2018年09月13日

『察知されない最強職2』

三上康明 先生が贈るファンタジー作品。第2巻はダンジョンからあふれ出たモンスターに
巻き込まれた村を見捨てようとする者、助けようとする者、各々の思惑と葛藤を描きます。
(イラスト:八城惺架 先生)

https://herobunko.com/books/hero59/8647/
https://ncode.syosetu.com/n5475dz/


“ラヴィア”の魔法がどれほどのものか調べつつ、彼女を助けた際の「アリバイ工作」が
有効に機能しているか探りを入れたり、入れられたりする“ヒカル”駆け引きが面白い。
今回の件に首を突っ込む“ポーラ”を気にかける彼にヤキモチを焼く彼女がまた可愛い。

皇国との戦争を優先するあまりギルドも高ランクの冒険者たちを村の対応に割けない中、
“ポーラ”たちが死地とも言える現場へ駆けつける様子を見て“ヒカル”が事態打開を
狙って単独でのダンジョンアタックに臨むあたりはいかにも彼らしくて思わず苦笑い。

黒と白の竜に“ヒカル”や“ラヴィア”が苦戦を強いられる中、“ポーラ”がある重要な
選択肢を迫られるのが今巻一番のポイント。ダンジョンの最奥で示されたアレももちろん
話の軸を握る鍵ではあります。“ポーラ”の選んだ道に過ちがなかったことに一安心です。

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2018年09月12日

『精霊幻想記 11.始まりの奏鳴曲』

コミカライズに続きドラマCD化が決定した、北山結莉 先生が贈る異世界転生譚。第11巻は
“貴久”と“亜紀”が起こした騒動を前に“雅人”たちがどう決断を下すのか、注目です。
(イラスト/Riv 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/800.html
https://hobbyjapan.co.jp/comic/series/seireigensouki/
https://ncode.syosetu.com/n1094bz/


事の顛末を知った“雅人”を前にあくまで理性的な対応をとる“リオ”、そして“美春”。
先々を見据えて頑張っていただけに、“雅人”にとって苦渋の決断だったのは少々切ない。
反省の色が薄い“貴久”に“沙月”が言いきってくれたのは救いのようで、空しくもあり。

今回の件で思い悩む“リリアーナ”や、爆弾発言を投げかける“シャルロット”。様々な
想いを置いて“リオ”が向かうのは“セリア”の実家。そこは“アルボー”公爵のむき出し
となった野心に身の危険を覚えた者たちの姿があったのだから驚きです。父の言動もですが。

思いがけず逃避行に手を貸すことになった“リオ”も、尾行を続けてきたアレの悪意などに
晒されて一筋縄ではいかない展開に力が籠ります。“瑠衣”の言動も見る限り「勇者」の
存在が少しずつこの世界を歪めていくのではないか、そんな予感を抱きつつ次巻を待ちます。

posted by 秋野ソラ at 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年09月11日

『理想の娘なら世界最強でも可愛がってくれますか?』

三河ごーすと 先生が贈る新作は終末学園ファンタジー。謎の寄生生物により地上を追われ
地下で再起を図る人類の希望となるやも知れぬ少女とその冴えない父親の日々を描きます。
(イラスト:茨乃 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/risounomusume/321804000082.html


人類唯一の地下生存圏「人類再生機構」。その要因となった胞子獣を駆逐する魔法騎士を
育む魔法騎士学園に首席入学した“雪菜”はSランクの持ち主であり、父親の“冬真”に
べったりでもあることから色々と注目を集める少女。学園生活に不安が否めないが──。

“冬真”に思う所ある“カチュア”。彼女の娘で“雪菜”をライバル視する“セリカ”。
そこに父娘に助けられた“アレイナ”や何やらいわくありげな“黒子”が加わって親離れ
できない娘の成長を追う、子離れできない親の姿を穏やかに見守れると思ったら大間違い。

突如現れたカルト集団、そしてSランク一人でも太刀打ちできない胞子獣の出現に困惑する
“雪菜”の哀しみと怒りの頂点から告げられたお願いが「終末世界」であることを嫌でも
再認識させてくれます。引きも穏やかではない雰囲気に包まれていて続きが気になります。

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2018年09月10日

『彼女のL 〜嘘つきたちの攻防戦〜』

三田千恵 先生が贈る新作は、嘘が分かる特異体質の少年と、彼が気に掛ける嘘をつかない
少女、そして嘘ばかりつく学校のアイドルが織り成す奇妙なトライアングルストーリーです。
(イラスト:しぐれうい 先生)

https://ebten.jp/eb-store/p/9784047352308


人の嘘が分かる、それ故に父との人間関係すらぎくしゃくしている“正樹”。彼は級友の
“川端”の話から、彼女の親友である“小林”を殺した犯人として心当たりのある“佐倉”
に探りを入れることに。思わせぶりな彼女からは「絶対言わない」と強く言われるが──。

嘘をつくのが嫌いな“正樹”。嘘をつきたくない“川端”。いつも嘘ばかりつく“佐倉”。
その信条に至った背景がしっかりしているだけに“佐倉”がさも悪者のように映りますが
「“川端”が“小林”を殺した」という噂が出回ることで状況は大きく揺らいでいきます。

やがて“小林”が抱えていた嘘に辿り着くことで、“正樹”も“川端”も嘘との向き合う
姿勢に変化が現れ、成長を垣間見ることができる描写の数々と話の結び方はお見事と言う
しかなく。しぐれうい 先生の表紙のインパクトや挿絵の演出も上々でお薦めの一作です。

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2018年09月07日

『じゃがトマ警察の生理学』

頒布早々に完売という伝説を残した『作家軽飯』に続きカルロ・ゼンさん、蝉川夏哉さん、
津田彷徨さんが贈る「コミックマーケット94」の新刊は世にある助言者たちに言及します。
(イラスト:赤嶺明美 さん)

http://www.tasty-3.com/posts/4689615?categoryIds=1019327


作品への指導という名の愛なき批判に対して創作者たちはどう向き合うべきか。筆を折る
ことのないように「じゃがトマ警察」を分析し、対策を提示し、その先の可能性に触れる。
各々の文体とそれを活かすデザインで構成される内容は創作者のためになることうけあい。

また、創作物を消費者としてどう受け止めるべきか。襟を正したくなる思いに駆られます。
指南書のようなカルロ・ゼンさんの「殺し方」、じゃがトマ警察という存在に触れていく
蝉川夏哉さんの「症例報告」、論文調な津田彷徨さんの「治療戦略」、どれも興味深い。

奇しくも書きたい内容が被った本作、次回はぜひ蓄積された「作家軽飯」リストに基づく
新たな隠れ家に言及する話が読みたいところです。暁なつめさん提供のフリーペーパーは
迫りくる〆切を前にした心境と、合間に食べるメニューの「我関せず」感が絶妙でした。

posted by 秋野ソラ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 同人誌

2018年09月06日

『ヒトよ、最弱なる牙を以て世界を灯す剣となれ グラファリア叙事詩』

上総朋大 先生が贈る新作は戦記ファンタジー。人間より他種族が優位となった世界で奴隷
としてヴァンパイアの下で過ごす少年が、人が人として生きるための国作りを目指します。
(イラスト:細居美恵子 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321803001764


エーテルを操る能力を持つ人間の希少種である“ジノ”は、今やヴァンパイアに血を提供
するだけの存在。野心を抱く彼は、かの国の跡継ぎ問題で後れを取る“ヘネシー”に目を
つける。市井で酒に明け暮れると噂の彼女、彼と同じく只者ではない人物と見抜くが──。

“ヘネシー”をいわゆるパトロンとして貪欲に知識を吸収した“ジノ”が、彼女の領地を
次々と改革していく手腕や“ヴィオラ”や“ライバー”たちを手玉に取るやり口が見事。
その努力の影に、彼が野望を共に抱いた仲間との悲しい過去に苛まれる様子が痛々しい。

活躍に目をつけられた“ジノ”が対面した“ヘネシー”の父であり大公の威風とは真逆に
金の亡者たる兄の“ワーテイス”が次代を担うのかと思うと辟易する中、父の後継争いに
巻き込まれる“ジノ”たちがどう窮地を乗り越えるかが見所で、続きが楽しみな物語です。

posted by 秋野ソラ at 00:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年09月05日

『お前ら、おひとり様の俺のこと好きすぎだろ。』

凪木エコ 先生が贈る新作は青春ラブコメ。一人で過ごす時間を何より楽しむ男子高校生が
思いがけず校内の美少女たちにおひとり様ライフを脅かされることになる顛末を描きます。
(イラスト:あゆま紗由 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321803001768


独りが好き。そう思って憚らない“春一”は落ち着ける静かな場所を求めて校内を彷徨う。
とある筋から教えられた空き教室を見つけた彼は担任に咎められ、交換条件を提示される。
クラスの親睦会で幹事をする彼に追随してきたのがなぜか校内のアイドル“華梨”で──。

「独りってそんなにダメなことなんですか?」と嘯く筋の通った“春一”の言動が印象的。
「できない」のではなく「しない」というのがまたズルい。うらやまけしからんヤツです。
幹事をするのは友だち作りのためだ、と勘違いした“華梨”の振り回されっぷりが面白い。

“春一”にべったりな妹の“ゆず”や、何かと嗜好が合う“英玲奈”にも付き合わされて
独りの時間を奪われていく彼が、親睦会の幹事を務めることで変わる所、変わらない所を
見届けてみるのも一興かと思います。“華梨”の頑張りぶりもぜひ応援してあげて下さい。

posted by 秋野ソラ at 00:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル