2017年05月30日

『はたらく魔王さま!17』

和ヶ原聡司 先生が贈る魔王と勇者の庶民派ファンタジー。第17巻は正社員になる機会を
逃した“真奥”が山積する魔界の問題を前に残るのか戻るのか、大事な選択を迫られます。
(イラスト/029 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-892892-2/


「魔王が正社員になる」というコメディ要素がここまで物語を大きく左右するシリアスな
キーワードになるとは。“芦屋”や“漆原”だけでなく、“恵美”や“千穂”たちも彼を
気遣う場面がそこかしこに見られて“真奥”も幸せ者だな、と改めて感じさせてくれます。

一方、“木崎”が異動になる、ということで彼女にもそれなりに悩むところがあることが
分かり、より人間的な魅力が増したように感じます。彼女から“真奥”たちに告げられた
言葉をどう噛みしめるか、も今回の話の中で重要な軸を担うことになるので要チェック。

本当に気苦労の絶えない“真奥”が下した決断と誠意を前に“恵美”が思わず相好を崩す
様子が可愛らしくて微笑ましくて。そんな和やかな雰囲気をぶち壊す、やるせない引きに
不安がいっぱいで気を揉みます。次巻はそう間をあけずに刊行されることを願うばかり。

posted by 秋野ソラ at 00:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年05月29日

『暴血覚醒《ブライト・ブラッド》』

中村ヒロ 先生の「第8回GA文庫大賞・奨励賞」受賞作。血を使う魔法を学ぶ学園で奴隷の
ような扱いを受ける弱き男子学生たちが反抗戦を仕掛けていく青春学園異能バトルです。
(イラスト:加藤いつわ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797391787.html


元女子高である私立赤百合学園に入学し、あふれる期待と下心を胸に門をくぐる“弥彦”。
そこへ女子代表の美少女“藤堂”らが交流の一環として持ち掛けてきた「血戦」の賭けに
のって、負けた彼らが目にしたのは、奴隷として彼らを蔑む冷血少女の一面だった──。

ものの見事にハメられた“弥彦”たちの知れば知るほど力量の差があることに愕然とする
展開を転入生の少女“灯花”が崩してくれるか・・・と思えば彼女もある問題を抱えていて
頭を悩ませます。ここで血魔法がもつ特性と“弥彦”も知らない彼の秘密が鍵を握る訳で。

徹頭徹尾、悪役たる“藤堂”たちに反抗しきれるのか、手に汗握る熱い展開がまさに見所。
幼なじみの“睦紀”が報われてほしいな、とも思いますが話の流れとして致し方ないかと。
よく纏まっている上に余韻でも魅せてくれますし、お薦めできる新人賞作品だと思います。

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年05月26日

『信長の妹が俺の嫁 3 戦国時代に芽吹く命と散る命』

井の中の井守 先生が贈る歴史ファンタジー。第3巻は織田信長の手で九死に一生を得る
“長政”が、その裏に込められた“半兵衛”の願いを知って、様々な考えを巡らせます。
(イラスト:山田の性活が第一 先生)

http://nox-novels.jp/bibliography/20170323-2/


窮地の連続で、選択を一つでも間違えれば死あるのみ。そんな極限下で生き延びた“長政”
がクズっぷりを見せつける“龍興”に「これでもか」と怒りをあらわにする場面が印象に
残りました。スカッとしましたし。それ故に“半兵衛”が想いをぶつけるのも頷けます。

死の淵を見た直後だからこそ、浅井と織田の両家に関わる吉祥も生まれる、というもので。
ご無沙汰だった“長政”と“市姫”が求めあう姿は、これまで以上に愛欲あふれるものが。
滾るものをどうしたらいいか悩む彼の姿勢に彼女を一途に愛する様が窺えて胸中複雑です。

処世術、といった打算ではなく“信長”に信と義を貫く“長政”の更なる躍進を期待する
流れの中、この世界が既知の戦国時代と異なることを見せつける新たな危機は物語をどう
動かすか気になります。あと巻末の書き下ろしが、もう初々しくて思わずニヨニヨします。

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2017年05月25日

『カロリーは引いてください! 〜学食ガールと満腹男子〜』

日向夏 先生が贈る新作は、大学の人気者だが体重108kgの巨漢と、彼の食事を世話すること
となった幼馴染で学食勤めの女性が学内のお悩み解決に関わる満腹グルメストーリーです。
(イラスト:時々 先生)

http://www.kadokawa.co.jp/product/321701000517/


太っていることをポジティブに捉える“雪人”の食事に気を配って、あわよくば体重減量を
図るよう彼の母“響子”に依頼された“楓”は日々の献立に頭を悩ませる。そんな彼は大学
で悩み相談や揉め事をあっさりと解決したりする、謎多きハイスペックな巨漢なのだ──。

表紙絵ではチラッとSDキャラで登場していますが、作中では挿絵で描かれることはないので
「ハイスペックな巨漢」が変なイメージで固着されないのは大きな利点だとまず感じました。
隙あらば食べようとする“雪人”と、阻止しようとする“楓”とのやりとりが微笑ましい。

「お悩み」の内容も、人間関係や生活環境など、大学生活を続けていれば起こり得る内容な
だけに親近感が沸きます。ちょっと厄介な話でも解決に結びつけていく“雪人”の有能ぶり
と彼に振り回される“楓”の機微の描写をご堪能あれ。ぜひ続きが読みたい作品であります。

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2017年05月24日

『悪逆騎士団II そのエルフ、凶暴につき』

水瀬葉月 先生が贈るダークファンタジー。第2巻は結晶総合業者・ジェヴォーダン一家が
蛮都にはびこるようになって変わっていく様子を前に“アリシア”たちが立ち向かいます。
(イラスト/ももこ 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-892881-6/


蛮都で行われる会合に臆することなく乗り込み堂々と営業活動をしてのける“アレックス”。
結晶法使いの彼がもたらす結晶の商品によって街の住人があからさまに怪しい恩恵を多数
享受することになります。もちろん、後々で悪意に晒されますのでご期待いただきたい所。

そんな中、巨大な歯形で喰われる冒険者が続出する森の魔獣退治に臨む“アリシア”たち
が新たな出会いと暗躍する一家の側面を垣間見たことから、再び悪逆騎士団として敵認定
していくことになる訳ですが、相手も根回し十分で一筋縄ではいかない展開が楽しめます。

今回は出番が少ないな、と思っていた“ベルガラン”が意外な形で話の軸を担う話運びは
興味深く、“アリシア”が今回直面する最大の危機をどう回避したのか、そもそも彼女の
野心はどうなるのか、といった気になる要素も残しているため、続きに期待が高まります。

posted by 秋野ソラ at 00:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル