2017年08月25日

『トカゲ主夫。−星喰いドラゴンと地球ごはん−』

山田まる 先生が贈る新作は、星を喰らい「災厄」と称される巨大なドラゴンが空腹を満たす
べく別の世界へ移った先で出会った女性との奇妙な同居生活を送るふれあいストーリーです。
(イラスト:海島千本 先生)

http://www.es-novel.jp/booktitle/44tokageshufu.php


「災厄」誕生の予見に備えて異界への封印に成功した、魔術師“エレハルド”がいる世界。
その「災厄」が異界から失踪して大騒ぎになっている中、当の本人はまた違う世界に飛び
一人暮らしの“陽海”にでっかいトカゲと間違われ、おにぎりを食べているのだった──。

何でもできるドラゴンが物怖じしない“陽海”との交流を経て、今いる世界のこと、そして
自身の空腹の理由を知る過程がほんわかしていて和みます。おいしいご飯の描写も優しさが
あふれます。対する“エレハルド”の危機と鬼気が迫る状況と心境には同情するしかなく。

“陽海”との生活に幸せを感じつつある“トカゲ”さんが横槍を入れられたとき、どう対応
するのか。“エレハルド”たちは彼とどう踏ん切りをつけるのか。そのあたりもご注目です。
今巻は“トカゲ”さんが主夫してないので、ぜひ続刊を出してそれを示してほしいものです。

posted by 秋野ソラ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年08月24日

『異端の神言遣い2 俺たちはパワーワードで異世界を革命する』

佐藤了 先生が贈る異世界召喚ファンタジー。第2巻は獣人たちが治める街に腰を据えた
“駿介”たちが街のある住人の、そして街全体が抱える問題に毅然と対処していきます。
(イラスト:武藤此史 先生)

http://ebten.jp/eb-store/p/9784047347205/


黒髪に生まれた猫の獣人は強い魔力を持ち、かつて魔王軍に数多く参加した経緯から広く
忌避され、差別対象とされる。それは獣人の街「ボルスモル」でも同じ。興行で金を稼ぐ
“駿介”たちが、黒猫“ミア”が暴力に晒される場面を目撃することでどう動くかが焦点。

一方、獣人の街には隣国にして大国「サンズガルド」から侮蔑の目で見られ、かの国から
やってきた“ダイン”の横暴で横着な扱いを受けていると知った“駿介”たち。更には
街を調査する“バロン”から街の子供たちが攫われる事件の説明を受け、静かに動き出す。

女性陣からにじみ出る好意。それは受けられないと頑なな姿勢を貫く“駿介”。その彼を
兄替わりに慕う“ミア”。様々な好きと嫌いの想いが交錯して事件を解決するまでの流れ
はとても素直で読みやすく、面白いです。ちゃんと続き出ますよね? 楽しみにしてます。

posted by 秋野ソラ at 00:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年08月23日

『レーゼンシア帝国繁栄紀2 〜人形姫に微笑みを〜』

七条剛 先生が贈る、気高き偽皇帝の国家繁栄ファンタジー。第2巻はイーシア王国にある
不穏な動向から“ファム”が置かれている状況を知り、“シュウ”が対応に乗り出します。
(イラスト:ゆきさん 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797392913.html


ツンツンされながらも仲を育んでいる“リレア”と“シュウ”を横に「好き」という感情に
悩む“ファム”。彼の女性関係にヤキモキする“シルフィ”。婚約者候補たちとのハーレム
を望む“ユーリス”。想いを受け止めるべきではないとする彼の葛藤が羨ましくも妬ましい。

そんな中、イーシア王国から“ファム”を呼び戻す要請があったり、いかにも思惑ありげな
人物との出会いがあったり、そして挿絵のアレが思わしげだったり、と彼女の置かれている
状況が見えてくると「好き」という感情に悩むのもよく分かります。この描写が絶妙ですね。

コミカルなオチかと思いきや、しっかりとシリアスな場面にも繋ぐことで展開にメリハリが
ついてますし、伏線の張り方と回収の仕方も丁寧で、話の構成が綺麗にまとまっています。
最後に魅せた“ファム”の笑顔に満たされつつ、あの引き。“シュウ”の受難は続きます。

posted by 秋野ソラ at 00:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年08月22日

『デーモンロード・ニュービー 〜VRMMO世界の生産職魔王〜』

山和平 先生の「第9回GA文庫大賞・優秀賞」受賞作。VRMMOでも趣味の園芸を満喫しよう
とする少年がなぜか魔王、しかも絶世の美女になったことで騒動に巻き込まれていきます。
(イラスト:伊藤宗一 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797392821.html


何千、何万というプレイヤーの中から10人の魔王が選出され、イベントを通じて戦うことに
なる「ダブルワールド・オーバークロス(WWOX)」。性別詐称もできないはずのこのゲーム
において魔王“アキカ”として選ばれた兄は妹“リオ”に何と説明すれば良いのやら──。

冒頭から持ち前の強運を見せつけた“アキカ”が、公式チートと呼ばれるメリットを享受
しつつ仲間にも恵まれてVRMMO内での成長を、農場も含めて楽しんでいる様子が微笑ましい。
時折、垣間見える岩手ネタやサブカルネタは 山和 先生の持ち味、といった所でしょうか。

冒頭で仲良く戦う“アキカ”と“リオ”の場面にどう辿り着くのか。プレイヤーとして成長
していくと共に魔王として共闘を進める“アキカ”の周囲を彩る登場人物たちとのやりとり
ですとか過去の経歴などが折り重なって実に読みやすい作品です。続きが楽しみであります。

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年08月21日

『ゼロから始める魔法の書X ーゼロの傭兵〈下〉−』

虎走かける 先生が贈るファンタジー作品。第10巻は“ゼロ”から有無を言わさず別れを
告げられた“傭兵”がその理由を知るため、彼女の後を追うべくあらゆる手を尽くします。
(イラスト/しずまよしのり 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893274-5/


自分の弱さを痛感してもなお無謀な道を行こうとする“傭兵”を友として止める“神父”
の折れ具合にまず目を見張ります。かつて「好き」の理由を問うた“ゼロ”と“傭兵”の
やりとり、それが“泥闇の魔女”と対峙するまで何度も活きてくる展開が印象に残ります。

“ゼロ”が「ゼロの書」を書く。その結果に至るまでの過去、仕組まれた迂遠な計画など
色々と明らかになりました。だからこそ今の“ゼロ”が、そして“傭兵”がいると思うと
感慨深い。無茶する2人を心配する“リーリ”や“アルバス”の気持ちも分かるものです。

“オルルクス”も順当な末路を辿り、「名も無き英雄」を受け入れると決めた教会の未来
もあずかり知らぬまま“ゼロ”と“傭兵”も見事に落ち着いての第一部完、お疲れ様です。
第二部はぜひ作品名を少し改めて、新たな再出発を果たしてほしい。楽しみにしています。

posted by 秋野ソラ at 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年08月18日

『伊達エルフ政宗4』

森田季節 先生が贈る異世界転生×戦国ファンタジー。第4巻は“織田サタン信長”打倒を
目指し東西から攻める“政宗”たちの戦略は成功するか。物語もクライマックスを迎えます。
(イラスト:光姫満太郎 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797390186.html


諸大名を味方につけたとは言え、織田家家臣たちもそれに劣ることなく。緊迫の度合いが
増す中で“景綱”が遂に“勇十”へ想いを告げてしまいます。それを見た“政宗”の暴走
する様子が彼女自身の不安定な心境を象徴するかのようで何とも不安要素がいっぱいです。

史実と同様、鍵となる“光秀”の説得にあたる“義昭”の情けなさはご愛敬として、なお
力を圧倒する“信長”を前に絶望感が漂う局面を迎える“勇十”はイヅナ法を使いこなし
窮地を引っくり返せるか。“政宗”の想いと共に大活躍する彼の奮闘ぶりがまさに見所。

“景綱”らが“勇十”に決めてほしいこともしっかりと決着をつけて大団円と言えます。
巻末の「戦国武将列伝」にある通り最新の学術研究も交えて設定を組み合わせた絶妙な
バランスは、ここまでこじつけられたら何も言えない。脱帽です。完結お疲れ様でした。

posted by 秋野ソラ at 00:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年08月17日

『ゲーマーズ!8 星ノ守心春と逆転バックアタック』

TVアニメ放映中の、葵せきな 先生が贈るこじらせゲーマーたちの すれ違い青春ラブコメ。
第8巻は元カノとなった“花憐”を他所に、揺れ動く“景太”周辺の恋愛模様を描きます。
(イラスト:仙人掌 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321703000996


修学旅行4日目。“景太”は“心春”に、“花憐”は“千秋”に、各々が今の心境を吐露
することで想いを新たにリスタートする2人を他所にラスボス化する“亜玖璃”が何とも
可愛そうで痛ましい。“祐”何とかしろ、と外野の読み手としても言わざるを得ない展開。

こじれた2人とは打って変わって“景太”と“花憐”の密接な関係がなぜか止まらない。
そこへ“心春”から仕掛けられた“千秋”とのデートを敢行したりと彼を巡る三角関係も
止まらない。こちらはこじれているのに関係は良好、という謎なやりとりがまた面白い。

“祐”の件はひとまず置いといて、こんな流れでクリスマスパーティーなんてできるの?
みたいなやり取りを経て、再び物語の進行上、とても大きな爆弾を仕掛けてきた“心春”。
彼女も「彼女」も報われてほしいと思いますが“景太”の選択肢は如何に。次巻を、早く。

posted by 秋野ソラ at 00:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年08月15日

『数字で救う! 弱小国家 電卓で戦争する方法を求めよ。ただし敵は剣と火薬で武装しているものとする。』

長田信織 先生が贈る新作は、皆に数学を愛してもらう夢を抱いた理系青年が戦争を間近に
控えた小国で前時代的な考えを持つ家臣に悩まされる敏腕王女を救う異世界数学戦記です。
(イラスト/紅緒 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893271-4/


兵も無く、金も乏しい。弱肉強食という世界のルールに怯える側の小国「ファヴェール」。
病に倒れた王の代行として王女“ソアラ”が信念をもって臨むも周囲に理解されず悶々と
した日々を過ごす。そこに見知らぬ青年“ナオキ”が現れたことで事態は動き始める──。

“ソアラ”の理解されない不遇っぷりに同情の念を禁じ得ない導入から、定性的で曖昧な
考え方を定量的で明確な分析から論破していく“ナオキ”の数学バカっぷりが実に楽しい。
理論等についてはイラストで解説も入りますので数字が苦手な方でも問題なく読めるかと。

唯一の理解者である“ナオキ”と共に国を変えていく“ソアラ”が直面する最大の挫折と
悪意にどう対処するか。世の中そんなに甘くない、それでも諦めない二人がどんな結末を
歩んだのか、ぜひ見届けてみてください。紅緒 先生のイラストもキャッチーでお薦めです。

posted by 秋野ソラ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年08月14日

『魔王討伐したあと、目立ちたくないのでギルドマスターになった』

朱月十話 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。他のギルドでは解決できない問題を
100%解決するギルドマスターとなった少年が過ごす、目立たないはずの余生を綴ります。
(イラスト:鳴瀬ひろふみ 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321702000730
http://ncode.syosetu.com/n9565dj/


冒険者ギルドでSSSランクの能力を持つ勇者5人。中でも魔王を討伐したものの、国王陛下
からも覚えが薄い“ディック”が望んだのは目立たないギルドハウスを引き取って新たな
ギルドを作ること。仲間にも疑問視される徹底した彼の目立たないぶり、その真意は──。

国の根幹に関わる問題も必ず解決する。でも目立たないように。しかしかつての仲間から
すれば“ディック”の仕業だと分かる。影で活躍する彼の言動が読んでいて実に楽しい。
魔王がいつの間にか彼に奉仕したくてあれこれ仕掛けてくる描写とか先生の味が出てます。

“マナリナ”の訳ありな依頼を解決してフラグを立てたりしながら、仲間の抱える問題を
解消していったり、いつの間にやら国の根幹に関わる事件の伏線を巻き取って陰ながら
解決したりと軽妙に進んでいく話運びが面白いです。続きが楽しみなシリーズであります。

posted by 秋野ソラ at 00:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年08月11日

『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました3』

コミカライズにスピンオフ小説がスタートする中でドラマCD化が決定した 森田季節 先生の
異世界アットホームコメディ。第3巻もお料理対決に偽物退治などスローライフを満喫です。
(イラスト:紅緒 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797392951.html
http://ncode.syosetu.com/n4483dj/
http://www.ganganonline.com/contents/slime/

“フラットルテ”と“ライカ”の“アズサ”を取り合う微笑ましいやりとりから始まる今巻
は“ファルファ”がスライムの姿から戻れなくなる異常事態がまず発生。スライムにも色々
いるのが分かりましたが原因もまた意外すぎます。ここでも“ベルゼブブ”が損な役回りに。

「高原の魔女」の偽物が出た、ということで突き止めてみればいつの間にか同人誌即売会の
ノリ。本当に何が売れることになるやら、分かったものではありません。アンデッド探しに
協力した場面でも頭を悩ませることになる“ベルゼブブ”には何かいいことがあってほしい。

巻末の書き下ろし短編では温泉卓球の場面になぜ挿絵指定がないのか問い詰めたいですが、
温泉の場面にはあるので手打ちとします。「ライカ姉さん」のやりとりに思わずほっこり。
ひとまず“ベルゼブブ”のグッズが出るまで頑張りましょう。影ながら応援しております。

posted by 秋野ソラ at 00:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年08月10日

『14歳とイラストレーター 3』

むらさきゆきや先生がイラストレーターのガチな日常を綴るお仕事コメディー。第3巻は
姉の“彩華”に横取りされた仕事に対してくすぶる“悠斗”の選ぶ道に迫っていきます。
(イラスト・企画:溝口ケージ 先生)

http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1555


突然の来訪で衝撃の通告をもたらす“彩華”。“悠斗”に対して悪びれたところのない
その言動に何か裏があるのではないかと、イラストレーターの格について語った“錦”
などからは推測されましたが、まさか理由がアレとは。どんだけ好きなんだと苦笑い。

“彩華”とのやりとりで精神的ダメージが重なる“悠斗”を、手を変え品を変え姿を変え
後押しする“乃ノ花”が今巻もいじらしい。何で進展しないんだと疑いたくなるばかり。
彼が立つ大きな岐路、そこから一歩を踏み出す力をくれた彼女だからこそ、なおのこと。

ライトノベルに限らないイラストレーターあるあるを披露してくれる“悠斗”たちの交流
を楽しみつつ、彼の頑張り具合と今後を思わず応援したくなる展開で魅せてくれました。
そして巻末で油断した「彼女」からのアンドゥがきかない発言がもたらす行方に注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年08月09日

『ひきこもり姫を歌わせたいっ!』

水坂不適合 先生の「第11回小学館ライトノベル大賞・ガガガ賞」受賞作。ひきこもりの
級友の歌声に惚れ込んだ少年がロックバンドで有名になる夢を不器用に目指す物語です。
(イラスト:有坂あこ 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094516883


世界的ソングライターを目指す“礼人”はバンドを組んで高校生バンド最大の大会で活躍
を目指すもライブハウスを出禁にされるほど歌が下手。高校三年という将来に敏感な時に
ボーカル探しをする彼へ先生が不登校女子に会いに行けと依頼する所から話は始まる──。

最初は下心丸出しで「ひきこもり姫」こと“遙奈”と友達になるところからスタートした
“礼人”。次第にそっちのけで彼女に合いに行く彼の心境の変化と、彼によって再び学校
に行けるまで成長した彼女の言動の変化が前半部分の印象に残る場面として展開されます。

後半では“遙奈”をボーカルとして迎え、紆余曲折を経てバンドが脚光を浴びるサクセス
ぶりがメインかと思えば、“礼人”の報われない生き様に胸が押しつぶされるほど切なく
なります。ひきこもり姫の歌がもたらす青春満載の結末は、堪能するほどに熱く青いです。

posted by 秋野ソラ at 00:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年08月08日

『ぼくたちのリメイク2 十年前に戻って本気になれるものを見つけよう!』

木緒なち 先生が贈る青春リメイクストーリー。第2巻はチームとして頑張った上映会の結果
でショックを受けた“ナナコ”を立ち直らせるために“恭也”があの手この手を尽くします。
(イラスト:えれっと 先生)

http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1559


映像学科の先生としての至極、現実的な評価。“ナナコ”の内面を問う場面が胸に響きます。
同人ゲームを作る“ケーコ”からの誘いを契機に“ナナコ”を救う一手を見い出すあたり、
“恭也”のジェネラリストぶりが改めて見て取れます。大事なんです、こういう立ち位置。

学祭の尻拭いをするあたりにも“恭也”らしさが窺えるワケですが、その合間にも躓きそう
になる“ナナコ”を後押しする彼を彼女が少なからず想わないワケがない。“シノアキ”も
彼にはすっかり懐いている描写が度々入ってくるので読み手としてはハラハラさせられます。

“ナナコ”の頑張る姿、結果を出す様子を見る“河瀬川”の「ちゃんと目に掛けている」感
に魅力を覚えつつ、いよいよ決定的瞬間が。そんなことは露知らず、“貫之”の悩み解決に
乗り出す“恭也”。彼の秘策は“貫之”にも通じるか。チームの行方と共に気になります。

posted by 秋野ソラ at 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年08月07日

『平浦ファミリズム』

遍柳一 先生の「第11回小学館ライトノベル大賞・ガガガ大賞」受賞作。個性的な家族以外
との関わりを煩わしく思う少年が、ある事件を境に忌避できなくなるその苦悩を描きます。
(イラスト:さかもと侑 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094516890


「大丈夫だよ、一慶」早くに他界した母親の思いを汲んで高校卒業は目標とするもの留年
すら危ぶまれるほど社交性のない“一慶”。ある日、小学生女子を気まぐれにいじめから
助けることで思わぬ誤解を生み、退学処分を言い渡された彼はあっさり受け入れるが──。

父も姉も妹も、人との関わり方に悩みながら生きている。すでに自立できるほど優秀な
“一慶”も、ある過去を経て他人との関わりを捨てた身。“天野”先生のお節介や級友
“千条”のやっかみなどを鬱陶しいと思う彼の描写が自然で言動にも説得力があります。

“一慶”と関わる様々な人物の視点も交えながら、家族以外の他人との関わりについて
考え抜いて、それでも捨てきれないものと見極める彼の心情の変化。その過程もあるが
ゆえに強く印象に残る作品。自分はどういう立場で人と接しているか考えさせられます。

posted by 秋野ソラ at 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年08月04日

『第七異世界のラダッシュ村 2』

蝉川夏哉 先生が贈る異世界開拓記。第2巻は村の開拓が進む中、近くにある遺跡へ国姓姫
“メイファ”が調査隊を連れてきたことにより“海野”たちの進む道が変化していきます。
(イラスト/はみ 先生)

http://seikaisha.co.jp/information/2017/06/30-post-radash2.html


ジャワ君Tシャツが異世界に流出していたことを頼りに他の日本人探しを提案する“海野”。
今は村の開拓に努めるべき、とする“春日”の現地人との距離感の取り方までは考慮できず
“ミクリ”に対してやらかしてしまう彼のラバカッティニぶりがどう影響するか楽しみです。

ラダッシュ村の面々にも興味津々な“メイファ”に振り回される“ロラン”に同情しつつ、
旧都の調査で驚きの発見をしてしまう“海野”たち。カラー挿絵も鮮烈にその情景を印象
付けます。「第七異世界」そのものが特異性があることを示すようで気になるところです。

ラダッシュ村を襲う肉食の害獣に立ち向かう中で、より団結力を培った“海野”たちですが
思わぬ流れで南楼王国の政治事情に巻き込まれることに。選択を迫られる彼らが選んだ道の
行く末と共に、それを選ばせた人物の真意も注目で目が離せません。早く続きを、よしなに。

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年08月03日

『ジェノサイド・リアリティー 異世界迷宮を最強チートで勝ち抜く』

風来山 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。高難易度のレトロゲームの世界に転移
したクラスで、それをやりこんだ少年が知識を総動員してダンジョンアタックに挑みます。
(イラスト:kero介 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797392371.html
http://ncode.syosetu.com/n0065cq/


長い地震の終わりが転移世界でのサバイバル生活の始まり。次々と級友が犠牲となる中で
リアリティを追究した、いわゆる死にゲーと同じ世界だと気づいた“ワタル”はある決意
をする。最後まで勝ち続け、絶対に生き残る。この世界を骨の髄まで堪能するために──。

決定的瞬間を目撃されたことで“ワタル”に色々とアプローチしてくる“久美子”や何か
ありそうな“瀬木”とのやりとりなどから非日常における緊張感を和らげてもらいつつ、
ダンジョンアタックに単独で挑む段階となってからは手に汗握る展開を魅せてくれます。

そして表紙をも飾っている、ウサ耳少女の“ウッサー”との出会いが“ワタル”の思惑を
大きく崩していくことに。NPCらしくない彼女の存在が新たな波風を立てる原因になりそう
なところや、“七海”たち級友の人間関係が崩壊する兆しなど、続きが気になる物語です。

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年08月02日

『桜色のレプリカ 1』『桜色のレプリカ 2』

翅田大介 先生が贈る新作はヒロイン捜索型学園ラブコメ。しかも1巻と2巻を同時刊行。
「学校」で文学を教える教師が理事長から人探しの依頼を解決するまでの顛末を描きます。
(イラスト/町村こもり 先生)

https://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/739.html
https://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/738.html
https://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/series/186/


「学校」に赴任して二か月。人間論を教える“六方”が“二階堂”理事長からの依頼を
もとに該当人物の候補として目をつけた“百合原”“五十嵐”“四十田”“三十刈”の
女子生徒とのふれあいや“七堂”先生との付き合いぶりは一見、学園ラブコメだが──。

冒頭で“三十刈”の描写に度肝を抜かされつつ、「学校」周辺の環境が特異だと少しずつ
明らかとなっていくことで理事長の依頼がいかに難題か、“六方”も読み手としても考え
させられることになります。古典文学を通じて例え、探ろうとするあたりが興味深い点。

生徒の中に狡猾に紛れ込んだ人物が突き止められないことに時に苛立ち、時に怯えの表情
を見せる“六方”。ついつい生徒たちにもあたってしまう“六方”の前に突如求めていた
「彼女」が驚くべき事実を引っ提げて現れます。イラストと共に続く「引き」が強烈です。


2巻では、口止めされた「彼女」と“六方”とのやり取りを通じて「自分らしさ」とは
何かを自分たちなりに突き詰めていくことに。教師としての役割に絶望感を抱いた彼が
生徒たちや“七堂”先生との距離感にすら疑念を持つのも無理はない、と共感できます。

「学校」を巡る環境が急激に変化して生徒・先生のくびきから解放された中、変わりゆく
ヒロインたちの様子が焦点の一つ。中でも“三十刈”が示した「恋とは、愛とは何か」の
解釈を披露した場面は“六方”の、そして物語を動かす重要な鍵として印象に残ります。

「彼女」のデレっぷり、キレっぷりに圧倒されつつ“六方”が貫き通した想いとその結末。
「学校」に一本、寂しく佇む桜の木が咲かせた奇蹟の花に乗せられた希望と共に、未来に
幸あらんことを願うばかりです。記憶に残る作品でした。心からオススメしておきます。

≫ 続きを読む ≪

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年08月01日

『なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 運命の剣』

細音啓 先生が贈る新作は王道ファンタジーの超大作。改変された世界にただ一人、変わる
前の記憶を残す少年が真の世界を取り戻すために人間以外の種族と、運命と戦う物語です。
(イラスト:neco 先生)

http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1564


悪魔族、蛮神族、聖霊族、幻獣族。それぞれの英雄を倒した“シド”により五種族大戦に
勝利した人族。他種族を封印した墓所を管理する“カイ”はある日、世界が上書きされる
瞬間を目の当たりにし、荒廃した世界に一人立ち尽くす。人間が大戦で敗れた世界に──。

悪魔族の墓所に転落した過去を持つ“カイ”が油断することなくひたすら訓練に明け暮れた
経験が思わぬ形で実を結ぶことになる彼の前向きな姿勢に救われます。改変された世界で
出会った“リンネ”が彼にとって、そして彼女にとっても唯一の理解者となる点も同様に。

元の世界で仲間であった人たちが悪魔族に虐げられている現状を打破しようと決起する
“カイ”が英雄“ヴァネッサ”との激闘の末に知る「世界を改ざんしようとする存在」、
そして英雄“シド”の謎。英雄の軌跡を“カイ”はなぞるのか、注目のシリーズ登場です。

posted by 秋野ソラ at 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年07月31日

『キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦2』

細音啓 先生が贈る王道ファンタジー。第2巻は魔女と魔人が強大化する星脈噴出泉の出現
に帝国と皇庁が攻防戦を繰り広げる中、“アリス”と“イスカ”が運命に振り回されます。
(イラスト:猫鍋蒼 先生)

http://www.kadokawa.co.jp/product/321701000668


前巻では度重なる偶然による出会いを演出してきましたが今度はどこへ行ってもすれ違う
“アリス”と“イスカ”。その間にも帝国では“ネームレス”、皇庁ではゾア家の存在が
それぞれ国家として一枚岩ではないことを如実に示してきます。物語に深みが増します。

“イスカ”を意識する“アリス”の言動が可愛らしい。本気で、本心でぶつかれるのが彼
だけとあってフラストレーションがたまるが故に“ネームレス”で憂さ晴らしを図る彼女。
しかし彼女でも楽勝とはいかず、「使徒聖」のすごさを改めて目の当たりにさせられます。

“イスカ”はゾア家の切り札“キッシング”と対戦。厳しいミッションの中で繰り広げる
激戦の果てに差し込まれた横槍が油断と再会と思わぬ事態を招くことに。ジャックポット
の結果として無理を通すと決めた彼らに更なる無理難題が。これまた楽しみな展開です。

posted by 秋野ソラ at 00:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年07月28日

『即死チートが最強すぎて、異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。 3』

藤孝剛志 先生が贈るファンタジー作品。第3巻はクラスメイトとの合流を目指す“夜霧”
たちが思わぬ局面で世界の勢力均衡を崩し、知らぬ間に様々な殺意に晒されていきます。
(イラスト:成瀬ちさと 先生)

http://www.es-novel.jp/booktitle/32sokushicheat3.php
http://ncode.syosetu.com/n5691dd/
http://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/160125/blogkey/1770545/


「雑魚敵募集」企画に採用いただきました。まさか挿絵がついているとは予想外ですが。
こういった形で作品に関われた、という貴重な体験をさせていただき御礼申し上げます。
“ヤラ・レッター”がやられた瞬間とか、ウチも挿絵で見てみたいところではあります。

本編としては“夜霧”の能力に気付かない級友たちと、意味深長な発言をする“聖一”
たちを始めとする関係者との反応の格差が印象的で。“リュート”たちの漫才みたいな
やりとりを“シオン”が高みの見物であしらう、その余裕が崩れる瞬間が見てみたい。

今回、冒頭からダークホースとして登場する“綾香”。その出自から始まり発揮する力
に圧倒されるばかり。級友への復讐も厭わない強い意思は“夜霧”とどう向き合うのか。
巻末の番外編でも彼をとりまく環境も見えてきただけに続刊で見せてほしいところです。

posted by 秋野ソラ at 00:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル