2019年12月23日

『娘じゃなくて私(ママ)が好きなの!?』

望公太 先生が「電撃文庫」から贈る新作は年の差ラブコメ。シングルマザーが娘の幼馴染
である男性から好意を示されることで始まる困惑と機微の変化を描く純愛ストーリーです。
(イラスト:ぎうにう 先生)

https://dengekibunko.jp/product/mamasuki/321903000173.html


娘“美羽”の家庭教師を務めてくれるお隣さんの大学生“巧”とは10年来のお付き合い。
姉夫婦の死後、残された彼女の将来を思うと母“綾子”は2人が一緒になってくれたらと
淡い期待を寄せる。その気はない、という彼女に対し彼の想いを酒の席で確認すると──。

“巧”が一途に恋心を抱いていたのは“綾子”だった、ということで「そんなの無理無理」
と世間体や将来のことを考えて等、何かと理由をつけて「気の迷い」が如く諭しに掛かる
彼女を「一人の女性として告白されてどう思ったのか」と問い詰めていく展開が興味深い。

10年も想い続ける“巧”の純愛を裏付ける描写も ぎうにう 先生の挿絵共々お見事ですし
サバサバしている“美羽”の親思いな気遣いや、彼の友人“聡也”のあのファインプレー
など脇を固める配役と言動も見どころ満載。大重版の門出を祝いつつ、次巻も期待します。

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2019年12月20日

『異世界黙示録マイノグーラ〜破滅の文明で始める世界征服〜 1』

鹿角フェフ 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。大好きなファンタジーSLGに似た
世界へ転生した少年が、邪悪属性文明を率いる邪神として生き抜いていく顛末を描きます。
(イラスト: じゅん 先生)

https://gcnovels.jp/book/b597.html
https://ncode.syosetu.com/n8760ei/


最も愛したゲーム「Eternal Nations」にて最も扱いが難しい文明「マイノグーラ」で1位
に輝く“イラ=タクト”として名を馳せた“拓斗”。18歳で命を落とした彼が気がつくと
その世界にいて、相棒の“アトゥ”もいてくれるとなれば建国に挑むしかないワケで──。

コミュニケーション能力に難ある“タクト”を“アトゥ”がサポートしたりしなかったり
するやり取りが面白く、迫害を受けたダークエルフたちが彼らの拠点とする森に身を寄せ
徐々に発展を遂げていく過程が楽しい。挿絵がダークな雰囲気に合致していてまた良い。

“拓斗”たちが居る世界では彼らの邪悪属性とは対極の善属性が二大国家を形成しており
その劣勢をどう崩していくのかが目下気になる所。北方州騒乱で何が起こっているのか、
“アトゥ”が誇示する容赦の無い強さに惚れ惚れしつつ、次巻以降の展開に期待します。

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2019年12月19日

『僕を遺していく残酷な君と、君を忘れられない僕と』

竹井10日 先生が「LINE文庫」から贈る新作はボーイミーツガール・ストーリー。余命1年
と宣告された少女が出会った「何も持たない」少年に何を遺せるのか、その顛末を綴ります。
(イラスト/烏羽雨 先生)

https://amzn.to/2P2xkHA


“アスカ”は勤務する植物園でフェンスの向こう側に倒れた少年を目の当たりにする。彼は
身なりがボロボロな上に言葉も喋ることができない、記憶喪失とも違うという言動を見せる。
このままでは自分と同じく未来がないと感じた彼女は“キョウ”と名付け世話を始める──。

西暦2311年、富裕層では医療用クローンも当たり前に使われる世界観、シリアスなテーマと
思わせながら“アスカ”と“キョウ”のやり取りは先生ならではの姉モノ描写でコミカル。
彼の成長を見届けながら挿入されていく彼女に残された時間の宣告は胸に緊張感を誘います。

“アスカ”と“キョウ”、互いの存在に救われる機微に触れながら、彼自身も知らない彼の
秘密が彼女を救えるかもしれない、と知った時の判断。タイトルに含まれた彼女に対する
彼の想いの深さをどうぞ読んで感じ取ってもらいたい。期間限定の恋の物語、オススメです。

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2019年12月18日

『エクスタス・オンライン 08.それはまだ見ぬ、仮想と現実の彼方』

久慈マサムネ 先生が贈るエクスタシーVRMMOファンタジー。第8巻は現実世界へ帰るため
神に挑み、謎の黒幕を暴き、仮想世界での関係に“駆流”がどう決着をつけるか注目です。
(イラスト:平つくね 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/321909000151.html


“雫石”から語られる事件の黒幕。2Aクラス内にその人物が紛れ込んでいると“駆流”が
探りを入れていく過程で誰もが怪しいと匂わせていく描写がサスペンス感にあふれていて
実に良い展開。“有栖川”の可愛らしさが挿絵付きで描かれるのは反則的に最高でしょう。

最大の謎を突き止めきれないまま仮想世界の神“エグゾディア”との決戦に臨む“駆流”。
ルール改変も自在な神の御業の前に苦戦必至ですが、彼が仲間を信じてここに在ると固く
信じて戦う姿は勇ましく、同時に級友らに抱く感情の発露には脆さを感じて胸を打ちます。

巧妙に、そして容赦なく死へと誘う罠を仕掛ける黒幕を突き止めて現実世界へ戻れるのか。
仮想世界とはいえ体を重ねた“朝霧”や“哀川”と関係をどう清算するのか。魔王軍幹部
たちはどうするのか。いろいろ込みで前向きな結末を迎えた最終巻、どうぞお見逃しなく。

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2019年12月17日

『天才美少女生徒会長が教える民主主義のぶっ壊し方 生徒会探偵キリカ 番外』

杉井光 先生の『生徒会探偵キリカS1』にて“ひかげ”が教示を求めた「民主主義を潰す」
という真意を“天王子狐徹”とのやり取りを通じてつまびらかにしていく政治入門書です。
(イラスト:ぽんかんG 先生)

http://lanove.kodansha.co.jp/books/2019/12/#bk9784065178751


冒頭で選書された『聖書』で「信仰」と「快不快基準の書き換え」により人の行動原理が
形成されてきた経緯を説き、『統治二論』で王権神授説を打破した社会契約の考え方から
人権や憲法の成り立ちと民主主義との関わり合いを説く、刺激的で興味深い導入の第一部。

民主主義の唯一の利点と様々な欠点、民主主義の本質である「多数決」の欠陥を突きつつ
シンガポールを例にして「国を出る自由」の必要性と、民主主義の不要性に言及していく
第二部、第三部の繋がりがまた考えさせられる内容で、時間を掛けて咀嚼しておりました。

途中、ティータイムを挟んで“ひかげ”と“狐徹”がやりとりする内容も踏まえ、彼女が
「民主主義のぶっ壊したい」という結論に至った経緯を知ることでその背景により深みが
増したと言えます。「国と企業の差がなくなる」という考え、意識しておくこととします。

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2019年12月16日

『生徒会探偵キリカS1』

約4年半ぶりに仕切り直して 杉井光 先生が贈るハイテンション学園ラブコメ・ミステリ。
中央議会を潰す“狐徹”と“朱鷺子”を裏切る議員らに“キリカ”たちが探りを入れます。
(イラスト:ぽんかんG 先生)

http://lanove.kodansha.co.jp/books/2019/12/#bk9784065171707


妙な気付きを得る“ひかげ”が“キリカ”や“美園”たちと騒々しいやり取りをする冒頭。
これだけで長く空いた時の流れが一瞬で埋まるかのような自然さ、違和感のなさに改めて
本作が、そして 杉井光 先生の作品が好きなんだなぁ、とそれだけで思い知らされました。

すでに“朱鷺子”だけでどんな議題も可否が選べた状況が、議員選挙の結果を経て一変し
どんな議題も彼女の思惑に反した議会の反応が返ってくる事態に。流石の彼女も辟易する
議員らの真意が、“ひかげ”が議会に対して何気なく抱いたものと同じだったのが面白い。

学園公認の第九コンサートに関係する各部の部員たちが野良犬をこっそり飼っていた話が
思わぬ事件を招く顛末では、犯行の真意が聖夜にちなんだ内容であったのがしっくりくる
話運びを魅せてくれました。意外なタネ明かしもありましたし、次巻もよろしくなのです。

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2019年12月13日

『精霊幻想記 15.勇者の狂想曲』

シリーズ累計100万部を突破した、北山結莉 先生が贈る異世界転生譚。第15巻は復讐を
果たした“リオ”の言動を目にして、王女姉妹が彼とのわだかまりを解いていきます。
(イラスト/Riv 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/877.html


出会いのこと、そして学園で起きた冤罪のこと。“クリスティーナ”と“フローラ”が
“ハルト”というか“リオ”に対する認識を改めてくれて溜飲が下がる思いがしました。
2人が詫びを入れても礼を尽くしても達観し続ける彼の振舞いに只々圧倒されるばかり。

“ルシウス”との関係を断ち切った“リオ”をしつこく取り込もうとする“デュラン”。
女性以外の好感度も一部上げていく彼を見て「またヘンな男に付きまとわれているな」と
思わず苦笑い。暗躍が続く“レイス”の思惑をまだ振り切れないのがもどかしい所ですが。

王女二人を国に送り届ける“リオ”の気苦労とは別に頭を悩ませるのが“リーゼロッテ”。
“弘明”の勘違いっぷり、ここに極まれり。彼女の毅然とした態度、そして“リオ”に
劣等感を覚える“弘明”が今後どう暴走するのか。勇者の当て馬っぷりが心配になります。

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