2018年11月12日

『私が大好きな小説家を殺すまで』

斜線堂有紀 先生が贈る新作は、ある作家のファンである不遇な少女が偶然に本人と出会い
救われたにも関わらず、彼を殺さなくてはならなくなる結末に至るまでの経緯を綴ります。
(イラスト/くっか 先生)

http://mwbunko.com/978-4-04-912111-7/


午後7時から午前7時。押入れの暗闇に閉じ込められる生活を母に強いられる少女“梓”
の数少ない拠り所は“遥川悠真”が書いた小説。その本が母の怒りを買う仇となり部屋で
一人となってしまった彼女は大好きな本を手に踏切自殺を図るが呼び止める声がして──。

先生の気まぐれに救われて。憧れの先生が綴る文章に触れるだけで幸せな時間が大切で。
そんな“梓”の幸せな時間が続けばいいのに、という期待は彼のスランプと彼を救おうと
とった彼女のとある手段がきっかけで脆くも崩れ去っていく。それが切なくて、苦しくて。

先生との長い付き合いを経て“梓”に育まれてきたある感情が最後の引き金に手をかけた
その時に“遥川悠真”は何を感じていたのか。彼女がそれをどう受け止めたのか。最後の
一文に込められたと思われる機微、その先にある情景を想像するためにぜひ読んで下さい。

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2018年11月09日

『ゲーマーズ!11 ゲーマーズと初恋マルチエンド』

葵せきな 先生が贈る、こじらせゲーマーたちのすれ違い青春ラブコメ。第11巻は突然に
訪れたイベントに対して“景太”たちがこじらせた想いに彼らなりの結論を導き出します。
(イラスト:仙人掌 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321806000014


奪った側も、奪われた側も動揺が隠せない、これまた不器用な関係。

敗北者にしか見えない“可憐”、勝者にはとても見えない“千秋”。まさに惨憺たる様は
見るのも痛々しく。その精神的な苦痛をもゲームで乗り越えていくあたりは実に彼女たち
らしいと言うしかなく。すべてを理解していた“真音”の立ち回りがまた小憎い演出で。

唇を奪われた“景太”が自分のことはさておいて“亜玖璃”の、そして“祐”の背中をも
押していく姿勢から、彼の本質が見えてくるという描写もまた絶妙。“祐”が彼女に対し
襟を正した場面は「ようやくここまで来たか」と胸を撫で下ろしたくなるほど素敵でした。

ここまで散々こじらせてきた想いのベクトルに一つ区切りがついたことで、気になるのが
“景太”の去就。これはもう読んで確かめていただくしかありませんが、すんなり決まる
こともないあたりが彼らしい。うれし涙の先にある真の最終巻で何が飛び出すが注目です。

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2018年11月08日

『自称Fランクのお兄さまがゲームで評価される学園の頂点に君臨するそうですよ?5』

三河ごーすと 先生が贈る学園ゲーム系頭脳バトル。第5巻は獅子王学園の生徒会が新しい
体制と夏休みを迎える中で、“紅蓮”たちが新たなゲームの場に臨む物語のはじまりです。
(イラスト:ねこめたる 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/f-rank/321807000181.html


理事長の思惑にまんまと嵌められてクオリアの所有権を賭けた世界各国の遊戯養成校との
戦いに参加させられる“紅蓮”の脇の甘さ。所々でそれが影を落としてくるのが気になる。
とは言え今巻はその嵐に挑む前の穏やかさを演出してきて微笑ましくなる場面が多いです。

今巻は冒頭にある“桃花”のモノローグにもあるとおり彼女の話が軸。中々に重い過去を
背負いつつ、勝負には向かない気質の彼女がどうすれば守るもののために強くなれるのか。
思いがけない才能を開花させて、意外な勝負で“紅蓮”を追い詰めていく展開が実に熱い。

「人生を賭けて戦う」なんて汚れた世界を知ってほしくない“紅蓮”の思いを知ってなお
ゲームの場に挑む“可憐”の気概が裏のテーマにもなっている印象を受けました。そこへ
畳みかけるように現れる新たな敵からのアプローチ。どんな死闘が待ち受けるか注目です。

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2018年11月07日

『ピンポンラバー2』

谷山走太 先生が贈る青春卓球ストーリー。第2巻は学園序列1位のパートナーに選ばれた
意外な人物の話を契機に、“翔星”や“瑠璃”が卓球と向き合う姿勢を改めて問われます。
(イラスト:みっつばー 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094517590


突如学園に帰ってきた“獅子堂”。彼のパートナー選びで白羽の矢が立つと信じていた
“瑠璃”の落胆、更には“紅亜”を追って押しかけてきた世界のトップ選手“メイリン”
からもダメ出しを食らう意味を推し量れなかった“翔星”の後手後手ぶりがもどかしい。

何のために卓球をするのか。思いがけず相対することになった“瑠璃”と“翔星”、各々
生い立ちがにじみ出る主張のぶつかり合いが切なくて、けれども心揺さぶられる何かが
たくさん込められていて印象深かった。“沙月”の頑張りも泥臭くて、また格好良くて。

頑なな“瑠璃”の目を覚まさせるための布石といて“翔星”が、そして“紅亜”が打った
布石が功を奏すか否か。彼の情熱が不条理に抗っていく戦いの行方、そして“瑠璃”自身
卓球とどう向き合うのか、この結末と結論は見届ける価値アリかと。続きが楽しみです。

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2018年11月06日

『どらごんコンチェルト!(1)』

『きんいろカルテット!』の 遊歩新夢 先生が贈る新作は、挫折したトロンボーン奏者が
異世界で出会ったトランペットを吹く少女との交流を描く、異世界音楽ファンタジーです。
(イラスト/三輪フタバ 先生)

https://over-lap.co.jp/Form/Product/ProductDetail.aspx?shop=0&pid=9784865543940&vid=&cat=BNK&swrd=


国際コンペでまさかの大失態を招いた“遊佐”。音楽を嫌いになるほどの失意から死をも
招いた彼が辿り着いたのは耳慣れない異国の地。彼はそこで魂を揺さぶる音色を紡ぎ出す
少女“フィリーネ”と出会い、竜神に音楽を奉納する竜楽師になる夢を手助けするが──。

音楽演奏に関する描写の妙については言わずもがな、権威に対する反抗心が窺える展開や
何のために演奏するのかを問いかけていく姿勢など、先生らしさが見える内容で安心感が
すごい。あと可愛い女の子が多く出てくる所もか。三輪 先生のイラストが花を添えます。

“ビショップ”の嫌がらせや“キトラ”が示す正しさ。“フィリーネ”へ迫る障害に対し
トラウマが残る“遊佐”が“ユーサー”として彼女に出来ることは何か。人のいざござを
前に竜神が示す託宣をぜひ見届けてあげてほしい。続刊に期待したいと思える作品です。

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2018年11月05日

『スレイヤーズ16 アテッサの邂逅』

神坂一 先生の往年の名作が復活。死闘を繰り広げた“リナ”と“ガウリイ”が里帰りする
途中で野盗騒ぎの護衛を引き受ける所から思わぬ陰謀に巻き込まれていく顛末を描きます。
(イラスト:あらいずみるい 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321806000019


独特な“リナ”の地の文、聞き慣れた呪文詠唱、おなじみの決めゼリフ。どれもこれもが
懐かしく、そして感慨深く思うのはリアルタイムで本作を読んでいた者として致し方ない
と言わざるを得ません。遠い記憶を呼び覚ましてくれる補足説明の数々も実に親切設計で。

いろいろあって大技が使えない“リナ”と“ガウリイ”とはいえ手こずる敵とはいかなる
存在か。これまた懐かしい“アメリア”や“ゼル”の手を借りて真相に迫っていく展開は
布石の打ち方、拾っていく流れも滑らかで読みやすいのなんの。只々、脱帽のひとこと。

長い時を経て『スレイヤーズ』という伝説みたいな作品に平成最後の年、新しく手にした
読者の方々にはどう映るのか実に興味津々。「ファンタジア文庫」30周年でもありますし
ぜひ新シリーズとして続けていただいて老若男女、楽しみを共感したいと願うばかりです。

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2018年11月02日

『辺境貴族、未来の歴史書で成り上がる 〜イリスガルド興国記〜』

三門鉄狼 先生が贈る新作は、所有者が好きなことを書き込める未来の歴史書を手にした
辺境の若き領主が楽な人生を手に入れるべく運命を書き換えていくファンタジー作品です。
(イラスト:東山エイト 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797398441.html


戦乱の世で戦死した父の跡を継ぎ王国の外れにある領地を預かることになった“アルト”。
遺品を整理していた彼が見つけた本から刻の精霊“クロノ”が現れるも彼女の軽いノリに
疑いの眼差しは拭えず。しかし試してみると、確かにありえない希望が現実となって──。

単純に未来が書き換えられてウハウハというワケではなくて“クロノ”が語ってくれない
未来の歴史書に課せられた制約を探りながら、窮地を救う未来を手繰り寄せていく様子を
“アルト”と一緒に考えながら楽しめる物語です。もちろん素直に読み進めるのも可です。

突然の躍進と“クロノ”の存在が気になる“アルト”のいとこ“エレナ”、彼に救われて
乙女回路が走っちゃう“リーゼロッテ”の言動も面白い。そして歴史書でもままならない
時代の流れが押し寄せてくる緊張感も見所と言えるでしょう。続きが気になる作品です。

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2018年11月01日

『俺、ツインテールになります。16』

水沢夢 先生が贈るツインテール愛あふれるシリーズ。第16巻は“エンジェルギルディ”が
“トゥアール”の身も心もかき乱す展開に“総二”がかつてないツインテール愛を見せます。
(イラスト/春日歩 先生)

https://www.shogakukan.co.jp/books/09451754


ツインテール属性を摘出したことで“トゥアール”の死が間近に迫るほど寿命が縮まった
という真実。その力が自身の右手首にあるという事実。“総二”らの葛藤すら手玉に取る
“エンジェルギルディ”の直接に力を振るわないアプローチがいやらしいことこの上ない。

“総二”のツインテール愛をもってしても“トゥアール”が持つエレメーラの呪いを破る
ことが出来ず、“エンジェルギルディ”の強さにも圧倒され、“唯乃”の死を告げられた
“総二”たちが最悪の局面となる“ペルソナギルディ”と対峙する局面はまさにどん底。

故郷を失った“トゥアール”の復讐心を止められないのか、と諦めかけたその時、我らが
“総二”の見せた勇気からの怒涛のラッシュが熱い。春日 先生のイラストもそれを後押し
してくれます。巻末でいつも通りの彼女が見られて本当に良かった。次巻も楽しみです。

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2018年10月31日

『落第騎士の英雄譚15』

海空りく 先生が贈る学園ソードアクション。第15巻は“オル=ゴール”との直接決戦で
“ステラ”そして“一輝”が決断を迫られる、ヴァーミリオン戦役の最終局面を描きます。
(イラスト:をん 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797399011.html


“オル=ゴール”の姉として“一輝”と対峙する“アイリス”の圧倒的な強さは応援する
周囲も棄権を促すほど。けれど彼女に圧倒されながらも闘いを諦めない彼の姿に、勝利を
何が何でも掴もうとする貪欲さが見えた時の高揚感、そして結末が見せる寂寥感たるや。

その上で“オル=ゴール”が仕掛けてくる無差別で無慈悲な戦いぶりが実にえげつない。
しかし“ステラ”や仲間たちも負けない強さで対抗するあたりは熱量あふれる展開です。
その彼女の働きをも上回る《傀儡王》の切り札がまた凄くて、“一輝”も油断するほど。

最初から間違っていた“オル=ゴール”の正しさと、彼が憎んだ“一輝”たちの正しさ。
命を懸けた“一輝”の決断を“ステラ”がどう受け止めるのかぜひ見届けていただきたい
最終局面にふさわしい話運び。引きは色々どうなるんだ感が強く、続きが気になります。

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2018年10月30日

『弱キャラ友崎くん Lv.6.5』

屋久ユウキ 先生が贈る人生攻略ラブコメ。シリーズ初の短編集は“日南”たちがこれまで
目にしてきた様々な青春模様に繋がるまでの物語、その数々を小編としてまとめています。
(イラスト:フライ 先生)

https://www.shogakukan.co.jp/books/09451757


「そして、その後の話。」に至るまでに変化していく“七海”の機微が今巻だけでも見て
取れるという、何とも言えないこそばゆい感がたまりません。また、彼女視点からも含め
窺える“友崎”の印象とその遷移も見逃せません。7巻の刊行が待ち遠しくて仕方がない。

そんな中、胸に響いたのは“菊池”の小編。逃避から始まったかも知れない図書室通いで
たまたま出会ったマイケル・アンディの作品から、登場人物に対する共感を自身の変革へ
繋げていく勇気、それがしっかりと結果に結びつく日記帳の記載に心が温かくなります。

ほかにも“泉”の取り越し苦労な感じとか、パーフェクトヒロインになる前の“日南”が
自身を高めるためにどんな考え方をもって行動してきたかが分かるのも、この短編集の
醍醐味と言えるでしょう。本筋だけでは見えない物語、機会があればまた見たいものです。

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2018年10月29日

『ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか?2 〜たまらなく愛おしく、とにかく尊い〜』

望公太 先生が贈る純愛・甘々ラブコメディ。第2巻は“薫”が同級生の“咲”から突然の
「付き合ってもいいのよ?」宣言をもらったことで、“姫”との関係が再びざわつきます。
(イラスト:ななせめるち 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797398694.html


周りの友達がみんな彼氏を作ったので、告白したら断られないはずの“薫”を彼氏に選んだ
という何とも身勝手な理由をあっさりと明かす“咲”。“姫”に引けを感じさせてしまう
新たな火種になることを思うと、何とも煩わしい存在だと感じてしまうのも無理はなく。

しかし、そこに至る過程というか本音を“咲”が明かしてくれたことで「人を好きになる」
きっかけはどこに転がっているか分からないし、その気持ちはなかなか止められない、と
思春期真っ只中の青春ぶり、かつ恋愛模様を見せてくれて彼女が憎めない存在に転じます。

それでもすれ違い、何度でもくっつき直す“薫”と“姫”のこそばゆい関係は相変わらず。
発破をかける姉の“妃”がいろいろ勘違いさせられちゃうシチュエーションがまた面白い。
今回も彼女一筋で男を魅せてくれた“薫”を心から応援しつつ、次巻の動向に注目します。

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2018年10月26日

『魔法科高校の劣等生 司波達也暗殺計画(1)』

佐島勤 先生が贈る大人気シリーズのスピンオフ作品。暗殺を生業とする少女がその現場を
“達也”に見られたことで、いらぬ苦労とあらぬ運命を背負うことになる顛末を描きます。
(イラスト:石田可奈 先生)

https://dengekibunko.jp/product/mahouka/321805000011.html


暗殺者を束ねる「亜貿社」に所属する“有希”。彼女がいつもの如く殺しの依頼をこなす
ある日、妙に落ち着いた様子の少年に見られた上に取り逃がすというまさかの失態を犯す。
彼の名は“司波達也”。底知れない何かを感じる年下の少年を彼女は始末できるのか──。

知っている側からすると、“有希”の「最初から詰んでる」と言わざるを得ない境遇には
同情すら覚えるワケで。相棒の“鰐塚”がサポートするも“達也”を憧憬する“文弥”の
介入もあって少しずつ追い詰められていく彼女が見せる負けん気は健気とも言える感じで。

あとがきにもありますが本作の「ヒロイン」は誰か、という視点で見ると本作を読了して
感じる印象には違いが出るかも。何を言われても“有希”へ変装を促す“黒川”の姿勢は
天晴れと申し上げたい。“有希”が新しい環境下でどう生きていくのか見ていく次第です。

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2018年10月25日

『乃木坂明日夏の秘密(2)』

五十嵐雄策 先生が贈る次世代シークレット・ラブコメ。第2巻は夏休みを通じて秘密を
共有し合う“明日夏”と“善人”の前に彼女の姉“未来”が現れて一波乱ありそうです。
(イラスト:しゃあ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/nogisaka/321805000014.html


“善人”を「せんせー」と呼ぶ“明日夏”の気が置けない様子は何ともこそばゆくて実に
良いものです。お揃いのアイテムを購入したり、水着姿を堪能したり、プチ遭難したりと
うらやまけしからん場面が目白押し。しゃあ 先生のイラストも映えるシチュエーション。

今回は“明日夏”のうっかりさんなところから夏コミに参加することになってしまう所を
支援する形になる“善人”。その過程で彼が“未来”とのやり取りを通じて“明日夏”の
心に姉の存在が影を落としていることを再認識するシーンでは男気を魅せてくれました。

何かと“明日夏”たちを後押ししてくれる“美夏”が二人の様子を見てつぶやいたほんの
少しの本音にちょっぴり切なさを感じてみたり。乃木坂家の関係者との接触が増えてきた
“善人”ですが、次はいよいよラスボス登場といった感じで。どう話が転ぶか楽しみです。

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2018年10月24日

『青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない』

鴨志田一 先生が贈る青春ストーリー。TVアニメ放送中に刊行される第8巻は子役時代の
“麻衣”に似た少女と出会った“咲太”が、改めて家族とのつながりを見つめ直します。
(イラスト:溝口ケージ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/aobuta/321805000007.html
https://ao-buta.com/


小学生の女の子に気付いたのは“咲太”だけ。“麻衣”に尋ねても見ていない、という
回答から新たな思春期症候群の発症を予感させるものの、それが何か見えてこない展開
にはどこか緊張感を漂わせます。“翔子”のワンピース姿がまるで一服の清涼剤のよう。

「“花楓”に会いたい」と母親の気持ちを受けた彼女に湧き上がる感情の昂りとは逆に
いろいろと悩みに考えを巡らせる“咲太”。その油断を突くかの如く始まる異常事態。
迷子の少女、という存在がまさに彼がいま母親に対してどう思っているかを示します。

「みんな、自分でなんとかしたんだよ」その言葉にそれでも前を向く“咲太”の芯の
強さを見せつけられた気がして、強く印象に残ります。そして“麻衣”がいることの
安心感にひたらせてもらいました。布石を打ちつつの大学生編に移る次巻に注目です。

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2018年10月23日

『ビブリア古書堂の事件手帖スピンオフ こぐちさんと僕のビブリアファイト部活動日誌2』

峰守ひろかず 先生が贈る「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズのスピンオフ。第2巻は
新たなビブリアファイトを通じて変わっていく“響平”と“こぐち”の機微に触れます。
(イラスト:おかだアンミツ 先生 原作・監修:三上延 先生)

https://dengekibunko.jp/product/biblia/321805000008.html
https://biblia.jp/


委員長然とする“のどか”を相手に繰り広げる舌戦の熱気を楽しむのも束の間、彼女の
思いがけない秘密を知ることで距離感を縮めていく“響平”の迂闊さ。“こぐち”の淡い
気持ちがもどかしさを募らせる展開に対して罰のように彼が賭けの対象になるのは面白い。

いつの間にか一緒にいるのが当たり前、そう思っていた“こぐち”。彼女に想いを伝える
者の登場を前にしても一歩踏み出せない“響平”。『ブギーポップ』を読んで一皮むけて、
『とらドラ!』を通じて彼女を、そして自分をも後押ししていく話運びがとても素敵です。

ビブリアファイトを半年続けてきて“響平”が気づいたこと。それが何なのかを最後まで
見届けて頂きたい。最後の引用も実にお見事。おかだアンミツ 先生の挿絵からも窺える
“のどか”の精神的な成長も感慨深いものが。また続きが読みたい気持ちでいっぱいです。

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2018年10月22日

『数字で救う! 弱小国家 3 幸せになれる確率を求めよ。ただしあなたの過去は変わらないものとする。』

長田信織 先生が贈る救国戦記ファンタジー。第3巻は“ソアラ”が領地を下賜する、その
意味を知っていてなお断った“ナオキ”のしがらみに、新たな騒動を交えて触れていきます。
(イラスト:紅緒 先生)

https://dengekibunko.jp/product/su-suku/321805000013.html


数学の才能を持つ逸材を求めて早速トラブルを招き入れる“ナオキ”。女性問題もですが
最後の引きの弱さとかも含めて、彼らしさを今巻も見せてくれます。“トゥーナ”に先を
越されるあたり“ソアラ”も報われないな、とか思っていたらけじめをつけてくれました。

“ソアラ”からの間接的なプロポーズを受け流した“ナオキ”が抱く無力感のような想い。
背景にある彼の過去、さらに世界の違いをどう受け止めてきたか吐露した内容が印象深い。
緩衝役を務めてくれる“テレンティア”の存在もまた重要で、立ち回りに好感が持てます。

グラフの使い方、解説の分かりやすさ、紅緒 先生の挿絵による絶妙な演出、そして2人の
絶妙な関係、まさに集大成と言える第3巻でありました。節目として綺麗にまとめてきた
とも言えますがここはぜひもう一声! 2人のその先とか穴埋めエピソードも見たいです。

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2018年10月19日

『いづれ神話の放課後戦争〈ラグナロク〉10 ─魔眼の王と天焦愛唄─』

なめこ印 先生が贈る学園ヒロイックバトルサーガ。第10巻は“大聖女”の世界の救い方を
体感した“雷火”が示す心の揺らぎを“バロール”が、そして“天華”が問いただします。
(イラスト:よう太 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321802000322


夢のような幸せすぎる日常。それを“雷火”に見せた“大聖女”の意図がどうしようも
なく彼の考え方と相容れないやり取り。更に彼女の方が正しいという点も踏まえるともう
絶望するしかない局面。だからこそ彼が、そして“バロール”が示す悪足掻きが映えます。

紆余曲折の中で今いる女性陣と共に過ごしてきた日々が“雷火”の心境に決定的な変化を
もたらしたことが分かる弱音の吐露。彼だから、という側面だけでなく、人として生きて
いく上での葛藤も窺える熱量に感動すら覚えるほどでした。これはぜひ見てほしいシーン。

“雷火”が示した決心は“天華”に対しても向けられます。最後の大一番となる兄妹喧嘩
の顛末も見どころ。彼女も引くに引けない場所まで来ている葛藤をついに明かしてくれた
感情の爆発ぶりも印象深いものがありました。無事完結させたことに御礼申し上げる次第。

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2018年10月18日

-インフィニット・デンドログラム- 8.遺された希望』

海道左近 先生が贈る激熱VRMMOファンタジー。第8巻は国難に対し〈マスター〉を戦力と
みなすか否か。若き国王代行の悩みも絡む遺跡へ“レイ”が新しいジョブを求め臨みます。
(イラスト/タイキ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/806.html


“ネメシス”の心配する気持ちも知らずに「聖騎士」でありながら“アズライト”に悪漢
と間違われる程のファッションセンスを見せつけてしまう“レイ”に微笑ましくも苦笑い。
訳ありだがやらかす“アズライト”や彼にアレを言われた時の“ネメシス”の姿が可愛い。

“アズライト”が抱える悩みに触れながら、遺跡にまつわる秘密や暗躍する人物たちに
迫っていく過程が緊張感の高まりを演出してきます。その中で真摯に対応する“レイ”の
姿に心を打たれていく彼女の機微。何かが報われる感じがして思わず応援したくなります。

“レイ”が見聞きする「オッドアイ」「名前表示のおかしい機械仕掛けの人型モンスター」
というキーワード。これが示す真実に気づいた彼が対峙する相手の強さ、それすらも嵐の
前兆くらいの扱いになっていて戦々恐々とする思いです。新スキルの扱いも含め注目です。

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2018年10月17日

『チアーズ!3』

「月刊コミックアライブ」にて せうかなめ 先生の漫画連載も始まった 赤松中学 先生の
汗と涙の青春活劇。第3巻は「競技チア」の出場に必要となる7人目の部員が登場します。
(イラスト:こぶいち 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/cheers/321712001038.html


バレー部の試合で応援する場面。チアーズのレベルが低いことを印象づける描写の数々に
加えてクィーンズの“リエ”から浴びせられる嫌味がごもっともな内容で、彼女たちの
悔しさが伝わるかのよう。そんな中にも、ちゃんと報われるシーンがあって救われます。

苦い経験を胸に頑張る意気込みを見せるチアーズに“沙織”目当ての“阿実”が入部を
申し込むわけですが、2軍とはいえイレーネ学院チア部に所属していた彼女の自尊心は
高く、馴染めるのか心配になります。まさか鍵を握るのが「彼女」になるとは露知らず。

チアリーディングは採点競技、と信じて疑わない“沙織”が、実力は申し分ないはず
なのになぜ強豪校で2軍なのか。そこにチアの本質、チアーズの資質を魅せてくれて
実に良いスポ根ぶりでした。分かりやすい敵役“リエ”の鼻をぜひ明かしてほしいです。

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2018年10月16日

『魔王を倒した俺に待っていたのは、世話好きなヨメとのイチャイチャ錬金生活だった。 2』

かじいたかし 先生が贈るスイート錬金生活ストーリー。第2巻は“イザヤ”に昔の女なる
人物が登場し、更に連れ戻すと宣言されて気が気でない“ヨメ”の胸中に触れていきます。
(イラスト/ふーみ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/808.html


木工のぷちあに作りに専念するあまり“ヨメ”との進展がないことを危惧する“エリカ”の
気持ちも分かるというもので。“イザヤ”の軽い夏風邪を口実に甲斐甲斐しくイチャイチャ
してみたり、バカンスへ誘おうとする“ヨメ”のいじらしさたるや羨ましいことこの上ない。

懸命にアプローチする“ヨメ”の心を揺さぶる“ロゼ”の登場は、彼女にとってまさに衝撃
と言わざるを得ないワケで。二人の関係を勘繰って静かに涙する“ヨメ”の気持ちを思うと
ちょっと“イザヤ”を張り倒したくなるというものです。彼なりに思う所はあるのですけど。

“マリー”も含めての避けられない勝負に臨むことになる展開を経て“ヨメ”を決心させる
イチャイチャ錬金術(!?)の強さと絆を改めて見せつけてもらいました。“ロゼ”に対して
しっかりフォローしていく結末も良かったと思います。続刊も決まって続きが楽しみです。

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