2017年04月18日

『明治あやかし新聞 怠惰な記者の裏稼業』

さとみ桜 先生の「第23回電撃小説大賞・銀賞」受賞作。幼馴染の友人が奉公先から暇を
出された原因となる妖怪記事を書いた記者に押し掛けた女性が結ぶ奇妙な縁を描きます。
(イラスト/銀行 先生)

http://mwbunko.com/978-4-04-892676-8/


「で、そのふざけた記事がどうかしたのかな?」記事を書いた“久馬”の悪びれもしない
態度に怒りをあらわにする“香澄”。だが事情を突き詰めるとむしろ友人を助けるための
記事であったと知り、元凶たる奉公先の主人を懲らしめる手助けの乗り出すのだが──。

役者崩れの“艶煙”と共に妖怪の逸話をネタと小新聞を武器にある時は人助け、ある時は
悪者を懲らしめる展開がまず面白い。何度も手を貸す“香澄”が“久馬”の食えない言動
を前にして少しずつ彼への印象を変えていく機微の描写もポイント。絶妙な距離感です。

そんな“久馬”の従妹が神隠しに遭っていた、と知る“香澄”。その裏側にある彼の秘密
に気付いた彼女がある依頼をすることを決断した第四話の話運び。これがまた良かった。
妖怪記事がもたらした縁がどう変化していくのか、ぜひ読んで確かめてほしい作品です。

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2017年04月17日

-インフィニット・デンドログラム- 3.超級激突』

海道左近 先生が贈るVRMMOファンタジー。第3巻は〈超級〉同士の激突を目の当たりにする
“レイ”たちの陰で動く策謀や、彼らが垣間見ることのできない物語の数々に触れます。
(イラスト/タイキ 先生)

https://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/717.html
http://hobbyjapan.co.jp/comic/series/dendro/
http://ncode.syosetu.com/n5455cx/


ランキング1位の“フィガロ”と2位の“迅羽”。泰然として構える前者と不遜な態度で
応じる後者。両者の優劣が入れ替わるバトルがまず熱い。手に汗握るとはまさにこのこと。
話が動いているという局面にも関わらず、“レイ”たちの蚊帳の外な様子に思わず苦笑い。

元々の話の内容を踏まえて200ページ程度を迎えたところで中書きを挟み、外伝となる小編
3つで埋めてくる構成もまた面白い。中でも“マリー”に関するエピソードが今巻における
もう一つの見所と言ってもいい。別視点で語られる物語と共に彼女の魅力が伝わってきます。

今巻の帯で「ラノベニュースオンラインアワード」11月刊、1月刊における総合部門などで
1位を獲得したことに言及されていてとてもありがたい、と思っております。ウチも投票
した甲斐があるというもの。コミカライズも絶好調ということで続きも応援していきます。

posted by 秋野ソラ at 00:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年04月14日

『君に恋をするなんて、ありえないはずだった』

筏田かつら 先生の「小説家になろう」投稿作『眼鏡とあまのじゃく』を改題して書籍化。
非モテな根暗男子とモテ女なギャル、違いすぎる2人によるすれ違いラブストーリーです。
(イラスト:U35 先生)

http://tkj.jp/book/?cd=72702901
http://ncode.syosetu.com/n8486bk/


「結構かわいい」クラスメイトの“恵麻”を見てそう思った“靖貴”。ある日、資料集が
必要になる授業でそれを彼女が忘れたと気づいた彼は「見ますか」と提案するもあっさり
無視される。辱められた彼女には二度と関わるものか、と彼は決めたはずなのだが──。

高校三年生の夏合宿、避け続けていた“恵麻”の困っている場面に出くわした“靖貴”が
声をかけてしまった所から彼女と関わりあう場面が増えていく。彼女の真意は何なのか、
そんな自分は彼女に対しどんな感情を抱くのか。二人の嘘と本音の交錯が実にもどかしい。

いつの間にか周囲からは「仲が良い」「付き合ってるんじゃないの」と噂される“靖貴”
と“恵麻”。それに合わせて「悪い噂」が浮かび上がり、巻き込まれてしまう“靖貴”。
うそつき少女がもたらす引きが凶悪すぎるので続きを早く出してください宝島社文庫さん。

posted by 秋野ソラ at 00:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年04月13日

『精霊幻想記 7.夜明けの輪舞曲』

北山結莉 先生が贈る異世界転生譚。第7巻は互いに良好な関係を築きたい“リーゼロッテ”
と“リオ”を内から外から揺さぶる存在、そして彼の宿敵と遂に相見えることになります。
(イラスト/Riv 先生)

https://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/715.html
http://hobbyjapan.co.jp/comic/series/seirei/
http://ncode.syosetu.com/n1094bz/


“リオ”のことに気づいた“クロエ”と、気づいたと思われる“フローラ”との距離感が
絶妙なもどかしさ。それが話の展開にも絡んでくるので、また上手い。彼の真摯で真摯な
対応を見た“リーゼロッテ”や侍女たちからの好感度もうなぎ登りで羨ましい限りです。

その一方で、相変わらず“弘明”は口だけで“リーゼロッテ”の思惑も読めず、やきもき
させられますし、“ユグノー”公爵に至っては血縁の恵まれなさは同情せずにいられない。
しかも与えた猶予が思いも寄らぬ窮地を呼び込むことになる、まさに泣きっ面に蜂状態。

アマンドへの逗留が裏目に出たと見るか、怪我の功名と見るか。“リオ”の厳しい一面を
目にすることになる場面と、それを受け止めるそれぞれ立場の反応が今巻最大の見せ場。
“美春”側にもしっかりフォローが入っていて、それが物語にどう左右するか注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年04月12日

『ホテル ギガントキャッスルへようこそ』

『戦うパン屋と機械じかけの看板娘〈オートマタンウェイトレス〉』の SOW 先生が贈る、
ファンタジー世界でホテルマンを目指し働く元騎士見習いの少女の成長を描く新作です。
(イラスト:桜木蓮 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/bookDetail/index/978-4-08-631177-9


傭兵団とは名ばかりのごろつきから家族の命を救ってくれた騎士に憧れ、村を飛び出し
騎士見習いになった“コロナ”。しかし軍縮の意向を受け路頭に迷う彼女は街で会った
男性に、紹介状と共にあることで有名なホテルがある巨人砦へ向かえと言われて──。

どんな種族の客も受け入れるホテル「ギガントキャッスル」で、ある客のおもてなしを
手伝うことになる“コロナ”が何の因果か最強のホテルマン“レイア”の厳しい指導を
受けて精一杯がんばる姿に思わず応援したくなるエピソードの数々が読んでいて楽しい。

最高経営責任者の“ホウオウ”、ホテルに現れる謎の少女“リディア”、“レイア”に
嫌がらせを仕掛ける“セディア”・・・と人間関係も把握しやくて読みやすさにも繋がって
いるかな、と感じました。“レイア”がちゃんと責任を取れるのか、見守りたい所です。

posted by 秋野ソラ at 00:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル