2019年03月08日

『負けませんからと言い張る顔のいい女の子を、全力で屈服させる百合のお話』

みかみてれん さんのサークル「てれたにあ」によるコミックマーケット95の新刊。学園で
行われる人気投票を前に秘密の恋人関係を結んだ女の子2人が優劣を競い合う百合小説です。
(イラスト:未幡 さん)

http://unnamed.main.jp/teretania/


お嬢様学校で生徒からの投票によって選ばれる主役。その筆頭候補“彩良”にはライバル視
すべき“瑠衣”の存在が無視できない。そんな折、“瑠衣”から「恋人になってほしい」と
勝負を挑まれる。しかもキスまでされて。負けられない“彩良”は真っ向から受けるが──。

「百日百合」とは少し趣向を変えて、“彩良”からも“瑠衣”からも積極的に相手へと迫る
駆け引きがまず見どころ。そしてその駆け引きがかなり官能的なのも印象深く、攻めてるな
と感じられます。未幡 さんによって描かれる2人の絵が描写の数々に紐づいて悶絶モノです。

恋人関係となった“彩良”と“瑠衣”の勝負の行く末がどうなるかという展開だけではなく
なぜ“瑠衣”は“彩良”に対して「こんな勝負を挑んできたのか」という背景もしっかりと
明かしてくる点もぜひ注目していただきたい。安心して楽しめる百合小説です。オススメ。

posted by 秋野ソラ at 01:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | 同人誌

2019年03月04日

『女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合のお話2』

みかみてれん さんのサークル「てれたにあ」が贈る百合小説「百日百合」に続編が登場。
“絢”との関係を受け入れた“鞠佳”。誘い受けな彼女に想いを抱く女の子が現れます。
(イラスト:雪子 さん)

http://unnamed.main.jp/teretania/


イチャイチャするのもいいけど友達づくりもね、と“絢”にクラスメイトとの人間関係を
築いてもらおうと手を打つ“鞠佳”。その思惑をあっさり躱していく辺りは“絢”らしい。
“知沙希”と“悠愛”も瞬時に受け入れて肩透かしをくらう“鞠佳”もらしさを感じます。

アルバイトに精を出す“鞠佳”に対し突如“アスタ”が告げる女難の相。女の子が好きだ
と見抜いたアルバイト先の“冴”から思いがけず告白される“鞠佳”が悩んだ末に選んだ
相談相手“可憐”から“絢”の意外な一面が語られる場面はギャップが感じられて印象的。

“冴”の真意を目の当たりにした“鞠佳”が露にした感情。受け入れたからこそ、そして
見続けてきたからこそ、“絢”に対する想いの強さを示すことができたと推察するに難く
ありません。もちろん屈服百合としての絡みも前作に増して見どころ満載でオススメです。

posted by 秋野ソラ at 00:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 同人誌

2018年09月07日

『じゃがトマ警察の生理学』

頒布早々に完売という伝説を残した『作家軽飯』に続きカルロ・ゼンさん、蝉川夏哉さん、
津田彷徨さんが贈る「コミックマーケット94」の新刊は世にある助言者たちに言及します。
(イラスト:赤嶺明美 さん)

http://www.tasty-3.com/posts/4689615?categoryIds=1019327


作品への指導という名の愛なき批判に対して創作者たちはどう向き合うべきか。筆を折る
ことのないように「じゃがトマ警察」を分析し、対策を提示し、その先の可能性に触れる。
各々の文体とそれを活かすデザインで構成される内容は創作者のためになることうけあい。

また、創作物を消費者としてどう受け止めるべきか。襟を正したくなる思いに駆られます。
指南書のようなカルロ・ゼンさんの「殺し方」、じゃがトマ警察という存在に触れていく
蝉川夏哉さんの「症例報告」、論文調な津田彷徨さんの「治療戦略」、どれも興味深い。

奇しくも書きたい内容が被った本作、次回はぜひ蓄積された「作家軽飯」リストに基づく
新たな隠れ家に言及する話が読みたいところです。暁なつめさん提供のフリーペーパーは
迫りくる〆切を前にした心境と、合間に食べるメニューの「我関せず」感が絶妙でした。

posted by 秋野ソラ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 同人誌

2018年08月31日

『Everlasting』

藤村由紀(古宮九時)さんがコミックマーケット94で頒布された新刊。異世界から侵入する
異形らと戦う組織最強の少女と、彼女を支える幼馴染の少女を巡る数奇な運命を描きます。
(イラスト:白線 さん)

https://mypage.syosetu.com/141617/


人を喰らい、破壊の限りを尽くす異形の存在《鵺》から世界を護る者が集う「廃城機関」。
その組織で最高位を務める“亜貴妃”には守りたい日常がある。周囲から腫れ物のように
扱われる彼女に寄り添ってくれる幼馴染“メイ”と過ごす時間が何よりの救いだから──。

最強と呼ぶにふさわしい異能の力を持つ“亜貴妃”。その責任からしがらみも多い彼女が
敵に対して、そして組織内の仲間に対しても厳しい様子を見せるのとは対称的に、優しい
雰囲気を醸し出す“メイ”とのやりとりが実に印象的です。そこに裏があるとは露知らず。

「廃城機関」という組織が一枚岩ではない、という不遇さ。そもそもなぜ「廃城機関」と
呼ばれるのか。《鵺》が異世界から侵入してくる理由とは。すべてを知った“亜貴妃”が
結果をどう受け止めるのか。刹那の幸せに望む未来があることを願わずにはいられません。

posted by 秋野ソラ at 00:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 同人誌

2018年08月24日

『女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合のお話』

みかみてれん さんがコミックマーケット94で頒布された新刊。おしゃれにも十分気を遣う
イケてる女子高生が不用意な一言を境にあり得ないはずの道に落とされる過程を描きます。
(イラスト:雪子 さん カバーデザイン:ゆぞうに さん)

http://unnamed.main.jp/teretania/
https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=384302
https://amzn.to/2MYEl8C


バイトをクビになって欲しいバッグも買えない“鞠佳”は売春も軽々しく考える女子高生。
そんな彼女にクラスメイトの“絢”が100万円を突きつけて1日1万円で買うと言ってきた。
「女同士なんてありえない」という考えを翻すなんてありえない、と彼女は息巻くが──。

その気じゃない“鞠佳”が“絢”との勝負にどう負けていくのか、駆け引きの描写が絶妙。
徐々に距離感が近付いていく様子や、触れ合っていくあれこれとか攻めの姿勢が窺えます。
「誘い受け」とか言われちゃう場面とかもうね。落ちていく姿を見るのは実に良いもので。

もちろん“鞠佳”が落ちる展開を楽しむだけではなくて、なぜ“絢”が彼女に対して勝負を
持ち掛けたのか、この理由に触れていく流れにもご注目。勝負の行方を際立たせてくれます。
雪子さんのイラストもキャッチーで目を惹くものがあり、オススメするしかない一品です。

posted by 秋野ソラ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 同人誌