2019年10月14日

『横濱SIKTH ―けれども世界、お前は終わらない―』

イラストレーターの ニリツ 先生が「LINE文庫」にて作家としてデビューを果たす本作。
横濱を舞台に、異能力者たちが起こす事件に関わっていく少女の数奇な運命を描きます。
(イラスト:ニリツ 先生)

http://novel-blog.line.me/archives/18895179.html


行政特区として半独立地域となった横濱。両親を亡くした少女“セカイ”はナンパ男らに
絡まれているところを謎の美少年“まぜる”に救われる。ゲバブサンドを手に身の上話を
しているとその店に現れた異様な太さの右腕を振るう男から2人共、追われる羽目に──。

同人誌に収録された喫煙娘のイラストから、ここまで読みごたえのある異能ものが書ける
ニリツ 先生には驚嘆するしかない。「シックス」と呼ばれる能力を悪用する厄介者たちを
排除する「掃除屋」との出会いが“セカイ”の人生を変えていく顛末は興味深く、面白い。

“まぜる”の保護者である“竜眼寺”が見せる突然の敵対行動に驚かされた上に、それを
超える横濱という場に潜む思惑、何より彼に課せられた役割が気になり続きが待ち遠しい。
見事なデビューを飾った ニリツ 先生の、作家としての躍進も期待します。オススメです。

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2019年10月11日

『EDGEシリーズ 神々のいない星で 僕と先輩の惑星クラフト〈下〉』

川上稔 先生が贈る、とある惑星の天地創造物語。1話下巻はテラフォーム遅延を指摘する
「神委」の監査に“住良木”や“先輩”たちが相対する様子、奇想天外な展開を描きます。
(イラスト:さとやす 先生(TENKY))

https://dengekibunko.jp/product/kamigami/321905000103.html


“雷同”たちが相対する“ビルガメス”が言及する「政治」の意味。相方同士の絆の深さ
を見せつける戦いぶりも見事ながら、上役たる“江下”との駆け引きはどこか抜けていて、
それでいて狡猾で。どう転ぶか目が離せない展開と“江下”の憎めないキャラが見所満載。

そんな“江下”が裁定の末に放つ槍がまさか“先輩”の秘密、そして権能を明らかにする
きっかけになるとは。更にロールバックを重ねる“住良木”が時系列も、記憶も、性別も、
そして岩屋の壁も超えて、己の弱さを卑下する彼女を選ぶと宣言しにいく過程が実に一途。

349ページの挿絵にある実に良い感じの目つきをした“先輩”のために、神々のいない星で
神話を作ろうと謳った“住良木”も熱いし、精霊を超える存在に神道の言霊がもつ威力を
見せつけた彼女の強さも圧巻。2人の幸せな日々がこの惑星で続くことを願うばかりです。

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2019年10月10日

『キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦7』

細音啓 先生が贈る王道ファンタジー。第7巻は強襲を掛ける帝国軍勢にネビュリス皇庁が
最大の窮地に陥る中、“イスカ”と“アリス”が最悪のタイミングで再会の時を迎えます。
(イラスト:猫鍋蒼 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/201705kimitoboku/321901000623.html


白夜の魔女“グリューゲル”の執拗な追撃から必至に逃れる“シスベル”たち。その裏で
“タリスマン”と“イスカ”、“キッシング”と“冥”、“仮面卿”と“璃洒”など対峙
しては力比べを繰り広げる激戦模様。しかし趨勢は「魔女狩り」の章題が指し示す通り。

女王“ミラベア”と帝国騎士“ヨハイム”の一騎打ちではこれまた衝撃の事実を前にして
文字通り油断大敵で皇庁は遂に陥落。そこで“イリーティア”が示した意外な行動がまた
彼女の抱く闇の深さを感じさせ、“アリス”も翻弄されてしまうワケです。悲しいことに。

超越の魔人“サリンジャー”が刹那に独白する胸に秘めた過去。繰り返してしまう歴史を
“イスカ”は止められるのか。望まない戦いの行方は切なくも安堵するものがありました。
さらに続く異変を前に“シスベル”、そして“アリス”たちは立ち向かえるか、注目です。

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2019年10月09日

『処刑少女の生きる道(バージンロード)2 -ホワイト・アウト-』

佐藤真登 先生が贈るファンタジー作品。第2巻は港町リベールにある世界四大人災の1つ
「霧魔殿」に向かう“メノウ”と“アカリ”を思いがけない悪意と衝撃の事実が襲います。
(イラスト:ニリツ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815603939.html


3つに分かれたこの世界の身分階級、そこからの逸脱を図る団体「第四(フォース)」。
港町の教会を与る“シシリア”司祭から“メノウ”たちが旅費を提供してもらう代わりに
こなす依頼はその団体員が「魔薬」を使い起こした事件に対応してほしい、というもの。

第二身分という立場にありながら「第四(フォース)」を統率する“マノン”に辿り着く
までの間に“アカリ”は不穏な動きを見せますし、“アーシュナ”も突飛な場所から登場
したりと“メノウ”の苦労は絶えません。“モモ”は相変わらずな感じで安心しますけど。

「魔薬」の生産拠点を潰し、“マノン”と対峙する段になって現れる黒幕の圧倒的な強さ。
そして黒幕が告げる“アカリ”の「時」の力がもたらした異変や、様々な可能性の示唆。
彼女たちの決意を改めて問いかけつつ、それ以上の脅威が迫る引き具合。次巻も注目です。

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2019年10月08日

『ファイフステル・サーガ4 再臨の魔王と女神の巫女』

師走トオル 先生が贈る王道戦記ファンタジー。第4巻は司教領の内紛に巻き込まれ奮起を
図る少女“ヘンリエッテ”を巡り“カレル”そして“コルネリウス”が手を差し伸べます。
(イラスト:有坂あこ 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/201804saga/321903000066.html


権力を笠に着て私腹を肥やす“メルヒオール”大司教。彼が暗殺したと噂される前大司教
“マルテン”の一人娘“ヘンリエッテ”を内戦を治める立役者として推す場面で殺される
夢を見た“カレル”。“ギルセリオン”も暗躍するかの地に赴く彼の所業はまさに無謀。

大司教の魔手から“ヘンリエッテ”を守る堅物の修道騎士“ノルベルト”。強さと信用に
足る人物を求め、彼が辿り着いたのは“コルネリウス”。婚約という形で大司教を目指し
旅する2人のソリの合わなさはどこか滑稽でありながら心温まる場面もあって実に面白い。

殺される運命を乗り越え、“メルヒオール”を陰謀を暴く“カレル”。情に弱い少女の
決意を実現させるため大人としての義務を果たす“コルネリウス”。共に魅せられました。
“ヴェッセル”の秘密に気がついたかと思えばあの引き具合。続刊、頼みますよホントに。

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2019年10月07日

『妹さえいればいい。13』

平坂読 先生が贈る大人気青春ラブコメ。第13巻は新興の出版社ブランチヒルに就職して
プロの編集者となった“京”の生活を中心に“伊月”たちの変わりゆく日常を描きます。
(イラスト:カントク 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518085


TRPGサークルに所属した“千尋”がオタサーの姫と化したのをさりげなく諫める“春斗”。
彼女が抱く冷めることない“春斗”への恋心を知り、彼からの思慕も受け止めた“京”が
出した仕事優先の結論。その相手となるあの作家“和泉”の扱いは考えさせられるものが。

ブランチヒルから“和泉”の新作を出すにあたって彼がごねる描写は「何言ってんだ」と
思いがちですが、彼が頑なな態度を取った要因が“京”側にもある点を“彩音”の言葉を
借りて指摘する、コミュニケーションエラーの実例紹介としても秀逸な内容と感じました。

「主人公になりたい」。“伊月”が“那由多”のためだけに書いた小説は彼女だけでなく
“京”の心も動かし、そして広く世間の読者にも響いていく。作家として、一人の男性と
しても成功を掴む彼、更に彼の周辺は最終巻でどう纏められるのか、見届けたい所です。

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2019年10月04日

『レイジングループ REI-JIN-G-LU-P 6 告滅の蝕』

アドベンチャーゲーム「レイジングループ」のシナリオライター、mphibian 先生が自ら
小説版の執筆に臨む本作。芝村裕吏 先生の解説を受け、最悪の結末を見届けていきます。
(Illustration/影由 先生)

https://www.seikaisha.co.jp/information/2019/08/28-post-rl6.html


「おおかみ」としての役割を果たすために“橋本”をどう出し抜くか。これまで以上に
高度な情報戦を繰り広げ、死に戻りを繰り返す“陽明”。“かおり”の見事な殉死に加え
“春”の自死がもたらす理解を得てもなお「夢使い」という謎が壁となる物語の重厚さ。

夢が現実となる瞬間を目の当たりにして、何度でも死に戻る役割を担った本質を理解する
“陽明”がついに“千枝実”が抱いてしまった絶望に気付く。これがまた得心のいく話で
彼女が見せた数々の奇行も納得の一言。その上でエグさを見せつけるのも彼女らしさかも。

突然始まる座談会形式でのやりとりで、要点を押さえつつ次々と謎が明らかになっていく
話の流し方も構成として面白く、また読みやすくて親切。“陽明”が見せ続けた“悪癖”、
それを封じて“千枝実”に伝えると決めた「答え」をつまびらかにするその時を待ちます。

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル