2017年05月09日

『ノウ無し転生王の双界制覇』

藤原健市 先生が贈る新作は、魔法後進国の日本で他国の姫を救い魔力を失ったノウ無しの
元神童が、独学で学んできた魔法を駆使して苦境を覆していく逆転魔法ファンタジーです。
(イラスト:猫猫猫 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/bookDetail/index/978-4-08-631182-3


“ルナリア”王女暗殺事件を未遂に終わらせた“錬”は代償としてほぼ魔法が使えない身
となるものの、国立魔法技術学院に編入する機会を得る。編入早々やっかみを受ける彼を
救ったかつての王女から突如こう告げられる。「御身に、娶られに参りました」と──。

秘密があると公言する“錬”の同居人“紫音”。面識があると言うが彼には覚えのない
“アリス”。妹を見守る第一王女の“ソニア”と口には出さないが思う所ある第一王子
“カミル”。「敵」が自尊心あふれる“道長”に罠を仕掛けてくる辺りからが熱いです。

魔法を教えてきた“グロリアス”と共に“錬”が敵と立ち向かう、その最後の切り札を
“ルナリア”の秘密が担う展開も見事な演出。魅力的な魔方陣が描ける方を求めていた
ということで 猫猫猫 先生を選ばれたのも納得です。続きがあるなら読んでみたいです。

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2017年05月08日

『覇剣の皇姫アルティーナXII』

むらさきゆきや 先生が贈る覇道戦記ファンタジー。第12巻は“アルティーナ”と一触即発
の状況を迎えても余裕の“ラトレイユ”が新皇帝に即位し、新たな時代の流れを呼びます。
(イラスト:himesuz 先生)

http://ebten.jp/eb-store/p/9784047345423/


口絵の“レジス”があんな姿ではありますが、まずは嬉しい一面でした。第四軍は彼不在
だとここまで上手く回らないのか、と冒頭の挿話で改めて認識しました。悔しがるも次を
見据える“アルティーナ”に大役を預ける“ラトレイユ”が度量の大きさを見せつけます。

南部戦線へ向かうことになる“レジス”たちが帝国の情勢を整理する場面が今後の運命を
左右するかのようで興味深い内容で続きが気になります。そして、彼が生きていたことを
静かに、けれど心より喜んだ“クラリス”の機微が印象に残りました。彼女らしい挿絵も。

巻末収録の外伝は“ジェローム”が主役。圧倒的な劣勢下にある東部戦線の城塞都市で
死なないための「本気」を魅せてくれる彼の横暴ぶりが楽しめます。最後に“レジス”の
手玉に取られてしまうのも実に彼らしい、というか同情の念が。応援したくなりました。

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2017年05月05日

『友人キャラは大変ですか?2』

伊達康 先生が贈る名助演ラブコメ。第2巻は“一郎”に宿る彼そっくりの魔神“トウテツ”
や新しい奈落の使徒が出てきたり、で友人キャラの立ち位置が崩れる彼の苦難が続きます。
(イラスト:紅緒 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094516753


ということでラスボスになってしまった“一郎”の苦労も知らず“龍牙”萌えを熱弁する
“トウテツ”のおよそ魔神らしくない言動から大いに調子を狂わされる場面から始まり、
“魅怨”ほか“呪理”“忌綺”も居候として加わり見ている分には面白いことこの上ない。

更に“龍牙”たちの“一郎”に対する好感度も上がり続けて、エロい方向に物語を倒さず
何とか乗り切っていく彼の努力に思わず同情・・・しかけますが、うらやまけしからんのは
相変わらず。しかし、“杏花”からの相談が思わぬ真実と緊迫の局面を突きつけてきます。

ラスボスとして“龍牙”と戦わなければ引っ込みがつかなくなってしまった“一郎”が、
物語の第二部として、どう落としどころをつけようと決めたのか。その点を読んでご確認
いただきたい。“トウテツ”がオイシイ部分を持って行ったその先が気になるところです。

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2017年05月04日

『豚公爵に転生したから、今度は君に好きと言いたい2』

合田拍子 先生が贈る異世界転生ファンタジー。第2巻は王室から守護騎士選定試験の参加
要請を受けた“スロウ”が“アリシア”と共に向かう先でいわくつきの人物に出会います。
(イラスト:nauribon 先生)

http://www.kadokawa.co.jp/product/321611000764


盗賊団の問題を解決するのが試験内容。それに前のめりな“アリシア”があぶなかっしい
から同行する、という決意を隠して同道する“スロウ”。そんな彼の思いも知らず、一人
言動に振り回される彼女の様子が若気の至り感だらけでもどかしいやら、いじらしいやら。

その試験に関わるイケメンの王室騎士“セピス”が、アニメの中でとてつもない裏切りを
見せると知っている“スロウ”の警戒感たるや。“セピス”の過去も含めて止められない
流れか、という状況をある人物との出会いが原作を変えるきっかけを生む形になります。

この契機がいい意味で予想外の方向に物語を動かしてくれたな、という印象。口絵への
繋がりも「そういうことか」と思い知らされます。王室と公爵家の因縁も少なからず関係
してくる物語がラストで一気に影響力をもたらしそうで、どう続くのか気になる所です。

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2017年05月03日

『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア8』

大森藤ノ 先生の大人気シリーズ「ダンまち」のスピンオフ作品。第8巻は“ベート”の
一匹狼ぶりに嫌悪感を抱く「ロキ・ファミリア」の面々が、その理由に驚かされます。
(イラスト:はいむらきよたか 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797392340.html


永遠の別離を迎えてしまった“リーネ”に対しても「雑魚」だの何だのと罵倒してくる
“ベート”に“ティオナ”たちが怒りをあらわにするのも分かる、というもの。ただし
“アイズ”に誤解されてヘコむあたり裏があるのは察しが付くが序盤ではまだ不明瞭。

“ロキ”たちから暫しの暇を与えられた“ベート”が、アマゾネス“レナ”から猛烈な
アプローチを受けてから少しは変わるか、と思えばまだ全容は明かされず。死神の眷属
を突き止めようとする“ティオナ”たちがイチャつく二人を見て怒るのも無理はなく。

今回も「不治の呪い」に苦しめられる絶体絶命の局面で遂に“ベート”の誤解が解ける
展開と、あとがきで言及された北村編集長によって救われた命の顛末に胸をなでおろす
思いでした。ここのところ殺伐とした雰囲気が続いていたので本当に有難かったです。

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2017年05月02日

『レーゼンシア帝国繁栄紀 〜通りすがりの賢帝〜』

『うちの居候が世界を掌握している!』の 七条剛 先生が贈る新作は国家掌握ファンタジー。
苦学生がアルバイト先で皇帝になる!? さらに婚約者たちも押し掛け、てんてこ舞いです。
(イラスト:ゆきさん 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797391749.html


貧しい村育ちの“シュウ”は“老師”と呼ぶ爺さんに学問の大切さを教わり、託された夢を
果たすべく若くして上級学校で準教官となる。先生と呼ばれる身となったはずの彼が何故か
皇帝として身柄を確保される羽目に遭う。あの魔女のような少女と出会ったがために──。

アルバイトの募集要項に書かれた謎を解いたら皇帝になってしまった“シュウ”が、お飾り
ではない意外な機知を発揮する展開に惹かれました。“ファム”や“リレア”との世継ぎを
求められる立場に置かれてしまったことを、“シルフィ”が知る由もない話運びも面白い。

とは言え、やはり鍵を握るのは“ユーリス”。“シュウ”に身代わりをさせた理由は分かる
ものの、彼でないとダメな要因ですとか、まだまだ本心が見えてこないのが気になります。
ゆきさん 先生の挿絵も作風に合っている感じですし、新シリーズも楽しめそうな予感です。

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2017年05月01日

『ヒーローお兄ちゃんとラスボス妹 抜剣!セイケンザー』

約1年ぶりに「GA文庫」から 逢空万太 先生が贈る新作は地域密着型ヒーローコメディ。
悪の大首領となった妹からなぜかヒーローとなる力を与えられた兄が戦いに臨む物語です。
(イラスト:児玉酉 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797390735.html


謎の西洋剣が台座ごと発掘された街で双子の兄妹“奏斗”と“湊”はそれを引き抜いて
しまう。やがて彼女を王と呼ぶ騎士団が現れ、おもむろに「世界征服がしたい」と宣言。
止めようとする彼に妹はあるガジェットを渡し、「使い方は分かるはず」と言うが──。

悪の組織を立ち上げたかと思えば兄にはそれと戦うように願う、矛盾した“湊”の言動。
その原動力が色々な意味で話の鍵になる部分を軸に、細かくちりばめられたネタや伏線の
数々を見て 逢空万太 先生らしい作品が帰ってきた、と手放しに喜べる読了感が実に良い。

なんでヒーローと敵が仲良くなっているのか、とか気にしてはいけません。この不条理に
あふれた人間関係こそ、この物語を楽しむ要素の一つなのです。男の子がかわいく描ける
児玉 先生との相性も絶妙ですし、続刊が楽しみなシリーズの登場を心より祝う次第です。

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2017年04月28日

『おとぎの森の幼女姫』

「白好出版」の募集企画に応募した 時野つばき 先生の作品が登場。王位簒奪を狙う卿に
国を追われた姫を騎士とドラゴンが守り、取り戻す手助けをする「大人のおとぎ話」です。
(イラスト:今野隼史 先生)

http://blog.hakkoushuppan.co.jp/article/175392158.html


「ララ・リリア姫を我が妻に!」そう公言し王位継承だけを狙う野望卿“ジークフリート”。
最後の騎士となった“ギデオン”と共に黒い森へ逃げ込んだ姫は博識なドラゴン“スパイク”
と出会う。境遇を理解した彼と休戦し卿に立ち向かうことを誓う。そう「姫のために」──。

野望卿が姫と同じ7歳の少女を無差別に攫う外道ぶりを見せたから話は一気に動き出します。
卿に手助けする魔女“イーニス”が意外な人物と繋がりがあったり、卿の娘“ミーガン”は
感情を奪われながらも含みはあるようで、立ち向かう姫たちをあの手この手で阻んできます。

物語の基礎部分がJGCに起因するらしくTRPGっぽい雰囲気は確かにあるかと。“ギデオン”が
かつての仲間と対峙する場面と構成は特に印象に残っています。ド派手な空中戦もこの組合せ
だからこそ。最後まで「姫のために」尽くす彼らに読み終えた後も好感が持てる内容でした。

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2017年04月27日

『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました2』

2巻にして早々にコミカライズを決めた、森田季節 先生が贈る異世界転生スローライフ。
前巻の功績から褒章を授与される“アズサ”が魔王の城に招かれるまでの顛末を描きます。
(イラスト:紅緒 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797391763.html
http://ncode.syosetu.com/n4483dj/


村の祭に出て崇められるのも困るので、前日祭に「魔女の家」を出店する“アズサ”たち。
“ライカ”のウェイトレス姿、紅緒 先生グッジョブです。あまりにも忙しくて手伝いに
呼んだ「彼女」の有能さに驚き。そこで持ってこられたのが魔族褒章の話で、二度驚き。

“ハルカラ”の工場設立に伴って発生したトラブルの解決に臨んでみれば一人、魔王の城を
訪れてみれば想定外のバトルの果てにまた二人、と“アズサ”を慕う女の子が増えていく。
「人たらし」ぶりに拍車が掛かる中、彼女が原因で闘争が起こるのではないかと心配です。

そんな“アズサ”のスローライフを堪能するだけでなく、“ハルカラ”のやらかしぶりを
そこかしこで見ることができるのも今巻のポイント。巻末のおまけ話ではちょっといい話
も担当してくれますのでご注目。次巻もどんな盛りだくさんな内容になるか楽しみです。

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2017年04月26日

『オオカミさんとハッピーエンドのあとのおはなし』

2011年1月10日に完結巻が刊行された 沖田雅 先生の「オオカミさん」シリーズ。決着した
物語のその後を描く後日譚として新刊が登場。御伽学園の面々の幸せな話をご堪能あれ。
(イラスト/zpolice 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-869268-7/


6年も前の物語を今さら思い出せるのか、という不安は読み始めたらすぐ払拭しました。
“おおかみ”さんや“亮士”くんなど独特のキャラ、地の文の使い方・・・と色々懐かしく
それだけ好きな作品であったことを再認識。イラストも似た方をよく用意したものです。

ツンデレを極めた“おおかみ”さんのデレっデレぶりがまず凄い。「誰ですか」レベル。
これがめちゃめちゃ可愛い。その変貌ぶりに対する“りんご”の出歯亀ぶりにもご注目。
後日譚の軸の一つを担ってます。もちろんその他の面々が幸せを掴む挿話の数々も絶妙。

昨今、リバイバルブームの流れが様々な業界で見受けられる気がするので、ここらで一つ
続きの出ていないあれやこれや・・・な作品も出てほしいと思ったりする今日この頃。それは
余談として、幸せいっぱいの後日譚、堪能いたしました。先生、ありがとうございました。

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2017年04月25日

『ゼロから始める魔法の書IX ―ゼロの傭兵〈上〉―』

2017年4月10日よりアニメの放送が開始する、虎走かける 先生の大人気ファンタジー作品。
第9巻は大聖堂に辿り着いた“ゼロ”たちを待ち受ける衝撃の真実から話が動き始めます。
(イラスト/しずまよしのり 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-892824-3/


“ゼロ”たちに対する敵対心も和らいできた教会騎士団。彼らに伝えられた教会の真実が
これまた「どうしようもない」感を煽ってくる中、“主教”を絶対視する近衛騎士隊長
“オルルクス”が出張ってくることで教会に対する不審と不信がどんどん積もります。

でも当の“ゼロ”は考え事が頭から離れないようで、どこか上の空。“館長”の外界に
対する興味深々ぶりや、この前から続く“ジェマ”と“バルセル”の微妙な関係など、
いろいろな「距離感」が描かれる局面が多い、と感じました。もちろん“ゼロ”も含め。

意味深長な口絵の場面にどう繋がるのかな・・・なんて気軽に構えていたら、とんでもない
爆弾を落とされた気分を読了後に味わう破目に。先生自体がショックを受けている、と
言われてしまえばどうしようもありませんが、ここは信じて続きを待つしかありません。

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2017年04月24日

『読者(ぼく)と主人公(かのじょ)と二人のこれから』

岬鷺宮 先生が贈る新作は、擦り切れるほど読み返した大好きな本さえあればいい、という
少年が、その本に出てくる主人公そのものの女の子に出会うところから始まる恋物語です。
(イラスト/Hiten 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-892603-4/


“柊ところ”なる作家が書いた『十四歳』。手に取ったその本に描かれている“トキコ”
の真情に共感した“晃”は入学したクラスのある自己紹介を聞いて驚愕する。彼女の名は
“柊時子”。その姿、佇まいはまさしく想像した通りの「トキコだ、トキコがいる」──。

“時子”の所作に“トキコ”がちらつく“晃”は、やがて秘密を共有し彼女からある依頼
を受けることに。理想の女の子との距離が近づいていく“晃”が恋に落ちないワケがない
のですが『十四歳』という作品が好きすぎることで意外な落とし穴に嵌まってしまいます。

一方的にすれ違っていく“晃”を止める術はないのか。面映ゆい二人の様子との落差が
激しい終盤で与えられる最後のきっかけを彼がどう受け止めるかをぜひ見届けてほしい。
先生の好きが詰まった青春恋愛小説、実に良かった。挿絵も素敵でオススメの一冊です。

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2017年04月21日

『長崎・オランダ坂の洋館カフェ シュガーロードと秘密の本』

江本マシメサ 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。雨の日のみ開店する洋館カフェ
でバイトする女子大生が極上スイーツと長崎の歴史、そして恋心に触れていく物語です。
(イラスト:げみ 先生)

http://tkj.jp/book/?cd=72684901
http://ncode.syosetu.com/n7322df/


雨の日のオランダ坂。バイトの面接で失敗した“乙女”は傘も差さず大好きな作家の本も
びしょ濡れしながら「Cafe 小夜時雨」に辿り着く。メニューは気まぐれで1セットのみ、
五百円という仏頂面の店長が出すスイーツに魅了された彼女は早速バイト先に選ぶが──。

長崎出身の先生だからこそ描ける情景や、物珍しいご当地スイーツの数々が目を惹きます。
店長の“向井”に教わる長崎文化に、そして彼自身に少しずつ魅了されていく“乙女”の
機微が何とも面映ゆいです。店を訪れる物珍しい客との交流も演出に一役買っています。

店の運営方針もそうですが、そもそも存在が謎すぎる“向井”の正体は・・・早いうちに想像
できる思います。どういった形でそれが明らかになるのか、実は出会うべくして出会った
2人だと気付かされる雨の夜のオランダ坂でのやりとりを読んで確かめてほしい作品です。

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2017年04月20日

『悪役令嬢に転生したけどごはんがおいしくて幸せです!』

矢御あやせ 先生の「第4回ネット小説大賞」受賞作。大好きな乙女ゲームの悪役令嬢に
転生したOLがバッドエンド回避・・・よりも食事を大切にする食欲系コメディの登場です。
(イラスト:東条さかな 先生)

http://tkj.jp/book/?cd=02707401
http://ncode.syosetu.com/n8464cu/


広陵院家のお嬢様“江梨子”は我が儘が過ぎる余り不幸な末路を迎える乙女ゲームの悪役。
前世の記憶として現状を理解した彼女は、運命を覆すためにまず自らが悪化させた弟との
関係改善を図る。毎日のおいしい料理を一緒に、笑って食べられるようになるために──。

・・・とシリアスめに導入してみましたが“江梨子”は結構ポンコツで頑張るけれども空回り
したりするので全体的にコミカルに展開していきます。ですが周りに支えられて、友達も
できて、と本来のゲームルートから少しずつ改善していく様子は微笑ましく映るものです。

“江梨子”が食事を堪能しようとするあまり近づかないと決めていた攻略キャラや主人公
キャラたちとあっさり関係を築き、やっぱり恋心を抱いてしまう「うっかりさ」は物語を
どう左右するのか。各々の幸せを追求した先に何があるのか、続きを見てみたいものです。

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2017年04月19日

『造られしイノチとキレイなセカイ3』

緋月薙 先生が贈るスローライフ・ストーリー。第3巻は“リーゼ”が持つ力の秘密に迫り
ながら、“カリアス”と“フィアナ”の間に見られる明らかな変化にも触れていきます。
(イラスト/ふーみ 先生)

https://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/716.html
http://yomeru-hj.net/novel/kireinasekai/


“レミリア”や“マクスウェル”の予想をあっさりと超えてくる“リーゼ”と幼竜の件。
そして彼女と“イリス”との関係。とんでもない力場が“カリアス”と“フィアナ”の
周囲に形成されていく過程の面白さ、それが披露される局面の圧巻ぶりがまず見どころ。

もう一つはやはり口絵のあのシーンから繰り広げられる“カリアス”と“フィアナ”の
気まずい距離感・・・からの本心の伝え合い。もうニヨニヨするしかない。幼馴染キャラは
報われない、とよく言われますけど 緋月 先生はそういう二人の描き方が本当に上手い。

“イリス”をはじめとする子供たちから繰り出される純真無垢ながらも誤解を生む発言
の数々、ムッツリな言動のあれこれもぜひご堪能いただきたいところ。Web版の連載も
続けてほしいですし、続刊も期待したいので「HJ文庫」には心よりお願いする次第です。

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2017年04月18日

『明治あやかし新聞 怠惰な記者の裏稼業』

さとみ桜 先生の「第23回電撃小説大賞・銀賞」受賞作。幼馴染の友人が奉公先から暇を
出された原因となる妖怪記事を書いた記者に押し掛けた女性が結ぶ奇妙な縁を描きます。
(イラスト/銀行 先生)

http://mwbunko.com/978-4-04-892676-8/


「で、そのふざけた記事がどうかしたのかな?」記事を書いた“久馬”の悪びれもしない
態度に怒りをあらわにする“香澄”。だが事情を突き詰めるとむしろ友人を助けるための
記事であったと知り、元凶たる奉公先の主人を懲らしめる手助けの乗り出すのだが──。

役者崩れの“艶煙”と共に妖怪の逸話をネタと小新聞を武器にある時は人助け、ある時は
悪者を懲らしめる展開がまず面白い。何度も手を貸す“香澄”が“久馬”の食えない言動
を前にして少しずつ彼への印象を変えていく機微の描写もポイント。絶妙な距離感です。

そんな“久馬”の従妹が神隠しに遭っていた、と知る“香澄”。その裏側にある彼の秘密
に気付いた彼女がある依頼をすることを決断した第四話の話運び。これがまた良かった。
妖怪記事がもたらした縁がどう変化していくのか、ぜひ読んで確かめてほしい作品です。

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2017年04月17日

-インフィニット・デンドログラム- 3.超級激突』

海道左近 先生が贈るVRMMOファンタジー。第3巻は〈超級〉同士の激突を目の当たりにする
“レイ”たちの陰で動く策謀や、彼らが垣間見ることのできない物語の数々に触れます。
(イラスト/タイキ 先生)

https://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/717.html
http://hobbyjapan.co.jp/comic/series/dendro/
http://ncode.syosetu.com/n5455cx/


ランキング1位の“フィガロ”と2位の“迅羽”。泰然として構える前者と不遜な態度で
応じる後者。両者の優劣が入れ替わるバトルがまず熱い。手に汗握るとはまさにこのこと。
話が動いているという局面にも関わらず、“レイ”たちの蚊帳の外な様子に思わず苦笑い。

元々の話の内容を踏まえて200ページ程度を迎えたところで中書きを挟み、外伝となる小編
3つで埋めてくる構成もまた面白い。中でも“マリー”に関するエピソードが今巻における
もう一つの見所と言ってもいい。別視点で語られる物語と共に彼女の魅力が伝わってきます。

今巻の帯で「ラノベニュースオンラインアワード」11月刊、1月刊における総合部門などで
1位を獲得したことに言及されていてとてもありがたい、と思っております。ウチも投票
した甲斐があるというもの。コミカライズも絶好調ということで続きも応援していきます。

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2017年04月14日

『君に恋をするなんて、ありえないはずだった』

筏田かつら 先生の「小説家になろう」投稿作『眼鏡とあまのじゃく』を改題して書籍化。
非モテな根暗男子とモテ女なギャル、違いすぎる2人によるすれ違いラブストーリーです。
(イラスト:U35 先生)

http://tkj.jp/book/?cd=72702901
http://ncode.syosetu.com/n8486bk/


「結構かわいい」クラスメイトの“恵麻”を見てそう思った“靖貴”。ある日、資料集が
必要になる授業でそれを彼女が忘れたと気づいた彼は「見ますか」と提案するもあっさり
無視される。辱められた彼女には二度と関わるものか、と彼は決めたはずなのだが──。

高校三年生の夏合宿、避け続けていた“恵麻”の困っている場面に出くわした“靖貴”が
声をかけてしまった所から彼女と関わりあう場面が増えていく。彼女の真意は何なのか、
そんな自分は彼女に対しどんな感情を抱くのか。二人の嘘と本音の交錯が実にもどかしい。

いつの間にか周囲からは「仲が良い」「付き合ってるんじゃないの」と噂される“靖貴”
と“恵麻”。それに合わせて「悪い噂」が浮かび上がり、巻き込まれてしまう“靖貴”。
うそつき少女がもたらす引きが凶悪すぎるので続きを早く出してください宝島社文庫さん。

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2017年04月13日

『精霊幻想記 7.夜明けの輪舞曲』

北山結莉 先生が贈る異世界転生譚。第7巻は互いに良好な関係を築きたい“リーゼロッテ”
と“リオ”を内から外から揺さぶる存在、そして彼の宿敵と遂に相見えることになります。
(イラスト/Riv 先生)

https://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/715.html
http://hobbyjapan.co.jp/comic/series/seirei/
http://ncode.syosetu.com/n1094bz/


“リオ”のことに気づいた“クロエ”と、気づいたと思われる“フローラ”との距離感が
絶妙なもどかしさ。それが話の展開にも絡んでくるので、また上手い。彼の真摯で真摯な
対応を見た“リーゼロッテ”や侍女たちからの好感度もうなぎ登りで羨ましい限りです。

その一方で、相変わらず“弘明”は口だけで“リーゼロッテ”の思惑も読めず、やきもき
させられますし、“ユグノー”公爵に至っては血縁の恵まれなさは同情せずにいられない。
しかも与えた猶予が思いも寄らぬ窮地を呼び込むことになる、まさに泣きっ面に蜂状態。

アマンドへの逗留が裏目に出たと見るか、怪我の功名と見るか。“リオ”の厳しい一面を
目にすることになる場面と、それを受け止めるそれぞれ立場の反応が今巻最大の見せ場。
“美春”側にもしっかりフォローが入っていて、それが物語にどう左右するか注目です。

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2017年04月12日

『ホテル ギガントキャッスルへようこそ』

『戦うパン屋と機械じかけの看板娘〈オートマタンウェイトレス〉』の SOW 先生が贈る、
ファンタジー世界でホテルマンを目指し働く元騎士見習いの少女の成長を描く新作です。
(イラスト:桜木蓮 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/bookDetail/index/978-4-08-631177-9


傭兵団とは名ばかりのごろつきから家族の命を救ってくれた騎士に憧れ、村を飛び出し
騎士見習いになった“コロナ”。しかし軍縮の意向を受け路頭に迷う彼女は街で会った
男性に、紹介状と共にあることで有名なホテルがある巨人砦へ向かえと言われて──。

どんな種族の客も受け入れるホテル「ギガントキャッスル」で、ある客のおもてなしを
手伝うことになる“コロナ”が何の因果か最強のホテルマン“レイア”の厳しい指導を
受けて精一杯がんばる姿に思わず応援したくなるエピソードの数々が読んでいて楽しい。

最高経営責任者の“ホウオウ”、ホテルに現れる謎の少女“リディア”、“レイア”に
嫌がらせを仕掛ける“セディア”・・・と人間関係も把握しやくて読みやすさにも繋がって
いるかな、と感じました。“レイア”がちゃんと責任を取れるのか、見守りたい所です。

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