龍王と滅びゆく魔女の国 XII』

舞阪洸 先生が贈る戦乱無双ファンタジー。第12巻は“カサンドラ四世”の掲げた打倒魔女
の思惑に巻き込まれ窮地に陥る“ナーガ”たちがとる起死回生の一手とその後を描きます。
(イラスト:よう太 先生)

http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1586


叛意をあらわにする“カサンドラ”。しかし“ナーガ”にはあっさりと挟撃の策を躱され
協力者も思うように集められず求心力を損なう想定通りの事態を招きます。その間に立つ
“リガヤ”の苦悩が今巻のポイントの一つ。それを織り込み済みの“ナーガ”が流石です。

“ヴィータ”たちの不安を払拭した“ナーガ”が、ピンチをチャンスにと言わんばかりに
共通の敵を前に魔女たちの結束を更に強め半島を平定していく様子は彼女たちの地位向上
を裏打ちするに足るもの。いつか魔女が人と共に暮らせる未来も遠くないと感じさせます。

そんな中、“ナーガ”の記憶が戻りつつある描写が挟まれていき、そして彼がかの地を
訪れることでその意図は決定的なものとなります。全ては表紙のイラストが物語ります。
惜しみつつも彼らしい、また「彼女」らしい話の結び具合を心から祝いたいと思います。

posted by 秋野ソラ at 00:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年11月09日

『ようこそ実力至上主義の教室へ 7』

衣笠彰梧 先生が贈る新たな学園黙示録。第7巻はDクラスで暗躍する人物を探すために
力を注ぐ“龍園”の動きにいよいよ反応を示す“清隆”が学園の秘部へ足を踏み入れます。
(イラスト:トモセシュンサク 先生)

http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1587


恐怖を克服した者こそ実力者だとする“龍園”の独白から始まる今巻。あからさまな監視
をDクラスに仕掛ける彼の真意を汲み取った“清隆”が、「彼女」に最後の電話を掛ける
場面や“茶柱”先生すら手玉に取るあたりは驚かされると共に、空恐ろしさを感じます。

その印象を更に色濃くさせるのが“龍園”との直接対決を選ぶ“清隆”の言動そのもの。
口絵でも彼自身も想定していた「彼女」の末路は変えないと思っていただけにビックリ。
“龍園”を潰すため「恐怖」を刻みつける“清隆”の本気は挿絵でも印象づけられました。

一線を退くと思われる“龍園”に安堵する間もなく、“清隆”の家庭事情や“堀北”兄が
語る現生徒会の危うさ、学校の育成方針に込められた想いなど、騒動の火種はくすぶって
おります。表舞台を降りることができるとは思えない“清隆”の今後に注目したい所です。

posted by 秋野ソラ at 01:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル