2021年09月17日

『ぼんくら陰陽師の鬼嫁 七』

秋田みやび 先生が贈る、退魔お仕事嫁物語。第7巻は廃遊園地の件が片付いてもなお続く
“芹”の不調をもたらす呪詛、その原因を探るべく“皇臥”たちが動く顛末を描きます。
(イラスト:しのとうこ 先生)

https://lbunko.kadokawa.co.jp/product/bonkuraonmyouji/322101000345.html


母“史緒佳”が“皇臥”に雷を落とした理由は、彼に同情を誘いつつも得心がいく内容で。
彼女から語られる呪詛に纏わる北御門の悲しい過去、彼の面子に関わる話を聞いてもなお
嫁として寄り添える“芹”の気丈ぶりに救われます。それゆえに呪詛の謎も深まるワケで。

“皇臥”の影武者としての役割も担う式神“如月”を呼び出しても手詰まりが続く調査の
行方を左右するのはやはり“貴緒”。そう易々と手は貸さない彼が弟に「アレ」を求める
あたりは実にあくどい、というかよく分かっているのが窺えてつい苦笑いせざるを得ない。

“皇臥”たちに心配をかけることが悪いこと、と今更ながらに気付いた“芹”の言動から
契約の枠を超えた家族の絆が見て取れて感慨深い。今回の顛末が二人の出会いに結びつく
設定の妙は先生のTRPGリプレイを読んだ時に似たものを感じました。続きも気になります。

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2021年09月16日

『魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 13』

手島史詞 先生が贈る、不愛想魔王と箱入りエルフによるラブコメファンタジー。第13巻は
<アザゼル>化してしまった“ネフテロス”を救うため“ザガン”が総力戦で対処します。
(イラスト/COMTA 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/981.html


負け戦、劣勢というキーワードで暗めの導入を、敵地に居ながら「愛で力」に打ち震える
“ゴメリ”のいつも通りなノリで楽観的な雰囲気へと昇華させていくのが本作らしい所。
“シアカーン”の軍勢も様々な繋がり、絆が何とかしてくれると信じられる、というもの。

“ネフテロス”を救う手立てはある、そう信じて突き進む者たちの中でも一際強い気概を
見せる“ネフィ”が迷わず手に取った力。今後、物語の鍵を握りそうな“フォル”の件も
含めて「魔王」周りの勢力図が書き換わった所は次巻以降も要注視な展開かと思います。

“ビフロンス”が「最高に楽しいゲーム」と評価した駆け引きを、“ネフィ”の誕生日を
祝うために制した“ザガン”。彼女の悔し涙が嬉し涙に変わるエピローグ、そしてついに
彼が欲しいものを得た瞬間は感慨深い、というか「愛で力」も爆発。次巻も楽しみです。

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2021年09月15日

『異世界迷宮の最深部を目指そう 16』

割内タリサ 先生が贈る異世界迷宮ファンタジー。 第16巻は“ラグネ”に殺され、肉体も
囚われた“渦波”を助け出せると信じる“ノスフィー”らがフーズヤーズ城に突入します。
(イラスト/鵜飼沙樹 先生)

https://over-lap.co.jp/Form/Product/ProductDetail.aspx?&pid=9784865549799


“ラグネ”が“渦波”を裏切ってでも目指す「一番」。背景に根差す母との関係が彼女の
矛盾だらけの生き様に現れていたのかと思うと物悲しい。求めた光が母に、“渦波”に、
そして“ノスフィー”に変移していく機微も彼女の想いを象徴していて印象に残ります。

“ノスフィー”が「お父様」と認めた“渦波”が死ぬはずがない、と千年前の希望である
本当の魔法で生き返らせるため何が何でも前に進み、その詠唱に必要な言葉を紡いでいく
姿が痛ましくて、いじらしくて。彼に「一緒に生きてくれ」と言われた時のあの顔は必見。

“渦波”は“ラグネ”と「親和」によって深層心理で繋がり、彼女の矛盾を理解した上で
一身に受けることにより、ようやく妹“陽滝”と対等に向き合う存在に登り詰めました。
異世界を巻き込み開かれる家族会議でどんな結論が導き出されるか、注目したい所です。

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2021年09月14日

『神は遊戯に飢えている。3』

細音啓 先生が贈る、人類VS神々の至高のファンタジー頭脳戦。第3巻は“ネル”を救う
“賭け神(ブックメーカー)”との戦いに勝利宣言する“フェイ”の真意に言及します。
(イラスト:智瀬といろ 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/kami_to_game/322104000808.html


“賭け神”との勝負前に眺めていた“フェイ”のメモ書き。そこに「神々の遊び」を達成
しようとする彼の油断なさ、あらゆる可能性を考慮して動く姿勢が窺えて感嘆するばかり。
それを踏まえて「勝ち確」を実現するイカサマ破りの動向は安心して見ていられました。

そんな運命の鍵を握る勝負とは別に、“フェイ”を巡る女性陣の駆け引きが実にコミカル。
何かと抜け駆けしようとする“パール”、ズルは見逃さないと用心する“レオレーシェ”、
後発だけに見せ場を狙いにいく“ネル”、三者三様のアプローチは引き続き注視したい所。

“ネル”の問題を解決したかと思えば突如去来する世界規模の緊急案件。敗北条件のない
迷宮脱出ゲームへ挑むにあたって「いまたくさんミスしよう」と指針を示す“フェイ”の
言葉が世知辛い社会を生きる私の胸に響きます。そして「彼女」の乱入も目が離せません。

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2021年09月13日

『忘れさせてよ、後輩くん。』

あまさきみりと 先生が贈る新作は、片思いしている先輩の女の子が兄に片思いをしている
という停滞した時間が兄の死、再会と選択によって動き始める忘れられない夏を描きます。
(イラスト:へちま 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/kohaikun/322101000027.html


出会えたら【止まっている片思い】が動き出す、という幸運のイルカに縋りたいほど想い
を燻ぶらせる“夏梅”。その相手“春瑠”の帰省にあわせて再会したが気持ちは晴れない。
彼女が彼の姿に亡くなった兄、好きだった片思いの面影を追っているのが分かるから──。

好きな人の彼氏になれないなら一番の後輩でいたい、兄の代わりでいようとする“夏梅”。
そんな彼がオカルトじみた話で“春瑠”を失うかもしれないと聞き一歩踏み出せるか否か。
兄のお下がりであるスクーターが様々な背景を象徴するかのような展開が印象に残ります。

“夏梅”の気持ちを知っていてもなお「マネージャー」として彼を叱咤激励する“冬莉”
の振舞いが実に健気。彼女の恋が報われないのは互いの名に含まれる季節の距離感からか。
「秋」にあたる人物がいないのも、「彼女」がつぶやく最後の一言も気になる物語です。

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2021年09月10日

『リアデイルの大地にて7』

2022年1月からのアニメ放映が控えている、Ceez 先生が贈る大人気エルフファンタジー。
第7巻は闘技祭を村の皆と楽しむために“ケーナ”が世界中を駆け巡る顛末を描きます。
(イラスト:てんまそ 先生)

https://famitsubunko.jp/product/322104000016.html
https://leadale.net/


いわゆる「プロジェクター」になるものが欲しいね、ということで守護者の塔を渡り歩く
ところが“ケーナ”らしい。“オプス”とのやり取りを経てすっかり毒された、というか
システムへの順応が高まったと言って良いかもしれません。そういう描写もありましたし。

道中、“サハラシェード”と会うことができて“ケーナ”の新たな昔話や“カン・ウー”
との縁も描写されたことで更なる世界の広がりも予感させています。“オプス”はダメな
人にとってはとことん相性が悪いようで。だからこそ特殊なコンビだと印象づけてきます。

闘技祭では“オプス”だけ出しゃばるのかと思いきや“ケーナ”も意外な所で巻き込まれ、
しかも“マイマイ”に「暴君」と言われるほどえげつない振舞いを見せる場面もポイント。
そんな娘からある依頼を受ける“ケーナ”がどんな冒険に駆り出されるのか、楽しみです。

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2021年09月09日

『久遠の檻―天久鷹央の事件カルテ―』

知念実希人 先生が贈る新感覚メディカル・ミステリー。長編シリーズ7冊目は芸能活動を
していた少女が長い時を経ても姿を変えず、不老不死を体現する謎を“鷹央”が診断します。
(イラスト/いとうのいぢ 先生)

https://www.shinchosha.co.jp/book/180223/


初見では歳を取らなくなる疾患「ハイランダー症候群」を窺わせる“希津奈”。彼女から
妊娠や生まれ変わりを示唆する発言があったかと思えば「キヅナ様」と崇められていたり
父“源蔵”によるオンラインサロンで金も動いており、裏があることを匂わせる導入部分。

常識に縛られて犯人の術中に嵌る“小鳥遊”を“鷹央”が何度も叱責する描写が印象的で。
昔と今の“希津奈”は同一人物なのかを突き詰めていく犯人とのギリギリのせめぎ合いが
冷や冷やさせられます。逆転劇もさることながら、アフターケアも万全で流石の診断ぶり。

今巻では統括診断部に臨床研修医として“鴻ノ池”が加わりウザ絡みの機会も悩みも増す
“小鳥遊”。“鷹央”から新車の件で残念な目を向けられるなど泣きっ面に蜂な彼ですが
「診断」では先輩らしさを見せる場面もあり成長の跡が見て取れます。次巻も楽しみです。

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2021年09月08日

『僕が答える君の謎解き 明神凛音は間違えない』

紙城境介 先生が「星海社FICTIONS」から贈る本格ラブコメ×本格ミステリ。犯人を瞬時
に突き止められても証明できない少女とそれを推理する少年の物語を電子書籍で拝読です。
(イラスト/羽織イオ 先生)

https://www.seikaisha.co.jp/information/2021/01/26-post-bokukimi.html


「自明の理です」天啓と言われる無意識下の推理でどんな犯人も即座に理解する“凛音”。
「推定無罪だ」推定無罪を信条に弁護士を目指す“透矢”は証拠もなく犯人を決めつける
彼女が気に食わない。彼女の社会復帰と内申点獲得のため「彼女の推理」を推理する──。

答えがわかっても過程を示す証明ができない。ゆえに理解されることを諦める“凛音”を
僅かな手がかりから理詰めでその穴を埋めようと、彼女の思考を掴もうとする“透矢”の
指摘の応酬が新鮮で、しっかり惹き込ませてくれます。“紅ヶ峰”も良いラブコメ要素で。

間違えない“凛音”に対し、間違えてしまうこともある“透矢”。その人としての甘さを
正論で打ちのめす、彼女の姉でありスクールカウンセラーでもある“芙蓉”の容赦のなさ。
同じ責任を担うと決めた2人がそんな大人に吠え面をかかせられるのか、続きに期待です。

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2021年09月07日

『僕を成り上がらせようとする最強女師匠たちが育成方針を巡って修羅場3』

赤城大空 先生が贈るヒロイックファンタジー。第3巻は何かと注目が集まる“クロス”を
街の名物行事「喧嘩祭り」で潰そうと上位職の貴族から決闘を仕組まれる顛末を描きます。
(イラスト:タジマ粒子 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530247


“クロス”に惨敗した“カトレア”へ折檻することも容易い上位貴族の“ギムレット”。
彼が“ジゼル”にも嫌がらせをするものだから“クロス”が怒髪天を衝くのも当たり前。
今回は格上との戦い方を“テロメア”が教示するのでスキンシップ多めなのがまず印象的。

魔王の“ソルティ”すら“クロス”を成長させるために引っ張り出す“リオーネ”たちの
容赦のなさは言わずもがなですが、その期待に応えて成長し続ける彼の資質もまた異質で。
もちろん対策を怠っていない“ギムレット”に対しどう決闘を繰り広げるかが見ものです。

“ジゼル”にとっても負けられない戦いを経て、師匠らも含めた“クロス”への好感度が
うなぎ上りを見せる中で今回の勝利が何を意味するのか。卑怯なほど可愛い巻末の挿絵に
微笑ましさより殺伐とした展開を感じざるを得ないのが本作らしい所。次巻も楽しみです。

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2021年09月06日

『精霊幻想記 20.彼女の聖戦』

アニメ放送が始まった、北山結莉 先生が贈る異世界転生譚。第20巻は“エリカ”に導かれ
神聖エリカ民主共和国がガルアーク王国へ侵攻する顛末を描く《聖女編》山場を迎えます。
(イラスト/Riv 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/980.html
https://seireigensouki.com/


“エリカ”があれほどまでに世界を嫌い、世界に聖戦を挑む理由。それがプロローグにて
明かされたことで色々と得心がいきました。ある意味では勇者である、という「呪い」が
彼女をここまで苦しめ続けて、“リオ”に可能性すら見い出していたのだ、ということに。

“リーゼロッテ”の件で派閥争い、そのしわ寄せが“リオ”にいくのを“グレゴリー”が
言葉と態度で如実に示してくる訳ですがこれが小賢しいの何の。聖戦でとばっちりを食う
展開には「ざまあみろ」と思ってしまうほど。王国にとっては国難に及ぶ一大事ですけど。

“アイシア”が記憶を失っていた理由、彼女が担っていた役目。“エリカ”と相まみえる
死闘を経て、彼女の願望を叶えるため“アイシア”が“リオ”に託した力。彼女らが言う
「竜の王」とは何か。最後の一言が告げる決別の予兆が不穏すぎて続きが気になります。

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2021年09月03日

『転生ごときで逃げられるとでも、兄さん?2』

紙城境介 先生が贈る異世界転生ファンタジー。約1年半の時を経て刊行される第2巻は
“ジャック”以外の優秀な人材が学院に集う「黄金の少年期:神童集結編」を綴ります。
(イラスト:木鈴カケル 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/tenseigotoki/322003001226.html


王立精霊術学院にスカウトされた“ジャック”たちが目の当たりにする、自分と同じか
それ以上のライバルたちと切磋琢磨していく、というよりは戦いの場を生き抜くために
出来ることは搦め手でも使え、と教えられて共に成長していく展開が興味深いところで。

中でも一番目を引く天才王子“エルヴィス”の能力を見抜くために“ジャック”がとる
手段や対抗策を講じるまでの駆け引きが気に食わない、認めたくない“アゼレア”との
対立軸が、単純に戦うのとは違う人間関係を描くのに一役買えているのかなと思ったり。

とはいえ、前巻が刊行されてから1年半。「ここまでのあらすじ」も入れていただいて
何とか思い出しながら「妹」と思われる“彼女”の存在が徐々に輪郭を帯びてきた今巻。
皆の力を借りて“ジャック”は「妹」に対処することができるか、引き続き要注目です。

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2021年09月02日

『また殺されてしまったのですね、探偵様』

てにをは 先生が贈る新作は、伝説の名探偵を父に持つ半人前の高校生探偵が殺されても
生き返る特異体質を活かし、数々の殺人事件、7人の大罪人に臨んでいくミステリーです。
(イラスト:りいちゅ 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/tanteisama/322104000807.html


浮気調査のため、映画会社が用意した豪華客船に乗り込む“朔也”と助手の“リリテア”。
内偵を続ける中、首吊りの遺体を発見してしまった彼は後ろから犯人に喉元を刺され絶命。
その一時間後、蘇る彼を膝枕する彼女から呆れつつも愛のある例の言葉を掛けられる──。

殺された瞬間の情景を覚えている、という“朔也”の利点を活かし犯人を追及する展開は
小気味良く、中編3つで1冊に纏める構成の手助けにもなっているのでは、と感じました。
何だかんだ言いつつ彼に献身的な“リリテア”が見せる地の部分も可愛くてポイント高し。

名探偵としてどれだけ優秀かも掴み切れない父“断也”の生死。世界を騒がせた罪人たち
「最初の七人」の脱獄が示す凶事の予兆。“朔也”が遭遇する事件に何かとかかわる刑事
“漫呂木”や新人女優“ゆりう”との奇縁など、気になる要素も満載で続きが楽しみです。

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2021年09月01日

『転生王女と天才令嬢の魔法革命4』

鴉ぴえろ 先生が贈る異世界百合ファンタジー。第4巻は魔学の研究と魔道具の開発に専念
する“アニスフィア”と、彼女を支えるべく王となる“ユフィリア”のその後を描きます。
(イラスト:きさらぎゆり 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/202001mahoukakumei/322104000834.html


“ユフィリア”が「食事」をするためにも共寝する“アニスフィア”の手玉に取られる姿
には思わずニヨニヨさせられます。そんな2人のやり取りからは互いの愛情だけでなく、
夢を託せる信頼関係が窺えて実に羨ましい。戴冠の場面には感慨深いものがありました。

“アニスフィア”が夢見る「魔法」に恐れすら抱く魔法省、そして貴族の面々に対して
頭を悩ませる“ユフィリア”の苦悩、歩み寄りたい姿勢を崩さない“アニスフィア”の
葛藤。対立ではなく、和解の道を導き出せるかどうかを示した“ラング”も印象的です。

国の命運を左右する顛末の裏で“レイニ”と“イリア”が互いの気持ち、自分の感情を
見つめなおす過程から、更なる尊い絆を組み入れてくる構成も見どころの一つと言えます。
変わりゆく人々が手にする未来が、精霊にとっても幸あることを願わずにはいられません。

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2021年08月31日

『千歳くんはラムネ瓶のなか6』

裕夢 先生が贈るリア充側青春ラブコメ。第6巻は“朔”を好きでいる女の子たちが彼への
想いを、互いの距離感を見つめ直すべき時が顛末を“優空”の昔話を軸に描いていきます。
(イラスト:raemz 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530223


クラス委員長を決めるときに“夕湖”が“優空”を推薦し、“朔”が2人をたしなめた日。
当時、呼び方の固い“優空”が感じていたこと、その考えに至った家族との関係。本心を
見抜き、深く踏み込んできた彼に抱いてきた嫌悪感が絆されていく彼女の機微が印象深い。

そんな“優空”だからこそ今回結論を急いだ“夕湖”そして“朔”の建前と本音の違いに
気づき、互いに傷ついたまま夏を終わらせない策を講じることができたと納得がいきます。
“夕湖”や“朔”が彼女にやられたままにしない所もより現実味のある絆を感じさせます。

“優空”だけでなく気落ちする“夕湖”や“朔”をそれぞれのやり方で励ます仲間たちも
選択の時を予感させる展開。意中の相手にとって「フツウ」か「特別」か、それとも別の
関係か。「ラムネ瓶のなか」にいる“朔”がその意味を知る時は来るのか、気になります。

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2021年08月30日

『プロペラオペラ5』

犬村小六 先生が贈る恋と空戦のファンタジー。第5巻はガメリアに対し虫の息な日之雄を、
そして“カイル”の魔手が迫る“イザヤ”を“クロト”が救えるか、直接対決を描きます。
(イラスト:雫綺一生 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530230


飛行戦艦「ベヒモス」。圧倒的な怪物を前に衝角攻撃しか為す術もない“クロト”たちが
勝てるのか。敵陣営の“ノダック”ですら悲願する結末を、命を賭して掴みにいく彼らの
戦いぶりは本作最大の見せ場。彼が明かした本心に応える兵員の姿には敬意すら覚えます。

意気揚々と王手をかけた“カイル”。彼に借りを返す“クロト”を後方から支援し続けた
“ユーリ”の活躍には助演女優賞を送りたいほど。彼女だからこそできたあの挨拶は見事。
逃亡劇を続けた“リオ”と“速夫”の胸を熱くさせる、主従を超えた愛の結末にもご注目。

秀逸な空戦描写を下敷きにしながら、あくまで読み手を惹きつけて止まない人間ドラマを
綴り続けた本作。表紙の笑顔を見返した時にこみ上げる感情は筆舌に尽くし難い。執筆に
心血を注いだ先生が脳内で描いていたであろう映像を具現化する日が来るよう祈念します。

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2021年08月27日

『塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い5』

鉄山かや 先生のコミックス3巻がほぼ同時発売となる、猿渡かざみ 先生の青春ラブコメ。
第5巻は“颯太”と“こはる”が譲れない思いを胸に秘めながら動物園デートに臨みます。
(イラスト:Aちき 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530193


“蓮”の指摘にもある通り“こはる”に対して弱さをみせた不甲斐なさを恥じる“颯太”。
対する彼女は、そんな彼の見せる照れ顔を写真に収めてみたいとデートに意気揚々な姿勢。
どちらがリードを取るかで密かなせめぎ合いを見せる二人の姿が微笑ましくて、面白くて。

そのデートを妨害しようと画策するSSFの面々、“雫”たちの尾行に付き合わされる“蓮”
と“円花”、“凛香”の気持ちを知って焚きつける“京香”。各々の狙いが交錯し、暴走
していくスラップスティックな展開が、動物園の描写も含めコミカルさに拍車を掛けます。

デートを通じて自分の焦りに気付いた“こはる”。自分の虚勢に意義を確信した“颯太”。
さりげない伏線を回収しつつ、何だかんだで絆を深めた二人の様子を見て安堵するばかり。
同情の念を禁じ得ない巻き添えを食った“円花”や、なおも強気な“凛香”にも注目です。

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2021年08月26日

『わたし以外とのラブコメは許さないんだからね(4)』

羽場楽人 先生が贈る、告白で幕が開くラブコメ戦線。第4巻は“ヨルカ”と“希墨”が
恋人同士の夏休みを満喫しようとする中、横恋慕や片想いの感情が周囲をざわつかせます。
(イラスト:イコモチ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/watalove/322103000071.html


文化祭の目玉でもある“ミメイ”のバンド演奏。ある事情で直前に解散したそのバンドを
立て直すように依頼される“希墨”の世話焼きぶりが相変わらずで。その流れに組み込む
生徒会長“清虎”のさりげなくも油断のならない言動が今巻もう一つの話の軸を担います。

女性陣からの人気も高い“清虎”からアプローチを受ける“朝姫”。“希墨”への想いを
未だ残す彼女からすれば鬱陶しいことこの上なく。“アリア”に対し苛立ちをぶつけたり、
妥協よりも挑戦の道を選ぶあたりも実に彼女らしい。体を張ってアプローチするあたりも。

誤解を生むようなシチュエーションに遭遇した“希墨”に対し理解を示すものの、自分の
弱さを認め、葛藤し、感情を持て余す“ヨルカ”の姿からも成長の兆しが見て取れるのが
感慨深い。文化祭を通じて更なる外の世界とつながっていく彼女の未来も気になる所です。

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2021年08月25日

『俺の姪は将来、どんな相手と結婚するんだろう?』

落合祐輔 先生が贈る新作は、フリーランスの仕事で稼ぎはあるものの婚活が上手くいかず
悩む青年と、彼の家に通い詰める女子高生で姉の娘との幸せ溢れる半同居生活を描きます。
(イラスト:けんたうろす 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815611729/


“奈緒”が女手一つで育ててきた娘“絵里花”が通う高校の道すがらに弟“結示”が住む
ワンルームの家はある。映像編集の仕事で常に家にいる彼のもとに預けておけば防犯の面
でも安心、とはいうものの周囲に説明するのは面倒な話。だけど姪は乗り気なようで──。

叔父さんの世話を甲斐甲斐しくする“絵里花”を可愛らしく思ったり、ドキッとしたりと
どこか微笑ましい導入部分。そこから転じて“結示”の仕事を通じて見えてくる様々な縁、
“絵里花”が彼に懐くに至った苦い昔話によって描かれていく人間模様に驚かされます。

三親等にあたる叔父と姪の結婚は法律で許されていない、という大前提を踏まえて互いを
思う感情はどこへ向かうのか。一歩踏み出した“絵里花”にとって明と暗、エピローグを
二つに分けて予感させる引き具合は何を意味するのか。続きが妙に気になるシリーズです。

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2021年08月24日

『天才王子の赤字国家再生術10〜そうだ、売国しよう〜』

1月からのアニメ放送が控えている、鳥羽徹 先生の弱小国家運営譚。大台に乗る第10巻は
デルーニオ王国の陰謀劇を経て“フラーニャ”が兄に抱く印象が変遷する様子を描きます。
(イラスト:ファルまろ 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815610951/
https://tensaiouji-anime.com/


“シリジス”の祖国で渦巻く陰謀。同盟を利用し、ナトラを出し抜こうとする者に対して
彼がどう動くのかを見定める“ナナキ”の言動がまず印象深い。“フラーニャ”に仕える
と告げたその意味を、彼女がどう受け止めるのか。この先の情勢と共に注目すべき点です。

今回の陰謀を逆手に取った、一枚上を行く者たちが見せる振る舞いも本作ならではの展開。
動向を見極め、それでもなお一手及ばぬ“フラーニャ”を手助けするのは兄の為せる力量。
“ロウェルミナ”でも及ばない“ウェイン”の思考には相変わらず惚れ惚れするしかなく。

そんな“ウェイン”を父はどう評価しているか。奇しくも“シリジス”も同様に見ていた
ことに驚かされながら、“ニニム”も重要人物と認識されたことで風雲急を告げる局面を
迎えました。王太子として生まれた彼の願いがどんな未来を描こうとするのか見定めます。

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2021年08月23日

『友達の妹が俺にだけウザい8』

ドラマCD付き特装版が同時発売となる、三河ごーすと 先生のいちゃウザ青春ラブコメ。
第8巻は修学旅行に向かう“真白”たちや残された“彩羽”の恋の駆け引きが加速します。
(イラスト:トマリ 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815610142/


恋を進展させるために修学旅行を活用しようとするのは何も“真白”に限った話ではなく。
その内の一人でもある“舞浜”の気持ちを汲んだ“明照”の返り討ちっぷりがまず面白い。
思いがけず過去のエピソードにも触れるきっかけにもなったので怪我の功名と言えるかも。

今回、“明照”を巡る恋のレースに躍り出た“翠”。気づいてしまった彼への強い想い、
そして友人の秘密。“菫”でも受け止めきれない彼女を止める者はいない、ということで
モテっぷりを自覚した彼はどこへ向かうのか。“乙馬”の言葉を借りるなら「修羅場乙」。

“明照”が旅行中の間はスマホでメッセージを送るくらいしか絡めない“彩羽”。彼女の
愚痴を聞いてあげる“茶々良”にはご苦労さまと言いたい。そんな中、一発逆転を狙える
契機を彼女が見逃すはずもなく。後手に回り気味な“真白”を出し抜けるか、要注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル