2020年08月27日

『はたらく魔王さま!21』

和ヶ原聡司 先生が贈る魔王と勇者の庶民派ファンタジー。第21巻は神討ちに挑む“真奥”
を襲う突然の体調不良が思いがけない結末に、そして覚悟へと繋がる最終巻となります。
(イラスト:029 先生)

https://dengekibunko.jp/product/maousama/321904000064.html


神討ち前に“真奥”たちがケジメをつけるべきこと。応じる“千穂”の両親との温度差に
苦笑いしながらも、すでに覚悟を決めていた親としての強さに圧倒されます。029 先生が
言及する「一回限りのゲストヒロイン」だった“千穂”の重要度は最後まで高止まりです。

“イグノラ”の壮大な目的、その背景にある想像を超えた歴史、意外に鍵を握る“漆原”。
明かされる情報量の多さにも圧倒されます。緊迫する局面を迎えたにも関わらずバトルも
なしに事態を収めてしまうあたりは実に本作らしい。神討ち後の、あのケリの付け方も。

神討ち後の動向を並行して描写する構成の中で描かれる各々の近況を楽しみつつ、ついに
“真奥”に対して“千穂”がワガママを言い切ったことに、それに応えた彼に惜しみない
賞賛を。エンドロールっぽい演出も実に格好良い。完結を祝いつつ、次回作にも期待です。

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2020年08月26日

『異世界よ、俺が無敵の吸血鬼だ! 〜夜のハーレム性活は計画的に〜』

猪野志士 先生が贈る新作は、現代日本で社畜として働く吸血鬼が、吸血鬼のいない人間と
魔族が争う異世界へと召喚されて、第三勢力の立場を確立すべく活動する顛末を描きます。
(イラスト:イコモチ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322002000142.html


日々仕事に追われ、街を巡る吸血鬼駆除部隊から逃げ隠れする“栄一郎”。彼の足元に
突如現れた光に誘われ、気がつくとそこは異世界。彼を召喚した“フィズリ”の話から
この世界で望むままに生きると決めた彼は早速、彼女の柔な首筋に牙を突き立てる──。

吸血鬼というものが如何に恐ろしい存在かということを人間に、魔族に知らしめるべく
活動する“栄一郎”改め“アルガ”の思考が社畜時代の名残あふれていてどこか滑稽で。
彼に血を吸われ恍惚と愉悦に耽る少女たちの描写がエロノベで通用する水準なのも良し。

“アルガ”のことを知りたい“フィズリ”の満更でもない様子に対し、彼に惚れ込んだ
魔族の少女“オルムネ”がヤキモチを焼くやり取りが微笑ましく感じられるのも好感触。
“オルムネ”の過去を清算した結果、厄介事を背負い込む彼の生き様が気になります。

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2020年08月25日

『友達の妹が俺にだけウザい5』

三河ごーすと 先生が贈るいちゃウザ青春ラブコメ。ドラマCD付き特装版が同時発売となる
第5巻は“彩羽”のウザかわいさを認める“明照”にニセ恋人の進捗確認が要求されます。
(イラスト:トマリ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815606237.html


ということで“真琴”から“明照”と“真白”がニセ恋人であることを忘れていないかと
読者に対してもフォローを入れるかのような展開。「5階同盟」の秘密を色々知った彼女
だからこそ立ち居振る舞いが難しい中で、想いを届けようと頑張りを魅せてくれました。

その想いを受け止める“明照”は“真白”からだけではない仄かな想いを感じ取っている
にも関わらず中途半端な立ち位置のままで。そんな彼に“音井”が重い一撃を叩き込んで
くれたことで彼の行動指針が固まったようにも見受けられます。今後の動向には興味津々。

“明照”が“彩羽”のウザ絡みを魅力と捉えた結果として、それをプロデュースしたいと
やや斜めの方向に思考が傾いたのは彼らしく。けれどその方針を知った彼女がどう思うか
考えが及ばないのもまた彼らしく。こぼれた涙と感情が報われることを願うばかりです。

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2020年08月24日

『りゅうおうのおしごと!13』

白鳥士郎 先生が贈る熱血将棋コメディ。第13巻は“銀子”が史上初の女性プロ棋士になる
その裏側で“あい”がJS研のあるメンバーとの別れを経て、更なる成長の兆しを見せます。
(イラスト:しらび 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815606442.html


プロローグで「ずっと考えている女の子」に対し「おぼえててほしい」と沢山書いた手紙。
ドラマCDの脚本をリライトしてこれまでの思い出を振り返る「最後のJS研」を挟みながら
エピローグで「手紙を書いた人」からの熱い想いを胸に刻む“あい”の流す涙が愛おしい。

それにしても“シャル”に対してロリコン疑惑を誘発する言動を繰り返す“八一”を見て
“銀子”と恋人同士になれたのが不思議に思えてくるのがアレですね。“あい”も含めて
制裁を加えてたくなるのも致し方ないというか。JS研メンバーも思う所があるのは納得で。

巻末の短編「白雪姫と魔王の休日」で狸寝入りをきめこむ“銀子”が魅せる、ますますの
可愛らしさといったらもう。“八一”さんやりましたね、って話で。病室に乱入してくる
“月夜見坂”と“供御飯”が示す言動と想いにも注目しながら、次巻の刊行を待ちます。

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2020年08月21日

『悪役令嬢になったウチのお嬢様がヤクザ令嬢だった件。』

翅田大介 先生の「カクヨム」投稿作。異世界の悪役令嬢に転生した女組長が、持ち前の
気風の良さを発揮して数々の破滅フラグを痛快に砕いていく「悪役令嬢もの」となります。
(イラスト: 珠梨やすゆき 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322005000028.html
https://kakuyomu.jp/works/1177354054898680000


日本の極道界を纏め上げた女組長“霧羽”は引退の間際、賊に襲われ命を落としたはずが
いわゆる「乙女ゲー」を下敷きとしたファンタジー世界で、“キリハレーネ”として転生。
早速、婚約者から“ユリアナ”に対する嫌がらせで断罪されるイベントに直面するが──。

本来、主人公枠の“ユリアナ”が、他人を陥れるのが好きという人物に転生されたことで
世界観が壊れると危惧した管理者。“霧羽”や彼女の周囲にかかる火の粉を彼の思惑から
外れて、気風よくあしらっていく流れが実に爽快。小編の連続で小気味よく進むのも好感。

力も頭も、「女」としての武器も使いながら“霧羽”が破滅フラグどころか死の運命すら
回避していく様子に憤慨する“ユリアナ”が更にどんな悪意を向けてくるのか、もしくは
異世界に転生して“霧羽”にふさわしい男性は現れるのか、続く展開を楽しみにしてます。

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2020年08月20日

『メイデーア転生物語 3 扉の向こうの魔法使い(上)』

友麻碧 先生が贈る本格ファンタジー作品。 第3巻は前世の自分を殺した相手との遭遇に
戸惑いが隠せない“マキア”と、過去と血筋に悩まされる“フレア”の機微を描きます。
(イラスト:雨壱絵穹 先生)

https://lbunko.kadokawa.co.jp/product/maydare/322001000668.html
https://ncode.syosetu.com/n3862be/


フレジール皇国の女王陛下“シャトマ”にも驚かされつつ“カノン”将軍の今は殺さない
発言や何かと匂わせる言動に“マキア”と同じく気が気でない状況が続くのがもどかしい。
彼女の不安を感じとった“トール”が必死に守ってあげようとする姿は何とも愛おしくて。

魔法学校での第一学年最後の班課題を進める中で“フレア”の報われない過去を、何より
大切な人たちからの想いを誤解していると気づいた“マキア”が何とかしようと尽力する
様子がいじらしい。肩入れするその姿にヤキモチを焼く“トール”がまた可愛いの何の。

世界を救う意欲を失う“アイリ”のいじける言動は見ていて虚しさが募るばかりですけど
思いがけないところから転生前の人間関係と今が結びついてしまった、となっては一大事。
メイデーアの命運を握るのは誰なのか。“マキア”も驚く事の行方を下巻と共に待ちます。

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2020年08月19日

『豚のレバーは加熱しろ(2回目)』

逆井卓馬 先生の「第26回電撃小説大賞・金賞」受賞作。第2巻はメステリアでの生活が
忘れられない主人公が同じ境遇の仲間と共に再び転移と“ジェス”との再会を試みます。
(イラスト:遠坂あさぎ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/butaliver/322002000186.html


黒豚姿のハンドルネーム“サノン”と共に“セレス”の元へ転生した豚の“ロリポーク”。
今回は“ジェス”とは別れ“セレス”の想い人、解放軍のリーダーとなった“ノット”を
救う旅に出るワケですが、相変わらずなトークを繰り広げる豚には安心感すら覚えます。

“ヴィース”から魔法を教わり、“イーヴィス”に記憶を封じられ、“シュラヴィス”の
許嫁として王都で過ごす“ジェス”。なぜこんなことをするのか、と悲憤慷慨する中で
打ち明けられる真実には“ジェス”に対する思い遣りが感じられて胸が熱くなりました。

その真実を汲んで“ジェス”とは赤の他人として振舞う“ロリポーク”の覚悟、中々に
真似のできることではないと感心させられます。“ノット”との繋がりも無視できない
様子ですし、今回も冴え渡った“ロリポーク”の推理は次も活かせるか、興味津々です。

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2020年08月18日

『ダークエルフの森となれ -現代転生戦争-』

水瀬葉月 先生が贈る新作は、輝獣という自然脅威に脅かされる日本に転移した、滅んだ
異世界種族代表たちが種族統合を果たすべく争う中に巻き込まれた少年の命運を描きます。
(イラスト:コダマ メカデザイン:黒銀 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322003000323.html


自分の嗜好が世間と違うことを認識し、ひた隠すために優等生という嘘の姿を日々演じる
“練介”。その日常に限界を感じたある日、見た目が明らかに人間ではない、彼が好きな
ダークエルフの少女“シーナ”と遭遇する。興味を抱いた彼女は彼にある提案をして──。

剣と魔法のファンタジー世界からやってきた“シーナ”。彼女の相棒を務める“練介”は
新たなエネルギー「EF」を動力とする駆動鉄騎リボルヴ(RV)を操る優秀なパイロット。
異なる世界観が融合し、織りなす物語の中心となる彼女に振り回されていく展開が楽しい。

“シーナ”との出会いから変わった日常、変わってしまった自分に戸惑う“練介”がその
葛藤を乗り越え、共に生きる覚悟を決めるか。この流れには魅せられるものがあります。
彼女がこの世界で生き残るとは何を意味するのか、それを考えつつ次巻を待ちたい所です。

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2020年08月17日

『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。4』

コミカライズを担当する 足立いまる 先生に挿絵をバトンタッチし、しめさば 先生が贈る
サラリーマンと女子高生の日常ラブコメディ。第4巻は“沙優” の過去に触れていきます。
(イラスト:足立いまる 先生 キャラクター原案:ぶーた 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/higewosoru/321901000557.html


「連れ戻して来い」と“一颯”に言ってきた、という“沙優”の母親。推して知るべしな
人物像が実際に彼女の口から語られるのがつらい。安易に同情するのがおこがましいほど。
間に立つ彼の苦悩も分かるだけに、それでも家に戻らなければいけない現実がまたつらい。

“沙優”についてどう思っているのか“一颯”から改めて問いかけられた“吉田”。彼が
今の共同生活を振り返って頭でわかっていても行動に移せない、彼女に対して出来ること。
“あさみ”はさることながら、“三島”がそれを後押ししちゃうあたりは興味深い流れで。

「家族」とは何なのか。ありふれた言い方かもしれないけど“沙優”にとって大切なこと。
帰りたくない気持ちを抑え、“吉田”との出会いを力に変え、前に進もうとするその姿は
高潔さを感じます。彼女にサービスする彼はどんな顛末を見届けるのか、目が離せません。

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2020年08月14日

『ビブリア古書堂の事件手帖II 〜扉子と空白の時〜』

三上延 先生が贈る“栞子”と“大輔”のその後を描く大人気ビブリオミステリ。第2巻は
間を空けて起きた存在しないはずの「横溝正史の幻の作品」を巡る事件の顛末を描きます。
(イラスト:越島はぐ 先生)

https://mwbunko.com/product/321911000211.html


元は男爵位を持つ上島家で亡くなった“秋世”が残した横溝正史の『雪割草』が盗まれた。
単行本化されていない幻の本を取り返してほしいと依頼された“栞子”は依頼人“清美”、
その母で容疑を疑われる“初子”、彼女を犯人と決めつける叔母の“春子”と会うが──。

冒頭に「後味の悪い」話とあるとおり、『雪割草』を見つけた後に残る謎を解決した先に
残る感情は「たかが本、されど本」という想いの交錯がもたらすやるせなさが実に切ない。
この結末を反面教師として、価値観の違いを大事にしたい、尊重したいと思い直した次第。

今回“智恵子”に誘導される形で「ビブリア古書堂の事件手帖」に残された謎を読み解き、
書かれた以上の真実を導き出されるか試された“扉子”。受け継ぐ者を見極める祖母も、
応える孫も空恐ろしい。両親が知る由もない“扉子”の予感がもたらす物語に注目です。

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