2023年05月04日

『ステラ・ステップ2』

林星悟 先生が贈る、代理戦争に費やされるアイドルたちの物語。第2巻は「鉄の国」に
所属するアイドルとなった“レイン”と“ハナ”が新たな場所で己の生き様を模索します。
(イラスト:餡こたく 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/sutesute/322212001140.html


“総帥”の判断が全てを左右する「鉄の国」。連れられて早速“ハナ”と離れ離れになる
“レイン”の狼狽する姿に不安を覚えずにはいられない。一方で怒りをむき出しにしつつ
彼女に「アイドル」へ戻ることを強いる“フレア”の心に在る炎に触れていく展開が見所。

“ハナ”は一人になろうが、場が変わろうが本来のアイドルとして振舞える「鉄の国」に
居る者からすれば異常者でしかない・・・はずなのにいつしか彼女に影響されていく様子を
指をくわえてみるしかない“フレア”の夢と現実が板挟みになる心理描写に圧倒されます。

理不尽に抗い続ける“レイン”と“ハナ”とは対照的に、追い詰められていく“フレア”。
見かねた“シズ”が切った「切り札」に驚かされた上で、「鉄の国」の意思へやるせない
思いが募るばかりです。夢物語と鼻白む彼女の鼻を2人が明かしてくれることを祈ります。

posted by 秋野ソラ at 00:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2023年05月03日

『死亡遊戯で飯を食う。3』

鵜飼有志 先生が贈る、デスゲームに興じる人々の生き様を描く物語。第3巻は40回目の
クリアを越えた“幽鬼”に〈キャンドルウッズ〉の殺人鬼を彷彿とさせる敵が迫ります。
(イラスト:ねこめたる 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/shibouyugi/322212001143.html


「ワンファインデイ」では“幽鬼”が“職人さん”と呼ぶ、彼女の体をメンテナンスする
人物の茶目っ気ぶりがまず面白い。彼女が彼の存在を重要視している点や、“藍里”との
再会で次なる「クラウディビーチ」に絡み合う因縁を匂わせる描写が、振り返ると絶妙で。

孤島のビーチで“幽鬼”が出会う7人のプレイヤー。誰が犯人で何が目的かも不明なまま
次々と起こる殺人を止められるか、“幽鬼”と共に推理しながら読み進めるのが楽しくて。
そこへ今に至るまでに培われた様々な関係性が解決の糸口に繋がるのが話として奥深くて。

“幽鬼”の師匠“白士”を知る“古詠”が話す内容が様々な鍵となる展開が印象深いです。
カンザキイオリ 先生、斜線堂有紀 先生、冬野夜空 先生が務める解説も本作を読み解く
ための参考となり、新鮮な目線を得た思いがします。不穏な引きを見せる続きも注目です。

posted by 秋野ソラ at 01:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2023年05月02日

『ロクでなし魔術講師と禁忌教典22』

羊太郎 先生が贈る超破天荒新世代学園アクションファンタジー。第22巻は“ジャティス”
との直接対決に臨む“グレン”が正義の魔法使いとは何たるか、その信念と向き合います。
(イラスト:三嶋くろね 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/201411rokudenashi/322202001188.html


“ジャティス”がなぜ“グレン”にこだわるのか。“フェロード”が抱えてきた脅威すら
一蹴する確固たる自信はどこからくるのか。彼の昔語り、“ナムルス”が伝える夢物語、
確固たる信念を持って生きてきた者たちの姿を見て一歩臆する“グレン”がまず物珍しい。

天空城だけが戦場ではない。残る者たちにも抗うべき敵がいる。そんな緊張感あふれる場
においてカマをかけられる“イヴ”がもう可愛いのなんの。彼女が素直な気持ちを示せる
瞬間が訪れるためにも最終決戦に臨む“グレン”たちの一挙手一投足に注目が集まります。

正義の魔法使い、そして絶対的な正義。すべてを見て、確かめた“ジャティス”が改めて
“グレン”たちをどう試し、見定めるのか。“システィーナ”“ルミア”“リィエル”が
示した覚悟に彼は応えることができるのか。クライマックスに向け次巻も目が離せません。

posted by 秋野ソラ at 00:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2023年05月01日

『王様のプロポーズ4 黄金の神子』

橘公司 先生が贈る新世代最強の初恋を描くファンタジー。第4巻は“アンヴィエット”が
はぐれ魔術師に追われる少女を救ったことで“無色”たちが謎多き騒動に巻き込まれます。
(イラスト:つなこ 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/202109propose/322210001356.html


硬派な“アンヴィエット”の隠し子問題に、憶測が飛び交う学園内の雰囲気がまず面白い。
彼にとっては面倒でしかない話が学園を非日常へと誘う展開の鍵を握る“スーリヤ”の謎。
血縁関係の無い彼女が、彼に関して妙に察しが良い理由を探りながら読むのが楽しい今巻。

一方で“無色”と“採禍”の置かれた状況を認識した“瑠璃”、三者三様の探り合いから
あれやこれやがバレないかとヒヤヒヤする流れ。そこにあの非日常で振り回される所から
“採禍”と“アンヴィエット”の確執、その訳に触れていく緊張感あふれる話運びに驚き。

シリアスでありつつもコミカルな要素は外さない。橘 先生の手に掛かれば世界の危機も
いつの間にか愛情がいっぱいの心温まる結末につながっていくのがすごい。変わらない
“無色”に呆れる“黒衣”の平常運転ぶりに安堵を覚えつつ、次巻を待ちたいと思います。

posted by 秋野ソラ at 00:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2023年04月28日

『二周目勇者のやり直しライフ2 〜処刑された勇者(姉)ですが、今度は賢者の弟がいるので余裕です〜』

田尾典丈 先生が贈るやり直しファンタジー。第2巻は誘拐された“ロモロ”が“モニカ”
の運命を左右する女傑、そして魔族との関係を見直す鍵となる者との邂逅を果たします。
(イラスト:にゅむ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/nisyume_hero/322212000650.html


暗殺者“リベラータ”にも物怖じしないどころか一計を案じる“ロモロ”の強かさは流石。
侍女長“ベルタ”が彼に惚れ込む“テアロミーナ”の変貌ぶりに内心で困惑するのも納得。
事の顛末を経てやり直す前の記憶を保持している誰かの可能性を示している点が興味深い。

大量に積雪した風景にはしゃぐ“モニカ”に対して、雪合戦を通じて姉が抱える問題点を
指摘する“ロモロ”の容赦の無さ。厳しい言葉の中に姉を案ずる優しさが感じられて良き。
姉の勇者の資質を探る彼が新たな恋の息吹を芽生えさせたり、と何とも罪作りな少年です。

“マブル”との再会から判明する、これから起こる魔族侵攻の裏側にある知られざる背景。
“モニカ”たちの次なる指針となるファタリタ王立校への入学、そこを目指すまでの顛末
からも感じる彼女が元いた未来との差異。“ロモロ”はどこまで対処できるのか注目です。

posted by 秋野ソラ at 02:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル