2018年06月21日

『本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜第四部「貴族院の自称図書委員3」』

香月美夜 先生が贈る大人気ビブリア・ファンタジー。第四部・3巻は冬の終わりを迎える
“ローゼマイン”が神殿や貴族院で忙しなく過ごす中、避けられない新たな節目が訪れます。
(イラスト:椎名優 先生)

https://tobooks.shop-pro.jp/?pid=127856217


“ハンネローネ”という同好の士を見つけた興奮からお茶会を台無しにしたり、想定外の
方法で“エグランティーヌ”たちに祝福を与えたり、と社交に力を入れる“ローゼマイン”
のやらかし具合が今巻も微笑ましい。“ユストクス”が苦言を呈するのも納得の展開です。

引き続き忙しい日々を過ごす“ローゼマイン”が冒頭で見た、長い長い夢。それが結びの
「大事なお話」を暗喩するかのようで、読み返してみるとまたグッとくるものがあります。
心折れそうになる決断を下してもなお、前を向いて笑い合える彼女の気丈さには感服です。

良い仲に誤解される“ルッツ”と“トゥーリ”、2人が「大事なお話」をどう受け止めた
のかを描く短編「時の流れと新しい約束」がなおのこと胸に響きます。巻末マンガであの
例え話を活かしたネタが中々にツボでした。あの発表が物語をどう動かすのか、注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年06月20日

『この度、公爵家の令嬢の婚約者となりました。しかし、噂では性格が悪く、十歳も年上です。』

市村鉄之助 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。家督を継げない男爵家の長男に
舞い込んだいわくつきの婚約話。刺々しい彼女の隠された想いに気付けるかが問われます。
(イラスト:夕薙 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/release/#978-4-08-631246-2
https://ncode.syosetu.com/n1669do/


剣の一族に生まれるもその才能はなく、家督を継ぐことが許されなかった“ジャレッド”。
縁談の席で“オリヴィエ”から追及された彼があっさり認めると「宮廷魔術師を目指せ」と
彼女は難題を突き付けてくる。彼女との交際はともかく彼は難題に向き合うのだった──。

母“ハンネローネ”と専属メイド“トレーネ”の3人暮らしな“オリヴィエ”の頑なな姿勢
とは裏腹に2人からは覚えの良い“ジャレッド”。婚約話で彼もやっかみを受ける中、その
周囲にある陰謀が渦巻いていることを知ってから、彼女の印象が変化していく所が興味深い。

宮廷魔術師になるべく魔術師協会からの難しい依頼に臨む“ジャレッド”が“オリヴィエ”
に対して力強く宣言するあたり、そして有言実行で示してくれる場面がとても格好良いです。
彼女の心が解きほぐされていく様子は見ていて微笑ましくなることうけあい。オススメです。

posted by 秋野ソラ at 00:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年06月19日

『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。2』

しめさば 先生が贈るサラリーマンと女子高生の日常ラブコメディ。第2巻は“沙優”の
やりたいことを引き出そうとする“吉田”に思いがけない出来事が立て続けに起こります。
(イラスト:ぶーた 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/higewosoru/321803000503.html
https://kakuyomu.jp/works/1177354054882739112


バイトを始めた“沙優”の同僚“あさみ”が“後藤”にとっても救われる存在で、全編を
通じて読み手としても有難い存在だと分かる、良いキャラです。それにしても“後藤”が
明かした想いが意味する所は汲むものの中々にズルくて彼が困惑するのも無理はないかと。

なんだかんだ言いながら続けてきた歳の差、性別の差を超えての同居生活。それが不自然
だということを“沙優”に対して、そして“後藤”に対して厳しく告げる人たちの言葉が
痛々しく刺さります。分かっているのに気付かないふりをしてきた二人の葛藤が生々しい。

そこへ決定的な事件として“沙優”に「過去の未練」が襲いかかります。“吉田”に日々
守られてきたことを痛感する彼女が何を思うのか。それに対して彼がどう向き合うのか。
交わした約束が示すその意味を噛みしめつつ来たるべき日の訪れを待てたらと思います。

posted by 秋野ソラ at 00:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年06月18日

『静かの海 その切ない恋心を、月だけが見ていた 上・下』

筏田かつら 先生が贈る新作は「小説家になろう」投稿作の単行本を加筆修正して文庫化。
就活に失敗した大学生とボーイッシュな少女の出会いから始まる年の差恋愛を描きます。
(イラスト:LAL!ROLE 先生)

http://tkj.jp/book/?cd=TD285003
http://tkj.jp/book/?cd=TD285027


せっかくの採用内定を取り消された“行成”が気を腐らせていると、飼い犬に逃げられた
小学生の“マサキ”に助けを求められる。別の日に雨宿りする“マサキ”と偶然再会した
“行成”はその、どこか憂いげな様子を気遣って自宅へ来ることを提案してみると──。

引越しをして新しい学校に馴染めない“マサキ”にとって、気さくに話せる“行成”との
やりとりは心の支えになっていくものの、それは彼がボーイッシュな“マサキ”を男子と
信じて疑わないからこそ。微笑ましくも綱渡りのような危うさは緊張の糸が張るかのよう。

やがて仄かな想いへと変わる“マサキ”の気持ちも知らぬまま、関西にある会社への就職
を決め、彼女も作る“行成”。内心ではショックな彼女にも、彼女が好きだという男子が
現れたり、いじめが発生したりでどうなっちゃうの〜? というところまでが上巻の展開。


下巻では家族のこと、進路のことで悩む“マサキ”へ追い打ちをかけるように“行成”が
助けに入り、彼女の想いもより深くなっていきます。彼女もまた好意を寄せている男子の
気持ちも知らないで、という似た者同士な様子を見せるのが面白くて、そして切なくて。

やがて来る決定的な瞬間を前に不安や不満など気持ちが押さえられなくなった“マサキ”。
受験を乗り越え、卒業式を間近にした彼女が意外な形で様々な人たちの感情に触れていく
場面の一つ一つが胸に刻まれていくかのようでした。その間に彼がいないだけ、余計に。

亡き父が残した月の石、そして「静かの海」というキーワード。時間や距離という概念を
超えて結びつく「誓い・約束」は必ずしも果たされるとは言えませんが、2人の出会いが
この先「人を好きになる」ことへの可能性を感じる一助になることを願って止みません。

posted by 秋野ソラ at 00:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年06月15日

『魔王を倒した俺に待っていたのは、世話好きなヨメとのイチャイチャ錬金生活だった。』

かじいたかし 先生が贈る新作は、倒した魔王の力を受け継がされたことで世を追われた
勇者が身を隠して出会った錬金術師の少女によって生活を一変させていく顛末を描きます。
(イラスト/ふーみ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/789.html


錬金術師“ヨメ”は森の中でモンスターに襲われている所を通りがかった青年“イザヤ”
に助けられる。近くに隠棲するという彼に接触したことで魔力が増大したことに気付いた
彼女が問いただすと彼は驚くべき事実を明かす。興味が沸いた彼女はある提案をする──。

魔王に押し付けられた魔力が活用できる、と気付かせてくれた“ヨメ”と持ちつ持たれつ
の関係を結んだ“イザヤ”。彼を甲斐甲斐しく世話する彼女の言動はまさに嫁のようで、
これが実に可愛い。仕事上のパートナーという割には姉に嫉妬してみたり、とかもうね。

共同生活を営む“ヨメ”へのやっかみから勝負を挑んでくる同業の“マリーゴールド”。
彼女の登場を機に、ひとりじゃないということは素敵なことだということを印象づけて
くる話運びに心が温まります。“ヨメ”が酒で次々に失敗してくれることを期待します。

posted by 秋野ソラ at 00:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年06月14日

『魔術破りのリベンジ・マギア 4.絶唱の歌姫と魔女たちの祭宴』

子子子子子子子 先生が贈るハイエンド魔術バトルアクション。第3巻は魔女学園に戻った
“晴栄”たちが季節の祭典でエキシビションマッチに臨むなど、お祭り騒ぎを楽しみます。
(イラスト/伊吹のつ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/787.html


「バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさん」こと ねこます 氏とも本編でコラボする
あたりは時代というか、界隈の勢いを感じます。まぁ、“狐狼丸”カワイイですからね。
冒頭で“晴栄”に釘を刺した監査官“ヴェロニカ”からの忠告も吹き飛ぶというものです。

“鴨女”の攻勢、“フラン”との再会、“露花”の転入と“晴栄”を囲む女性陣に羨望の
眼差しを向けたくなる中で、新たに「七虹の魔女」の一人“シナトラ”に目をつけられる
訳ですが……大丈夫かこの学園、という一面をも見せつけてきます。考えた先生すごいわ。

共感覚に関する相談に乗ってもらう“シナトラ”からの願いで特別実演をすることになる
“晴栄”が、その意外な戦い方に対してお祭りらしいスタイルで応じる場面が盛り上がり
を魅せます。それぞれの奏でる音色が楽しい青春の色に染まることを願って止みません。

posted by 秋野ソラ at 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年06月13日

『戦うパン屋と機械じかけの看板娘〈オートマタンウェイトレス〉 8』

SOW 先生が贈る街角パン屋繁盛記。第8巻はワイルティア国内に混乱の火種がくすぶる中、
“ルート”の店に“スヴェン”の父親だと主張する謎の人物が現れ周囲が騒然となります。
(イラスト/ザザ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/785.html


冒頭の意味深長な場面挿入が“ルート”たちや“ダイアン”らにどう直撃するか。続々と
降りかかる事件の先に見える「悪魔」や「聖女」といった存在が物語をどうかき回すのか
注目が集まります。今のところ、巻き込まれる方はたまったものではない感じはしますが。

“ルート”も知らないパン作りの知識も活かして彼の店に厄介となる“マイッツァー”が
これまた“スヴェン”も手を焼く曲者で。興味津々な二人のやり取りを注意深く見守る中、
“レベッカ”が思いがけず役得に恵まれるシーンに今巻では一番救われる思いがしました。

思わせぶりな“マイッツァー”が、“ルート”と“スヴェン”に見て見ぬふりをしていた
事実と向き合うきっかけを与え、そして二人がそれを再認識する……余裕もなく騒々しい
3日間の終わりと、未曽有の経験をもたらす9日間の始まりを告げる引きが気になります。

posted by 秋野ソラ at 01:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル