2017年04月03日

『七星のスバル5』

田尾典丈 先生が贈る革新的青春オンライン・ストーリー。第5巻は“貴法”が“希”の
気持ちに真っ直ぐ向き合いながら、「スバル」「グノーシス」との直接対決に臨みます。
(イラスト:ぶーた 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094516630


負の感情につけこまれた“希”の悪堕ちぶりがたまらない。その原因を作った“貴法”が
言われるまで全く気がついてない、というダメっぷりがもうね。“咲月”がいなかったら
このチームは人間関係で回らなくなるわ、と改めて思い知らされました。頑張れ、女性陣。

“希”をけしかけてくる「グノーシス」の罠が物語の合間に挟まれる「間章」という形で
じわじわと効いてくる構成にご注目。“旭姫”の未来視に従わない“陽翔”。彼の真意に
気付いたとき、彼女を思いやる想いが一層強く感じられます。愛されてるな、という感じ。

能力的にも、気持ちの上でも強さを得た「スバル」の面々。名実ともに復活か、と思った
その瞬間、無情にも最悪の強さを持つ敵から告げられる口絵の一言が重くのしかかります。
音を立てて崩れていく大事な約束は本当に果たせないのか、次巻の展開も目が離せません。

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2017年03月31日

『私、能力は平均値でって言ったよね!(4)』

ねこみんと 先生のコミック1巻と同時刊行となる、FUNA 先生の異世界転生ファンタジー。
第4巻は仲間を傷つけた世界最強の存在にキレた“マイル”が、本気の力を見せつけます。
(イラスト:亜方逸樹 先生)

http://www.es-novel.jp/booktitle/24heikinchi4.php
http://comic-earthstar.jp/detail/noukin/
http://ncode.syosetu.com/n6475db/


魔物の様子がおかしい地域を調査するメンバーを送り出したギルドマスター。その中に娘が
含まれていると知った「赤き誓い」が俄然やる気を出して捜索に出たら、思わぬ利害関係に
ぶつかったり、と今回もややこしい現場に直面しております。はた迷惑ですがそれが面白い。

何の因果か古竜と戦うことになった“マイル”が、その強さに一度は心折れかけるという
過去にない展開からナノマシンの報告から気づいたある点を最大限に活かして全力全開で
挑むバトルが圧巻でした。それ故に古竜が求めていた「何か」が気になるワケですが──。

ねこみんと 先生のコミックも併せて拝読しまして、原作にある軽妙な話の進め方ですとか
“マイル”の明朗快活にして「うっかり」なところとかを活かした仕上がりになっている
内容に好感が持てました。早速に重版も決まったそうで原作共々盛り上がってほしいです。

posted by 秋野ソラ at 00:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年03月30日

『エスケープ・シープ・ランド』

『蜘蛛ですが、なにか?』の 馬場翁 先生が、同じく 輝竜司 先生とコンビを組んで贈る
新作は、突然7日間生き抜く謎のデスゲームに参加することになる人々の顛末を描きます。
(イラスト:輝竜司 先生)

http://kadokawabooks.jp/product/132/


外面だけは良い母親から虐待され育ってきた“大吾”。窮状を訴えても信じてもらえない
彼は人間不信となり、今また見ず知らずの女の子とペアを組まされ武器を持った狼たちに
追われる始末。仕組んだ母親を恨む前にまず2人で生き残らなくてはならないのだが──。

ルールに改良を加えて過去に何回か行われてきたデスゲーム。生き残って再参加する者も
いれば羊として逃げ回る人たちを殺し続けてきた伝説の狼を倒さんとする者もいたり、と
“大吾”以外にも様々な思惑が入り乱れる、サスペンスが加わる群像劇に惹き込まれます。

羊の皮を被った狼もいれば、その逆もある。周りが信用できないながらも、パートナーの
“優”と共に狼を倒したりして何とか生き延びる“大吾”。点と点が線で繋がっていく中
意外すぎる事実に直面した彼と彼女の決断と結末は見所。物語の異常性に目が離せません。

posted by 秋野ソラ at 00:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年03月29日

『滅びゆく世界を救うために必要な俺以外の主人公の数を求めよ2』

みかみてれん 先生が贈る救世主ヒーローバトル。第2巻は時間軸をループしていることに
気がついた“ジン”が、新たなエンディングトリガーをもたらす少年の運命に抗います。
(イラスト:森倉円 先生)

http://sneakerbunko.jp/bookdetails/?pcd=321608000496
https://kakuyomu.jp/works/1177354054880205800


「──では、我が宿命を果たそう」理由も分からぬまま刃を向けられ、殺される“ジン”。
テスケーラの街での過ごし方を変えようが、街にいることすら拒絶しようが、ループする
日々の中で何度も命を落とすジェノサイド感。本当に救いはあるのかと疑いたくなります。

街の非合法地域「第四区」。それを守る自治組織「針猫団」を率いる“ウォード”たち。
更にそこへ攻め込むという「騎士団」の存在。そして「黒衣の男」。解決の糸口が見えぬ
モヤモヤを“クライ”とのを出会いが徐々に払拭し、点と点を結んでいく展開が見所の一つ。

やがて遭遇する今回倒すべき敵に対して、今回だからこその趣向を活かして臨むバトルも
熱いものがあります。蚊帳の外っぽかった“リルネ”や“スターシア”も街の人たちと
意外な繋がりが見えて、今後にどう影響するのか気になります。あと今巻も表紙力が高い!

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2017年03月28日

『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか ファミリアクロニクル episodeリュー』

大森藤ノ 先生の大人気作品、その物語を補完していく「クロニクル」シリーズがスタート。
第1弾は酒場「豊穣の女主人」で働く“リュー”が首を突っ込む騒動や、昔話を綴ります。
(イラスト:ニリツ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797390803.html


博打に手を出して娘の“アンナ”を借金のカタに取られた“ヒューイ”。その話を聞いた
“リュー”が人知れず救出に向けて動き出すと、やがてオラリオでも力を持つ大賭博場の
オーナーが裏で糸を引いていたと知る。潜入方法に悩む彼女に手を差し伸べたのは──。

度胸もあるしイカサマ相手にも何のそのな“リュー”ですが、「幸運の兎」に祝福されて
賭博で真の力を発揮する「あの人」の存在感が印象に残ります。もちろん、荒事を収める
“リュー”も格好良いところを見せてくれますが、それが仇となるオチがまた微笑ましい。

そんな「あの人」の凄さを更に印象づけるエピソード、“リュー”が「豊穣の女主人」で
働くきっかけとなった【疾風】としての生き様を捨てる話がまた興味深い。カジノの件も
意外に関係してくるのでご注目。こういった補完はありがたいのでぜひ続けてほしいです。

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2017年03月27日

『キラプリおじさんと幼女先輩』

岩沢藍 先生の「第23回電撃小説大賞・銀賞」受賞作。女児向けアイドルアーケードゲーム
に心血を注ぐ高校生が女子小学生に地元トップの座を追われる所から始まるラブコメです。
(イラスト/Mika Pikazo 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-892670-6/


下関にある高校へ通う“夏希”の心配の種。それは幼なじみが二次元の女児向けゲームに
嵌まって友達を作らないこと。そんな彼女の思いを他所に日々「キラプリ」を楽しむ彼が
女の子の“千鶴”とムキになって争う姿を見て更生の道を歩ませる決意をするのだが──。

都会でランカーとして名を馳せていた“千鶴”が、なぜ下関で“翔吾”の縄張りを荒らす
のか。その理由を探る余裕もなくライバルとして勝つために切磋琢磨する彼が、いつしか
彼女と気が置けない関係になっていく。その展開がコミカルで妙に熱いのがまず印象深い。

“夏希”が差し伸べた手と「キラプリ」を通じて築いた“千鶴”の小さな手。“翔吾”は
どちらを取ることになるのか。選んだ先に待つ思わぬ結末に思わず心がほっこりしました。
Mika Pikazo 先生が描く幼女先輩が可愛くて物語への没入感がまた半端ない。最高でした。

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2017年03月24日

『ビブリア古書堂の事件手帖スピンオフ こぐちさんと僕のビブリアファイト部活動日誌』

廃止寸前の図書館を守るため書評バトルに臨む図書部員の少女と訳あり少年の青春物語。
「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズのスピンオフを 峰守ひろかず 先生が綴ります。
(イラスト/おかだアンミツ 先生 原作・監修/三上延 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-892755-0/


利用者数が僅かの旧図書館を廃止したい生徒会の副会長。「ビブリオバトル」のルールを
改変して行う書評バトルに勝てば再考すると聞いて勝負に出る古書好きの少女“こぐち”。
黒歴史あふれる小説ノートを見られたことが縁で“響平”は彼女に協力することに──。

ラノベやマンガ、アニメが好きなら古典作品にも楽しめる要素が多くある。書評バトルを
通じてそれを伝えてくれる橋渡し的な物語に仕上がっています。“響平”の朗読が異能の
ような描写になっていたり、“こぐち”が妙に艶めかしい所作を見せる所なども面白い。

時に“栞子”さんに助けられ、時に2人で守ってきた旧図書館も人の思いだけで抗えない
危機を迎えます。そこを稀覯本で安易に解決させない展開に感心しました。スピンオフの
作品として役割を果たす秀作でした。続きが書けそうならば、ぜひお願いしたいものです。

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2017年03月23日

『ビブリア古書堂の事件手帖7 〜栞子さんと果てない舞台〜』

三上延 先生が贈るビブリオミステリ。第6巻は祖父が仕掛けたシェイクスピアの古書に
まつわる怨念に“栞子”が“大輔”と共に挑む、本編最後の事件。その顛末を描きます。
(イラスト:越島はぐ 先生)

http://mwbunko.com/978-4-04-892640-9/


祖父“尚大”の営んでいた久我山書房の番頭“喜市”。“栞子”の足元を見るかのように
嫌がらせのようなアプローチを仕掛けてくる彼が実に憎たらしい。“大輔”が荒ぶるのも
よく分かるのですが、他に術もなく誘導されるがままとなる彼女の立ち位置がもどかしい。

やがて迎える、“尚大”が“智恵子”のために用意した試験の再来に、母と対峙する形で
臨む“栞子”。札入れの緊迫感もさることながら、見守るだけかと思っていた“大輔”が
男を見せてくれました。更に“栞子”が“喜市”の思惑を超えた時は溜飲が下がりました。

“栞子”と“大輔”の仲についても“智恵子”からありがたい言葉をもらい、エピローグ
でも二人らしい節目を迎えてくれて喜ばしい限りです。本編としては区切りがつきますが
峰守ひろかず先生のスピンオフ作品も出ますし、別視点の話もあるそうなので楽しみです。

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2017年03月22日

『本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜第三部「領主の養女III」』

ドラマCD化決定! 香月美夜 先生が贈る大人気ビブリア・ファンタジー。第三部・3巻は
印刷技術向上を図りつつ、冬の主討伐、春の祈念祭に向け“ローゼマイン”が頑張ります。
(イラスト/椎名優 先生)

http://www.tobooks.jp/books/book_478.html


2017年に入ってから第一部を読み始め、ようやく新刊に追いついた所。兵士の娘に転生した
頃には余命わずかの“マイン”が神殿の巫女見習いとなり、神殿長そして領主の幼女として
立場を変えながらも司書を目指し本の制作、普及に心血を注ぐ様子を微笑ましく見ています。

今巻では冬の主を討伐するくだりのほか、“ヴィルフリート”の教育見直しに関する件や
ハッセの町に対する制裁など、いろいろと区切りのつく場面が多くてスッキリしています。
その分“フェルディナンド”の厳しさ、というか容赦のなさに磨きが掛かっていて面白い。

教育に関しては“アンゲリカ”のあのすまし顔も良かった。全然勉強してないよ感がすごい。
祈る姿もすっかり板についた“ローゼマイン”が図らずも聖女としての力を見せつけていく
流れで更なる技術向上を図る前に素材採集にも油断ならない状況がどう動くか興味津々です。

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2017年03月21日

『裏世界ピクニック──ふたりの怪異探検ファイル』

宮澤伊織 先生が贈る新作は、女子ふたりの怪異探検サバイバル。世界の〈裏側〉で数々の
怪談で見聞きした怪異と遭遇する女子大生がある女性と出会う場面から物語は始まります。
(イラスト/shirakaba 先生)

http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000013466/shurui_3/page1/order/


大学で文化人類学の研究テーマとして実話怪談に興味をもった“空魚”が見つけた〈裏側〉
への通路。その先で白いくねくねした影に遭遇し溺れかけた彼女を“鳥子”が救う。謎多き
裏の世界にて姿を消した“冴月”という女性を探している、と聞いて手を貸すのだが──。

「くねくね」「八尺様」「きさらぎ駅」「時空のおっさん」と、ネットで話題の都市伝説を
“空魚”と“鳥子”が探検の最中、実際に目の当たりにすることで、いわゆる深淵を覗いた
ことによる体の異常を引き起こしてしまう。あの得体の知れない恐怖感が何ともたまらない。

“冴月”に対する諦めを口にした“空魚”と喧嘩別れした“鳥子”。いつしか“冴月”に
嫉妬していると気がついた“空魚”が協力者を連れて彼女を追う顛末は確かに百合っぽい。
吊り橋効果の如く培われた二人の関係が更なる探検でどう変化するか見てみたいものです。

posted by 秋野ソラ at 00:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年03月20日

『無法の弁護人 3 もう一人の悪魔』

師走トオル 先生が贈る究極の法廷劇。第3巻はストーカー被害に悩む女性に適切な対応を
促した“本多”が思わぬ方向に話が動いた事件を前にして三度“阿武隈”の手を借ります。
(イラスト:toi8 先生)

http://novel-zero.com/issued/2017/02/04.html


担当患者の“一之瀬”からストーカー被害を受けていた看護師の“榊原”。“本多”の伯父
“酒井”と知り合いであることから相談に乗った彼だが、“一之瀬”が殺害され伯父が警察
から容疑者として尋問を受けたため弁護を依頼される所から予想外の方向へ話が進みます。

意識を失っていた“榊原”。同じ病院勤務で最初の目撃者“鈴木”。第二発見者で“一之瀬”
の叔父“渡邊”。事件の通報者でなぜか現場保存に努めた“三井”。怪しさを残す状況下で
“阿武隈”を敵視する検事“朱鷺川”が乗り出してきて後手に回る展開が手に汗握らせます。

相変わらずの“阿武隈”にいつも通りの正義感を振りかざす“本多”が手のひらで踊らされ
吹っ切れた様子により濃密な続きが期待できます。そして『タクティカル・ジャッジメント』
の 師走 先生が法廷劇で躍進をみせてくれそうな帯の宣言に、弥が上にも期待が高まります。

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2017年03月17日

『天久鷹央の推理カルテV ―神秘のセラピスト―』

知念実希人 先生が贈る新感覚メディカル・ミステリー。第5巻は天才女医“天久鷹央”が
人込みで体が腐る男、特別な治療で若返る老女、そして移植を阻む奇蹟の謎を診断します。
(イラスト/いとうのいぢ 先生)

http://shinchobunko-nex.jp/books/180090.html


「雑踏の腐敗」では夢を抱いて上京してきた“辰馬”が渋谷にいる人の多さに圧倒された
かと思えばオカルトじみた現象に直面してほぼ引きこもり状態に。そこそこの人通りなら
大丈夫なのになぜ渋谷はダメなのか。意外な理由を探り当てる“鷹央”の診断が冴えます。

「永遠に美しく」では相談者“美奈子”の母が明らかに若返っている写真を見せつけられ
俄然、鍼灸院を営む“秋源”が施術する「若返りの治療」に興味津々。もちろんそこには
裏があるのですが、元々の発端にはフェイクが仕込まれていたのにはしてやられました。

「聖者の刻印」では医療不信と、預言者なる人物の言葉を理由に娘“里奈”の骨髄移植を
認めない母親をどう説得するか。トリックを暴くだけでは解けない宗教の壁をどう崩すか、
患者のことを第一に考える、“鷹央”の成長ぶりが嬉しく感じられる内容でありました。

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2017年03月16日

『サークルクラッシャーのあの娘、ぼくが既読スルー決めたらどんな顔するだろう2』

秀章 先生が贈る異色のファンタジー作品。“クリスティーナ”を探す“ユーリ”たちが
“ルシオン”の許嫁と遭遇したことで彼女の国の未来を左右する騒動に巻き込まれます。
(イラスト:R_りんご 先生)

http://sneakerbunko.jp/bookdetails/?pcd=321607000405


口絵も挿絵ものっけからエロい導入から始まる今巻。“ユーリ”たちもホントに懲りない。
そこへ“ルシオン”の本性は知らずに彼にぞっこんな“サフィ”が現れて何とか落ち着く
かと思いきや誓いを立てる相手、司教としての“クリスティーナ”と再会するという悪夢。

前任の司教“ゼクト”に関する逸話の他“ユーリ”たちと別れてからクラッシャーぶりに
磨きをかけてきた“クリスティーナ”。今度は国という後ろ盾をもって“ユーリ”たちを
今回も無自覚な形で悩ませ、苦しめていく展開は喜劇を通り越した悲劇と言うしかなく。

思わぬ流れで陥った苦境の中、“サフィ”の見せた頑張り具合に思わず同情の念は隠せず。
ラストのアピールも応援したくなるところですが“エマ”には“ユーリ”を支えてもらう
必要がありますからな・・・なんて言っていたら引きがものすごく不穏。続きが気になります。

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2017年03月15日

『六畳間の侵略者!? 25』

健速 先生が贈る人気シリーズ。通算27冊目は“晴海”が倒れ、シグナルティンが使えない
危機に陥る“孝太郎”が“エゥレクシス”や“真耶”をも唸らせる逆転の秘策を振るいます。
(イラスト/ポコ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/711.html


“晴海”が“アライア”と共にあること。そして“シグナルティン”を使い続けるその意味
に気付いてしまった“孝太郎”。六畳間のメンバーの中で自分だけが「普通の人間」という
ことが度重なる襲撃からも思い知らされることとなり、今巻はかなり悩まされる感じです。

そんな状況を知ってか知らずか、“エゥレクシス”が極秘会談で“孝太郎”に仕掛けてきた
ある提案がまた上手く隙を突いてきて。これは一枚上を行かれてしまったか、という状況を
まさか“アライア”の思わぬ布石が覆していく展開が熱い。“ルース”もよく気づきました。

そして迎えた総力戦。両陣営共に迷いを吹っ切るような戦いぶりも存分に魅せてくれました。
今巻のあとがきで提示された「#六畳間の今後」に関するアンケートは今後の世界もif話も
これだけ長く続いたシリーズなので色々とやってほしいです。ゲームブックも楽しめそう。

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2017年03月14日

『佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I'll have Sherbet! 1』

九曜 先生の「第1回カクヨムWeb小説コンテスト・特別賞」受賞作。念願の一人暮らしを
するはずだった少年が、同じ学校の下級生女子と同棲することになる学園生活を描きます。
(イラスト:フライ 先生)

http://ebten.jp/eb-store/p/9784047344990/
https://kakuyomu.jp/works/1177354054880240118


不動産屋の手違いから二重契約された部屋で美少女と言う他ない“佐伯さん”と同棲する
ことになった“恭嗣”。誰もが羨む状況かと思えば登下校は別々、学校でも接触は禁止と
厳命された彼女は部屋での雰囲気との違いに戸惑う。実はある過去が関係していて──。

自分に素直で開けっ広げな佐伯さんこと“貴理華”が耳にする“恭嗣”が校内でも指折り
の美少女“美ゆき”と付き合っていて、しかも振ったという噂。誤解を解かない彼に対し
多少の幻滅はするものの、諦めずに向き合う彼女の姿勢が実に健気で、好感が持てます。

同居人の影響を思いのほか受けていることに内心、驚きを隠せない“恭嗣”。変わりつつ
ある彼に抱く新たな興味を隠さない“美ゆき”。自然と心惹かれていく同室の異性に対し
それとなくアピールを続ける“貴理華”。三者三様の想いがどう絡んでいくか楽しみです。

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2017年03月13日

『君は月夜に光り輝く』

佐野徹夜 先生の「第23回電撃小説大賞・大賞」受賞作。皮膚が光る不治の病で余命僅かの
級友の少女を、会ったこともないという少年が見舞うことで動き始めていく愛を描きます。
(イラスト/loundraw 先生)

http://mwbunko.com/978-4-04-892675-1/


「発光病」により病室での生活を余儀なくされる“まみず”に向けて級友たちが書いた
寄せ書きを代理で届けることになった“卓也”。死ぬ直前の姉と様子が似ていたことに
何かを感じた彼は、彼女が「死ぬまでにやりたいこと」を代行しようと提案する──。

“まみず”が大事にしていたスノードームを壊した、という代償に乗ってあれやこれや
と“卓也”にお願いをしていく顛末は「彼女に余命がない」という事実を払拭するかの
ような楽しさを感じさせます。ですが、確実に迫る彼女の死を拭うことはできません。

いつしか心惹かれあう二人となった“まみず”と“卓也”が愛する人を残し奪っていく
死という絶望に対してどう結論を出すか。中原中也のある詩に引かれた線、その続きに
ある想いと、彼女からのお願いを受け止めた彼の決断をぜひ見届けてほしい秀作です。

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2017年03月10日

『機甲狩竜のファンタジア2』

内田弘樹 先生が贈る戦車と竜が織りなす機甲幻想譚。第2巻は森に棲むエルフと彼女らが
持つ戦車と共に挑む遺跡の調査の中で“サツキ”がひた隠しにしていた過去と向き合います。
(イラスト:比村奇石 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321604000579


竜災期の到来に備え暴竜種の正体を探る手掛かりを求めて古代文明の遺跡「雲海の塔」に
同道するIV号駆逐戦車ラングとエルフたちの華々しいダンジョンアタックが・・・と思いきや
“カヤーク”から“サツキ”を追及する発言を前に“トウヤ”たちと共に困惑させられます。

そこへきて“フィーネ”の出自が明らかになると共に、背負わされた課題への解決に総員
手助けに回る・・・というか巻き込まれる感じがコミカル。更に“シェルツェ”が抱く想いの
変化と“ヨシノ”の変えてはいけない決意の対照的な機微が年頃の青春を描いてきます。

戦車の圧倒的な力を改めて目の当たりにすると共に、その上をゆくバハムートとどう対峙
するのか。そもそもバハムートとはどんな存在なのか。それが“サツキ”の過去にどう
関わってくるのか。エピローグの副題と挿絵が全てを昇華してくれたことに感嘆しました。

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2017年03月09日

『豚公爵に転生したから、今度は君に好きと言いたい』

カクヨムPV数NO.1を誇る、合田拍子 先生の「第1回カクヨムWeb小説コンテスト・特別賞」
受賞作。アニメの世界に嫌われ者の悪役として転生した少年が運命に抗う行動に出ます。
(イラスト:nauribon 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321611000756
https://kakuyomu.jp/works/4852201425154898215


熱血主人公“シューヤ”の活躍を描く大人気アニメ『シューヤ・マリオネット』。それを
熱狂的に支持する“俺”があろうことか巨漢の悪役“スロウ”に転生。訳あって問題児と
して振舞っていた豚侯爵の人生をアニメの知識を活かし別の道に進めるべく動き出す──。

ダイエットに励んだり、先生や生徒に適切なアドバイスをしたりと本来の“スロウ”には
見られない所作が物語の空白期間という状況を踏まえ「豚公爵」という悪名を変えていく
展開が心地よい。歴史の影の立役者である彼が表舞台に立とうとする活躍にまずご注目。

そんな“スロウ”に唯一残された従者“シャーロット”をはじめ、描かれるキャラクター
が魅力的で、それを nauribon 先生の挿絵が強力に後押しします。ホントにかわいいな。
「好き」と言いたい相手にふさわしい男になれるか、彼の努力を見届けたいと思います。

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2017年03月08日

『大国チートなら異世界征服も楽勝ですよ? 替え玉皇帝になったので美少女嫁も豊富です。』

『Digital Eden Attracts Humanity』を上梓した 櫂末高彰 先生が贈る新作は異世界召喚
ファンタジー。替え玉皇帝となった少年が敵だらけの帝国で物量を武器に圧倒していきます。
(イラスト:三上ミカ 先生)

http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1512


先代皇帝を呪殺されたグロリア帝国。その宰相“ムツィオ”と魔法使い“パオラ”により
先代に似ているから、という理由で召喚された“常信”は内憂外患な帝国の実情を目にし
頭を悩ませる。どうすれば打開できるのか、考えに考え抜いた彼が導き出した結論は──。

“常信”が拒否した場合に備えてかけるはずだった従属魔法。その設定がちょいとエロい。
しかもその情景を 三上 先生に描かせるのだから思わず先生の同人誌を想起させられます。
あと“キャラ”の発明によってネットの概念が使えるのが話を動かすポイントの一つです。

内憂としての内政を改革し、外患としてチート無双の主人公キャラ“マサト”が仕掛ける
執拗なる策謀の数々を「大国だから」こそできる対応策で打ち返す応酬が最大の見どころ。
女性陣に囲まれてうらやまけしからん替え玉皇帝の快進撃を引き続き見てみたいものです。

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2017年03月07日

『Q.もしかして、異世界を救った英雄さんですか? A.違います、ただのパシリです。』

『明日、今日の君に逢えなくても』の 弥生志郎 先生が贈る新作は現代学園ラブコメディ。
異世界を救った元英雄の青春学園ライフを突如訪れたぽんこつ女神が突き崩していきます。
(イラスト:フライ 先生)

http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1510


級友の“隼也”にパシリをやらされている“識”は俯いているように見えてそこに青春を
感じる変わり者。そこへ彼に異世界を救ってほしいと訪れてきた神霊“フィーナ”が謎の
巨人に襲われる場面に出くわす。なぜか彼は臆することなく面倒そうに対峙するが──。

他にも救世の噂を聞きつけて、騎士“シオン”や生物学の権威“アーシェ”が“識”との
面会を果たしますが、当時の苦労が身に染みた彼はことごとく断る始末。しかも彼女らと
関わることで隠していた秘密も級友たちにバレて、人間関係も大きな転換期を迎えます。

本来の世界にいないことで実力を発揮できない3人の異世界人を、嘲笑うように登場した
魔王“エルヴィ”。彼女の所業に3人は手出しできないのか、“識”は不干渉を貫くのか、
それが話の焦点となります。素直じゃない彼の振舞いに最後まで楽しませてもらいました。

posted by 秋野ソラ at 00:01 | Comment(1) | TrackBack(0) | ライトノベル