2022年12月02日

『月の白さを知りてまどろむ』

古宮九時 先生の「小説家になろう」投稿作が「DREノベルス」創刊ラインナップ第二弾
として書籍化。神に縁ある街の巫子と妖物を退治する青年を巡る数奇な運命を描きます。
(イラスト/新井テル子 先生)

https://drecom-media.jp/drenovels/product/4
https://ncode.syosetu.com/n7885bf/


世界を巨大蛇から護った神が求める報酬に基づき作られた酒と芸楽と聖娼の街。

かつて世界を脅かす巨大な蛇から人々を護った神が求めた報酬。美酒と音楽、そして人肌。
それに基づき作られた享楽街アイリーデに生じる化生を斬る任務を授けられた“シシュ”、
「人肌」に纏わる妓館の主にして巫子“サァリ”。二人の邂逅から運命は巡り始める──。

化生斬りとして責任を全うしたい“シシュ”が国王の思惑に振り回される苦労性ぶりに涙。
その上に“サァリ”が妓館「月白」の巫である、という真意が圧し掛かってくるあたりは
泣きっ面に蜂、と言うしかなく。とは言いながら、いつ観念するのだろうと胸は弾む訳で。

圧倒的な紙幅、そして文字数にも関わらずグイグイ読めて、惹き込まれていく世界観には
流石と言うしかなく。アイリーデ、そして“サァリ”へと向けられる悪意や陰謀に対して
“シシュ”がどれだけ護っていけるか、続きから目が離せないのは言うまでもありません。

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2022年12月01日

『二周目勇者のやり直しライフ 〜処刑された勇者(姉)ですが、今度は賢者の弟がいるので余裕です〜』

田尾典丈 先生のWeb小説サイト投稿作が「電撃の新文芸」にて書籍化。死んで過去の世界
に戻ってきたと言い出す姉に振り回されるワケありな弟、二人で未来改変に挑む物語です。
(イラスト:にゅむ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322202000036.html
https://ncode.syosetu.com/n3255hu/


薪拾い中に姉“モニカ”が突然倒れ、起き上がったかと思えば未来で勇者だったと感情を
昂らせる姿に困惑する弟“ロモロ”。聞けば聞くほど奇妙奇天烈な話に呆れつつも内心で
否定できない彼もまたある秘密を抱えている。再び勇者を目指す姉は一計を案じるが──。

勇者らしからぬ言動が続く“モニカ”の印象を覆す魔法の力と、語られる失敗した未来。
次は上手くやる。そのために姉の修行に付き合わされる“ロモロ”にはまず同情しかなく。
更に持ち前の知識を活かし、姉の施策の抜けを埋めていく弟の献身ぶりに感服するばかり。

ハンターからも一目置かれる“モニカ”と“ロモロ”のバディぶりを楽しみつつ、徐々に
変わっていく未来の行方と、それを見守る人物の思惑が俄然気になる展開。彼の許嫁とも
言える“デメトリア”も「二周目」の運命を忌避できない訳で。続きが楽しみな作品です。

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2022年11月30日

『ゲーム・オブ・ヴァンパイア』

「午後九時、ベランダ越しの女神先輩は僕だけのもの」の 岩田洋季 先生が贈る新作は、
半吸血鬼にさせられた少年が、元凶の吸血鬼を捜すため潜入捜査に臨む顛末を描きます。
(イラスト:8イチビ8 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322202000068.html


吸血鬼に人権なし。見つけ次第、捕獲か駆除。そう定められた人間社会で始祖の吸血鬼に
両親を殺され、妹を奪われ、半吸血鬼として付与された魅了の力で騒動が絶えない“命”。
引き取られた“想子”の元で吸血鬼を駆除すべく公安に所属し、彼は力を発揮するが──。

目的の吸血鬼がいるという学園に潜入することになった“命”が“想子”の妹“真子”と
共に容疑者を探るシリアスさとエロティシズムを交えたコミカルなやり取りのギャップに
惹き込まれます。彼と一緒に仇敵を予想しながら読み進めていく楽しさがあるのも特徴で。

「支配の君」と呼ばれる始祖の吸血鬼が巡らせる策謀。驚くほどにいやらしいその内容は
読んで確認いただくとして、それに“命”が学園内で築いた絆でどう対抗していくのかを
見届けてほしい作品です。思わせぶりな引き具合も気になるので続刊を待望したい所です。

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2022年11月29日

『聖剣学院の魔剣使い11』

アニメ化が決定した、志瑞祐 先生が贈る学園ソードファンタジー。第11巻は虚無の世界を
探る“レオニス”たち、第〇七戦術都市に残る“シャーリ”たちに新たな脅威が迫ります。
(イラスト:遠坂あさぎ 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/seikengakuin/322207001273.html


「敵は己の中にあり」とはよく言ったものですが、“レオニス”にとっても驚きの状況が
続くのがまず驚き。“シュベルトライテ”の存在が思いがけない方向に作用したところも。
他の人物も触れている「虚無世界」の位置づけが今後の命運をどう左右するのかに要注目。

“シュベルトライテ”に妙に気に入られることになった“リーセリア”。あの呼ばれ方は
流石に頬を膨らませるのも無理はないかと。“フィーネ”が触れた〈魔剣計画〉の暗部に
“リーセリア”は迫ることができるか。ここも続刊で描かれる中の見届けるべきところで。

時間稼ぎと情報収集を任された“シャーリ”も耳を疑う話を聞いた上で、いよいよ彼女の
キャパシティを超える事態を前に機転を利かせた場面が印象深い、というか“ヴェイラ”
の使い勝手の良さに好印象を覚えました。アニメ化の話も含め、続きに期待が高まります。

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2022年11月28日

『恋人以上のことを、彼女じゃない君と。』

「異世界サ活」の 持崎湯葉 先生が贈る新作は、大学時代に交際と別れを経験した男女が
社会人になって再会し、息苦しい世の中で名状しがたい関係を築いていく顛末を描きます。
(イラスト:どうしま 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530964


ゲーム会社の激務に耐える“冬”が出社するビルで偶然再会した大学時代の元カノ“糸”。
昔話に花が咲き、お酒も進んだ二人は、気付けばあの頃のように褥を共にして朝を迎える。
ちゃんとしたいと構える彼に彼女は「だた心地良いから一緒にいようよ」と吐露する──。

子供の頃に描いていた社会人としての自分。社会に出て数年くらいに味わう理想と現実の
ギャップ。理不尽なことへの怒りを飲み込まなくてはならない虚しさ。業種は異なっても
似た経験を想起させられて心に刺さるものが。二人のような恋愛はありませんでしたけど。

恋とか結婚とかもううんざりな“糸”に対し、恋心を引きずっているのは否めない“冬”。
気が置けない関係で体も許す仲なのに、好き嫌いではなく一緒にいる楽しさを求める二人。
これは確かに不思議で、実に興味深い人間関係。2人の思い描く未来が気になる作品です。

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2022年11月25日

『後宮妃の管理人 七 〜寵臣夫婦は出迎える〜』

しきみ彰 先生が贈る後宮物語。第6巻は妃嬪たちと同道する先の避暑地で隣の杏津帝国
からの外交使節団も迎えることになった“優蘭”と“皓月”が諸問題の解決にあたります。
(イラスト:Izumi 先生)

https://lbunko.kadokawa.co.jp/product/kanrinin/322108000624.html
https://lbunko.kadokawa.co.jp/special/koukyuukisaki/


“劉亮”が決めた避暑地に「行かない」と言ったかと思えば「行きます」と翻す“充媛”。
杏津帝国との因縁も深い避暑地、菊理州と“充媛”に何の関係があるのか。謎多き寵妃に
一人で頭を悩ませる“優蘭”を労わる“皓月”の手練手管はこっちが照れくさくなるほど。

“皓月”も判断を悩ませる杏津帝国の皇弟“虞淵”とその愛妾“魅音”を歓迎する会にて
披露された妃嬪たちの演劇。ここでも鍵となる“充媛”が後宮内の人間関係に影を落とし
かねない流れを“鈴春”たちが良い形に崩してくれたのが印象的で応援したくなるところ。

“麗月”が独白した心境の変化。その契機となる“優蘭”と“皓月”の蜜月ぶりを味わう
だけで終わらせない“虞淵”と“魅音”の不穏な企み。そこに“充媛”はどう関わるのか。
巻き込まれる黎暉大国の行く末は。外に目が向いたお話でも寵臣夫婦の活躍を期待します。

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2022年11月24日

『私のことも、好きって言ってよ! 〜宇宙最強の皇女に求婚された僕が、世界を救うために二股をかける話〜』

「AGI ‐アギ‐」シリーズの 午鳥志季 先生が贈る新作は、地球を統治しにきた外宇宙の
皇女に交際を迫られる男子が現在交際中の恋人との関係で板挟みになる二股ラブコメです。
(イラスト:そふら 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322207000040.html


恭順か破滅か。宇宙人の皇女“アイヴィス”は地球に宣告したのち、気紛れに降り立った
日本で見かけた“悠人”に突如結婚を申し込む。彼女と恋人になれば地球滅亡は回避可能
と全世界から期待を集める彼には実は“叶葉”という美人の恋人がすでにいるのだが──。

“悠人”の通う学校に転校してきた“アイヴィス”を見た“一本木”が「手ェ出せんわ」
と尻込みした直感を“叶葉”にも感じた。その意味を想像しながら読み進めるのが楽しい。
彼女たちが彼を好きな理由を知ってから冒頭のあの場面に臨むと緊迫の度合いがまた違う。

“シルヴィー”の気遣いもむなしく、自己嫌悪に陥る“悠人”がどんな結末を迎えるのか。
“アイヴィス”が地球人と異なる性質、生まれた星でも特異と評される個性をもってあの
結末にある言葉と表情に繋がったのかと思うといじらしくも思えます。興味深い作品です。

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2022年11月23日

『高嶺さん、君のこと好きらしいよ2』

猿渡かざみ 先生が贈る両片想い恋愛ハウツー・ラブコメ。第2巻は“高嶺”との交際を
真剣に考えすぎて迷走する“間島”に思う所ある後輩が登場し、様々な想いが錯綜します。
(イラスト:池内たぬま 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530988


自慢の不動心も形無しな喫茶店デート。看病される中での迂闊な発言。球技大会における
らしくない活躍ぶり。“間島”が「失敗」と思い悩む心情、その根幹にある「普通」では
ないという自覚、ある種の恐れを吐露する姿を“高嶺”がしっかり受け止めたのが素敵で。

“間島”の「後輩だった」という“天神岡”。彼女が彼に対して裏切られた、と言い放つ
意味を突き詰めると理想とする正義や格好良さを追い求めていただけという拍子抜けする
青臭さ。そんな彼女のことも理解した上で面と向かって意思表示する“高嶺”が勇ましい。

まずは初デートの失点を取り戻した“間島”がどんな進化を遂げるのか引き続き要注視で。
恋人ができると変わる、と“間島”や“高嶺”の様子を見て唖然とさせられる“荒川”と
“岩沢”にも思いがけない「始まり」を感じさせられるその先も目が離せないところです。

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2022年11月22日

『あおとさくら2』

伊尾微 先生が贈る青春ボーイミーツガールストーリー。第2巻は“蒼”と“咲良”が共に
過ごす時間を積み重ねていくことで変わりゆくもの、変わらないものを互いに見定めます。
(イラスト:椎名くろ 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815616298/


文化祭で思い出を作ろうともしなかった“蒼”が“咲良”の高校でそれを培っていく姿に
変遷の兆しを感じずにはいられない。さりげなく“こいと”と仲良くなれているところも。
彼が“咲良”の力を借りて苦手な勉強を克服しようとするその意図からも成長が窺えます。

修学旅行で日程がニアミスする“蒼”と“咲良”が京都でも同じ空を眺める場面はまさに
青春の一幕。こそばゆいにも程があるやりとりは羨ましい限り。一方でグループの面々へ
歩み寄ろうとする彼の意欲に驚かされます。旅中にいきなり“夏目”と心安くなる顛末も。

クリスマスで“蒼”に仕掛けられた“咲良”からのサプライズ。しかも連続で。これには
流石の彼も心が動かないわけがない。彼が笑えないことが幸せなのでは、と思うくらいに。
そしてあの図書館から2人の幸せな物語が始まるのだろう、と思うと心温かくなりました。

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2022年11月21日

『アストレア・レコード2 正義失墜 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 英雄譚』

スマホRPG「ダンまち〜メモリア・フレーゼ〜」周年イベントの内容を 大森藤ノ 先生自ら
加筆修正して書籍化。第2巻は惨禍の迷宮都市で“リオン”が掲げる正義を再び質します。
(イラスト:かかげ 先生 キャラクター原案:ヤスダスズヒト 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815610180/


死の七日間。“エレボス”の策に翻弄され、護るべき者たちから罵声を浴びせられ、共に
護る仲間たちから思いも寄らない言葉を投げかけられ、心を腐らせていく“リオン”の姿。
見ていて痛々しい展開の数々に、かくも運命は、大森 先生は苛烈かと絶句するしかなく。

「正義」とは何か。オラリオを護る者たちが改めて向き合う命題について“エレボス”が
“リオン”に問う拷問のようなやり取り。極限まで追いつめられた彼女を“アーディ”の
あの言葉が救うことになる場面に読み手としても救われます。胸が熱くなるとはこのこと。

希望への歓声。“リオン”たちにとって光明とも言える状況すら“エレボス”にとっては
折込み済み。むしろ「大抗争」が始まった瞬間から仕組まれていたオラリオに対する罠に
残る英雄たちがどう立ち向かっていくのか。「正邪決戦」の行方を見守りたいと思います。

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2022年11月18日

『小説 すずめの戸締まり』

2022年11月11日より上映が始まった 新海誠 監督の長編アニメーション映画を監督自らの
手で小説化。「扉を探している」という青年と出会い、災いにかかわる「扉」をめぐって
日本中を旅することになる少女が過去の傷を未来の希望へと昇華させていく様を描きます。

https://www.kadokawa.co.jp/product/322203001170/
https://suzume-tojimari-movie.jp/


「このあたりに、廃墟はない?」見知らぬ優男にそう尋ねられた“鈴芽”は、山にあった
リゾート施設跡を教える。気になって後を追う彼女は施設内にポツンと佇む扉を発見する。
開いた先にあるのは星空と草原。でも入れない。なぜこんなものが。あの男はどこに──。

映画を観てから読んでよかった、とまず一言。人物の表情や声からは図りきれない想いを
文章で補完することができてなお快い。“鈴芽”の心を後押しすることになる“千果”の
何気ない言葉の数々が印象に残ります。そして“朋也”の好感が持てる青年ぶりが一押し。

「閉じ師」の“草太”と共に“鈴芽”が訪れる地で実際に起こった「災害」。映画そして
本作に触れてその時、その瞬間のことを今でも想起できるという意味。新海 監督なりに
出した答えを前に翻って自分としてはどうだろう、と本作と共に振り返りたくなりました。

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2022年11月17日

『呪われて、純愛。2』

二丸修一 先生が贈る、異色の三角関係物語。第2巻は“白雪”の恋人であり、“魔子”の
本当の恋人でもある“廻”が記憶を取り戻した先に選ぶ道と、その行方を描いていきます。
(イラスト:ハナモト 先生)

https://dengekibunko.jp/product/norojun/322110000044.html


“廻”が“白雪”と“魔子”、それぞれとお付き合いするという解決策。その矛盾に彼が
耐えられるかは読み進めるほどに明確となり、それ故に彼が記憶喪失になった原因も納得
せざるを得ない内容で実に痛々しい。それでも突き進むしかない道を選べるのが驚嘆です。

“白雪”もまた“廻”が置かれた状況を知り、“魔子”が抱く想いも察したからといって
どうすればよかったのか。事情を察した“立夏”や“仁太郎”が示す反応も否やはなく、
その上で“白雪”が選んだ道も“廻”や“魔子”を想う心が感じられて実にいじらしい。

“魔子”の母“美和子”が入院した理由も、“廻”との共犯意識をより強固にする材料の
一つであることが分かってしまうと、もうこの呪いを解く手立てはないように見えますが
彼女の決意は意外であり、潔くもあり。この先があるならどう話が転ぶのか興味津々です。

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2022年11月16日

『竜の姫ブリュンヒルド』

東崎惟子 先生が贈る本格ファンタジー。第2巻は邪竜から身を守る術として神竜と契約
する道を選んだ小国で、その竜に仕える「竜の巫女」の家に生まれた姫に焦点を当てます。
(イラスト:あおあそ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/ryugoroshi_brunhild/322207000035.html


神竜が邪竜から民を守る代わりに人を供物として求める理由。それを心優しき竜の巫女
“ブリュンヒルド”が知り、行動で対応していく情熱。神竜に翻弄される“シグルズ”
と“スヴェン”。裏切り、猜疑心、そして愛をもってたどり着く結末はやはり切なくて。

一連の顛末を見届けた“ブリュンヒルド”の従者“ファーヴニル”。人を思い遣る心が
なかったからこそ暗殺者に身をやつした彼が彼女たちとの交流を経てどう変わり、何が
変化しなかったのかを描いていくところが物語のもう一つの軸として話を際立たせます。

「死は悲しむことではない」と“ブリュンヒルド”の母が話した言葉。主の死を看取る
“ファーヴニル”の姿を見て、それが改めて強く思い起こされるのが印象深い。竜殺し
たる者たちの根源に触れた今だからこそ前巻に感慨深いものを感じずにはいられません。

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2022年11月15日

『姫騎士様のヒモ3』

白金透 先生が贈る異世界ノワール。第3巻は魔物が大量発生した大迷宮に取り残された
“アルウィン”を闇から救うため、彼女のヒモとして“マシュー”が最善を尽くします。
(イラスト:マシマサキ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/himekishisamanohimo/322205000051.html
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_CW01203322010000_68/


人に頼れるところは頼る。“マシュー”の潔さと「仮初めの太陽」に頼り切るわけには
いかない心情が窺える中、彼の正体を訝しむ者たちが出てくる所からも緊張が漂う前半。
頼みの“ニコラス”でも救えない展開に、皆が抱く諦念を見せない“マシュー”が凄い。

変わり果てた“アルウィン”のために“マシュー”ができることとして選んだ、彼女の
思い出である故郷の「キャメロンの大樹」。望みを託すにしては薄く、無謀すぎる一手。
彼に同行する“ラルフ”の往生際の悪さが、彼女との距離感の違いを一々際立たせます。

“アルウィン”が晒した醜態を補うかのような“マシュー”と“デズ”の共闘が熱くて、
結果として彼女が“マシュー”に対して愛念を持つように感じられるのが実に印象深い。
太陽神、そして伝道師が彼らの運命にどこまで関わっているのか続きが気になる所です。

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2022年11月14日

『アストレア・レコード1 邪悪胎動 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 英雄譚』

スマホRPG「ダンまち〜メモリア・フレーゼ〜」周年イベントの内容を 大森藤ノ 先生自ら
加筆修正して書籍化。迷宮都市の暗黒期、激動の時代を生きた正義の眷族たちを描きます。
(イラスト:かかげ 先生 キャラクター原案:ヤスダスズヒト 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815610173/


“ベル”がオラリオに来る7年前、闇派閥(イヴィルス)と呼ばれる者たちが迷宮都市を
暗黒期に陥れていた。その絶対悪に立ち向かう正義の使徒【アストレア・ファミリア】が
いたこと、遺してくれた今を知る“リュー”はその昔に思いを馳せずにはいられない──。

“輝夜”に青二才と揶揄される、かつての“リュー”が信じていた正義が頑なに熱くて。
“アリーゼ”たちとの繋がりが彼女を強くする兆しとは裏腹に、その正義を質す謎の神
“エレン”の意味深長な言動と、迫る「大抗争」へのカウントダウンが不安を煽ります。

“リュー”たちがオラリオにて発生していた様々な悪事の中に仕込まれていた、苛烈に
して凄惨な悪意。まさに邪悪としか言いようのないその発露に絶望を感じるしかない中、
本当に冒頭のプロローグへと辿り着くことができるか。信じて続きを待つことにします。

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2022年11月11日

『十歳の最強魔導師 9』

天乃聖樹 先生が贈る、十歳少女と仲間たちの魔法学校ライフ。第9巻はプロクス王国にて
“フェリス”の暴走を止めた“ジャネット”に起こる変化と新たな騒動の顛末を描きます。
(イラスト:フカヒレ 先生)

https://herobunko.com/books/13720/
https://ncode.syosetu.com/n6583dj/


“フェリス”を誤解させたまま“ジャネット”が恋人として一喜一憂する姿が微笑ましい。
その“ジャネット”がプロクスの騒動を経て得た強い魔力に“フェリス”の召喚獣たちが
意味深長な感情を吐露する姿、何よりも彼女が見た「女王様の夢」の謎に気を揉む話運び。

“フェリス”を生贄として狙う探求者の追求が厳しくなる中、逃げの一手を打つしかない
“ジャネット”の隙を狙うかのように“フェリス”を世界一安全な場所へと連れ出す人物。
再び“ジャネット”の見る夢、そして対峙する敵の姿に彼女たち動揺、困惑させられます。

“フェリス”に対する愛の根源を問われる“ジャネット”が示す覚悟、そして掴み取る道。
思いがけない話の収まり方に“フェリス”の存在感を改めて強く認識させられるとともに
出会うべくして出会った者たちを見守る「彼女」の言葉を気にしつつ、次巻を待つ所です。

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2022年11月10日

『クラスの大嫌いな女子と結婚することになった。6』

YouTube漫画として展開されている同シリーズを、脚本を務める 天乃聖樹 先生が小説化。
第6巻は“才人”を強く意識する“朱音”と家族関係に揺れる“陽鞠”の機微を描きます。
(イラスト:成海七海 先生 キャラクター原案・漫画:もすこんぶ 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/daikirai_kekkon/322206001089.html
https://www.youtube.com/playlist?list=PLDZGuoo5oaHI21s79cvNeqyVXvY8ZZuA6
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_KS13202228010000_68/


“朱音”の裏目に出る言動が微笑ましさを通り越してかわいそうなほどの自業自得っぷり。
“才人”にも誤解される彼女がライバルである“陽鞠”の攻勢にたじろぐのも無理はなく。
すべてお見通し、と言わんばかりの“糸青”が繰り出す指摘の数々が実に清々しいほどで。

“才人”にアタックを仕掛ける“陽鞠”が彼を彼女の家にあげたことから、彼女が両親と
仲が良くない理由、偽ギャルとして振る舞う意味を知った彼。わがままを言えない彼女の
気持ちを痛いほどに理解して、それを代弁する彼の姿を見たら惚れ直すのも当然の結果で。

“陽鞠”が長年に渡って抱えていた心の傷に気がつけなかったこと。“才人”の家が普通
ではない、という意味を知ろうとしなかったこと。今回の件を通じて省みる点の多かった
“朱音”が改めて夫婦として彼に寄り添うと決めたことが功を奏するか続きが楽しみです。

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2022年11月09日

『ちいさな君と、こえを遠くに』

「剣帝学院の魔眼賢者」の ツカサ 先生が贈る新作は、声変わりでバンド活動を休止した
ボーカリストの少年が声優を志す少女との邂逅で変わっていく奇妙な師弟関係を描きます。
(イラスト:しらたま 先生)

https://lanove.kodansha.co.jp/books/2022/11/1.html


中学生の時に組んだバンドが注目を集め、中性的な声で称賛されたボーカリスト“奏太”。
喉の酷使と声変わりを機に活動を休止した彼は普通の高校生として生きることを選択する。
ある日、女子小学生“空”を助けた彼は思わぬ場所で再会し、意外な依頼をされるが──。

“空”はなぜ声優を目指すか。その背景が見えてくると彼女をより応援したくなりますし、
彼女をボイストレーニングすることになった“奏太”が声で味わった苦しみを苦い経験で
終わらせることなく、新たな可能性へと昇華させていく心境の変化には胸が熱くなります。

“奏太”をボランティア委員に誘った“塔子”が夢を追う彼らに掛けた言葉も演出の上で
印象深いものがありましたし、小学生ヒロインというのも久しぶりに見て中々新鮮でした。
しらたま 先生の挿絵も作品の雰囲気にピッタリ。読みやすくて文句なしにオススメです。

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2022年11月08日

『灰原くんの強くて青春ニューゲーム 3』

雨宮和希 先生が贈る、強くてニューゲームな学園ラブコメ。第3巻は夏休みの旅行計画に
“陽花里”も呼びたい“夏希”が彼女の厳しい親を説得すべく家族の問題に踏み込みます。
(イラスト:吟 先生)

https://firecross.jp/hjbunko/product/1574


夏といえば海、それも泊りがけで、となれば“夏希”が色々と妄想して気もそぞろになる
一方で“陽花里”の表情はどこか晴れない。その理由の一端が彼のいた7年後の世界にも
関係してくるのだから因縁というのは面白い。彼女にとっては苦々しい縁ではありますが。

“陽花里”の口から語られる昔の姿。父親のためと思い押し殺してきた心。作ってきた壁。
本心を夢に乗せて諦めようとした彼女が“夏希”たちと出会ったことで夏をあきらめない
と決めて抗う決心をした姿が健気で。色々と思う所のあった“唯乃”の言動も要注目です。

“陽花里”の距離がより近づいていく中、待ってもらっている“詩”のことや“怜太”と
“美織”の関係など、意識すべき話が盛りだくさんの夏を終えて“夏希”が直面するのが
よもや新たな青春とは。迎える文化祭でどんな人間関係の変化を体感するのか楽しみです。

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2022年11月07日

『魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 16』

手島史詞 先生が贈る、アニメ化企画が進行中の不愛想魔王と箱入りエルフによるラブコメ
ファンタジー。第16巻は“シャスティル”の誕生日前に“バルバロス”が頭を悩ませます。
(イラスト:COMTA 先生)

https://firecross.jp/hjbunko/product/1576
https://firecross.jp/ebook/series/281
https://firecross.jp/ebook/series/450


未来視の力を持つ魔王“エリゴル”に勧誘を受けた“バルバロス”がそれにどう答えるか。
今回、面倒ごとに巻き込まれる“ウェパル”が“エリゴル”の視た未来を「予言」で覆す
やりとりが面白くて、さらに色々と誤解した“シャスティル”のあの第一声はまさに必見。

愛で力では引けを取らない“ザガン”と“ネフィ”の2人も日常生活で、そして新たな敵
と共闘する場面で熱いやり取りを魅せてくれる場面の数々は言わずもがなで見どころ満載。
“アスモデウス”や聖剣にまつわる話も動き始めて、アニメ化の話と共に続きが楽しみで。

「綺麗なバルバロス」が見られる今巻と同時発売となる 双葉もも 先生が描くスピンオフ
漫画で“レイチェル”と共に彼らの愛で力が改めて堪能できます。同じく 板垣ハコ 先生
担当のコミックス9巻では庇護欲をそそられる“ネフィ”が可愛さ炸裂。あわせてお薦め。

posted by 秋野ソラ at 00:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル