2018年07月09日

『ピンポンラバー』

谷山走太 先生の「第12回小学館ライトノベル大賞・優秀賞」受賞作。卓球のエリートが
集まる学園に入学してきた元天才卓球少年の、不屈とも言える卓球への熱い愛を描きます。
(イラスト:みっつばー 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094517347


私立卓越学園で「氷結の瑠璃姫」と呼ばれるトップ選手“瑠璃”に卓球で完敗した“翔星”。
彼も昔「音速の鳥」の二つ名で知られた有名選手のはずだがなぜかプレイスタイルが異なる。
押してでも彼が学園に入学した理由は、弱点を指摘した彼女つながりで明らかとなるが──。

かませ犬的な“鉄平”との卓球シーンからも分かる通り、人の領域を超越した戦いの数々に
圧倒されます。ライバル的な存在の“沙月”とのやり取りとか、卓球に対する姿勢が好き。
無理をする“翔星”を献身的に支え続けてきた“椿”の想いにも注目してほしいところです。

“翔星”を圧倒した“瑠璃”にも卓球に関して引け目を感じるところがあって、それを彼と
共にどう乗り越えていこうとするか、その葛藤や熱量はクライマックスにふさわしい展開。
そして彼にとって思いがけない結末が訪れるのもポイントかと。良作なスポーツものです。

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2018年07月06日

『六畳間の侵略者!? 29』

健速 先生が贈る人気シリーズ。通算31冊目は“孝太郎”の前から次々と姿を消していく
六畳間の面々。その謎に打ちひしがれる彼の様子と、解決に繋がる彼の根源に触れます。
(イラスト/ポコ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/790.html


まさに神隠し。消えていく理由も、止める術も掴めないまま悶々とする“孝太郎”の姿が
痛々しくてつらい。六畳間の面々だけは消える瞬間にその意味を知り、ヒントを残しても
要領は得ず。そして迎える決定的な瞬間。セリフが蘇る場面に彼が抱く絶望は計り知れず。

大切な人を失うことで味わう絶望の深さを知る“孝太郎”だからこそ持つ「特別な資質」。
その意味を31冊かけて問いかけてきた「彼女」の迂遠すぎるアプローチには驚くしかなく。
言われてみれば確かに、と思わせてくれる指摘の一つ一つに31冊分の重みが乗るかのよう。

あとがきで 健速 先生が示してくれた裏話の数々を紐解きたくて思わず最初から読み返し
たくなります。……その時間はなさそうですけど。作中で残り1年をどう描いていくのか、
そして10周年を迎える予定の31巻で何かやってくれると信じて、楽しみに待ちたい所です。

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2018年07月05日

『中古でも恋がしたい!12』

田尾典丈 先生が贈る「小説家になろう」発の学園ラブコメ。第12巻は“清一”にトラウマ
を与えた完璧すぎる後輩の登場で“綾女”たちもうかうかしていられない状況を迎えます。
(イラスト:ReDrop 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797396836.html


研究会を突如訪れた、“清一”のことを「せー先輩」と呼ぶ美少女こそ、彼の女性不信を
決定づけた3人目の女の子“麻奈”。彼のエロゲヒロインになる、と公言する彼女の強い
想いで費やした5年という歳月に不信を抱くのも無理はないですが、実にもったいない。

ゲーム内でのハーレムはアリでも実際にはナシでしょ、と現実的な態度をとる“清一”を
優柔不断と指摘する“外崎”が追及していく言葉の数々。これには心当たりがありすぎて
胸に刺さるものがありました。女性陣に囲まれて、いい友人に恵まれて羨ましい限りです。

とはいえ、ある事情からリアルデートに流れていく所は“清一”をうらやまけしからんと
思わざるを得ない訳でもあり。雑念を払拭した彼がエロゲと向き合う決意を新たにしたと
安定ぶりを見せたところであのエピローグですよ。彼がどう誠意を見せるのか、注目です。

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2018年07月04日

『最強同士がお見合いした結果2』

菱川さかく 先生が贈る最強同士の恋愛ファンタジー。第2巻は“レファ”とのお見合いが
頓挫している“アグニス”のもとに外遊する第三国の王女が登場する所から話が動きます。
(イラスト:U35 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797397048.html


“アグニス”が迎え入れた王女“エリカ”。彼女が外遊する真の目的は彼を篭絡すること
とは露知らず、アプローチを仕掛けられてもなびくことのないあたりは滑稽でもあります。
もしや、と勘繰った“レファ”が探りを入れたり、気を揉んだりする所も可愛いもので。

“エリカ”が策を弄する相手を“レファ”にも向けてきてからは、かわいそうになるほど
“レファ”にとって試練の局面を迎えます。ここでも“メイ”と“ロゼリーヌ”の連携が
冴え渡ります。この裏工作、好きな展開ですね。まぁ、結果は推して知るべしな訳ですが。

そもそもなぜ“エリカ”は外遊してきたのか。その理由が女の戦いの果てで明らかとなる
あたりから彼女に対する同情の念が禁じ得ません。それを目の当たりにした“アグニス”
たちの立ち居振る舞いは必見です。怪我の功名がもたらした好転の行方が楽しみな所です。

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2018年07月03日

『百神百年大戦』

あわむら赤光 先生が贈る新作は、神々が覇権を争う世界で自堕落に過ごすある神の一柱と
巻き込まれた巫女が思わぬ戦いの舞台に上がっていく、天地鳴動バトルファンタジーです。
(イラスト:かかげ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797397062.html


従属神となり生き延びてきた剣の神“リクドー”。長年寄り添う巫女に別れを告げられて
次の巫女を探すため白羽の矢を立てた先にいたのが“ミリアルージュ”。神の救いも無く
超貧乏国家を運営する王女たる彼女は神を恨んでおり、前途多難な彼の運命や如何に──。

新たな巫女になってほしい、と願い出る“リクドー”に対し取り付く島もない“ミリア”。
しかし、共に国を預かる身として民に対する接し方など共感できる部分が見えてきてから
考え方を改めていく彼女の姿勢に好感が持てます。へこたれない彼も中々のものですけど。

「救いの神はいない」──とある神が“リクドー”に大戦を挑んできたことで再認識する
“ミリア”が本気で願った想い。それを受け止めた彼の「最も油断ならぬ腹黒狸」ぶりは
見どころ。彼女の献身ぶりがまた実に良い。二人がどんな戦いに巻き込まれるか注目です。

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2018年07月02日

『超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!7』

海空りく 先生が贈る異世界革命譚。第7巻はヤマト自治領でレジスタンスたちの戦いに
加勢する“司”たちの局面も大詰めを迎え、ヤマトという国の真髄を目の当たりにします。
(イラスト:さくらねこ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797396256.html


“司”たちと道を違えた“勝人”の決意を改めて試す“ネウロ”の厭らしさといったら
ないですね。“勝人”が嘯く超人高校生たちの決別の予感、これが現実のものとなれば
異世界を巻き込んでの泥沼な喧嘩が始まってしまうと思うので何とか回避してほしい所。

戦力差で優位な“ジェイド”の鼻を折る“司”たちの容赦ない戦略も彼らの切り札たる
鐘楼の前に一歩及ばず。窮地に立たされた“マヨイ”の非道な一手が実にえげつなくて
民衆から「売国奴」と罵られるのも致し方ない・・・と思わせてからの展開が見どころです。

“マヨイ”はなぜ“ジェイド”に心酔していたのか。そして躊躇なく非道になれるのか。
追い詰められた彼女が振り返る過去、その裏にあるヤマトの悪しき因習が悲哀に溢れて
切なくて。さくらねこ 先生の挿絵と合わせて印象深かったです。続きが気になります。

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2018年06月29日

『榮国物語 春華とりかえ抄 三』

「月刊プリンセス」にて チノク 先生によるコミック連載もスタートした 一石月下 先生の
男女逆転中華譚。第3巻は“秋明”のスパイ容疑に“海宝”が“春蘭”にも疑念を抱きます。
(イラスト:ノクシ 先生)

https://www.kadokawa.co.jp/product/321802000680/


“春蘭”と“紫峰”との仲を訝しむ“海宝”の姿を堪能する余裕も揺るがす「尭」の侵攻。
次々に落とされる砦。赤獅子の異名を持つ皇帝自ら乗り出してきたとはいえ早すぎる展開。
“秋明”こそ裏切り者、ともたらされる密告を前に揺れ動く“春蘭”の機微が見所の一つ。

再び陛下から妃嬪に、と“春雷”に声が掛かったのを知った“莉珠”が打った逃げの一手。
これが思いがけず“秋明”の隠し通してきた過去を知る人物との邂逅、更には彼の嫌疑に
隠された秘策があると気付かせる大きな一手に繋がる展開。これも注目すべきところかと。

“海宝”と“秋明”。互いが互いを思う感情のすれ違いをどうにかしようとする“春蘭”
に対して“秋明”が問いかけたあの質問。その意味を“春蘭”が今後どう咀嚼するのか、
“春雷”との「とりかえ」に気付く人物も増えてきたことも含めてとても気になります。

posted by 秋野ソラ at 01:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル