2021年01月15日

『娘じゃなくて私が好きなの!?(4)』

望公太 先生が贈る年の差超純愛ラブコメ。第4巻は “巧”への想いにもう迷いはないと
心を決めたはずの“綾子”が、ここまで来て彼の気持ちを翻弄してします局面を迎えます。
(イラスト:ぎうにう 先生)

https://dengekibunko.jp/product/mamasuki/322010000139.html
https://manga-park.com/title/32170


あれだけ大胆な、挿絵指定も受けた行動も見せつけてくれたのにまだ恋人同士ではない。
“美羽”や“狼森”が呆れるような「そんなワケあるか」という展開に陥るのが“綾子”。
面倒臭いところも含めて彼女が好きだと分かっているだけに“巧”には同情するしかなく。

自分が相手に伝えたいことは、態度だけではなく言葉にしなければ伝わらない。婚活して
いた時も、結婚してからもそう感じる瞬間は何度も味わってきています。今回“綾子”が
あたふたしている様子を見て、反面教師として胸に刻み直しておこうと思った次第です。

二人が過去の思い出を振り返って互いへの想いをより強くした中で“綾子”に訪れる仕事
での一大転機。一難去ってまた一難、かと思えば“狼森”の粋な計らいで一味違う難局に
直面する彼女には吉と出るか凶と出るか。恋心が愛情へ進む機微をどう描くか楽しみです。

posted by 秋野ソラ at 00:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2021年01月14日

『けいたん。〜ライトノベルは素敵なお仕事。多分?〜』

榊一郎 先生が贈る新作は、新人賞を受賞したある少年を主人公として、よく似た人物や
創作論の数々、ライトノベルの夢と希望と現実と絶望を織り交ぜた業界神話を綴ります。
(イラスト:潮一葉 先生)

https://kc.kodansha.co.jp/product?item=0000346766


ここは東京都文京区音羽、講談社。最寄りの護国寺駅に到着した“拓哉”は原稿を渡しに
直通の零番出口から足を踏み入れると、そこは森。しかもドラゴンと相対する謎の局面に
慌てる彼を上を飛び越え黒いゴスロリ服を着た少女が現れたと思えば銃をぶっ放して──。

のっけから奇想天外、摩訶不思議なノリに圧倒されるや否や、Twitterでもよく見かける
関係者のお名前がずらずら出てきて思わず笑みがこぼれる展開が続き、仕舞いにはあの
「美少女文庫」さんや何かと話題の“さかきいちろう”まで巻き込むのだから興味深い。

“拓哉”をどうしても後輩にしたい新人編集者“凜子”や、彼を溺愛するミステリ作家
“天音”との掛け合いも楽しみつつ、業界ネタや創作あるあるなども披露するあたりは
単なるノリでゴリ押しするだけの作品じゃない熱量が感じられます。続刊希望ですかね。

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2021年01月13日

『俺を好きなのはお前だけかよ(15)』

駱駝 先生が贈るラブコメディ作品。第15巻は“パンジー”として現れた“虹彩寺菫”に
翻弄される“雨露”が改めて“三色院董子”と向き合うため奔走する年の瀬を描きます。
(イラスト:ブリキ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/oresuki/322009000005.html


あれから“董子”と連絡はつかず、“菫”からは恋人アピールが続く、謎が謎を呼ぶ展開。
周囲の女性陣だけでなく、親友の“太陽”すらこの状況を止めるそぶりも見せず、状況を
打破する契機すら掴めないまま「パンジー」に秘められた驚愕の事実が突き付けられます。

“菫”と“菫子”の特別な関係。“菫”が傷つけ、傷ついた過去。“菫子”が選んだ未来。
あの夏の日にまだここまでのドラマが巻き起こっていたのかと、さらに“菫子”に対する
印象を見直すことになるのかと思うと、ここまで作りこまれた設定に驚くしかないです。

2人の「パンジー」に深く繋がる唯一の人物。“雨露”の頼みの綱となる人物の所作にも
意味があると分かり、その陰陽の落差に印象深いものを感じずにはいられません。決め手
となる舞台はやはり「あの図書館」ということで大詰めの展開、見届けていきたい所です。

posted by 秋野ソラ at 00:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2021年01月12日

『古き掟の魔法騎士I』

「ロクでなし魔術講師と禁忌教典」シリーズの 羊太郎 先生が贈る新作は、窮地に陥る
王国の王子が伝説の英雄を現世に顕現させ、その力を借りて苦難を乗り越える英雄譚です。
(イラスト:遠坂あさぎ 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/202012fairyknight/322006000827.html


王国の始祖“アルスル”に仕えた伝説の騎士“シド”。命を狙われる王子“アルヴィン”
には彼を転生復活させる魔法が口伝されており、藁をもすがる思いでその墓標で詠唱する。
すると突然の雷光と轟音に現れた見知らぬ青年が、見たこともない力で敵を圧倒して──。

読者には早い段階で気づける“アルヴィン”の「秘密」を“シド”はいつ認識できるのか。
その時が訪れるまでのドキドキ感と、彼に対する周囲の反応、温度感の違いがまず楽しい。
“アルヴィン”が傾国の王子として生きる覚悟を読み手にも印象づけてくれる話運びです。

強さを魅せつけてくれる“シド”にも転生した身として色々と事情がある要素を示しつつ
ある「弱点」が、“アルヴィン”の確固たる意志と合わさって昇華していくあの場面には
胸を熱くさせるものがありました。主従共にどう成長していくのか楽しみなシリーズです。

posted by 秋野ソラ at 00:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2021年01月11日

『グリモアレファレンス 図書委員は書庫迷宮に挑む』

「昔勇者で今は骨」シリーズの 佐伯庸介 先生が贈る新作は、とある図書館の地下深くに
広がる迷宮に眠る奇書や希覯本、魔書を求めて挑む図書委員たちの非日常生活を描きます。
(イラスト:花ヶ田 先生)

https://dengekibunko.jp/product/321911000035.html


宇伊豆学園附属図書館。地上4階、地下二階と破格の大きさを誇るこの図書館にある秘密。
そこで図書委員を務める“尊”はファイルを「エントランス」へ持って行ってと頼まれる。
地下にあるその扉を開けると広がるのは無数の本棚。更に突如脳裏に地図が浮かんで──。

予備知識ゼロで迷宮という非日常へ踏み込んだにもかかわらず何故か適性を見せる“尊”。
ワケありな経歴を持つ彼、図書探索委員として人手を求める“御高”たちの思惑が見事に
合致して迷宮探索に新たな流れを呼び起こしていく展開にいつしかワクワク感を覚えます。

“尊”が仲間と行動を共にする「真の理由」も興味深い人間性ですし、そんな彼に対する
愛が深い“三火”の言動がいじらしくて恐ろしくて。迷宮独特のルールを活かしたバトル
にも見どころがありますし、素直に楽しめる物語かと思います。続きが読みたい一作です。

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2021年01月10日

「好きなライトノベルを投票しよう!! 2020年下期」エントリー


となりの彼女と夜ふかしごはん 〜腹ペコJDとお疲れサラリーマンの半同棲生活〜
 【20下ラノベ投票/9784049133158】
  → 感想記事: http://njmy.sblo.jp/article/188152877.html

探偵くんと鋭い山田さん(2) 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる
 【20下ラノベ投票/9784040646633】
  → 感想記事:  http://njmy.sblo.jp/article/188106986.html

スパイ教室04 《夢語》のティア
 【20下ラノベ投票/9784040737416】
  → 感想記事: http://njmy.sblo.jp/article/188257117.html

たとえば俺が、チャンピオンから王女のヒモにジョブチェンジしたとして。(2)
 【20下ラノベ投票/9784040737454】
  → 感想記事: http://njmy.sblo.jp/article/188084963.html

僕の軍師は、スカートが短すぎる 〜サラリーマンとJK、ひとつ屋根の下〜
 【20下ラノベ投票/9784815607470】
  → 感想記事: http://njmy.sblo.jp/article/188072116.html

わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ! (※ムリじゃなかった!?) (2)
 【20下ラノベ投票/9784086313797】
  → 感想記事: http://njmy.sblo.jp/article/187887181.html

それでも、好きだと言えない
 【20下ラノベ投票/9784065211786】
  → 感想記事: http://njmy.sblo.jp/article/188023813.html

千歳くんはラムネ瓶のなか(4)
 【20下ラノベ投票/9784094518665】
  → 感想記事: http://njmy.sblo.jp/article/187975726.html

Babel III 鳥籠より出ずる妖姫
 【20下ラノベ投票/9784049135398】
  → 感想記事: http://njmy.sblo.jp/article/188248474.html

悪役令嬢(ところてん式)(1)
 【20下ラノベ投票/9784798622385】
  → 感想記事: http://njmy.sblo.jp/article/187744025.html



◆ 好きなライトノベルを投票しよう!! - 2020年下期
 https://lightnovel.jp/best/2020_07-12/

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2021年01月08日

『本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜第五部「女神の化身4」』

香月美夜 先生が贈る大人気ビブリア・ファンタジー。 第五部最4巻はエーレンフェスト
におけるライゼガング系貴族の台頭を目にした“ローゼマイン”らが改革に乗り出します。
(イラスト:椎名優 先生)

https://tobooks.shop-pro.jp/?pid=153598123


“ジルヴェスター”から「貴族院での順位を下げろ」と言われて疑念を抱くそぶりもない
“ヴィルフリート”に危険信号。逆に疑義を申し立てた“シャルロッテ”が見せた雄弁の
数々に“ローゼマイン”でなくとも胸が熱くなる思いがしました。良い子に育ったもので。

今回の背景にある「ライゼガングの総意」の何ときな臭いことか。“ローゼマイン”らが
気付けたことで先の見通しが出来たのは怪我の功名か、という中で“ブリュンヒルデ”の
あの提案がまた泣けてくる。“ローゼマイン”を想い、夢も貫くその姿が実に健気すぎて。

“ヴィルフリート”の不幸は支える人材に恵まれなかったからか、あるいは己の人間性か。
再び破滅を予感させる展開に緊迫感を覚えつつ、身体を含めた“ローゼマイン”の更なる
成長に期待したい所です。巻末短編「反省と羨望」で絆を深めた2人に希望を託しながら。

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2021年01月07日

『GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン NEXT BOX HDDD英国編〈上〉』

川上稔 先生が贈る大人気戦国学園ファンタジー。末世解決後の世界を描く第2巻は英国
でのアーサー王にまつわる思いがけない歴史再現に武蔵の面々が巻き込まれていきます。
(イラスト:さとやす 先生(TENKY))

https://dengekibunko.jp/product/horizon/321905000139.html


まるで異世界へ転移したかのような導入から英国で為すべきことを“正純”が解き明かす
までの一連の流れ。結局は「相対する」しかないとはいえ、面白おかしくも制約が多い中
よく道筋をつけたものだと思います。時折、図示して説明してくれたのは有難いところで。

三者三様の特性を持つ派閥の思惑に「予言された未来の大戦争」という大局が重なっての
駆け引きに武蔵勢がどう関わるか。“点蔵”そっくりの人物や“妖精女王”の絡みも含め
乱痴気ぶりに拍車のかかる話の流れが面白い。電子書籍で見た方が色も付いてお得ですね。

英国の歴史を紐解く中で「アーサー王」に関する蘊蓄も出てきて興味深い点も楽しみつつ
冒頭でハイエリアワイバーンが出てきた理由も窺えて、さらに謎が深まっていく訳ですが
当面は“スリーサーズ”の狙いにどう応える、あるいは出し抜くのか見届けたいものです。

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2021年01月06日

『賢勇者シコルスキ・ジーライフの大いなる探求 擦 〜愛弟子サヨナはぷにぷに天国DX仕様〜』

有象利路 先生が贈る異色のファンタジー問題作。第3巻は物語を締め括るべくKADOKAWA
の範疇を超え、様々な関係者を巻き込みながら“シコルスキ”たちが自由奔放に生きます。
(イラスト:かれい 先生)

https://dengekibunko.jp/product/sikorski/322006000036.html


相変わらず身の、というか貞操の危機に晒される“サヨナ”や、男性中心の汚れな挿絵を
指定される かれい 先生に相も変わらずほのかな同情の念を抱く今巻。可哀想さで言えば
一番は“カグヤ”なのかも知れないと思ったり。5行もたない魔王って思うとつい苦笑い。

アレのことを「KADOKAWA」と称したり、各方面に面倒をかけていく本作の飛び道具として
まさか小学館「ガガガ文庫」編集部に白羽の矢が立つとは思いもよらず。先生が後述した
「note」を読むと湯浅氏の人柄、阿南氏や土屋氏の思考や志向、嗜好が見えるのでお薦め。

どんな話になっても“シリゆる会の会長”がギャグ展開へ引き戻してくれるので彼をMVP
としてもいいくらいに思います。昨今、頭を空っぽにして読めるギャグラノベの存在は
貴重ですので、骨休め後の 有象 先生には(4巻含め)挑んでもらえれば幸甚に存じます。


◆全容 〜行こうぜ小学館(前編)〜
https://note.com/t_uzo/n/n358765a4d026

◆全容 〜行こうぜ小学館(後編)〜
https://note.com/t_uzo/n/n238284cdd4a5

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2021年01月05日

『クラスの大嫌いな女子と結婚することになった。』

YouTube漫画として展開されている同シリーズを、脚本を務める 天乃聖樹 先生が小説化。
クラスメイトで天敵同士な男女2人がワケあって結婚生活を送るドタバタぶりを描きます。
(イラスト:成海七海 先生 キャラクター原案・漫画:もすこんぶ 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/daikirai_kekkon/322006000795.html
https://www.youtube.com/playlist?list=PLDZGuoo5oaHI21s79cvNeqyVXvY8ZZuA6


“才人”へ何かとケンカを吹っかける同級生の“朱音”。いつものようにいがみ合った
ある日、祖父から日本有数のIT企業に成長した北条グループを継がせる条件として彼女と
結婚するよう命じられる。野望ある彼はやむを得ず彼女との結婚、共同生活に臨むが──。

未経験だからこそ、恋愛に対して多少の夢を持つ“才人”と“朱音”。衝突し合う互いの
価値観の差異をどう埋めるのか。物書きとして様々な仕事を経験してきた先生だからこそ
「あとがき」で触れられた想いが2人の言動に、機微に込められているような気がします。

少しずつ変化を見せる“才人”に心ほだされていく“朱音”が可愛らしく、そんな彼女を
描く 成海 先生の挿絵も演出に一役買っている点も注目。ストッパーとして彼女を支える
“陽鞠”や意味深長な言動を見せる“才人”の従妹“糸青”も注視しつつ次巻を待ちます。

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2021年01月04日

『ナゾトキ女とモノカキ男。 未来を写すカメラと人体消失』

『札幌市白石区みなすけ荘の事件簿 ココロアラウンド』の 辻室翔 先生が贈る新作は
不思議な道具を手に日常の謎へ挑む少女と小説家を目指す少年の青春模様を描きます。
(イラスト:うなさか 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/202012nazotoki/322007000704.html


やる事なす事すべてがプロ級な多趣味を持つ“早來”の異名は「史上最強のアマチュア」。
そんな彼女に目をつけられた、文芸部で作家デビューを目論む“壱時”は今日も今日とて
ある写真を見せつけに来る。人体消失事件が起きる未来を映した決定的瞬間らしいが──。

世界の理を超えた道具「超理具」を手に、それらに纏わる謎に挑む“早來”と“壱時”の
活躍を連作短編形式で小気味良く読ませていく構成がまず楽しい。2人の掛け合う様子や
「超理具」をどう活用するかで魅せてくる絶妙な話の流れに徐々に惹き込まれていきます。

“早來”が手にするカメラがなぜ喋るのか。そもそも「超理具」はなぜ出回っているのか。
様々な思惑の錯綜する結末から「学園青春不条理系ミステリー」と銘打ったのも頷けます。
彼女も十分に推せるキャラで、そういった面からもお薦めできる注目の一作かと思います。

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2021年01月01日

『俺、ツインテールになります。20 〜ツインテール大戦〜』

水沢夢 先生が贈るツインテール愛あふれるシリーズ。第20巻はアルティメギルとの激戦を
乗り越えた“総二”たちツインテイルズたちの新たな日常、そして闘いの日々を描きます。
(イラスト:春日歩 先生、bun150 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518764


“テイルレッド”=“総二”、という構図が世に広まってコミカルな展開に微笑ましさを
味わう中、突如として現れた海賊船、そして属性を見失った“プロメテウスギルディ”。
ツインテールへの怨念がツインテイルズとしての存在意義すら揺らがすとは驚くばかりで。

執拗に“総二”たちを狙う“プロメテウスギルディ”への対抗策として、魔星少女たちを
再び目にすることとなるとは思いも寄らず。こうしたクロスオーバーも特撮モノならでは。
作品を超えた登場人物の掛け合いも面白く 水沢 先生ならではのアプローチを褒めたい所。

まさに「ツインテール大戦」の副題にふさわしいバトルの連続も熱く、ツインテール愛に
あふれた物語の締めくくりに大満足の巻でした。“唯乃”がイイ味を出していたのも好感。
いつかまた帰ってきて貰いたいものです。同じく読み手からも「さよなら」は言いません。

posted by 秋野ソラ at 01:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年12月31日

『青春ブタ野郎はナイチンゲールの夢を見ない』

鴨志田一 先生が贈る青春ストーリー。シリーズ第11冊目はミニスカサンタ姿の“透子”が
思春期症候群をプレゼントした相手の一人、中学の級友“赤城”に纏わる逸話に触れます。
(イラスト:溝口ケージ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/aobuta/321907000725.html


大学生となって変わらず“麻衣”との恋人生活を謳歌している“咲太”の姿を見ていると
思春期症候群も過去の話か、なんてことにはならないと“赤城”が行動で示してくれます。
SNSで流行する「#夢見る」のタグが関わる都市伝説も表層でしかない、というのも驚きで。

中学が同じだった。“咲太”とあの時間を共に過ごした。それだけで級友たちの生き方に
影を落としていたことが、ナース姿で人助けに明け暮れる“赤城”の秘めた胸の内からも
痛感させられます。見極める彼の気概を見守る“麻衣”の分かってくれている感もすごい。

「もう一つの可能性の世界」、基盤となる思春期症候群。その影響力を乗り越えてきた
“咲太”と“麻衣”の日常がひどく愛おしいと余韻を噛みしめる・・・間もなく“赤城”を
介して伝えられたメッセージの不穏さに気が抜けません。次巻の刊行を座して待ちます。

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2020年12月30日

『プロペラオペラ3』

犬村小六 先生が贈る恋と空戦のファンタジー。第3巻は「ガメリア合衆国」の圧倒的な
国力の差を目にしてもなお“クロト”は“イザヤ”と「日之雄」を守る戦いに臨みます。
(イラスト:雫綺一生 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518733


無からカネを生む魔法を元に艦隊で空を埋め尽くし、大統領の座を目前とする“カイル”。
未だ残る空虚さを埋めるべく“イザヤ”を求める彼に対し彼女の裸に劣情する“クロト”。
「……表紙の彼女は何者?」という疑問も2人の機微を示す証左に昇華させる展開が秀逸。

容赦なく日之雄へ物量作戦を展開する合衆国へ対抗するには“クロト”の存在が不可欠と
認めた“鹿狩瀬”の存在に嬉しさを覚えつつ、合衆国の油断を誘い、隙を突くために命を
賭して「迅一号作戦」に臨む軍人たちの振舞い。その熱さ、そして切なさに胸が震えます。

“イザヤ”が抱いた「直感」。それは“速夫”が覚悟を決めた「あの時」から蓄積された
運命の片鱗であったのかも知れません。ソロモン海空戦で彼女の名声が世に知れ渡る一方、
“クロト”が“カイル”に勝つための切り札に迫る窮地の行方。続きが待ち遠しいです。

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2020年12月29日

『ソードアート・オンライン25 ユナイタル・リングIV』

川原礫 先生が贈る大人気シリーズ。第25巻は《ユナイタル・リング》で窮地に立ち向かう
“キリト”たちを描きつつ、《アンダーワールド》で驚きの邂逅を果たす顛末に触れます。
(イラスト:abec 先生)

https://dengekibunko.jp/product/sao/322008000007.html


《忌まわしき者の絞輪》を楯に大集団を仕向けてくる「仮想研究会」の“ムタシーナ”。
憎たらしい上に、二重三重の策を弄する相手でも“キリト”なら何とかしてくれるという
安心感が凄い。“ユイ”の着眼点、“アルゴ”の情報、“アスナ”の力など見所も満載で。

それでも「仮想研究会」にまだ及ばない何かがある、というもどかしさが尾を引くものの
町の発展にこぎ着けたこと、《極光の指し示す地》を目指す算段が整ったことが救いです。
《アンダーワールド》に視点を切り替えると、こちらは宇宙を目指す展開に驚かされます。

“エオライン”から語られる「星王」に纏わるエピソードの数々に興味を覚えつつ、次々
見えてくる二百年後の世界、“キリト”と共にその変遷がもつ可能性へ想いを馳せる次第。
思い出と現実が交錯するその時、物語がどう動き、繋がっていくのかを見守りたい所です。

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2020年12月28日

『スパイ教室04 《夢語》のティア』

竹町 先生が贈る痛快スパイファンタジー。第4巻は要人たちが集う会議が行われる合衆国
にスパイチーム「蛇」の一員“紫蟻”が現れると聞き「灯」の面々が総出で乗り込みます。
(イラスト:トマリ 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/202001spy/322003001190.html


“リリィ”たちの血気盛んな姿とは裏腹に、その様子を見て自信を失いかける“ティア”。
更には冒頭に意味深長な場面が差し込まれたりして、戦いが始まる前から不安要素が満載。
“ローランド”の予言に対し“クラウス”がやり込めるのも焼け石に水のような気がして。

合衆国へ潜入してから「灯」メンバーが個々人の成長した姿、絶妙なコンビネーションを
魅せてピンチを切り抜けては追い詰められていく状況を見てもなお司令塔として無力感に
苛まれる“ティア”。そして満を持しての登場となる“紫蟻”。絶望感と緊張が走ります。

ミータリオの地に張り巡らされた、まるで蜘蛛の巣の如き“紫蟻”の罠。同じくかの地で
広がり続けてきた噂が現実の世に像を結んだ瞬間、“紫蟻”が陥落していくまでの展開は
ファーストシーズンの締め括りとしてまさに極上。次節にも期待が高まるというものです。

posted by 秋野ソラ at 00:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年12月25日

『Babel III 鳥籠より出ずる妖姫』

古宮九時 先生がWebサイトに公開していた珠玉の異世界ロードファンタジー。Web版加筆後
「電撃の新文芸」で再書籍化した第3巻は言語障害の対処法に“雫”が命懸けで挑みます。
(イラスト:森沢晴行 先生)

https://dengekibunko.jp/product/babel/322008000015.html


“キスク”へ攫われようとも、その王妹“オルティア”の理不尽な扱いに晒されてもなお
個人の尊厳を貫く“雫”。単身で抗い続ける彼女が王妹に粘り勝ち、良き理解者として
並び立つその様子には、険しい過程と家庭を経ているだけに、胸を熱くさせられました。

“雫”を口煩く思う“オルティア”が民草に示す容赦の無い言動。それもまた仕組まれた
ものだと分かった時の驚き、迂遠な陰謀もさることながらそれに毅然と立ち向かう王妹の
決意や過去と向き合い人の上に立つ者として大きく成長を見せた姿は称賛するしかなく。

流行り病としての言語障害を前に全力で対応にあたる姿勢を褒める一方で、場の雰囲気に
流されやすい“雫”の悪癖を諭すのはやはりあの男しかいない、という話運びもお見事で。
油断した彼女が悶絶する様子に思わず苦笑しつつ、最終巻でどう話を結ぶのか楽しみです。

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2020年12月24日

『メイデーア転生物語 4 扉の向こうの魔法使い(中)』

友麻碧 先生が贈る本格ファンタジー作品。 第4巻は“アイリ”の失踪で動揺が広がる中、
試験で首席を狙う“マキア”の活躍と彼女との距離感に悩む“トール”の葛藤を描きます。
(イラスト:雨壱絵穹 先生)

https://lbunko.kadokawa.co.jp/product/maydare/322006000556.html


ライバルたちと切磋琢磨しながら目覚ましい成長を遂げていく“マキア”。その輝かしい
彼女の姿を見届け続ける“トール”。もう昔のままでいられない2人が互いをどう思うか、
見つめ直し、気持ちをぶつけ、すれ違い、そして更に絆を深めていく様子が実に感慨深い。

そんな平穏な時が流れる学園島を急襲する帝国から来た謎の三人組。生徒に動揺が走る中、
“マキア”に秘めたる覚悟を示した“レピス”がその気概を貫いた姿勢は印象深いものが
あります。その上で仲間としての強い結びつきを魅せてくれたのは展開としても実に熱い。

“アイリ”にも救世主として気持ちを入れ替える姿勢が見えたり、“トール”が想定外の
力とその代償をあらわにしたり、学園島側もやられっぱなしでは済まさないとする含みを
示してくれた4巻がまさかの「中巻」だったことに驚きつつ、下巻の刊行を待つ次第です。

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2020年12月23日

『豚のレバーは加熱しろ(3回目)』

逆井卓馬 先生が贈る異世界召喚ファンタジー。第3巻は“闇躍の術師”打倒、解放軍と
王朝の融和を実現すべく、豚となった主人公と“ジェス”たちが本格的に動き出します。
(イラスト:遠坂あさぎ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/butaliver/322006000038.html


冒頭から“ロッシ”の正体が判明したことに感情の整理がつかない“ノット”にまず同情。
面倒ごとを忌避する彼が元の姿に戻る手順の面倒臭さ、その結果としての挿絵指定にまた
唖然としつつ、“セレス”と“ジェス”も災難でしたね、と思わずにはいられない流れに。

“闇躍の術師”を殺す手段、それが思いがけずフイになったとしても秘策を重ねに重ねて
望んだ男の生き様がコミカルさを反転させて実に格好良い。シリアスな展開に影を落とし
ながら着実に実を結ばせた彼に想いを託された主人公も考えさせられるものがあったかと。

変わりゆく世界、豚の姿でありながらその中心で在り続けた主人公へ“ジェス”は想いを
はっきりと示しました。それは主人公にとって絆なのか、頸木なのか。“メステリア”が
言っていた「ここぞというとき」を見極めたその先に何があるのか、興味津々の展開です。

posted by 秋野ソラ at 00:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年12月22日

『ヒロインレースはもうやめませんか? 〜告白禁止条約〜』

旭蓑雄 先生が贈る新作は、ヒロインレース物のラブコメ漫画で炎上騒動を起こした若き
漫画家に担当編集が彼女を作ることを求めてきたことから始まる恋愛バトルを描きます。
(イラスト:Ixy 先生)

https://dengekibunko.jp/product/heroinerace/322006000034.html


高校三年生の“薬師”が次に狙う「一強ヒロインもの」の連載を勝ち取るため彼女作りに
乗り出すも、漫研メンバーとの繋がりしかない彼には土台無理な話で。そんな彼の決意に
同業の“茶菓上”や後輩アシスタントの“都喜村”は気が気でない想いを抱えていて──。

ということで互いの想いに気付いてしまった“茶菓上”と“都喜村”が「告白禁止条約」
を結んで“薬師”から告白してもらうための状況を作るため、手練手管を繰り出す様子が
微笑ましい。そこへ待ったをかける担当編集“巡川”も加わっての駆け引きがまた面白い。

ちょっとした創作論や、漫画に対する認識齟齬と立ち向かう姿を見せる“薬師”に男気を
感じながら、「告白禁止条約」を結ぶ女性陣の気持ちにいつ気付くのかとあきれるばかり。
ヒロインレースを諦めた男と諦めない女たちの攻防戦、どう魅せるのかお手並み拝見です。

posted by 秋野ソラ at 00:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル