2018年01月24日

『はたらく魔王さま!18』

和ヶ原聡司 先生が贈る魔王と勇者の庶民派ファンタジー。第18巻はバイト先に新店長赴任
という時期に自分の将来を見据えた決断を下した“千穂”を見て“真奥”も動き始めます。
(イラスト/029 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893572-2/


高校三年生、という大事な時期を迎えて将来と“真奥”への想いで動揺が隠せない“千穂”。
アルバイトを始めた頃のエピソードがここで効いてくるのは初心に帰る意味でも重要でした。
とは言え、幡ヶ谷駅前店が直面する危機に新店長“岩城”が不安になるのも無理はない話で。

見えてきた敵と突きつけられた現実に打ちひしがれる“真奥”も含め、しっかり前を向いて
行動できている点に勇気づけられます。そんな中で判明する「予想外の敵」の可能性に彼ら
一斉に浮足立つのが印象深い。“志波”からの回答があっさりすぎたので余計に際立ちます。

幡ヶ谷駅前店の危機を救う“真奥”の助け船が、“千穂”の気概を示す場面に繋がっていく
話運びが今巻では一番良かった。やはり彼女が物語の鍵を握ってきます。今後に期待大です。
エンテ・イスラでの“芦屋”や“鈴乃”の影ながらの努力が実ることを合わせて願いつつ。

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2018年01月23日

『異世界テニス無双 テニスプレイヤーとかいう謎の男がちょっと強すぎなんですけど!』

『異能バトルは日常系のなかで』の完結と共に 望公太 先生が贈る新作は、強くなりすぎた
テニス選手が召喚された世界でテニス技術を武器に戦うスーパー・テニスファンタジーです。
(イラスト:夕薙 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797393897.html


全日本高校生テニス大会団体戦で全国制覇を成し遂げた陽帝学園高校硬式テニス部。その
エース“王助”は悲願達成に甘んじることなく世界を目指す・・・はずが、若き天才魔術師
“エリーシャ”に、英雄の名にふさわしい者として異世界に召喚されてしまう破目に──。

異世界にテニスプレイヤーが召喚されて何ができる? という疑問をことごとく払拭する
彼の技術力には笑いを通り越して圧倒されるばかり。まるで異能のような技の数々が熱い。
夕薙 先生の挿絵がその雰囲気をしっかり捉えていて、演出面でも文句なしの出来栄えで。

“王助”の前ではただお荷物に成り下がる“エリーシャ”が抱える背景もしっかり物語に
食い込んできますし、何よりも彼が異世界でテニスをすること自体にも必要で十分な条件
が込められていて続きが気になる要素がてんこ盛り。出オチ作品と侮ることなかれ、です。

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2018年01月22日

『ソードアート・オンライン オルタナティブ クローバーズ・リグレット2』

渡瀬草一郎 先生が贈る、和風VRMMOを舞台とした「SAO」スピンオフ作品。第2巻は様々な
クエストと依頼をこなしていく“ナユタ”たちの活躍を4つの短編を通じて描いていきます。
(イラスト/ぎん太 先生 原案・監修/川原礫 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893594-4/


羞恥心の欠如とは違う、無関心の極みとも取れる“ナユタ”の“クレーヴェル”に対する
言動が“コヨミ”の妬みを誘う場面が散見されるあたりが凄く好き。度重なる彼の強運、
というかラッキースケベなシーンの数々と、それに対する大人な対応もニヨニヨします。

仮想空間での温泉旅行、テストプレイと続き、運営側も想定外のアイテム機動傀儡を入手
してから“マヒロ”の父親捜しへと小編が流れるように繋がっていく展開の絶妙さもまた
今巻の素晴らしいところで。“クレーヴェル”の幸運と“コヨミ”の洞察力が光ります。

“マヒロ”の父が置かれた状況からこの業界の闇を垣間見つつ、彼女の性格が父親譲りと
分かる描写をそっと挿入するなど演出面でも目を見張る点が多々ありました。“ナユタ”
の機微は今後変化するのか否か。“クレーヴェル”の気苦労と共に見守りたいものです。

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2018年01月18日

『JKハルは異世界で娼婦になった』

平鳥コウ 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。男尊女卑の異世界に転移した普通の
女子高生が特筆する能力もなく生きるために娼婦となる道を選んだその後の日々を描きます。
(イラスト:shimano 先生)

http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000013744/
https://ncode.syosetu.com/n5954el/


女子高生“小山ハル”としての人生は、交通事故に遭い、異世界に転移することでリセット。
とある事情で援助交際をしていた経験もあり、娼婦“ハル”として生きる道を楽観的に決意。
春を売る中で様々な出会い、変わりゆく日常、楽しいこと、理不尽なことを感じながら──。

“ハル”とは違いチート能力を得た元同級生“千葉”のしつこい絡みに同情の念を抱きつつ、
彼に頼らざるを得ない“キヨリ”の言動など、男尊女卑を印象づける描写が都度差し込まれ
更なる念が積もります。それでも娼婦として成功すべく頑張る“ハル”の努力がいじらしい。

そんな異世界で過ごす日常がある事件を境に一転し、“ハル”が異世界で娼婦になった真の
理由が明らかとなったときの「なるほど」感がすごい。“キヨリ”が良い意味でも悪い意味
でも彼女の影響を受けていることが垣間見える後日譚も良かった。実に楽しく拝読しました。

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2018年01月17日

『レイズ・オン・ファンタジー ギャンブラーは異世界を謳歌する』

実写ドラマ化を果たした『賭ケグルイ』の漫画原作者 河本ほむら 先生のラノベデビュー作。
賭け事に命を懸ける少年が賭け事によって全てが決まる異世界で真剣勝負の連戦に挑みます。
(イラスト:マニャ子 先生 協力:武野光 先生)

http://sneakerbunko.jp/bookdetails/?pcd=321708000282


ヤクザの代打ちで命を落とした少年“鵜印”は更生の女神にも見放されるほどの賭け狂い。
異世界でも賭けに勝ち続ける彼に目をつけた“リリーナ”は王位継承戦というギャンブルの
代打ちを依頼する。渋々受けた彼の、第二のギャンブル人生が思わぬ形で幕を開ける──。

志は立派な“リリーナ”の腹立たしいほどのポンコツぶりによく付き合えるな、と思って
しまう“鵜印”が僅かな手がかりを活かして魔法込み、イカサマ上等なギャンブルの数々で
ピンチをチャンスに変えていく場面が熱い。彼女の破廉恥行為が中々に突然で焦りましたが。

“鵜印”に掛けられた呪いを解く鍵を握るかも知れない“ハナコ”の存在も今後の話を左右
する感じで気になります。魔法が使えない、なんて意味深長すぎますから。意外にバランス
が取れている感じの3人が今後どんな賭け事に臨み、高みを目指すのか楽しみな物語です。

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2018年01月16日

『ロード・オブ・リライト ‐最強スキル《魔眼》で始める反英雄譚‐』

『金色の文字使い』の 十本スイ 先生が贈る新作は、異世界転生ファンタジーにして反逆の
英雄譚。選民思想を持つ帝国に虐げられる人々を守るため立ち上がる少年の成長を描きます。
(イラスト:柴乃櫂人 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321709000012
http://ncode.syosetu.com/n6663eg/


世界の中心にそびえる巨大な神樹の力に支えられる世界「ロゴス」。その片隅にある村に
拾われた“アクス”は村人たちに育てられすくすくと成長していく。そんな平穏な日々を
ある日、帝国軍に蹂躙された時、彼は初めて村の秘密を、世界の不条理を知ることに──。

死が溢れる非日常を目の当たりにして“アクス”の協力な潜在能力が覚醒したり、その力を
持て余して暴走させたりと熱い展開で中盤まで魅せてくれます。暗くなりがちなテーマの中、
彼の育ての親を務める“アルティア”の性格が明るいところに都度救われる思いがしました。

革命軍のアジトに拠点を移してからは、村人たちの遺志を継ぐため修行に励む“アクス”。
そのリーダーである“チェリツ”に認めてもらうため挑む冒険でその成果が問われていく
後半の流れも面白い。“セイガ”との因縁も気になりますし今後に期待が持てる作品です。

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2018年01月15日

『あまのじゃくな氷室さん 好感度100%から始める毒舌女子の落としかた』

広ノ祥人 先生の「第13回MF文庫Jライトノベル新人賞・審査員特別賞」受賞作。想い人の
心の声が聞こえるようになった少年が、裏腹な彼女へのアプローチに挑む顛末を描きます。
(イラスト:うなさか 先生)

http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1613


「大好きな田島君に、素直な気持ちを届けられるようになりますように」──“氷室”の
願いを聞き入れた恋愛成就の神社におわす神“ナンナ”は彼女の本音を彼が聞けるように
するという暴挙に。当の本人は困惑するものの、想い人へ告白するチャンスなワケで──。

とは言うものの“氷室”がものすごく面倒くさい性格で、“田島”が告白しようものなら
あっさり断られるし。でも心の声は好き好きオーラ全開で。攻めあぐねる彼に思わず同情
せざるを得ない展開を見せます。“ナンナ”も適当というか投げっぱなしなのが追い打ち。

“田島”を「オタ島」と言いながら勉強に付き合わせるギャル“砂城”が、少しずつ彼の
悩みを受け止め、理解者となり、やがて・・・という中で、彼は“氷室”と恋仲になるのが
正しいのかを問われる、その拗れた行く末を見届けてみて下さい。お薦めのラブコメです。

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2018年01月11日

『ワキヤくんの主役理論 2』

涼暮皐 先生が贈る、主役男と脇役女のおかしな青春勝負。第2巻は“未那”と同居状態と
知ってしまう“叶”の弟“望”との顛末や、“さなか”が抱える複雑な胸の内を描きます。
(イラスト:すし* 先生)

http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1616
https://kakuyomu.jp/works/1177354054882526026


主役理論に基づいて駅近くにある屋台にフラッと立ち寄れる“未那”の思考に圧倒される
出だしに加えて、その屋台を営む“此香”の境遇、さらにはあっさりと仲良くなるあたり
驚きの連続です。そして“望”の登場とあの言動ですからすでにお腹いっぱいという所で。

“さなか”と偶然いっしょに居る所を“望”に見られた“未那”が、恋人のように振舞う
イベントなどを経て彼女の涙を目の当たりにして持論を展開する場面が印象深く映ります。
屋台が物語の軸を担う意外な設定もさることながら“叶”との掛け合いが面白いのなんの。

話の結末として反省会的な場を設ける“未那”と“叶”。彼女の指摘が一々的確で、彼の
受け返しが興味深い。結果として彼が気づいた「ある疑問点」について、問いかけられた
“望”のはぐらし方ですとか、接続章で見せた引き具合が続巻への期待を高めてくれます。

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2018年01月10日

『魔術破りのリベンジ・マギア 3.はぐれ陰陽師の越境魔術』

子子子子子子子 先生が贈るハイエンド魔術バトルアクション。第3巻は別の学園にて発生
した殺人事件の真相究明に乗り出す“晴栄”が、因縁の幼なじみと意外な真相に遭遇します。
(イラスト/伊吹のつ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/762.html
http://hobbyjapan.co.jp/comic/series/revenge/


暁星学園の学園長“イェイツ”とその秘書“イズールト”による教育上よろしくない場面
から始まる今回の物語。学園内で唯一陰陽道に精通する人物“露花”が友人を殺害したと
する疑いを“晴栄”が晴らすべく動くのですが、彼女にとっては兄を誅殺した相手な訳で。

いきなり“晴栄”とのバトルを所望する跳ねっ返りぶりが目立つ“露花”ですが、次第に
彼の内心を“ティチュ”や“狐狼丸”を通じて知ることになります。次第に軟化していく
彼女の複雑な心境が描かれていくところにまずご注目。ちゃんと反省できる姿勢が好感触。

では、そもそもの「殺人事件の犯人」は誰か。本作らしいアプローチで迫る展開や戦闘の
描写が熱いです。“ティチュ”らの他に“イェイツ”と“イズールト”のコンビ、そして
“露花”も見せ場があります。宮社惣恭 先生による漫画連載も始まり楽しみが広がります。

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2018年01月09日

『魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 4』

手島史詞 先生が贈る、不愛想魔王と箱入りエルフによるラブコメファンタジー。第4巻は
ハイエルフの手がかりを探るため訪れた“ネフィ”の故郷で彼女が幼女になってしまいます。
(イラスト/COMTA 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/761.html


“ネフィ”から提示された突然の休職願い。その目的を看破した“ザガン”の配慮に乗じ
エルフの里へ向かうことになる一同の中で“ゴメリ”がしきりに言及してくる「愛で力」。
身悶えする情景、解説の数々ですが、これが後々にまで尾を引くこととなるとは露知らず。

そんな“ゴメリ”に絡まれたり、そもそも“バルバロス”に引きずられて“ザガン”たちと
同行したり、と流されっぱなしの“ネフテロス”。根が優しい彼女の言動もさることながら
彼女なりの悩みがある点にもご注目。これも話をつなげる要素となるのだから実に興味深い。

“ザガン”をパパと呼ぶ“ネフィ”の様子が何とも可愛らしいこと。“フォル”も同様で。
彼女を幼女の姿に変えた「里に縁ある者」の真意を汲み取った、彼の力強い想いをご覧あれ。
板垣ハコ 先生によるコミカライズ企画も進行中とのことで、ますます注目のシリーズです。

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2018年01月08日

『精霊幻想記 9.月下の勇者』

北山結莉 先生が贈る異世界転生譚。第9巻は勇者の一人“沙月”との面会に力を尽くして
くれた“リオ”を意識せざるを得ない“美春”が、様々な想いと向き合う様子を描きます。
(イラスト/Riv 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/760.html


“美春”との再会の喜びと召喚時の差異に驚く“沙月”。奴隷商人たちからその身を護り
世話をし続けた“リオ”に俄然興味を示す彼女のはしゃぐ姿と昔話の挿話がどう絡むのか
今後の動向が気になる所。風呂場での“セリア”へ見せた反応は「わかる」感が半端ない。

“沙月”も気に掛ける“亜紀”や“雅人”が再開を望む“貴久”の存在。そこに分かれを
予感させるところもあり、“リオ”と離れたくないと考える“美春”にはまた悩みの種で。
両者の抱える想いを知る唯一の存在、“アイシア”だけが心を配る状況は歯痒くもあって。

それぞれの思惑が交錯する夜会での出会い、特に勇者たちの邂逅が物語を更に広げる契機
となることは言うまでもなく。僻み気味な“弘明”の言動が悪影響を及ぼしそうで要注意。
そしてついに“リオ”が腹をくくった瞬間、“美春”は想いを伝えられるのか、注目です。

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2018年01月07日

「好きなライトノベルを投票しよう!! 2017年下期」エントリー


数字で救う! 弱小国家 電卓で戦争する方法を求めよ。ただし敵は剣と火薬で武装しているものとする。
 【17下期ラノベ投票/9784048932714】
  → 感想記事: http://njmy.sblo.jp/article/180659844.html

キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦(3)
 【17下期ラノベ投票/9784040725185】
  → 感想記事: http://njmy.sblo.jp/article/182001378.html

ウォーター&ビスケットのテーマ(1)
 【17下期ラノベ投票/9784041060308】
  → 感想記事: http://njmy.sblo.jp/article/181034625.html

ワキヤくんの主役理論
 【17下期ラノベ投票/9784040693477】
  → 感想記事: http://njmy.sblo.jp/article/181236635.html

絶対彼女作らせるガール!
 【17下期ラノベ投票/9784040695518】
  → 感想記事: http://njmy.sblo.jp/article/181810800.html

キミは一人じゃないじゃん、と僕の中の一人が言った
 【17下期ラノベ投票/9784047347465】
  → 感想記事: http://njmy.sblo.jp/article/181026063.html

貴方がわたしを好きになる自信はありませんが、わたしが貴方を好きになる自信はあります
 【17下期ラノベ投票/9784086312196】
  → 感想記事: http://njmy.sblo.jp/article/182028955.html

出会ってひと突きで絶頂除霊!
 【17下期ラノベ投票/9784094516548】
  → 感想記事: http://njmy.sblo.jp/article/181387750.html

桜色のレプリカ(2)
 【17下期ラノベ投票/9784798615073】
  → 感想記事: http://njmy.sblo.jp/article/180518995.html

蓮見律子の推理交響楽 比翼のバルカローレ
 【17下期ラノベ投票/9784062940832】
  → 感想記事: http://njmy.sblo.jp/article/180873006.html



◆ 好きなライトノベルを投票しよう!! - 2017年下期
 https://lightnovel.jp/best/2017_07-12/

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2018年01月05日

『この世界にiをこめて』

『君は月夜に光り輝く』でデビューした 佐野徹夜 先生が贈る新作は、退屈な高校生活を
送る少年と天才小説家の関係から紡がれる、小説を愛する全ての人に向けた感動作です。
(イラスト/loundraw 先生)

http://mwbunko.com/978-4-04-893414-5/


「君は死んだとき、最後に何を思った? 何を感じた? 僕は、それが知りたい」──。
望みは薄いがいつか小説家になりたいと考えていた“染井”。死んだ“吉野”へメールを
送り続ける無気力な彼に返信のメールが送られてくるところからこの物語は動き始めます。

自分の書いた小説で世界を変えたい、その想いを胸に若くして小説家となった“吉野”。
彼女の思い出を振り返りながらメールを通じて小説を書くことの意味を考える“染井”。
書くことでしか世界と交われない虚数軸上に居るような2人の様子に宿業すら感じます。

転校してきた“真白”もまた“吉野”の小説で世界を変えられた人物であり、“染井”に
思いがけない人生の転機をもたらす不器用な存在であるところに年相応の勢いと危うさを
垣間見せてきます。彼女らを通じて変遷する“染井”の繊細な機微をぜひ見届けて下さい。

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2018年01月04日

『貴方がわたしを好きになる自信はありませんが、わたしが貴方を好きになる自信はあります』

『文句の付けようがないラブコメ』の 鈴木大輔 先生が贈る新作は、28歳の吸血鬼ハンター
が生まれながらの吸血鬼である14歳の美少女と出会い、危険な謎に巻き込まれる恋物語です。
(イラスト:タイキ 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/bookDetail/index/978-4-08-631219-6


30年ほど前から突如現れた吸血鬼の災禍に悩まされる世界で、池袋の片隅にてバーを営む
“誠一郎”は吸血を狩る者としての顔も持つ。ある日、昔馴染みな女性の娘だと言う少女
“真”が彼を頼ってきて、しかも「自分は吸血鬼」だと言う。彼女を見て彼は迷わず──。

舞台が池袋という点に懐かしさを感じつつ、慎重な“誠一郎”と強かな“真”の駆け引き
をそれぞれの視点で魅せる絶妙さ、小気味良く進んでいく読みやすさは流石と言う他なく。
何かを都度予感させる挿絵の差し込み方も好演出。“真”の可愛らしさも映えるもので。

“真”の母“泉”の謎多き人物像に輪をかけて秘密があふれる彼女。その手札を切り方が
これまた上手くて、一つ明らかになった先でさらに謎が広がっていく話運びには、自然と
惹き込まれていきます。先生のチャレンジ精神が込められた本作、お薦めかつ要注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年01月03日

『ぼんくら陰陽師の鬼嫁 三』

秋田みやび 先生が贈る、退魔お仕事嫁物語。第3巻は“芹”のお披露目を迫る叔父の登場、
さらに怪異をもたらす白無垢の持ち込み、と北御門家の面々が翻弄される逸話が描かれます。
(イラスト/しのとうこ 先生)

https://www.kadokawa.co.jp/product/321610000574/


“芹”や式神の“祈里”たちにいいようにされる“皇臥”を見て、北御門の家に属する者と
しての不甲斐なさを嘆く叔父“武人”。彼と相性の悪い“史緒佳”との口喧嘩、更に“芹”
も共闘する様子が見ている分にはとても楽しい。男性陣からすると針の筵かも知れませんが。

“翔”の家である古物商に持ち込まれた白無垢の花嫁衣裳。それが短い間に何度も売れては
返品を繰り返す、という異常事態に頼られた“皇臥”。しかし、彼ではなく“芹”に霊障が
及ぶのを目にして、しかもそれを止められない、という場面で彼女が頑張る姿がいじらしい。

白無垢の花嫁衣裳に秘められた謎に迫る、今回の話の鍵を握るのが“皇臥”の弟子となった
“真咲”・・・かと思えば実は、という仕掛けが興味深い。それにしても“祈里”の“芹”を
好きすぎる様子が抜けない所が私的にお気に入り。彼女のあの一言が示す意味にも注目です。

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2018年01月02日

『編集長殺し』

川岸殴魚 先生が贈る新作は、ライトノベル文庫レーベル「ギギギ文庫」所属の新人編集者
である女性の視点から業界のあれやこれやを綴る女子だらけのお仕事がんばりラノベです。
(イラスト:クロ 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094517149


ドSな幼女の“編集長”にカバーデザインについてダメ出しをくらう新人編集者“桃花”
の他、彼女の先輩たちである“岩佐”“井端”“浜山”“星井”も皆、女性たちばかりの
「ギギギ文庫」。各々が上司の横暴に耐えながら、新作を刊行すべく日夜努力するが──。

新人作家“権藤”の自信を奮い立たせるべく向き合ったり、〆切破りのイラストレーター
“h(i)↓0氏(ひろし)”にあれこれ手を尽くしたり、と編集者という職業の大変さを垣間
見せる本作。夢と希望と絶望にまみれる皆さん思わずご苦労さまですと言いたくなります。

あとがきに関して振り回される作家の“原西”も“編集長”の横暴さに振り回される側の
人間。いかに編集長という存在が絶対か、ということも分かる業界モノの新境地と言える
作品です。合間に挟まれる「用語解説」など、玄人向けですけど豆知識も摂取できます。

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2018年01月01日

『キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦3』

細音啓 先生が贈る王道ファンタジー。第3巻は運悪く皇庁に連行された“イスカ”を収監
する監獄都市を巡り帝国勢力の、“ミスミス”の、そして“アリス”の思惑が錯綜します。
(イラスト:猫鍋蒼 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321707001014


打倒帝国から打倒“イスカ”へと気持ちが移ろいつつある“アリス”を心配する“燐”の
案じた一計が、巡り巡って“イスカ”との絆を「好敵手」として深めていく。魅せる展開
には惚れ惚れします。敵同士なのに一番の理解者、という関係が紡ぐ物語は本当に秀逸で。

他方、“イスカ”救出のため“璃洒”の秘策を携えて“ミスミス”たちが監獄都市へ潜入
する中で垣間見える隊長の繊細な機微が印象深い。その裏で、長年投獄されている超越者
“サリンジャー”の解放に向けて密かに動く“璃洒”の所作も、要所要所で見逃せません。

超越者と称される所以を目の当たりにする“燐”の絶望的な状況を止めることは出来るか。
緊迫の瞬間を経て、当人たちの知らない間に話が動いていく思わしげな雰囲気もさること
ながらちょっとした油断から「彼女」の心を揺らす引きも注目で引き続き目が離せません。

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2017年12月29日

『GENESISシリーズ 境界線上のホライゾンX〈中〉』

川上稔 先生が贈る戦国学園ファンタジー。10話中巻は「羽柴十本槍」の面々に宣告された
驚くべき事実に対し、武蔵勢がどう受け止め、未来を突き進もうとするかが描かれます。
(イラスト/さとやす 先生(TENKY))

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893520-3/


そりゃあ、ああも言われて「ハイそうですか」と頷けるワケもなく個人戦になだれ込んで
いくのは必定というもので。しかし衝撃の事実を次々に突き付けられては都度騒ぎ立てる
武蔵勢の肝の太さがすごい。“糟屋”の落胆ぶりには同情を禁じ得ない、というところで。

個人戦が一進一退の成績を刻んでいく熱い展開を経て武蔵と相対する安土との艦隊戦へと
なだれ込んでいく中にもドラマが。“大久保”の“正純”に対する提案から透けて見える
複雑な胸の内にいじらしさを感じます。そして艦隊戦の結末もアレですから驚きの連続で。

創世計画の行方が急速な動きを見せていく間、進むべき道を模索する武蔵勢の心情も色々。
とりわけ“トーリ”の迷いが浮き彫りになる場面であの見開きの使い方は圧巻の他はなく。
そこから畳みかけるように襲いかかる異常事態と対する秘策がどう実を結ぶのか注目です。

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2017年12月28日

『うちの聖女さまは腹黒すぎだろ。』

上野遊 先生が贈る新作は、落ちこぼれの騎士志望な少年が、拾われた辺境の国で見た目は
天使、中身は悪魔のような聖女に振り回されていくブラック労働(!?)ファンタジーです。
(イラスト/りいちゅ 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893515-9/


騎士になりたいが才能は欠けている“カイ”。何度も不採用通知を受ける中、採用を前向き
に検討したいと連絡してきたブラウファルト聖王国は、かつて魔神族と戦った勇者の仲間
「聖女」の末裔がいるという。意気揚々と向かう先で聖女の意外な姿を目にするが──。

王女“フローラ”からの「小遣い稼ぎに務めろ」という一方的な宣告は、思い描いていた
騎士像からは遠く離れた姿。弱みを握られた、ということもあって色々と手は打つものの
そう上手くいくはずもなく。更に旧友“モモ”から王政廃止の意思を告げられ困惑します。

やがて“フローラ”が言う小遣い稼ぎの真意、“モモ”が目指す王政廃止の理由が見えて
来ると物語の流れはぐるりと向きを変えてきます。そこが人情味あふれていて心が温まる
結びへと繋がります。“リーリエ”の姫様ラブな言動も面白い。続きが見てみたい所です。

posted by 秋野ソラ at 00:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年12月27日

『ゼロから始める魔法の書XI ―獣と魔女の村づくり―』

虎走かける 先生が贈るファンタジー作品。第11巻は“ゼロ”と“傭兵”が“神父”たちも
巻き込んでの村づくりに四苦八苦する顛末を描く、書き下ろしを含めた短編集となります。
(イラスト/しずまよしのり 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893521-0/


命を懸けるような旅から距離を置いて村での生活を始めた“ゼロ”と“傭兵”の、つかず
離れずの絶妙な距離感を描くエピソードが満載の短編集とも言えます。教会と廃教会の話
とか“ゼロ”に押されっぱなしになる“傭兵”のタジタジな感じとか典型的ではないかと。

トゲが抜けてきた“神父”や健気に頑張る“リーリ”、相変わらず少々残念な所を見せる
“アルバス”の様子など、“ゼロ”や“傭兵”以外の面々も穏やかな日常を過ごしている
ことが分かる描写の数々も安心して読める要素かと思います。ボーナスステージのように。

「画伯と開かずの間」から「あの二人」が透けて見えるのも雑誌掲載の小編だからこそと
言えましょう。読了後の印象として読み手の反応を窺う雰囲気が感じられました。村での
生活を基盤として二人の今後をどう描いていくのか、虎走 先生の手腕が試される所かと。

posted by 秋野ソラ at 00:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル