2025年11月26日

『あなた様の魔術【トリック】はすでに解けております2 -裁定魔術師レポフスキー卿とその侍女の事件簿-』

白金透 先生が贈る魔術ミステリ。第2巻は魔都ジェズリール・タウンに“バーナビー”の
足跡を求めて訪れた“マンフレッド”と“リネット”が次々と魔術師の犯罪を裁定します。
(イラスト:天野英 先生)

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タウンの名門であるフォーベス家の次期当主候補“ジョエル”に会うための紆余曲折の中、
かの家で発生する事件の不自然さを微に入り細に入り追究する“リネット”の慧眼が見事。
容赦のない“マンフレッド”が時折見せる茶目っ気や、人情味のある言動も楽しめる要素。

“パティ”を盾にフォーベス家へ取り入った“バーナビー”にも何やら悲願があるようで。
“マンフレッド”たちが事件を解決する裏で垣間見える本音には空恐ろしさすら感じます。
協力する“リネット”が悲願の一助となる姿も一蓮托生にも見える絆の深さすら窺えます。

“マンフレッド”たちが追いつくか、“バーナビー”たちが逃げ切るか。隠れた駆け引き
の先に待つ結末は思わず熱が入るというもの。「まるっきり悪役」とは言い得て妙な表現。
“ダニエラ”の奮闘ぶりにも注目しつつ、次なる舞台での活躍にも期待したいところです。

posted by 秋野ソラ at 00:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2025年11月25日

『死神さん、やさしく殺してキスをして』

「僕の愛したジークフリーデ」から約4年ぶりとなる 松山剛 先生の新作は、ロンドンで
死神として活動する少年が聖女と呼ばれる少女との契約を巡って葛藤する様子を描きます。
(イラスト:つくぐ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/shinigamisan/322506000655.html


ロンドンが明けない夜に陥って8年と3か月。“ジェームズ”は当時の事故で両親を失い、
妹を残し自らも死を迎えた瞬間、ある男と「死神」になる契約を交わし蘇生する。世界の
“寿命平衡”を保つため人の寿命を奪い続ける彼はそれを復活させる少女と邂逅する──。

「私を殺してちょうだい」と“メアリー”にお願いされた“ジェームズ”の戸惑い。その
背景にある死神という仕事の弊害、聖女の役割、そして夜とは何なのかを窺わせる2人の
かけがえのない時間の過ごし方が興味深く、話が進んでいくごとに惹き込まれていきます。

「自分の命と私の命、どっちが大事?」と“メアリー”に問われた“ジェームズ”の答え。
その覚悟を“チェルシー”からの言葉や“マーガレット”の流した涙が支えることになる
話運びが印象的で、彼が導いた結果の行く末もまた好感触。お薦めしておきたい一作です。

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2025年11月24日

『聖女と暴食』

「ストライク・ザ・ブラッド」の 三雲岳斗 先生が贈る新作は新感覚学園ファンタジー。
最悪の魔導兵器を封印するため美食の最高峰を目指すことになる青年の顛末を描きます。
(イラスト:karory 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322501000100.html


“ティルティ”は取り戻さなければならない。“ハル”を、学食部から生徒会執行部へ。
戦闘職のエースがなぜ創作料理に精を出す? 天からのミサイル攻撃にも関係してる?
しかも女性不信の彼が獣耳女と同居しているとは何事!? すぐ潜入調査しなくちゃ──。

荒廃した地上を捨てた天人種族の優位性、地上の学園における学区間の関係性を鑑みて
“アナ”が如何に繊細な立ち位置に居るか。また冒頭の危機的な状況を切り抜けられた
背景にあるものを見せられることで“ハル”の行動原理も見えてくるのが面白い導入部。

“ハル”は生徒会に戻りそうもない、となったときに“ティルティ”はどう動くべきか。
その顛末は緊張感を生みますし、物語を続かせる「引き」としても効いているのが見事。
何より karory 先生の挿絵がもう勝ち確定の演出で、続刊が待ち遠しいというものです。

posted by 秋野ソラ at 12:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2025年11月21日

『ストライク・ザ・ブラッド APPEND5』

三雲岳斗 先生が贈る大人気学園アクションファンタジー。シリーズ続行を望むファンの
期待に応える形で書き下ろした、完全新作の短編8本を収録する番外篇第五弾となります。
(イラスト:マニャ子 先生)

https://dengekibunko.jp/product/stb/322501000099.html


絃神島で季節の行事に興じる“古城”たちの日常を描く短編でまず心が朗らかになります。
所々で隙を見せる“雪菜”の可愛らしさ、姦しい“浅葱”たちのやり取りも相変わらずで。
“ラ・フォリア”の口絵の姿もなるほど納得。絃神の名物って確かにピンとこないですね。

“古城”が親しくしていた“セリーカ”との再会が巻き起こす騒動を描く「聖鳥環礁篇」。
一見すると窺えない彼女の懊悩と、解決の糸口を彼に見い出す彼女の意図を汲んでさらに
彼が自分たちの聖戦へと転化させていく顛末が熱い。嫁候補が増えるあたりも流石の一言。

そんな“古城”だからこそ、遥か昔の「好色王」と魂が似通うという話も道理という訳で。
番外で描かれる大人になった彼、そして“雪菜”たちのその後、そして次の世代の逸話も
興味深く読ませていただきました。このあたりの状況も詳しく語られることを期待します。

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2025年11月20日

『男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!) Flag 12. それでも、ずっとずぅ〜っと一緒にいようねっ!』

七菜なな 先生が贈る青春〈友情〉ラブコメディ。シリーズ本編13冊目は“紅葉”が課した
“悠宇”への試験に含まれた意図を知った“日葵”の選ぶべき道について触れていきます。
(イラスト:Parum 先生)

https://dengekibunko.jp/product/danjoru/322410000827.html
https://www.danjoru.com/


“日葵”が勝たなければいけない理由はない。“紅葉”が用意した勝負のルールを知って
気楽な態度を見せる“日葵”と、受験も含めて気負う姿勢を崩さない“悠宇”が対称的で。
“笹木”先生の気長な戦略も脈ありな点など、年末年始の雰囲気が嘘のように微笑ましい。

“日葵”に対する評価を“紅葉”が変えていた、と“天馬”から明かされても、それでも
“悠宇”は彼の期待に応えることが出来るのか。悩む“悠宇”に対する“村上”の真摯な
評価が意外だったのも驚きつつ、これでも変われない“日葵”にもどかしさを覚える所で。

“日葵”と一緒にいることだけが運命共同体という訳ではない。それを知らしめた勝負の
行方を見届けた上で、“悠宇”が新天地でも早々に見せる人たらしぶりを鑑みるに彼女が
今まで足踏みをしていたのは彼に出会ってしまったからかも知れないと思ったりしました。

posted by 秋野ソラ at 00:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル