2018年08月24日

『女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合のお話』

みかみてれん さんがコミックマーケット94で頒布された新刊。おしゃれにも十分気を遣う
イケてる女子高生が不用意な一言を境にあり得ないはずの道に落とされる過程を描きます。
(イラスト:雪子 さん カバーデザイン:ゆぞうに さん)

http://unnamed.main.jp/teretania/
https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=384302
https://amzn.to/2MYEl8C


バイトをクビになって欲しいバッグも買えない“鞠佳”は売春も軽々しく考える女子高生。
そんな彼女にクラスメイトの“絢”が100万円を突きつけて1日1万円で買うと言ってきた。
「女同士なんてありえない」という考えを翻すなんてありえない、と彼女は息巻くが──。

その気じゃない“鞠佳”が“絢”との勝負にどう負けていくのか、駆け引きの描写が絶妙。
徐々に距離感が近付いていく様子や、触れ合っていくあれこれとか攻めの姿勢が窺えます。
「誘い受け」とか言われちゃう場面とかもうね。落ちていく姿を見るのは実に良いもので。

もちろん“鞠佳”が落ちる展開を楽しむだけではなくて、なぜ“絢”が彼女に対して勝負を
持ち掛けたのか、この理由に触れていく流れにもご注目。勝負の行方を際立たせてくれます。
雪子さんのイラストもキャッチーで目を惹くものがあり、オススメするしかない一品です。

posted by 秋野ソラ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 同人誌

2018年08月23日

『猫と竜 猫の英雄と魔法学校』

シリーズ累計10万部を超す、アマラ 先生が贈る竜と猫そして人間が紡ぐファンタジー作品。
第3巻は“クロバネ”と共に行く王子、“シロタエ”に教えられる少女が遂に邂逅します。
(イラスト:大熊まい 先生)

http://tkj.jp/book/?cd=TD285508
http://konomanga.jp/manga/nekoryuu
https://ncode.syosetu.com/s5614b/


魔法学校に何とか理由をつけて“ガリー”を行かせようとする“シロタエ”の苦労に同情
しつつ、それが思わぬ形で実を結ぶことになるとは苦笑い。彼女のやる時はやる姿をぜひ
見てあげてください。王子もなかなか見所がある、というか一筋縄では行かなそうですが。

ハチの巣を退治しに行ったつもりがクマと戦う破目になる“ヤジュウロウ”たちの男気が
溢れる一面もいいですね。その顛末を任された“猫竜”も「母の日」に翻弄されるあたり
変わらないと言えば変わらない。“母猫”も満更ではないようで堪能しているのも何より。

老雄猫“ポムポラ”が寿命を悟り、その瞬間を迎えるまでを描くラストの「終の寝床」が
また実に印象的で。猫だからこそ、というかこの世界観だからこそ感じ取ることができる
死生観のようなものが切なさを呼び起こします。これだから読むのを辞められないのです。

posted by 秋野ソラ at 01:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年08月22日

『日常ではさえないただのおっさん、本当は地上最強の戦神』

相野仁 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。帝国で地上最強の異能を司る男が街で
最低ランクのベテラン冒険者として若い同業者たちを、ひいては国を護る様子を描きます。
(イラスト:桑島黎音 先生 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/wargod/321804000369.html
https://ncode.syosetu.com/n3740ei/


「その場しのぎのバル」と揶揄される“バル”は、知識と経験を活かし若き冒険者たちに
同行しては世話を焼く、人の良いおじさん。しかし家に帰ると帝国の最大戦力「八神輝」
の一人“ミーナ”が出迎えてくれる、彼自身もまた戦神と称される傑物の一人である──。

侮ることなかれ、と知る人からは一目置かれる“バル”が庶民暮らしを続ける中で国内外
における異変を嗅ぎつけながら力を振るう様子は見ていて気分が良いです。女性陣からの
関心も高く、実に羨ましい。“ミーナ”がだいぶべったりなのは心配したくなる所ですが。

冒険者としての一面ばかりで“バル”は本当に強いのか? とつい勘繰ってしまう思いを
突然現れる魔物たちの謎などお構いなしに一蹴してしまう場面が吹き飛ばしてくれました。
この先どんな敵が現れるのか、そして彼はどこまでその強さを見せつけるのか楽しみです。

posted by 秋野ソラ at 00:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年08月21日

『魔王の娘だと疑われてタイヘンです! LV.1 剣士の娘にニラまれてます!』

姫ノ木あく 先生が贈る新作はファンタジー作品。世界を救った勇者が倒した魔王の城から
連れ帰った赤子を巡り、守りたい者たちと首謀者として疑う者たち、双方の思惑を描きます。
(イラスト:よう太 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797398144.html


魔王討伐から10年余り。冒険者育成の一面を担う学院で学ぶ“エリナ”は少々落ちこぼれ
でも元気いっぱいの女の子。その彼女を「監視してほしい」と依頼された大剣使いの少女
“カナーン”は学院へと赴く。魔王の娘な可能性が高い、という話を見定めるため──。

クラスメイトの“ペトラ”からちょっかいを受けたりする日々の中でもまっすぐに育った
“エリナ”の姿を見て、育ての親たる“リクドウ”の愛の深さと親バカぶりを感じます。
友だちになりたい、と近づく彼女を冷たくあしらう“カナーン”の不信感が際立ちます。

“エリナ”自身も知らない「何か」が色々あって、本当に魔王の娘なのか、という展開が
話を揺さぶってきます。また、女の子同士の友情がどう生まれ、育んでいくのか、それを
ぜひ確かめていただきたい。そしてニヨニヨしてほしい。そんな期待があふれる作品です。

posted by 秋野ソラ at 00:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年08月20日

『りゅうおうのおしごと!9』

ドラマCD付き限定特装版が同時発売の、白鳥士郎 先生が贈る熱血将棋コメディ。第9巻は
“銀子”とのタイトル挑戦に臨む“天衣”の将棋に対する想いをいま一度掘り起こします。
(イラスト:しらび 先生)

https://ga.sbcr.jp/novel/contents/index.html#b05


まさに“天衣”のための物語。そして姉弟子へ繋がると期待される物語。「人魚姫」と
「エピローグ」を読み返すとその想いが強く心に残ります。茨姫の助言に失望した彼女が
挑戦者として、女流棋士として、そしてシンデレラとして成長を遂げた姿に圧倒されます。

幼い身に過大なプレッシャーを受ける“天衣”を師匠としてどう後押しするか悩みぬいた
“八一”の振舞いにも注目。あの墓前でも見せたその葛藤を“生石”との「捌き」の中で
見事に彼女への声援として昇華させた親心。棋風に乗せたその想いには泣かされるものが。

先日、第三期叡王戦第一局の観戦記を担当された先生のように、今回観戦記を初めて書く
こととなった“あい”。異なる視点で将棋を観ることにより将棋への気持ちを新たにした
彼女の成長にも期待したい所。あとコメディ部分も担ってくれてありがとうの気持ちです。

posted by 秋野ソラ at 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年08月17日

『5分後に息をのむ 世にも不思議なストーリー』

木野誠太郎 先生、なみあと 先生、仁木英之 先生、針谷卓史 先生、美月りん 先生による
短編集シリーズ。ブラックユーモア、ファンタジー、感動、恐怖など様々な情景を描きます。
(イラスト:456 先生、水溜鳥 先生)

http://www.seitosha.co.jp/book/isbn-9784791627509.html


各先生方が5冊、その内 なみあと 先生だけ6冊、で計26の小編を収録した本作。分類は
児童書にあたります。文字が大きく、1つあたり10ページ程度でサクッと読める気軽さは
本を読むのに慣れるきっかけにも繋がりそうでまさに小・中学生向けなのもうなずけます。

息をのむ、ということで『トイレの近い花子さん』『棒打ち』のようにオカルティックな
恐さもあれば、事件性のある『家庭訪問』、救いのある『消えたハムスター』やその逆の
『白ゆき姫』、『青のサッカーボール』のように突拍子の無いものまで本当に色とりどり。

普段は長編の作品を拝読する作家さん方の「こんな作品も書けるんだ」と、意外な一面の
ようなものを感じられるのがアンソロジーの醍醐味。それを再認識させてくれた感じです。
特に なみあと 先生の作品に思い入れがあるので次につながる契機になればと願うばかり。

posted by 秋野ソラ at 01:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年08月16日

『妹が泣いてるんで帰ります。 〜兄がデスマーチに巻き込まれた時、妹が取るべき10の対策〜』

三上ミカ 先生がTwitterで掲載していたイラストシリーズを 田尾典丈 先生がノベライズ。
ゲーム開発を巡り社畜生活を送る社会人たちとその妹さんによる愛と感動のラブコメです。
(イラスト・企画:三上ミカ 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/deathmarch/321804000083.html


ゲーム開発を請け負う会社でディレクターを務める“大輝”。プロデューサーの無理難題に
対応すべく残業を重ねることもしばしば。そんな彼に大切な妹の“優花”から電話が入り
今日も遅くなると告げると、隠し切れない涙声が。そう、今日は彼女の誕生日だった──。

十人十色な兄妹の関係を小編でそれぞれ描きつつ、それを繋げてゲーム開発の行方に触れる
構成で夢物語を堪能できます。・・・いや、実際に帰られたらと思うと虚しさが去来するので。
話の中で彼らが妹のために帰れるのも周囲の理解と協力があってこそなのは認識頂きたい。

三上ミカ 先生の描く仲睦まじい兄妹の微笑ましい様子を堪能してもらうと共に、ゲームを
開発するのにはプログラマーだけじゃない色々な人たちが関係していることを知ることが
できる導入本のような役割をも果たす本作。悶絶しながら楽しめることうけあいでしょう。

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル