2018年09月17日

『魔法使い黎明期 劣等生と杖の魔女』

『ゼロから始める魔法の書』の 虎走かける 先生が、その世界観を受け継いだ新作を発表。
ウェニアス王国王立魔法学校の落ちこぼれに課せられた特別実習を巡る騒動を描きます。
(イラスト:いわさきたかし 先生 一部キャラクター原案:しずまよしのり 先生)

http://lanove.kodansha.co.jp/books/2018/9/#bk9784065132951


「魔女がいる村で、どんな形でもいいから魔法使いとしての実績をあげてほしい」学長の
“アルバス”からそう告げられた“セービル”は魔法学校で過去最低という成績の持ち主。
秀才の“ホルト”、獣堕ちの“クドー”、引率に魔女の“ロス”が加わり賑やかだが──

「ゼロの書」の閲覧が目的の“ロス”が実に自由闊達で、まず面白い。そこへ魔法使いに
なりたい理由が様々の特別実習生らが村までの旅を謳歌・・・できなくなる事件に見舞われる
所から話は少しずつきな臭くなってきます。この胡散臭い展開に期待が高まるというもの。

辿り着いた村で出会う“傭兵”や“神父”そして“ゼロ”のらしからぬ言動が生徒たちを
翻弄していく中で知らされる「特別実習」の真の意味。これは“アルバス”、えげつない。
種明かしの一幕にほっと安心した所で“セービル”たちがどんな成果を出すか楽しみです。

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2018年09月14日

『僕は君に爆弾を仕掛けたい。』

高木敦史 先生が贈る新作は学園謎解きラブコメディ。とある理由により仕掛けた爆弾を
見つけられた少年が、それを見つけた少女の言動に次々振り回されていく様子を描きます。
(イラスト:遠坂あさぎ 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/bokuhakiminibakudan/321805000440.html


テストで常に一位を取りながら保健室登校を続ける“小手毬”は七不思議に挙げられる
ほど謎多き存在。ある日、“胤森”先生を悪意から護るために爆弾を準備した“笹子”は
彼女にそれを撤去されてしまう。探りを入れてみると思わぬ舌戦を繰り広げる破目に──。

「犯人」を引きずり出せるか。“笹子”に対して勝負を挑む“小手毬”を軽くあしらう
つもりがとんでもない事実を突きつけられて完敗してしまう彼の油断。それが彼と彼女が
学園内の謎に首を突っ込む契機になるのが面白い。2人のこじらせ具合も相当なもので。

気難しい“小手毬”が抱く、学園の良くも悪くも「平和主義」な一面へのくずぶった憤り。
それがお気に入りとした“笹子”からの手痛いしっぺ返しで晒される、何ともはた迷惑な
痴話喧嘩をぜひ見届けてあげてほしい。そして2人の行く末を見守ってほしいものです。

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2018年09月13日

『察知されない最強職2』

三上康明 先生が贈るファンタジー作品。第2巻はダンジョンからあふれ出たモンスターに
巻き込まれた村を見捨てようとする者、助けようとする者、各々の思惑と葛藤を描きます。
(イラスト:八城惺架 先生)

https://herobunko.com/books/hero59/8647/
https://ncode.syosetu.com/n5475dz/


“ラヴィア”の魔法がどれほどのものか調べつつ、彼女を助けた際の「アリバイ工作」が
有効に機能しているか探りを入れたり、入れられたりする“ヒカル”駆け引きが面白い。
今回の件に首を突っ込む“ポーラ”を気にかける彼にヤキモチを焼く彼女がまた可愛い。

皇国との戦争を優先するあまりギルドも高ランクの冒険者たちを村の対応に割けない中、
“ポーラ”たちが死地とも言える現場へ駆けつける様子を見て“ヒカル”が事態打開を
狙って単独でのダンジョンアタックに臨むあたりはいかにも彼らしくて思わず苦笑い。

黒と白の竜に“ヒカル”や“ラヴィア”が苦戦を強いられる中、“ポーラ”がある重要な
選択肢を迫られるのが今巻一番のポイント。ダンジョンの最奥で示されたアレももちろん
話の軸を握る鍵ではあります。“ポーラ”の選んだ道に過ちがなかったことに一安心です。

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2018年09月12日

『精霊幻想記 11.始まりの奏鳴曲』

コミカライズに続きドラマCD化が決定した、北山結莉 先生が贈る異世界転生譚。第11巻は
“貴久”と“亜紀”が起こした騒動を前に“雅人”たちがどう決断を下すのか、注目です。
(イラスト/Riv 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/800.html
https://hobbyjapan.co.jp/comic/series/seireigensouki/
https://ncode.syosetu.com/n1094bz/


事の顛末を知った“雅人”を前にあくまで理性的な対応をとる“リオ”、そして“美春”。
先々を見据えて頑張っていただけに、“雅人”にとって苦渋の決断だったのは少々切ない。
反省の色が薄い“貴久”に“沙月”が言いきってくれたのは救いのようで、空しくもあり。

今回の件で思い悩む“リリアーナ”や、爆弾発言を投げかける“シャルロット”。様々な
想いを置いて“リオ”が向かうのは“セリア”の実家。そこは“アルボー”公爵のむき出し
となった野心に身の危険を覚えた者たちの姿があったのだから驚きです。父の言動もですが。

思いがけず逃避行に手を貸すことになった“リオ”も、尾行を続けてきたアレの悪意などに
晒されて一筋縄ではいかない展開に力が籠ります。“瑠衣”の言動も見る限り「勇者」の
存在が少しずつこの世界を歪めていくのではないか、そんな予感を抱きつつ次巻を待ちます。

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2018年09月11日

『理想の娘なら世界最強でも可愛がってくれますか?』

三河ごーすと 先生が贈る新作は終末学園ファンタジー。謎の寄生生物により地上を追われ
地下で再起を図る人類の希望となるやも知れぬ少女とその冴えない父親の日々を描きます。
(イラスト:茨乃 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/risounomusume/321804000082.html


人類唯一の地下生存圏「人類再生機構」。その要因となった胞子獣を駆逐する魔法騎士を
育む魔法騎士学園に首席入学した“雪菜”はSランクの持ち主であり、父親の“冬真”に
べったりでもあることから色々と注目を集める少女。学園生活に不安が否めないが──。

“冬真”に思う所ある“カチュア”。彼女の娘で“雪菜”をライバル視する“セリカ”。
そこに父娘に助けられた“アレイナ”や何やらいわくありげな“黒子”が加わって親離れ
できない娘の成長を追う、子離れできない親の姿を穏やかに見守れると思ったら大間違い。

突如現れたカルト集団、そしてSランク一人でも太刀打ちできない胞子獣の出現に困惑する
“雪菜”の哀しみと怒りの頂点から告げられたお願いが「終末世界」であることを嫌でも
再認識させてくれます。引きも穏やかではない雰囲気に包まれていて続きが気になります。

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2018年09月10日

『彼女のL 〜嘘つきたちの攻防戦〜』

三田千恵 先生が贈る新作は、嘘が分かる特異体質の少年と、彼が気に掛ける嘘をつかない
少女、そして嘘ばかりつく学校のアイドルが織り成す奇妙なトライアングルストーリーです。
(イラスト:しぐれうい 先生)

https://ebten.jp/eb-store/p/9784047352308


人の嘘が分かる、それ故に父との人間関係すらぎくしゃくしている“正樹”。彼は級友の
“川端”の話から、彼女の親友である“小林”を殺した犯人として心当たりのある“佐倉”
に探りを入れることに。思わせぶりな彼女からは「絶対言わない」と強く言われるが──。

嘘をつくのが嫌いな“正樹”。嘘をつきたくない“川端”。いつも嘘ばかりつく“佐倉”。
その信条に至った背景がしっかりしているだけに“佐倉”がさも悪者のように映りますが
「“川端”が“小林”を殺した」という噂が出回ることで状況は大きく揺らいでいきます。

やがて“小林”が抱えていた嘘に辿り着くことで、“正樹”も“川端”も嘘との向き合う
姿勢に変化が現れ、成長を垣間見ることができる描写の数々と話の結び方はお見事と言う
しかなく。しぐれうい 先生の表紙のインパクトや挿絵の演出も上々でお薦めの一作です。

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2018年09月06日

『ヒトよ、最弱なる牙を以て世界を灯す剣となれ グラファリア叙事詩』

上総朋大 先生が贈る新作は戦記ファンタジー。人間より他種族が優位となった世界で奴隷
としてヴァンパイアの下で過ごす少年が、人が人として生きるための国作りを目指します。
(イラスト:細居美恵子 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321803001764


エーテルを操る能力を持つ人間の希少種である“ジノ”は、今やヴァンパイアに血を提供
するだけの存在。野心を抱く彼は、かの国の跡継ぎ問題で後れを取る“ヘネシー”に目を
つける。市井で酒に明け暮れると噂の彼女、彼と同じく只者ではない人物と見抜くが──。

“ヘネシー”をいわゆるパトロンとして貪欲に知識を吸収した“ジノ”が、彼女の領地を
次々と改革していく手腕や“ヴィオラ”や“ライバー”たちを手玉に取るやり口が見事。
その努力の影に、彼が野望を共に抱いた仲間との悲しい過去に苛まれる様子が痛々しい。

活躍に目をつけられた“ジノ”が対面した“ヘネシー”の父であり大公の威風とは真逆に
金の亡者たる兄の“ワーテイス”が次代を担うのかと思うと辟易する中、父の後継争いに
巻き込まれる“ジノ”たちがどう窮地を乗り越えるかが見所で、続きが楽しみな物語です。

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2018年09月05日

『お前ら、おひとり様の俺のこと好きすぎだろ。』

凪木エコ 先生が贈る新作は青春ラブコメ。一人で過ごす時間を何より楽しむ男子高校生が
思いがけず校内の美少女たちにおひとり様ライフを脅かされることになる顛末を描きます。
(イラスト:あゆま紗由 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321803001768


独りが好き。そう思って憚らない“春一”は落ち着ける静かな場所を求めて校内を彷徨う。
とある筋から教えられた空き教室を見つけた彼は担任に咎められ、交換条件を提示される。
クラスの親睦会で幹事をする彼に追随してきたのがなぜか校内のアイドル“華梨”で──。

「独りってそんなにダメなことなんですか?」と嘯く筋の通った“春一”の言動が印象的。
「できない」のではなく「しない」というのがまたズルい。うらやまけしからんヤツです。
幹事をするのは友だち作りのためだ、と勘違いした“華梨”の振り回されっぷりが面白い。

“春一”にべったりな妹の“ゆず”や、何かと嗜好が合う“英玲奈”にも付き合わされて
独りの時間を奪われていく彼が、親睦会の幹事を務めることで変わる所、変わらない所を
見届けてみるのも一興かと思います。“華梨”の頑張りぶりもぜひ応援してあげて下さい。

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2018年09月04日

『ジャナ研の憂鬱な事件簿4』

酒井田寛太郎 先生が贈る日常系ミステリー。第4巻は“啓介”が事件と関わる姿を通じて
真実とどう向き合うのかを問いかける“真冬”が、その答えに対し彼の本質を見抜きます。
(イラスト:白身魚 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094517484


「金魚はどこだ?」では写真部がコンクールで金賞をとった被写体である金魚とその鉢が
無くなる事件に臨む“啓介”。部員の“玲”が置かれている境遇などを踏まえ真相に迫る
過程において、自身が「推理する」ということに対する葛藤に似た感情を抱くのが印象的。

「スウィート・マイ・ホーム」では“ユリ”の母が勤める介護施設で起こる騒動を巡って
“啓介”の推理は身を助ける「芸」になると評価する“真冬”と意見が決定的に分かれる
重要な話。白身魚 先生の挿絵が両者の意志を見事に演出しています。自惚れでしたなぁ。

「ジュリエットの亡霊」では幽霊を見たという“玲”の話を受け事の真相を探る“啓介”。
“真冬”が寄り付かなくなったジャナ研の雰囲気と意外な結末がもたらす一抹の寂しさは
気が気でない。加えてあの間の悪さ。“啓介”は己と向き合う暇があるのか気になります。

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2018年09月03日

『キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦5』

細音啓 先生が贈る王道ファンタジー。第5巻は“シスベル”を皇庁へ護衛することとなる
“イスカ”たちが彼女に向けられた悪意の数々、その周囲で暗躍する者たちと対峙します。
(イラスト:猫鍋蒼 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321804000870


“シスベル”から“イスカ”へのあからさまなアプローチに対し“ミスミス”や“音々”
そして“アリス”が黙っているワケがない。特に彼のことを「奪われるかも」と認識した
“アリス”の大爆発ぶりが今後を左右するかもしれない様子で思わずニヨニヨするところ。

皇庁では王女暗殺未遂事件が発生して“仮面卿”に嫌疑が掛かる事態に。その犯人を捜す
鍵を握るのが“シスベル”ということで、彼女の身を脅かす勢力がついに動き出す不穏な
空気は気になる展開。彼女もああいった形で襲撃されることになるとは思わないでしょう。

“イスカ”が“シスベル”を襲う新たな敵の存在に苦戦した、その理由から窺える得体の
知れない何か。それに輪をかけるかのように意味深長な感情を吐露する“イリーティア”
の真意と合わせて読めない部分に注目しつつ、次巻の三つ巴な戦争が楽しみでなりません。

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2018年08月30日

『子育て陰陽師 へっぽこアラサー男と狐と小さなお弟子さん』

真楠ヨウ 先生の「第5回富士見ラノベ文芸大賞・金賞」受賞作にしてデビュー作。有数の
見鬼眼だけが取り柄という陰陽師を訪ねた4歳の女の子がもたらす生活の変化を描きます。
(イラスト 紀伊カンナ 先生)

https://www.kadokawa.co.jp/product/321804000773/


「あのねサヤね、間宮のおじさんに言われてここの子になるの。」見ず知らずの幼女から
いきなり宣言されて困惑する陰陽師の“春明”とその式神“識”。元気いっぱいの彼女は
式神にも興味津々で・・・ということは彼と同じく「視える」能力者のようなのだけど──。

対称的に優秀な兄からの要請もあり“サヤカ”を引き取ることになった“春明”。見鬼眼
という能力の危うさについて説くも思うようにいかず、子育ての面からも“識”からは
ダメ出しの連続で“春明”のへっぽこぶりがコミカルな前半は楽しく読み進められます。

“サヤカ”との生活にも慣れてきた所で現れる彼女の親族。離れたくない彼女とは裏腹に
あっさり引き渡しを決める“春明”。それが思わぬ怪異を招いて後悔するあたりですとか
やるときはしっかりやる彼のシリアスさにご注目。新しい家族の姿を見守りたいお話です。

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2018年08月29日

『ソードアート・オンライン オルタナティブ クローバーズ・リグレット3』

渡瀬草一郎 先生が贈る、和風VRMMOを舞台とした「SAO」スピンオフ作品。第3巻は勢いで
お泊りイベントを発生させたりする“ナユタ”と“クレーヴェル”の本音に触れていきます。
(イラスト:ぎん太 先生 原案・監修:川原礫 先生)

https://dengekibunko.jp/product/saoa-clover/321804000341.html


風邪でお休みの“クレーヴェル”に代わって役目をこなす“リリカ”に対して嫉妬の念を
抱く“ナユタ”が可愛くて。くっつくまで秒読み、というそぶりを見せながらも言葉では
「そんなつもりはない」と意思表示をする彼女の真意が見えず彼同様、困惑するばかりで。

“ナユタ”たちと一緒にいることで“クレーヴェル”の張り詰めていた印象が和らいだと
口を揃えて発言する周囲の関係者。そこへ、ふっと沸いた彼の見合い話。その裏に見える
SAO事件の傷痕。その傷をもってしても二人の絆を分けるのが難しいのは得心がいきます。

社員の中でもレアキャラという“八鳥”が作り出した《思考出力》に、いわゆる「先」を
感じるのも良い趣向。更に思いがけない未来予想図まで描かせる、という効果をもたらし
実に心地よい終幕を演出してくれました。潜在的な願望が形になることを願うばかりです。

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2018年08月28日

『ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミンXIV』

宇野朴人 先生が贈るファンタジー戦記。 第14巻は帝国本土への侵攻を開始したキオカに
対して、そして“シャミーユ”の悲願に向けて“イクタ”が命を懸けた一手を仕掛けます。
(イラスト:竜徹 先生)

https://dengekibunko.jp/product/alderamin/321804000332.html


“イクタ”と“ジャン”、互いの考えを先読みする戦略の応酬がまず熱い。その中で出た
「イクタ・ドクトリン」が功を奏する様子に喜びつつ、少しずつ劣勢に追い込まれる帝国
に焦りを覚えます。“サザルーフ”の言動が絶妙な形でその情勢に拍車をかけていました。

帝国とキオカ、両国最大の戦いは“ミアラ”の想いも救われる形でまとまる・・・かと思えば
ついに「敗戦」処理が始まるワケで。“シャミーユ”の呪いを解くため“イクタ”が放つ
渾身の裏切りには胸を震わせるものが。“トリスナイ”もまた被害者という演出も同じく。

民主化する帝国の成長を願いながら“ヤトリ”の元へ旅立つ“イクタ”の潔さ。見たくも
あり、避けたかったとも思うあたり複雑な感情が胸の中をよぎります。願わくば彼の意を
汲んで“シャミーユ”が幸せになってほしい。そう思える幕引きでした。お疲れ様でした。

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2018年08月27日

『錆喰いビスコ2 血迫!超仙力ケルシンハ』

瘤久保慎司 先生の「第24回電撃小説大賞・銀賞」受賞作に待望の続刊登場。第2巻は場を
島根に移し“ビスコ”が自身の不死性を取り除くべく不死僧正なる人物の素性を探ります。
(イラスト:赤岸K 先生 世界観イラスト:mocha 先生)

https://dengekibunko.jp/product/bisco/321801000626.html


大宗教国家・島根。その拠点「出雲六塔」から6人の弟子たちに追い出された不死僧正
“ケルシンハ”の復讐劇に巻き込まれる“ビスコ”の胃を抜かれて大丈夫な体がまず凄い。
仙医“アムリィ”を連れての「経典」奪取競争、その苦戦ぶりに敵の強さを滲ませます。

“ミロ”も“ケルシンハ”に脳を侵食されたりと難しい局面を迎えますが、思いがけず
「錆」とは何か、「真言」の意味とは、という話の鍵を握る部分に触れることになって
ますます“ビスコ”とは違った方向に強さを見せていく場面の数々は注目と言えるかと。

最終決戦を前に明らかとなる“アムリィ”の不遇。そして摩錆天として猛威を振るう
“ケルシンハ”の強さ。まさしく神に抗うが如き“ビスコ”たちの戦いっぷりが熱い。
信念と信念のぶつかり合いは必見です。神に狙われる彼らの次なる物語に期待大です。

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2018年08月23日

『猫と竜 猫の英雄と魔法学校』

シリーズ累計10万部を超す、アマラ 先生が贈る竜と猫そして人間が紡ぐファンタジー作品。
第3巻は“クロバネ”と共に行く王子、“シロタエ”に教えられる少女が遂に邂逅します。
(イラスト:大熊まい 先生)

http://tkj.jp/book/?cd=TD285508
http://konomanga.jp/manga/nekoryuu
https://ncode.syosetu.com/s5614b/


魔法学校に何とか理由をつけて“ガリー”を行かせようとする“シロタエ”の苦労に同情
しつつ、それが思わぬ形で実を結ぶことになるとは苦笑い。彼女のやる時はやる姿をぜひ
見てあげてください。王子もなかなか見所がある、というか一筋縄では行かなそうですが。

ハチの巣を退治しに行ったつもりがクマと戦う破目になる“ヤジュウロウ”たちの男気が
溢れる一面もいいですね。その顛末を任された“猫竜”も「母の日」に翻弄されるあたり
変わらないと言えば変わらない。“母猫”も満更ではないようで堪能しているのも何より。

老雄猫“ポムポラ”が寿命を悟り、その瞬間を迎えるまでを描くラストの「終の寝床」が
また実に印象的で。猫だからこそ、というかこの世界観だからこそ感じ取ることができる
死生観のようなものが切なさを呼び起こします。これだから読むのを辞められないのです。

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2018年08月22日

『日常ではさえないただのおっさん、本当は地上最強の戦神』

相野仁 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。帝国で地上最強の異能を司る男が街で
最低ランクのベテラン冒険者として若い同業者たちを、ひいては国を護る様子を描きます。
(イラスト:桑島黎音 先生 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/wargod/321804000369.html
https://ncode.syosetu.com/n3740ei/


「その場しのぎのバル」と揶揄される“バル”は、知識と経験を活かし若き冒険者たちに
同行しては世話を焼く、人の良いおじさん。しかし家に帰ると帝国の最大戦力「八神輝」
の一人“ミーナ”が出迎えてくれる、彼自身もまた戦神と称される傑物の一人である──。

侮ることなかれ、と知る人からは一目置かれる“バル”が庶民暮らしを続ける中で国内外
における異変を嗅ぎつけながら力を振るう様子は見ていて気分が良いです。女性陣からの
関心も高く、実に羨ましい。“ミーナ”がだいぶべったりなのは心配したくなる所ですが。

冒険者としての一面ばかりで“バル”は本当に強いのか? とつい勘繰ってしまう思いを
突然現れる魔物たちの謎などお構いなしに一蹴してしまう場面が吹き飛ばしてくれました。
この先どんな敵が現れるのか、そして彼はどこまでその強さを見せつけるのか楽しみです。

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2018年08月21日

『魔王の娘だと疑われてタイヘンです! LV.1 剣士の娘にニラまれてます!』

姫ノ木あく 先生が贈る新作はファンタジー作品。世界を救った勇者が倒した魔王の城から
連れ帰った赤子を巡り、守りたい者たちと首謀者として疑う者たち、双方の思惑を描きます。
(イラスト:よう太 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797398144.html


魔王討伐から10年余り。冒険者育成の一面を担う学院で学ぶ“エリナ”は少々落ちこぼれ
でも元気いっぱいの女の子。その彼女を「監視してほしい」と依頼された大剣使いの少女
“カナーン”は学院へと赴く。魔王の娘な可能性が高い、という話を見定めるため──。

クラスメイトの“ペトラ”からちょっかいを受けたりする日々の中でもまっすぐに育った
“エリナ”の姿を見て、育ての親たる“リクドウ”の愛の深さと親バカぶりを感じます。
友だちになりたい、と近づく彼女を冷たくあしらう“カナーン”の不信感が際立ちます。

“エリナ”自身も知らない「何か」が色々あって、本当に魔王の娘なのか、という展開が
話を揺さぶってきます。また、女の子同士の友情がどう生まれ、育んでいくのか、それを
ぜひ確かめていただきたい。そしてニヨニヨしてほしい。そんな期待があふれる作品です。

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2018年08月20日

『りゅうおうのおしごと!9』

ドラマCD付き限定特装版が同時発売の、白鳥士郎 先生が贈る熱血将棋コメディ。第9巻は
“銀子”とのタイトル挑戦に臨む“天衣”の将棋に対する想いをいま一度掘り起こします。
(イラスト:しらび 先生)

https://ga.sbcr.jp/novel/contents/index.html#b05


まさに“天衣”のための物語。そして姉弟子へ繋がると期待される物語。「人魚姫」と
「エピローグ」を読み返すとその想いが強く心に残ります。茨姫の助言に失望した彼女が
挑戦者として、女流棋士として、そしてシンデレラとして成長を遂げた姿に圧倒されます。

幼い身に過大なプレッシャーを受ける“天衣”を師匠としてどう後押しするか悩みぬいた
“八一”の振舞いにも注目。あの墓前でも見せたその葛藤を“生石”との「捌き」の中で
見事に彼女への声援として昇華させた親心。棋風に乗せたその想いには泣かされるものが。

先日、第三期叡王戦第一局の観戦記を担当された先生のように、今回観戦記を初めて書く
こととなった“あい”。異なる視点で将棋を観ることにより将棋への気持ちを新たにした
彼女の成長にも期待したい所。あとコメディ部分も担ってくれてありがとうの気持ちです。

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2018年08月17日

『5分後に息をのむ 世にも不思議なストーリー』

木野誠太郎 先生、なみあと 先生、仁木英之 先生、針谷卓史 先生、美月りん 先生による
短編集シリーズ。ブラックユーモア、ファンタジー、感動、恐怖など様々な情景を描きます。
(イラスト:456 先生、水溜鳥 先生)

http://www.seitosha.co.jp/book/isbn-9784791627509.html


各先生方が5冊、その内 なみあと 先生だけ6冊、で計26の小編を収録した本作。分類は
児童書にあたります。文字が大きく、1つあたり10ページ程度でサクッと読める気軽さは
本を読むのに慣れるきっかけにも繋がりそうでまさに小・中学生向けなのもうなずけます。

息をのむ、ということで『トイレの近い花子さん』『棒打ち』のようにオカルティックな
恐さもあれば、事件性のある『家庭訪問』、救いのある『消えたハムスター』やその逆の
『白ゆき姫』、『青のサッカーボール』のように突拍子の無いものまで本当に色とりどり。

普段は長編の作品を拝読する作家さん方の「こんな作品も書けるんだ」と、意外な一面の
ようなものを感じられるのがアンソロジーの醍醐味。それを再認識させてくれた感じです。
特に なみあと 先生の作品に思い入れがあるので次につながる契機になればと願うばかり。

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2018年08月16日

『妹が泣いてるんで帰ります。 〜兄がデスマーチに巻き込まれた時、妹が取るべき10の対策〜』

三上ミカ 先生がTwitterで掲載していたイラストシリーズを 田尾典丈 先生がノベライズ。
ゲーム開発を巡り社畜生活を送る社会人たちとその妹さんによる愛と感動のラブコメです。
(イラスト・企画:三上ミカ 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/deathmarch/321804000083.html


ゲーム開発を請け負う会社でディレクターを務める“大輝”。プロデューサーの無理難題に
対応すべく残業を重ねることもしばしば。そんな彼に大切な妹の“優花”から電話が入り
今日も遅くなると告げると、隠し切れない涙声が。そう、今日は彼女の誕生日だった──。

十人十色な兄妹の関係を小編でそれぞれ描きつつ、それを繋げてゲーム開発の行方に触れる
構成で夢物語を堪能できます。・・・いや、実際に帰られたらと思うと虚しさが去来するので。
話の中で彼らが妹のために帰れるのも周囲の理解と協力があってこそなのは認識頂きたい。

三上ミカ 先生の描く仲睦まじい兄妹の微笑ましい様子を堪能してもらうと共に、ゲームを
開発するのにはプログラマーだけじゃない色々な人たちが関係していることを知ることが
できる導入本のような役割をも果たす本作。悶絶しながら楽しめることうけあいでしょう。

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル