2021年04月19日

『春夏秋冬代行者 春の舞 上』

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の 暁佳奈 先生が「電撃文庫」から贈る新作は
季節の遷移を代行する現人神「四季の代行者」たちに纏わる物語、その上巻となります。
(イラスト:スオウ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/syunkasyuutou/322009000013.html


春の代行者が誘拐され「大和」から春が消えて10年。春を知らず育った少女“なずな”は
雪山で見慣れぬ女性と出会う。亡き母を偲び雪解けを願う彼女のため女性が歌と舞を披露
した途端、桜吹雪が舞う春が顕現する。彼女こそ春の代行者“雛菊”ではあるのだが──。

賊に攫われ、利用され続けても耐え忍び、戦機を待つ“雛菊”を更に苦しめる悲愴な結末。
彼女の護衛官“雛菊”、彼女に想いを寄せていた“狼星”、彼の護衛官“凍蝶”、各々が
助けられなかった悔恨に囚われ、生きながらえた10年の描写が重なり痛ましさが募ります。

今また夏の代行者“瑠璃”の隠れ家を襲い、秋の代行者“撫子”をかどわかす賊によって
変わってしまった“雛菊”が、変わらずに“狼星”を想い、決起する姿に胸を打たれます。
未だ逢えない“雛菊”と“狼星”の運命は傍若無人な賊に打ち勝てるか。下巻に続きます。

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2021年04月16日

『君が、仲間を殺した数II ‐魔塔に挑む者たちの痕‐』

有象利路 先生が贈るダークファンタジー。第2巻は単身で塔に挑み続ける“スカイツ”に
拒まれ、残された“シア”が悩み、苦しみながら決断した一点に突き進む顛末を描きます。
(イラスト:叶世べんち 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322012000009.html


“スカイツ”とのつながり。俯瞰する者“ファロス”との因縁。1巻とは異なり“シア”
に視点を移して進んでいく「その後」の物語。そのまま引き籠るのが彼女のためなのか、
両者の想いを知る“クロヤ”の厳しい問いに思い遣りすら感じて格好良いことこの上ない。

理外の力で強くなった“スカイツ”に追いつくため、“クロヤ”に鍛えられつつ再び挑む
塔の中で助けた“パロマ”がどう絡んでくるか。その時、周囲を覆っていた白い霧の謎は。
商人“ミンジュ”の気付き、渡したアイテムがそれを埋めていく話運びにはお見事の一言。

“シア”と決別した弱さを追及する“クロヤ”が“スカイツ”と繰り広げる死闘。それを
見届ける彼女が想いを告げ、“スカイツ”がその気持ちに、自身の弱さにどう向き合うか。
塔に翻弄されたとしても前を向いて生きていく者たちの生き様、見届けるに足る作品です。

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2021年04月15日

『幼なじみが絶対に負けないラブコメ7』

遂にTVアニメが放映開始を迎えた、二丸修一 先生が贈る大人気ヒロインレース。第7巻は
“朱音”が恋愛トラブルに巻き込まれていると聞いた「群青同盟」が解決に乗り出します。
(イラスト:しぐれうい 先生)

https://dengekibunko.jp/product/osamake/322012000014.html
https://osamake.com/


他人に興味関心の薄い“朱音”が“末晴”に妹としか見てもらえないことに、恋愛に対し
思い悩む中、風評のあまり良くない“間島”からの告白を保留した油断から始まるネット
関係の騒動。彼女が間違いに気付き、他者との関係を見直していく過程が興味深いところ。

“朱音”の問題解決に臨む“末晴”が“真理愛”に対しても恋愛意識を強めていることに
非難の言葉を投げかけてしまう“蒼依”。その裏に姉たちのヒロインレースが共倒れする
仄かな期待を乗せてしまう後ろめたさに葛藤を続ける様子が痛ましくて、いじらしくて。

あからさまな容疑者に対するフェイクの仕掛け方も面白く、その顛末が“末晴”に対して
あの決断を下す契機にもなるというのが印象的。“碧”が抱く想いの行方も気になります。
彼に対し“白草”や“黒羽”、“真理愛”がアレで対抗するという予告も目が離せません。

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2021年04月14日

『ユア・フォルマ 電索官エチカと機械仕掛けの相棒』

菊石まれほ 先生の「第27回電撃大賞・大賞」受賞作。頭に仕込む縫い糸を模した情報端末
に記録される情報を探索し電子犯罪の解決に臨む少女とヒト型ロボットの活躍を描きます。
(イラスト:野崎つばた 先生)

https://dengekibunko.jp/product/yourforma/322011000154.html


“エチカ”は脳の縫い糸、ユア・フォルマに残された「機憶」を辿る電索能力に長けるが
相棒の脳に負荷を掛けて何度も病院送りにする問題児。ヒト型のロボット「アミクス」を
新たなパートナーとした彼女はそのトラウマに耐えつつ謎のウイルス感染源を探るが──。

電索官ながら相棒の存在を軽視し、憎まれ役を買って出るような言動を見せる“エチカ”。
そんな彼女の思惑を知りながら、訳知り顔で思考を先回りする小憎たらしい“ハロルド”。
互いの因縁が交錯し、反発しながら認め合う過程がバディものの真骨頂を発揮しています。

“エチカ”の親が関わったプロジェクト。ユア・フォルマが作られた本来の目的。友情と
裏切り。姉とのある思い出がフラッシュバックする、彼女自身の想像を超えた事件の真相。
“ハロルド”が見つけられない「答え」を彼女と突き止められる日が来るのを期待します。

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2021年04月13日

『インフルエンス・インシデント Case:01 男の娘配信者・神村まゆの場合』

駿馬京 先生の「第27回電撃小説大賞・銀賞」受賞作。女装動画配信で人気を博す少年が
ストーカー被害に遭う事件へ能力も性格も非凡な大学教授とその助手が解決に臨みます。
(イラスト:竹花ノート 先生)

https://dengekibunko.jp/product/influence/322011000153.html


メディア社会のコミュニティ形成などを専門に、若くして大学教授の任に就く“玲華”。
彼女のゼミに所属し助手を務める“ひまり”は注目の動画投稿者が更新停止中なことを
心配していると「僕を助けてくれませんか?」と中性的な男の子が突然訪ねてきて──。

ふとしたことでネット上で注目を集める存在になる。それによって人生の明暗を分けた
人々の機微を描く、社会派小説のような側面を持つ内容に考えさせられる点もしばしば。
高校生の“真雪”に熱が入ってポンコツに見える“ひまり”が話の鍵を握るのも注目で。

“真雪”が身の危険を覚える契機となる簡易ブログ型SNS「RootSpeak」。その使い方に
問題を投げかける一方で、その運営自体に謎を仕込む大掛かりな物語は読めば気を惹く
ことうけあい。新感覚ミステリーの流れ、良い形で続いてくれることを切に期待します。

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2021年04月12日

『ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います』

香坂マト 先生の「第27回電撃小説大賞・金賞」受賞作。安定した生活を夢見て受付嬢と
なった女の子が定時帰りを脅かす要因を力でねじ伏せていく、痛快異世界コメディです。
(イラスト:がおう 先生)

https://dengekibunko.jp/product/uketsukejo/322011000156.html


積み上がる書類の山、押し付けられた集計業務。理想とは程遠い、目の前に広がる現実を
作り出す冒険者たちの無能ぶり、いや、立ちはだかるフロアボスへの怒りが頂点に達した
受付嬢“アリナ”は一級冒険者の証と力を手に今日も一人、ダンジョンへ潜り込むが──。

あとがきにもあるように「残業も何もかもを、物理で殴り倒す」しかも女の子が、という
爽快感がまず凄い。それが軽妙に描かれる読みやすさもあって圧倒的に面白い。あくまで
自分の理想ために、過去に抱いた感情も含めて力を振るう“アリナ”に好感が持てます。

迂闊な所もある“アリナ”が「処刑人」であるとバレる場面もしばしば。“ジェイド”も
そうですが、正体を知ってどう動くか、彼女がどう反応するか、そのあたりの駆け引きが
見ていて楽しいですし、見所の一つでもあるかと思います。今回イチ押しの受賞作です。

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2021年04月09日

『私のシスター・ラビリンス』

みかみてれん 先生と Tam-U 先生がタッグを組んで「電撃G'sマガジン」誌上にて行われた
読者参加型企画のガールズラブコメディ。「カクヨム」連載分の物語も収録されています。
(イラスト:Tam-U 先生 企画:電撃G'sマガジン編集部)

https://www.kadokawa.co.jp/product/322011000739/
https://kakuyomu.jp/works/1177354054895228983


淑女を育てる中高一貫の女子高に転入した“涼香”が講堂へ入りまず目にする6人の少女。
新年度から導入された2年生1人に2人の1年生をグループとして組ませ生活を共にする
ことで成長を促す制度を通じて、最終的に彼女はただ1人の「妹」を選ぶことになる──。

かけがえのない祖母との別れを経験し、新天地で新たな幸せを見つけようとする“涼香”。
“真悠”をはじめとする個性派揃いの妹候補、立場を同じくする“帆南”や“明日葉”の
言動、考え方と対比させながら“涼香”の機微を浮き出たせていく構成が面白いところで。

“涼香”の妹として誰を組ませるか、妹たちは彼女に対しどんな感情を抱いたかを読者が
選んだ記録として後を追っていくのも興味深い。どの選択にも対応できるよう備え続けた
てれん 先生に、イラストで物語を演出し続けた Tam-U 先生に「お疲れさま」の一言です。

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2021年04月08日

『田中〜年齢イコール彼女いない歴の魔法使い〜 12』

ぶんころり 先生が贈る王道異世界ファンタジー。第12巻は「不死王を出せ」の一点張りで
逆鱗に触れれば町を滅ぼす勢いの“龍王”に対し“田中”が“精霊王”に助けを求めます。
(イラスト:МだSたろう 先生)

https://gcnovels.jp/book/b1165.html


傲岸不遜な言動を見せ、まさに理不尽の塊とも言える“龍王”の話の通じなさに怒りすら
覚える局面を“田中”の処世術で何とか丸く収めようとする話が軸となる「王なる存在」。
“精霊王”を担ぎ上げてもまだ暴挙に及ぶ“龍王”を抑えきれたのも彼の人徳が為せる所。

そんな“田中”の存在感に目が離せなくなってきた“精霊王”の見た目メスガキっぷりが
МだSたろう 先生のイラストも相まって、読み手としても釘付けにならざるを得ません。
彼の「処理」に対して助言するのもアレですが、それを活用しようとする彼も中々のもの。

“田中”の囲い込みに余念がないかの皇帝も彼から目が離せない中、「大聖国の主」では
「彼女」の野望にいささかの狂いもなし、という面が見えて謎の安心感を覚えます。裏で
“ソフィア”が見せる活躍にも注目しつつ、受難続きの彼がどう動くか今後も楽しみです。

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2021年04月07日

『公女殿下の家庭教師8 再臨の流星と東都決着』

七野りく 先生が贈る魔法革命ファンタジー。第8巻は行方不明の“アレン”の情報を求め
“リディヤ”が暴走する中で叛乱軍が最後の反撃に臨む王国動乱編、決着の時を迎えます。
(イラスト:cura 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/201812koujodenka/322006000823.html


“オルグレン”のもとへ“アレン”の消息を尋ねに行ったのは全くもって悪手と言うしか。
約束された「悪堕ち」ではあるにしても“リディヤ”に対してここまで心痛を味わわせる
必要があったのか、と運命の悪戯に苦言を呈したくなる所。“アリス”の言葉も厳しめで。

“アレン”不在の中、自暴自棄の“リディヤ”に諫言は届くのか。“リィネ”が泣き言を
あらわにするのも分かります。対して“ティナ”が気丈に振舞う姿には賞嘆するばかり。
世界の命運をかけた大喧嘩、“リディヤ”の心の脆さここに極まれり、という流れです。

“アトラ”を救い、“アトラ”に救われた“アレン”が満を持しての登場を迎えてからは
物語が纏まる感じがして感慨深いものが。これで“リディヤ”も報われたことと思います。
平穏な時間を取り戻したか、と思いきや別の思惑も動き出したようで続きが気になります。

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2021年04月06日

『魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 12』

手島史詞 先生が贈る、不愛想魔王と箱入りエルフによるラブコメファンタジー。第12巻は
“ネフィ”の誕生日を祝う“ザガン”が“ネフテロス”に迫る命運の日に頭を悩ませます。
(イラスト/COMTA 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/954.html
https://hobbyjapan.co.jp/comic/series/madoai/


“ザガン”も“ネフィ”も誕生日を祝ったことがない、という切ない境遇に同情を覚える
ところから互いの誕生日をまず知るところから始まり、どう祝えばいいのか頭を悩ませる
姿は微笑ましく映ります。にも関わらず恋愛相談を受けたりする彼は滑稽とも言えます。

そんな心温まる雰囲気とは裏腹に、“ネフテロス”へホムンクルスとしての余命を告げる
“ザガン”から人として成長し続けている内面の更なる変化が窺えるのが感慨深いです。
命運を受け入れようとする彼女に対しどう踏みとどまらせるか考えを巡らせる所も含めて。

“シャスティル”と“リリス”が相談し合う内容から、恋だけでもなく、愛だけでもなく、
“ネフテロス”を救う感情の芽生えに光明が見えた・・・かと思えば埒外に重い怒涛の展開。
「やってくれたな“ビフロンス”!」だけでは済まない様相に、続きから目が離せません。

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2021年04月05日

『精霊幻想記 19.風の太刀』

アニメ化への準備が進む、北山結莉 先生が贈る異世界転生譚。第19巻は“リオ”不在の
ガルアーク城を強襲する「天上の獅子団」の暴挙に、後を託された者たちが奮闘します。
(イラスト/Riv 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/953.html
https://hobbyjapan.co.jp/comic/series/seireigensouki/
http://seireigensouki.com/


“リオ”の居留守を狙う“ヴェン”たちを「卑怯者」と啖呵を切る“シャルロット”たち。
彼に団長を殺されたから「やられたらやり返す」と己の正当性を主張する“ヴェン”たち。
価値観と力の違いに理不尽にも圧倒されていく彼女たちを応援したくなる展開が続きます。

騒乱に見舞われる王城に颯爽と現れる“ゴウキ”らが「天上の獅子団」の暴挙を一蹴する
やり取りには胸がすく思いでしたし、何よりも格好良かった。“リオ”に守られるだけの
存在じゃない、と強がる“セリア”たちの共闘も見事で見どころ満載。惚れ惚れします。

黒幕として暗躍を続ける“レイス”に対して図らずも一矢報いた形になる話の流れの裏側、
“エリカ”が自らの聖戦を始めるため民衆を巻き込んでいく不穏な空気漂う水面下の動き。
“リーゼロッテ”を救い帰還を果たした“リオ”がこの難局に臨んでいく次巻も注目です。

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2021年04月02日

『ライアー・ライアー7 嘘つき転校生は偽りの正義に逆襲します。』

久追遥希 先生が贈る学園頭脳ゲーム&ラブコメ。第7巻はヘキサグラムそして“佐伯”の
振りかざす正義という名の暴力に対し“緋呂斗”たちが最終決戦の場をもって断罪します。
(イラスト:konomi 先生(きのこのみ))

https://mfbunkoj.jp/product/liar-liar/322011000808.html


“佐伯”が“緋呂斗”たち執拗に追い詰めてくるその手段の悪辣さに鬱憤は募るばかりで。
そんな中、彼が“更紗”の立ち位置に言及する場面などでは焦りや緊張感を覚えたりして。
絶対的勝利を信じて疑わない“阿久津”の圧倒的な力にも不安をかき立てられるばかりで。

リアル脱出ゲームを模した最終決戦に仕掛けられる隠されたルールに怯むことなく、ただ
むかっ腹の立つ“佐伯”に対する勝ち筋を見極めていく“緋呂斗”。彼が“摩理”に対し
ある違和感に気付いたことが最大の鍵を握っていた点には一番驚かされた点でもあります。

味方殺しすら厭わない“佐伯”とイカサマ上等の“緋呂斗”。どちらの味方に付くのか、
他陣営の駆け引きも見所で、グッとくる支援の数々に熱いものを感じずにはいられません。
運営の英断に拍手喝采を送りつつ気になる要素が先々どう響くのか、次巻刊行を待ちます。

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2021年04月01日

『義妹生活2』

天ア滉平 さん、中島由貴 さんの声で贈るアニメ・マンガ動画の企画・原作・脚本を担う
三河ごーすと 先生によるノベライズ。第2巻は“沙季”に募る感情に触れていきます。
(イラスト:Hiten 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/gimaiseikatsu/322011000805.html


現代文に自信がない、と嘯く“沙季”が本当に苦手だという点にまず驚きつつ、その訳に
“悠太”とドライな関係でいようとする彼女らしさを感じさせます。彼から勉強のコツを
教わるうちに、無意識のうちに、今のままでいられなくなる機微の変化に思わずニヨニヨ。

そのきっかけになる“読売”先輩と“悠太”との気の置けない雰囲気。“沙季”の勉強に
対するアドバイスにも関わってくる年上女性の存在。“沙季”自身が持て余している感情
を言葉ではなく態度で感じる“奈良坂”の見識に驚愕、というかスペック高いですよ彼女。

“沙季”の不可解な行動の意味、その答え合わせとなるエピローグで示される彼女の日記。
感謝の気持ちとモヤモヤする感情が交錯する文面から「あの感情」を認識するまでに至る
流れに「だよね〜」と頷くことしきり。“悠太”はそんな彼女とどう向き合うか注目です。

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2021年03月31日

『錆喰いビスコ7 瞬火剣・猫の爪』

瘤久保慎司 先生が贈るファンタジー冒険譚。納得感あふれるアニメ化決定の報せを受けて
刊行される第7巻は猫が治める世界に紛れ込んだ“ビスコ”たちがそれでも大暴れします。
(イラスト: 赤岸K 先生 世界観イラスト:mocha 先生 題字:蒼喬 先生)

https://dengekibunko.jp/product/bisco/322003000219.html
https://sabikuibisco.jp/


強敵である“黒革”を倒すために放った超信弓が“ビスコ”たちを猫の国へと誘う契機と
なるだけでなく、かの国で猫たちを「鬼ノ子」に変えて操り千年王国建国を企む“月餅”
に力を貸すことになるのだから悩ましい。その裏にあるのがひたすらの愛であるだけに。

「その後」の忌浜市で“パウー”と共に過ごす日々に違和感を覚える“ビスコ”。彼が
今回の大冒険で「逃げの一手」を打ちつつ、猫の国を治める将軍“羊羹”の不甲斐なさ
に己の姿を重ねて気付きを得る一幕が印象深い。この冒険に込められた真意が窺えます。

糸の切れた凧のように掴みようのない“ビスコ”と共に生きるべく尽力する“パウー”。
“羊羹”が振るう「瞬火剣」の奥義の真髄を受けて、彼女の想いに彼はどう応えるのか。
彼の悩みにいち早く気付いていた“ミロ”も納得の決断と、新たな旅の始まりに幸あれ。

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2021年03月30日

『出会ってひと突きで絶頂除霊!8』

赤城大空 先生が贈るアツくて淫らな退魔活劇。第8巻は欧州の中でアルメリア王国が日本
と友好を結ぶ流れに水を差すテロリストたちの襲撃が“晴久”たちを追い詰めていきます。
(イラスト:魔太郎 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518948


テロリストに“シーラ”姫が襲われ、命からがら逃走する彼女が“晴久”の元に辿り着く。
助けた彼女と繋いだ手が離れなくなる呪い付き、と“美咲”たちをざわつかせる彼ですが
ラッキースケベな展開も気を張った姫の緊張をほぐすことになると思えば怪我の功名かも。

“晴久”が突如耳にする遠吠えが今回の敵“アーネスト”による猛攻の合図ということで
彼女にケモノ化された“美咲”たちが見せる痴態は相変わらずエロスの極みと言える一方、
そうでもしないと彼に本心をむき出しにできない彼女らが憐れに見える気がして悩ましい。

「国際霊能テロ組織がサキュバス王の性遺物を狙っている」という報せが示す本当の意味。
“アーネスト”が示す「ある矛盾」によって今巻の前提が覆されてからの怒涛の展開には
ただ驚くしかなく。想像以上の窮地に“晴久”たちは対応できるのか、次巻も要注視です。

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2021年03月29日

『元カノが転校してきて気まずい小暮理知の、罠と恋。』

野村美月 先生が「ガガガ文庫」から初めて上梓する物語は、中学時代に秘密の恋人関係
にあった男女が別れ、高校生となって再会を果たす2人の難しい心の距離感を描きます。
(イラスト:へちま 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518962


“理知”へ一方的に別れを告げ、転校した“ないる”。苦い経験を持つ彼は高校生になり
転入してきた彼女と級友として、しかも隣の席で再会する。実に気まずい。でも気になる。
悶々とする彼の思惑を他所に、彼女が軟派な“遥平”と交際するという話を耳にして──。

ダッシュエックス文庫で発表した『親友の彼女を好きになった向井弘凪の、罪と罰。』と
舞台を同じくする、という本作。6年ほど前の記憶をどうにか掘り返しながら読みました。
・・・当時、このプロットが寝かされていた背景が気になるところですが、それはさておき。

別れた理由に対する“理知”と“ないる”の齟齬。過去と現在の記憶を、感情を刻み直す
“冴音子”の振舞い、そしてあの一言が印象深い。報われない立ち位置が続く“遥平”も
どうか幸せになってほしいとは思いますが、はてさて。希望ある落とし所にひと安心です。

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2021年03月26日

『GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン NEXT BOX HDDD英国編〈下〉』

川上稔 先生が贈る大人気戦国学園ファンタジー。4冊目となるアーサー王伝説編・下巻は
元の世界へ戻るため、そして失わせないため、武蔵勢が英国の記録を補正しにかかります。
(イラスト:さとやす 先生(TENKY))

https://dengekibunko.jp/product/horizon/321905000140.html


“ペリノア”王との相対で見せた“豊”の知識、そして技がまず印象深い。昇天するだけ
じゃないんだ、という本領発揮感が。英国の地盤固めに動き出す武蔵勢へ釘を刺しに来る
“ワンサード”は“スリーサーズ”とのやり取りが結末に響いてくる展開も胸に残ります。

そもそも“ワンサード”はなぜ武蔵を拒絶するか。そこにアーサー王に纏わる歴史再現と
失わせてしまう者たちの気概が見えたことに驚くと共に、“スリーサーズ”がつき続ける
嘘を、抱き続ける淡い願いを見抜くのが“メアリ”だったのも運命というか、縁というか。

他にも「湖の精霊」のいわく、“点蔵”と重なる“パーシバル”のヘタれ具合、結局の所
戦争はしちゃう武蔵勢、最後にはしっかり欲しい言葉をくれる“トーリ”など見所は満載。
皆の身勝手に動かされ、そして救われた者たちの物語、十分に堪能させていただきました。

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2021年03月25日

『後宮妃の管理人 四 〜寵臣夫婦は立ち向かう〜』

しきみ彰 先生が贈る後宮物語。第4巻は後宮で発生した毒殺未遂事件の犯人が“麗月”で
さらに皇帝の娘だという噂が流れて、“優蘭”たちだけでなく珀家全体が窮地に陥ります。
(イラスト:Izumi 先生)

https://lbunko.kadokawa.co.jp/product/kanrinin/322009000510.html
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_FL00201451010000_68/


新しい職場に移り健美省の仕事にも一層身が入る“優蘭”。そんな彼女の心情に水を差す
“蔡”の嫌味から始まる今巻。毒殺騒動に揺らぐ健美省の面目、過去の大量毒殺事件との
因果関係、けれど迫る年末会議の準備、と“皓月”と共に彼女は気が休まらない状況下に。

最悪でも自分が犠牲になれば妻の立場も守れて丸く収まると考えて一人突っ走る“皓月”。
最善の策を模索していたのに自分を救おうとしない彼に対し妻として声を荒げる“優蘭”。
互いを気遣うからこそすれ違う2人の心をフォローした彼の母“璃美”の言動が印象深い。

とは言え“優蘭”も大事な局面で四夫人を頼らないあたり似た者夫婦なのかも知れません。
年末会議「紫金会」で洗いざらいの証拠を突きつけていく寵臣夫婦の逆転劇がまさに爽快。
絆をさらに強くする2人の姿に心温まる間もなく突きつけられるあの一言、気になります。

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2021年03月24日

『天才王子の赤字国家再生術9〜そうだ、売国しよう〜』

アニメ化決定の報に沸く、鳥羽徹 先生が贈る弱小国家運営譚。第9巻は4つの都市国家で
構成されるウルベス連合で巻き起こる覇権を巡る陰謀に“ウェイン”が大胆に介入します。
(イラスト:ファルまろ 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815609429/
https://tensaiouji-anime.com/


東都を治める“アガタ”に招かれた“ウェイン”に告げられる4都市間のパワーバランス。
そこに統一を図る“アガタ”の意志が上乗せされ、裏があると探りを入れる王子が次々に
明らかにしていく初期段階の人間関係だけでも興味深いのに上乗せしてくるのがまた凄い。

ここに冒頭“ウェイン”から“フラーニャ”に対して語られた、フラム人の建国に纏わる
エピソードが重なってくる演出。さらに“ウェイン”が“ニニム”に対して、フラム人に
ついてどういう感情を抱いているのかが垣間見えてくる、その内容がまた印象に残ります。

“アガタ”が抱く本当の狙いを汲んでウルベス連合に潜む復讐の刃をも丸く収める手腕に
相変わらず驚かされるものの、どこか仄暗い未来を予感させる言い回しが気になります。
“フラーニャ”を担ぐ“シリジス”の夢が花開くか等、先々予想しながら次巻を待ちます。

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2021年03月23日

『友達の妹が俺にだけウザい7』

三河ごーすと 先生が贈るいちゃウザ青春ラブコメが満を持してアニメ化を決めドラマCD
付き特装版と同時刊行を迎える第7巻は“彩羽”と“真白”の母親らが場をかき乱します。
(イラスト:トマリ 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815607838/
https://ga.sbcr.jp/sp/imouza/


“彩羽”の母である“乙羽”、“真白”の母である“海月”。両者からもウザ絡みされる
“明照”の姿は幸せ者の象徴なのではと思いつつ、「5階同盟」躍進へ繋がる次の一手を
担う“菫”が修学旅行の担当になるという悩ましい状況が重なるのは同情を禁じ得ません。

兼業という選択肢が“菫”の限界を超えさせてしまう事態を目にした“明照”に迫られる
「5階同盟」方針転換の道。“乙羽”から、“真琴”から誘導されるその道が正しいかを
考えに考え抜く彼の真摯な姿には感心するばかり。応える“菫”の覚悟もなかなかのもの。

“明照”に対するアプローチもあからさまになる“彩羽”と“真白”にも転機となる親の
関わり方がエピローグにも表れていて、実に興味深い展開を迎えました。リードを許す形
となる“真白”が修学旅行で巻き返すことができるか、次巻の動向も注目したい所です。

posted by 秋野ソラ at 00:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル