2020年01月01日

『董白伝〜魔王令嬢から始める三国志〜』

伊崎喬助 先生が贈る新作は三国志の世界観を舞台とした覇道ファンタジー。男性会社員が
気がつけば“董卓”の孫娘に転生しまった、その現実からどう生き残るかを描いてきます。
(イラスト:カンザリン 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518252


機嫌が悪いと口調を荒げる悪癖が元で会社を解雇された“ささね”。彼が入れ込む三国志
ソシャゲで評判の占い師に神引きすると導かれ、ガチャで引いたのは弱キャラの“董白”。
気付けば占い師に意識を奪われ、しかもその世界で先ほどのキャラに転生していて──。

富と権力をほしいままに悪逆非道の限りを尽くす“董卓”。いつ殺されてもおかしくない
祖父に巻き込まれるのを避けるため国外逃亡を図る“董白”が、意図せず彼の覇道を担う
顛末が面白い。人生を棒に振った悪癖が転生先の世界で鍵を握ることになるのも興味深い。

いわゆる「三国志演義」を知っていると更に実感できるかと思いますが、各武将のキャラ
設定にも驚かされるのではないかと。いずれもクセが強いし、裏がありそうなのも要注目。
命だけでなく貞操も守れるのか、“董白”としての生き様、その行方が楽しみな作品です。

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2019年12月31日

『榮国物語 春華とりかえ抄 六』

一石月下 先生が贈る男女逆転中華譚。第6巻は“春蘭”と“春雷”、それぞれの関係者が
2人の入れ替わりに気付き始めた中、政敵“玄瑞”が謹慎を解かれ再び立ちはだかります。
(イラスト:ノクシ 先生)

https://lbunko.kadokawa.co.jp/product/shunkatorikae/321908000505.html


“春雷”の秘密を知った“莉珠”の過剰な反応にニヨニヨしたくなる場面ですが、2人の
様子の変化を訝しむ“杏子”の言動が実にもどかしい。彼女から相談を受ける“紫峰”も
察するところはあるようで“春雷”が身の振り方を考え直す時は近付いていると見るべき。

“春蘭”は相変わらず“海宝”の心を惑わせる才を存分に発揮していて彼には同情の念を
抱かずにはいられないワケですが、“子君”が両者と浅からぬ縁を見せつけてくるあたり
心労の種が尽きません。こちらも気付きを得たようなのでそろそろ報われてほしいところ。

“玄瑞”との対決は“春蘭”が思いがけず得た秘策をもとに繰り広げられる法廷劇が熱く、
更にある人物からの陳情で両陣営の考えもつかない結末を迎える展開が面白くて切なくて。
“春蘭”と“春雷”が秘密を明かされる時の迫るこの局面をどう乗り越えるか楽しみです。

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2019年12月30日

『塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い』

猿渡かざみ 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。愛想のない美少女“佐藤”さんの
本当の姿を知った少年が抱く恋心の行方を両者の視点から綴る、両片思い青春ラブコメです。
(イラスト:Aちき 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518238
https://ncode.syosetu.com/n1912fp/


男子高校生“颯太”はアルバイトするカフェでパンケーキの写真を真剣に撮る、見慣れた
美少女の姿を目にする。彼女こそ知る人ぞ知る「塩対応の佐藤さん」。ナンパされている
ところを助けた彼が詳しい事情を聞いてみると、実に思いも寄らぬ答えが返ってきて──。

スマートに助けたような素ぶりの“颯太”は「佐藤さん」のことが好き過ぎてこの機会を
逃したくないと張り切る一方、彼女はというと彼のことを少なからず想っていて。すでに
カップル成立秒読み段階の心情を踏まえたこそばゆいやりとりが見ていて萌え転がれます。

そんな急接近を見せる2人ですが、彼女の家族関係がもたらす高い壁の発生で“颯太”の
気概が試される展開は良い切り返しになっています。興味深い結末を迎えるのも見どころ。
彼女の妹“凛香”が抱えたあの気持ちをどう清算できるのか気にしつつ、次巻を待ちます。

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2019年12月27日

『本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜第四部「貴族院の自称図書委員9」』

TVアニメ第2部の放送が決定した、香月美夜 先生が贈る大人気ビブリア・ファンタジー。
第四部最終巻は“フェルディナンド”を送り出す“ローゼマイン”たちの想いに触れます。
(イラスト:椎名優 先生)

https://tobooks.shop-pro.jp/?pid=145305091


聖典が盗まれたことに気付く“ローゼマイン”の愛着ぶりもさることながら、真贋すら
見極めてしまう様子は相変わらずの脱帽ぶり。それにしても“ダールドルフ”子爵夫人の
家族への迷惑も省みずに「そこまでやるか」という覚悟の示し方が腹立たしいほどに潔い。

こんな不穏な雰囲気のまま、アーレンスバッハに“フェルディナンド”を行かせてしまう
“ローゼマイン”の切なさが読み手にもひしひしと伝わってきます。エーレンフェストを
彼女に守ってほしいと気遣う彼の想いは親心として捉えていいのか、今後が気になる所で。

そんな“ローゼマイン”に対し“ヴィルフリート”は本当に何も感じていないのであれば
と思うと何とも不甲斐ない限りで。“ゲオルギーネ”と“ジルヴェスター”の優劣も今後
問われそうな不安要素も含め、第五部で彼女はどう振舞っていくのか。期待しておきます。

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2019年12月26日

『後宮妃の管理人 二 〜寵臣夫婦は悩まされる〜』

廣本シヲリ 先生によるコミカライズが早々に決定した、しきみ彰 先生が贈る後宮物語。
第2巻は珀家と犬猿の仲である郭家の“徳妃”に“優蘭”がどう対処するかを描きます。
(イラスト:Izumi 先生)

https://lbunko.kadokawa.co.jp/product/kanrinin/321908000506.html


後宮、宮中の人員補充を目的に行われる「秀女選抜」に主催者の一員として“優蘭”らに
割り込んできた“徳妃”。むき出しの敵意はあからさまだが筋は通す、という隙を狙って
上手くあしらおうとする強かさは流石“優蘭”という所ですが一筋縄ではいかないワケで。

“皓月”も郭家との確執の煽りを受け、妻を侮辱されて堪忍袋の緒を切ったあの一幕には
強い愛を感じました。その後も“徳妃”との大事な駆け引きの場面で絆を確かめ合う場面
など“劉亮”も思わずからかいたくなるほど仲睦まじさを見せつけてきて思わずニヨニヨ。

どこか突っかかりを覚える“慶木”の行動にどんな裏があるのか。「秀女選抜」の成功に
影を落とそうとする陰謀に対し、「後宮妃の管理」に意味を見い出した“優蘭”が意外な
落とし所を招く展開も面白い。夫婦がどう後宮をまとめていくのか、引き続き見ものです。

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2019年12月25日

『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか ファミリアクロニクル episodeフレイヤ』

大森藤ノ 先生の大人気作品、その物語を補完していく「クロニクル」シリーズの第2弾。
理想の伴侶を求め“フレイヤ”の発作に振り回される眷属たちと少女の昔日を描きます。
(イラスト:ニリツ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815604646.html


「私の伴侶はどこにいるのかしら?」眷属たちが呆れるのも他所に主神“フレイヤ”が
向かった先は砂漠世界。そこで彼女の美貌に抗う一人の奴隷少女に目を奪われる。彼女の
名は“アリィ”。何やら訳ありな少女の行方を見届けようと彼女は付きまとい始める──。

“フレイヤ”の自由奔放な振舞いを見て“アリィ”が声を荒げるのも分かる一方、眷属の
“アリィ”に対する厳しい評価も納得がいくというもので。甘ったれた、覚悟が足りない
少女の魂を輝きをより真なる形に近づけようとする神の戯れが興味深く、そして面白い。

主神の気まぐれに付き合わされる8人の眷属が、砂漠世界で巻き起こる伝説を作り上げる
その一部始終に圧倒されると共に、オラリオという地が特異点なことが再確認できる逸話。
“フレイヤ”の真の望みを叶えるに足るか否か、かの人物の成長が一層楽しみになります。

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2019年12月24日

『きれいなお姉さんに養われたくない男の子なんているの?』

柚本悠斗 先生が贈る新作は年の差ラブコメディ。思いがけず年上女性と同居生活を始める
ことになった男子高校生の受難の日々をコミカルに、時にはシリアスを交えて描きます。
(イラスト:西沢5_ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815603298.html


戦場ジャーナリストを父に持つ“瑛太”。何度となく行方不明になる父親が元でバイト先
を追われ家も追われ、と路頭に迷う彼を救ってくれたのが店の女性常連客“沙織”。謎の
多い彼女から専業主夫になってほしいと言われて、なし崩し的に共同生活を始めるが──。

コンシェルジュ付きのマンションで最上階に住む“沙織”の羽振りの良さ、お手伝いさん
すら匙を投げるほどの片づけられない系女子ぶり。“瑛太”を求めるのも得心がいく一方、
倒錯が過ぎるほど彼を養いたいという彼女の熱意に、彼共々たじろぐのは言うまでも無く。

世間がで見ればあまりよろしくない共同生活に対し、次第にほだされた“瑛太”ができる
ことは何か。“沙織”が彼の親代わりにできることは何か。彼女の謎と共に魅せる話運び
は楽しく読めましたし、挿絵に 西沢5_ 先生を選んできたのも絶妙。次巻に注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル