2018年12月10日

『俺もおまえもちょろすぎないか3』

保住圭 先生が贈る超濃厚ハイスピードラブコメ。第3巻は“つぶら”との婚約という形で
想いの周知を図る“功成”に対して、妹の“悠伊”からまさかの反対表明が飛び出します。
(イラスト:すいみゃ 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/omachoro/321806000207.html


“功成”と“つぶら”、若い2人のお付き合いが未来永劫つづくとは限らないと指摘する
“悠伊”の言い分もごもっともで。その意見をはねのけるべく“つぶら”の母が既成事実
を作るために旅行へ誘ってくれるあたりがいい家族。祖母も実にイイ味だしてて素敵です。

そもそも“悠伊”に苦言を呈した理由、それこそが兄妹共に筋金入りの「ちょろい」家系
であることを示す、まさに本作らしさに溢れていました。“つぶら”との友人関係と抱く
想いとの間で揺れ動く機微はキュンキュンくるものがあって、ツボに入りまくりでした。

“つぶら”が“悠伊”を羨む感情にもなかなかに独占欲の強さが垣間見えて微笑ましい。
“悠伊”が自分の感情に、“功成”が妹からの想いに、それぞれどう折り合いをつけるか。
見事な大団円につながるエピローグと共にぜひ見届けてほしい。見事な締め括りでした。

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2018年12月07日

『ロクでなし魔術講師と禁忌教典13』

羊太郎 先生が贈る超破天荒新世代学園アクションファンタジー。第13巻は“リィエル”を
命の危機から救うため“グレン”がかつての盟友と対峙する運命のいたずらに見舞われます。
(イラスト:三嶋くろね 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321802000314


エーテル乖離症で突如倒れた“リィエル”を救うために必要なセフィラ・マップ。それを
持つ“サイラス”から指示される、女王の暗殺未遂で逃亡中の“アルベルト”討伐命令。
“グレン”に選択の余地なし、な状況に詰ませる流れと進んでいく陰謀の話運びがお見事。

特務分室に呼び戻されてみれば新参者になめられたり、と踏んだり蹴ったりな“グレン”。
そんな新参者たちも“アルベルト”からすれば“グレン”にも劣ると退ける様子は圧倒的。
戦わざるを得ない2人の息の合った読み合い、力と技術の応酬が生み出す戦闘が実に熱い。

“サイラス”や“アルベルト”の思惑をギリギリまで掴ませない緊迫した展開が土壇場で
“グレン”の大逆転劇を演出する形で昇華されていく流れは爽快感があふれます。けれど
裏側で暗躍していた「あの人」のほうが上手だった点が気になりすぎて続きが楽しみです。

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2018年12月06日

『ラストラウンド・アーサーズ2 聖女アーサーと赤の幼女騎士』

羊太郎 先生が贈るアーサー王継承を巡るバトルストーリー。第2巻は“凛太朗”を師匠と
呼ぶ美少女“エマ”の登場に戸惑う“瑠奈”が、王としての立場を賭けて勝負に臨みます。
(イラスト:はいむらきよたか 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321803001781


今巻も冒頭からいろいろとやらかしてくれる“瑠奈”に対し、健気で頑張り屋“エマ”と
彼女の気持ちを後押しする“ラモラック”の指導もあって“凛太朗”の中での評価が高く
なっていく展開がコミカルで面白い。ここで言う「評価」が後々で効いてくるのも含めて。

“凜太朗”との戦いに何かと固執してくる“ラモラック”の直接的、間接的なアプローチ。
それが“エマ”に秘められた過去、背負わされてきた責任にも及んでくるからえげつない。
自動防御する相手に苦戦する彼も、彼を巡って争う“瑠奈”も分が悪く焦りが浮かびます。

土壇場で選んだ“凜太朗”の選択肢に“瑠奈”も失意する・・・かと思えば、そこにこそ絆の
証が見えてくるという演出の妙と、改めて王の器とは何かを強く印象づける勝敗の行方が
また熱かった。巻末で見せる“ガウェイン”と“フェリシア”のリアクションも見所です。

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2018年12月05日

『魔王学院の不適合者3 〜史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う〜』

秋 先生の「小説家になろう」投稿作の書籍化作品。第3巻は学院交流という形で勇者らが
学ぶ学院へと足を踏み入れることになった“アノス”たちが陰謀に巻き込まれていきます。
(イラスト:しずまよしのり 先生)

https://dengekibunko.jp/product/maougakuin/321806000039.html


「勇者学院」選抜クラスを自ら指導する学院長“ディエゴ”が、悪魔学院の面々に対して
見せる険悪さ。それが勇者の転生者たちにも表れていて憎らしさを感じずにはいられない
学院交流の最中で“アノス”や“レイ”が彼らを一蹴していく様子は爽快感を覚えます。

“カノン”に遠く及ばない彼らが勇者の末裔として二千年に渡り蓄積してきた憎悪の深さ。
それが形となって現れたときに見える、交流中に出会った“エレオノール”の悲哀も深い。
すべてを知った“アノス”が一切合切を救ってやろうと振舞う様子に安堵すら感じます。

そして遂に現れた“アヴォス・ディルヘヴィア”。すでに見抜いていた“アノス”が彼と
どう対峙するのか、そしてどう決着をつけるのか。それぞれの矜持がぶつかる戦いは必見。
めでたく大団円で完結か? という話の続きをどう動かしていくのか見守らせて頂きます。

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2018年12月04日

『bella peregrina.(ベラ ペレグリナ)カワイイ天狼(オル)の育てかた。』

山下泰昌 先生の「第10回GA文庫大賞・奨励賞」受賞作。異世界との通行が可能となった
日本でバトルイベントに巻き込まれる研究者志望の少年が繰り広げるラブコメディです。
(イラスト:6U☆ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797399899.html


パラフェ、と通称される異世界で行われてきたエンジェルライド。ある日、乗り手不在の
エンジェルに遭遇し、偶然にも精神同調して乗り手の代わりを務めた“雅文”はそのまま
一緒に戦ってほしいと詰め寄られる。そのエンジェルはある大きな欠点を抱えていて──。

「マサフミはただ乗っているだけでいい」そう嘯く“オル”の言葉に彼女の成績不振たる
所以があると気づいた“雅文”が、持ち前の分析能力と日本で開催されるという地の利を
活かして勝利への可能性を見い出していく展開が楽しい。何より彼女の振舞いが可愛い。

エンジェルに関する挿絵がないので、空で接戦する様子は脳内補完する必要はありますが
因縁深い強敵“ベルス”に挑む“オル”と“雅文”の間に、急速かつ親密に築かれていく
信頼関係にもご注目。彼に何やかやと協力してくれる“スキム”の言動がお気に入りです。

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2018年12月03日

『出会ってひと突きで絶頂除霊!4』

赤城大空 先生が贈るアツくて淫らな退魔活劇。第4巻は十二師天会議にて処遇が決まる
“晴久”に宗谷家の破廉恥なしきたりが、そして“アンドロマリウス”の一手が迫ります。
(イラスト:魔太郎 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094517613


“美咲”の母“真由美”が娘の相手は“晴久”と信じて疑わない、その顛末の果てにあの
「セックスしないと出られない部屋」ですから心の中で拍手が止まらない。その羨ましい
状況を至らせずにどう乗り切るか。“晴久”、そして“美咲”らしい回避策にもご注目。

今回、十二師天会議でいの一番で突っかかってきた皇樹神社の“夏樹”から思わぬ助け船
として祀る神“紅葉姫”の力を借りる顛末が“晴久”にとって更なる女難の道を歩ませる
結果に繋がるのもまた面白い。“芽衣”や“桜”が焦りを見せるのも無理はないところで。

今回カギを握る特級霊能犯罪者との激闘を予感させていた“葵”らが入手したラブドール。
どう使われたか、そしてどれだけエロかったかは安心安定の品質なのでぜひご覧頂きたい。
“ミホト”の存在は未だ謎多く、“晴久”に及ぼす悪影響について見届けたい所存です。

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2018年11月30日

『僕と死神の七日間』

蘇之一行 先生が贈る新作は、7日後の死を宣告された少年があっさりと事実を受け止めた
ことに納得のいかない美少女な死神が本当にやり残したことはないのか追求していきます。
(イラスト:和遥キナ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/shinigami-7days/321808000006.html


現役で医大生となった優秀な兄を事故で失った“僕”は父親の期待に応えられず空虚な日々
を過ごす。ある日、自分にしか見えない美少女から死を宣告された彼は未練もなく清々する
と生きることに無頓着なそぶりを見せる。彼女は未練を探してあげる、と言うのだが──。

“死神”の少女に振り回されても、“僕”の中にある未練は飼い犬の“ハナ”しかなくて。
弟がそんなことになるとは露知らぬ兄“正人”にも、生前には命と向き合う場面があって。
それぞれ二人なりの時を過ごす様子はとても微笑ましいのに、向かう結末は実に切なくて。

このまま無為に過ごせば死を迎えるはずの“僕”。彼の未練を探すため最後まで付き合った
“死神”が彼の心境に変化をもたらしたとき、どんな結末を迎えるのか。“死神”が背負う
過去が示された瞬間が印象的で、それだけに後日譚は色々と複雑なものが胸をよぎります。

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2018年11月29日

『魔石グルメ 魔物の力を食べたオレは最強!』

結城涼 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。異世界の貴族に転生した少年が不遇な
日々を過ごす契機となったスキルを活用する術を見い出して躍進していく顛末を描きます。
(イラスト:成瀬ちさと 先生)

https://kadokawabooks.jp/product/masekigurume/321807000700.html
https://ncode.syosetu.com/n0610eg/


「毒素分解EX」なる外れスキルを持って転生した“アイン”に対し、弟が持つのは聖騎士。
父“ローガス”も弟をあからさまに優遇するため、何とか見返そうと人一倍努力する彼の
不遇な日々は一夜にして某国の王子になるまでに変貌する。きっかけは魔石なのだが──。

話が進んでいくにつれて判明していく“オリビア”の深慮遠謀ぶりがすごい。そしてその
想いを一身に背負った“アイン”が魔石の力で得た力に奢ることなく、これまでと同様、
あるいはそれ以上に定めた目標に向かってひたすら努力していく姿勢は好感触と言えます。

“アイン”の運命を決定づけた“クローネ”もまた努力家で、彼に心惹かれていく想いを
絶たれそうな境遇にもめげることなく一途に抱き続ける様子が健気で応援したくなります。
成長した彼が入る学び舎で何が起こるのか、そして力の使い所は。続きが気になる話です。

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2018年11月28日

『いでおろーぐ!7』

椎田十三 先生が贈るリア充爆発アンチラブコメ。第7巻は生徒会選挙に臨む“領家”が
思わぬ番狂わせに見舞われたことを境に、反恋愛主義青年同盟部が最大の窮地に陥ります。
(イラスト:憂姫はぐれ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/ideologue/321709000170.html


“宮前”も驚くほど卑劣な手も厭わず生徒会長に就任した“佐知川”が次々断行していく
恋愛至上主義を後押しする施策に、“藤枝”も量産型リア充スタイルで彼女持ちへと変貌
する始末。危機感を覚える“高砂”の前から突如“女児”も居なくなり異常さを覚えます。

迎えるクリスマスで生徒会側の猛反撃を喰らう“高砂”が拉致され、囚われの地で女医に
「恋愛欠乏症」なる診断を下されて治療と称し「洗脳」されていく過程が妙に生々しくて
彼の懊悩ぶりは「反恋愛」とは何かを問いかけるシリーズ最大の見せ場と言えるでしょう。

“高砂”不在の中で生徒会側を押さえた“領家”の修羅っぷりがぜひ見たい、と匂わせる
数々の証言を経て“女児”が下した決断がいかにもらしい落とし所。「リア充爆発しろ」
という言葉は誰のためにあるのか改めて問いかけたくなる結末も実に見事な幕引きでした。

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2018年11月27日

『おっさん、不労所得で帝国を導く2』

藍藤唯 先生が贈る禁労系ファンタジー。第2巻は“リュウ”の後輩にして“クルーエル”
から将来を期待される秘書“ヘレーネ”が、謀殺される中で巻き込まれる陰謀に触れます。
(イラスト:タジマ粒子 先生)

http://novel-zero.com/issued/2018/11/01.html


無理がきかなくなってきた体を考慮し、後進育成を見据えた“クルーエル”が白羽の矢を
立てたのが“ヘレーネ”。優秀な彼女ならさぞ尽力してくれるだろうと思う上司の思惑を
他所に、あまりの無茶振りに匙を投げようとする彼女のグズりっぷりには同情しかなく。

“イルミーナ”たちの提言にかかずらう“ヘレーネ”の多忙さに拍車をかけるある事件が
起きることで彼女の心が折れるのも納得で、可哀想すぎて思わず頭を撫でてあげたいほど。
何だかんだで助けに入る“リュウ”の優しさ、さりげないプレイボーイぶりが羨ましい。

コルド基地周辺を舞台に繰り広げられる陰謀の顛末と、複雑な人間関係の絡み合いが後半
面白い形で進んでいき“リュウ”が結局は「持っている」側の人間だと見せつける結末、
そしてエピローグで“ヘレーネ”が啖呵を切る場面は必見かと。続刊を期待したい所です。

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2018年11月26日

『三角の距離は限りないゼロ2』

岬鷺宮 先生が贈る不思議な三角関係恋物語。第2巻は“修司”から告白された“伊津佳”
からの相談に乗る“四季”たちを眺める“春珂”の胸に積もりゆく機微の変化を描きます。
(イラスト:Hiten 先生)

https://dengekibunko.jp/product/zerokyori/321806000043.html


「いつか告白するだろう」と思っていたことが現実のものとなったとき“伊津佳”が迷う
のも無理はない、それも恋愛というものだろう・・・と思っていたら彼女が悩んでいた点は
想像していたものと違っていて、でもそれは彼女らしい理由で色々と考えさせられます。

一方、“四季”と“秋玻”も恋人同士となってからの悩みがあって、それを解決していく
過程でサポートに回る面々がまさにオールスターズ。違った面で本作を楽しめる要素です。
積極的に想いを彼に示していく彼女の様子には驚かされると共に、焦りを感じさせます。

“秋玻”が抱く焦りはどこにあるのか。そのカギを握るのが振り返ると口絵にあった訳で。
合間合間に差し込まれる“春珂”の日記に綴られる、限られた時間の中で何が出来るかを
考え続けた彼女が導き出した結論が呼び起こす波が三角関係にどう楔を打つか、注目です。

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2018年11月23日

『救世主だった僕が三千年後の世界で土を掘る理由』

有丈ほえる 先生が「講談社ラノベ文庫」から贈る新作は終末考古学ファンタジー。人間が
侵略者によって地下に追われた世界で、生きた機械として作られた少年の命運を描きます。
(イラスト:ちょこ庵 先生)

http://lanove.kodansha.co.jp/books/2018/11/#bk9784065132036


突如、飛来したアルデヒドなる種族に侵略される人類が抗戦への望みを託した機械じかけの
子供たち。クチュールマタと呼ばれる彼らの一人“リュト”はコールドスリープから目覚め
目にしたのは宿敵が支配する人類のいない世界、そしてアルデヒドの猫耳少女だった──。

現実を目にして絶望する単身の“リュト”を、人間考古学の研究者として純粋に協力を乞う
“ニナ”たちの気持ちが救っていく流れに心温まるものを感じます。ただ、味わう間もなく
研究にまつわる陰謀や、彼自身も知らないクチュールマタの秘密が物語に影を落とします。

意外なところから真実に気づいてしまった“リュト”と“ニナ”。三千年の時を経て人類の
悲願は叶うのか。“座散乱木”博士が彼を「救世主」として後世に何を残したかったのか。
彼が下す決断とその顛末にご注目いただきたい。あと“アイル”の立ち位置が大好きです。

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2018年11月22日

『風銘係あやかし奇譚』

SOW 先生が贈る新作は、明治維新の折に西南戦争で新政府軍に敗れた薩摩の元サムライが
助けてくれた少女と共に文化振興事業を手伝う顛末を描く、文明開化あやかし奇譚です。
(イラスト:鈴ノ 先生)

http://micromagazine.net/books/10538/


武士の終焉、後世に言わしめる時代に士族として成人した“乃木虎徹”。彼が単騎で挑む
熊本城でその意味を痛感のも後の祭り。時は明治、東京で投獄された彼を牢から出そうと
という少女“卯月”が現れる。彼女は「文化振興を手伝ってほしい」と言うのだが──。

文明国を目指す日本で、時代の流れに潰されそうな独自文化。特に風雅な銘品を守るため
作られた部署「風銘係」で変わりゆく国に、そして“卯月”に“虎徹”振り回される姿は
微笑ましく映ります。そこへ異形の影が忍び寄ってくることで事は緊張感を帯びてきます。

「風銘」という言葉に込められた二重、三重の想い。「前がたり」の様子をいやが上にも
想起させる終章の顛末。選択を迫られた“虎徹”が見せた覚悟など、時代背景を踏まえて
浪漫を感じさせる展開が印象深かったです。和モノな作品に触れてみたい方にお薦めかと。

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2018年11月21日

『入職したら歳下上司と幽霊相手のお仕事でした』

三門鉄狼 先生が贈る新作は、幽霊が視えることをひた隠しにしてきた青年が幽霊絡みの
騒動を解決する部署に回され事件に巻き込まれていく、大人のお仕事ホラーコメディです。
(イラスト:なたーしゃ 先生)

https://ebten.jp/eb-store/p/9784047353886


「私たちが何人いるように見えますか?」安定志向の“小太郎”が区役所職員の面接にて
質問され、見たままを答える。その結果、採用された彼が連れられたのはスマホゲームに
興じる怠惰な女子高生にしか見えない“麻姫”が陣取る汚部屋、呪害対策課だった──。

「いないもの」に対する考え方の違いから“小太郎”と“麻姫”の第一印象は中々に悪い
スタートを見せます。「自殺アプリ」を巡る顛末で彼が同情してしまったりする様子は、
彼女から見ればもどかしく映ったことでしょう、と背負うものを知ってからは思えます。

“三日月”刑事との連携を経て明らかになっていく事件の真相、“麻姫”の事情、そして
真犯人の人物像。現代日本の世界観を踏まえてのオカルティックな要素と、“小太郎”の
真摯な姿勢にほぐれていく彼女の心情が相まって微笑ましく思えるラストが印象的です。

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2018年11月20日

『おっさんと女子高生、異世界を行く1』

青山有 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。異世界に召喚された刑事が与えられた
能力を使い、元の世界にいる姪のもとへ帰る方法を模索していくファンタジー作品です。
(イラスト:マニャ子 先生)

https://herobunko.com/books/hero66/8878/
https://ncode.syosetu.com/n9097ek/


教会神官“ルファ”から勇者として召喚された経緯とギフトの説明を受ける“蔵之介”と
バス運転手の“三好”、女子高生の“清音”、そして男子高校生3名。男子高校生たちが
与えられた優勢な能力に比べ、“蔵之介”たち残り3名は劣勢で異世界人を失望させます。

粋がる男子高校生たちを他所に、真っ先に姪の“琴乃”を気に掛ける“蔵之介”の紳士な
振る舞いとそれを受ける彼女との信頼関係が微笑ましい。その絆とギフトの組み合わせを
活かして異世界と現世を通信できるようにした仕掛けの使い方も見どころの一つでしょう。

危害を加えようとする“ルファ”たちの意思を思いがけず感知した“蔵之介”ら劣勢陣が
どうやって彼女たちに一泡吹かせようかと術を模索し、それを実現していく展開が熱い。
言葉を荒げる彼女の様子は一見の価値ありかと。かの国を出て希望はあるのか、注目です。

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2018年11月19日

『道化か毒か錬金術』

水城正太郎 先生が贈る新作は、イタズラでいたずらに世を騒がせる正体不明の錬金術師が
要人へ殺人予告を出した、と聞いて捜査に乗り出す美人魔術師の運命的な邂逅を描きます。
(イラスト/Ume 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/813.html


ブロイ公国。天才錬金術師“アナーキスト・アルケミスト”のイタズラで施策を妨害される
というこの国の公爵殿下“アルト”に殺人予告が届く。護衛に派遣された女性エージェント
“イングリド”は彼の調子外れな言動に戸惑うばかり。本当に彼は狙われているのか──?

まずは先生の復帰を心よりお祝い申し上げます。“アルト”に振り回される“イングリド”
自身もぶっ飛んだ考え方の持ち主で、共に興味深く見ていられるバディぶりを魅せてます。
思いがけず訪れる世界の危機にさえ、真面目にふざけて立ち向かい退けていく流れは絶妙。

連作小編のような構成でそれぞれの章だけでも楽しめる内容ですし、先生ご自身のブログや
「そこあに増刊号」で語られた裏話を確かめると「なるほど」感が生まれて2度おいしい、
そんな面白さも内包した作品に仕上がっています。粋なバディものが読みたい方にお薦め。


◆『道化か毒か錬金術』への道。その一(新刊よろしく編) - 水城正太郎の道楽生活
https://s-mizuki.hatenablog.com/entry/2018/10/10/120734

◆そこあに増刊号「道化か毒か錬金術」発売記念特集 vol.42
https://sokoani.com/archives/12309.html

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2018年11月16日

『エクスタス・オンライン 06.二人のエルフと三つの思惑』

久慈マサムネ 先生が贈るエクスタシーVRMMOファンタジー。第6巻は“壮馬”の容赦ない
思惑を打破すべくエルフの国に望みを託す“駆流”の暗躍を描くオルゼリア編完結巻です。
(イラスト:平つくね 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/ecstas-online/321803000507.html


のっけから“朝霧”に疑念を抱かれて余計にやりづらい“駆流”が苦肉の策で彼女に掛けた
エクスタスの場面描写がいやらしさをかき立ててきたのはポイント高め。しかし、そこで
彼が失態を招くばかりか、彼女から思わしげな行動に移られるあたりは読めない要素が多い。

“雫石”の独断専行への対処、業を煮やして“ウルリエル”に重複詠唱に及んだ対応など
おいしい場面に出くわしつつ、しっかりと情報を掴んでいくあたり“駆流”の立ち回りは
本当に上手くなったな、と実感します。“ウルリエル”も驚愕の秘密を握っていましたな。

“壮馬”との戦いは予想を超えて不利な局面に晒されて、読み手としても焦る展開でした。
そんな窮地を“駆流”がどう知恵を絞って乗り切るか、見届けるに値する熱さがあります。
“メル”のあの言動も気になりますが、引きが何より不穏すぎて続きが待ち遠しいです。

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2018年11月15日

『常敗将軍、また敗れる 2』

渡辺つよし 先生による漫画連載が早々に始まった、北条新九郎 先生のファンタジー戦記。
第2巻は新たな仕事を受ける中で“ティナ”が負け続けている姉“リィス”が登場します。
(イラスト/伊藤宗一 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/812.html
http://hobbyjapan.co.jp/comic/series/zyouhai/


“ダーカス”の「その筋では有名」ぶりを見せつつ今回向かうのはアイゼル王国の内乱に
巻き込まれた領地サウロン。その地を治める男爵だけでなく、“リィス”の挑発に乗って
単独行動に走ってしまう“ティナ”など、内外から理解されない彼の苦難は続いています。

「誰にも殺させない」けど「死ぬときは私が殺してあげる」と強い意志を見せる“リィス”
に対して“ティナ”は姉を殺したいのか、そう問いかける“ダーカス”の理解者たる姿は
魅力あふれる、まさに頼れる男の理想像。“アイザッシュ”の成長を見守る様子も同様に。

「ザルム傭兵団」という分かりやすい強さを示す敵だけじゃない今回の敗戦処理。優勢な
“マルサーユ”の姿勢を巧みに崩していく“ダーカス”の負けっぷりが爽快です。そこに
“ティナ”や“アイザッシュ”の一皮むけた様子も相まって見所も増えており、注目です。

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2018年11月14日

『理想の彼女と不健全なつきあい方』

瑞智士記 先生が贈る新刊は、憧れの女性コスプレイヤーの正体に気付いた大学一年生の
青年が周囲には秘密にしたい彼女と契約関係を結ぶところからはじまるラブコメディです。
(イラスト:フミオ 先生)

https://ebten.jp/p/9784047353879


高校一年の夏。同人誌即売会でお目当てのサークルにできた長蛇の列。薄い本も買えずに
心折れた“陸生”は会場で見かけたコスプレイヤー“μ”に心を惹かれる。瞬く間に一躍
有名となる彼女の画像をただ眺められればそれでいい、彼はそう思っていたのだが──。

ということで、サークルで出会った野暮ったい女性“美優”が“μ”として活動している
ことを知った“陸生”がつかず離れずの距離感で彼女の秘密を守ろうと、まさに東奔西走
していく様子は時に手に汗握ることもあれば「羨ましいぞこの野郎」と言いたくなる訳で。

もちろん隠し通すのも無茶な話ですのである人物にバレてしまうのですが、そこから挽回
できるかどうかに焦点が当たります。“陸生”の腐れ縁である“春奈”や郷土史研究会の
面々など他にもいつバレるか心配な要素をどう乗り切るのか。先が見てみたいものです。

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2018年11月13日

『六畳間の侵略者!? 30』

健速 先生が贈る人気シリーズ。通算32冊目はフォルトーゼからの留学生、そして新入生
として“賢治”の妹“琴理”を迎え入れる高校で“孝太郎”が3年生の生活を始めます。
(イラスト/ポコ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/809.html


某性悪記者の妹“ナルファ”は、兄とは違い写真家か映像作家を目指すそそっかしい少女。
吉祥春風高校に留学生として訪れた彼女の世話係に“琴理”が選ばれる所から話は動いて
いきます。ようやく登場、といった訳で新たな幕開けを象徴するかのような新鮮さが良い。

今回は“賢治”がババを引く場面が目立ちました。女性と付き合う考え方を妹に理解され
なかったり、フォルトーゼと地球を巡る陰謀に巻き込まれたり、その流れで“孝太郎”が
青騎士として頑張ってきたこと、六畳間の面々との繋がりをようやく知ったのですから。

安定したチームプレイで“ナルファ”に迫る危機を払っていく安心感を堪能すると共に、
ちょっとずつバージョンアップしていく六畳間の面々の戦いぶりにも注目して頂きたい。
“賢治”も荒事に巻き込まれそうで同情を禁じ得ませんが、乗り越えてほしいものです。

posted by 秋野ソラ at 00:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル