2022年07月07日

『魔法使い黎明期6 深潭の魔術師と杖の魔女』

TVアニメが最終回の放送を迎えた、虎走かける 先生が贈る本格ファンタジー。第6巻は
新世界の人々を“ダナ・リル”の支配から解放すべく“セービル”たちが全力で抗います。
(イラスト:いわさきたかし 先生 一部キャラクター原案:しずまよしのり 先生)

https://lanove.kodansha.co.jp/books/2022/7/1.html
https://www.tbs.co.jp/anime/reimeiki/


“セス”が“ウツワ”に告げた言葉。その言葉尻を理解した彼女の葛藤と考え方の変化は
変わりゆく新世界を象徴するかのようで。一方で、彼の語意に気づいた“クドー”たちが
その想いに着実に応えていく顛末が「禁足地」としての揺るぎない答えを示すかのようで。

そんな中、“トト・リル”の愚行に灸を据えた“セービル”が抱いた「嫌な気分」を巡る
“ホルト”たちの見解、そして“ロス”の講釈に彼の更なる成長が窺えるのも印象深くて。
様々な人々が抱く想いの果てに“ダナ・リル”が辿り着いた身の上も因果応報かも知れず。

『ゼロから始める魔法の書』から続く“ゼロ”たちのその後。彼女たちの物語に交錯する
“ロス”たちとの旅路を描いた 虎走 先生に、まずは「本当にお疲れ様でした」の一言を。
そして完結に向けて尽力された関係者の方々へ、その御礼とお祝いを申し上げる次第です。

posted by 秋野ソラ at 00:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年07月06日

『英雄と魔女の転生ラブコメ2』

雨宮和希 先生が贈る青春ラブコメディ。第2巻は友だちとなった“護道”と“麻衣”が
元英雄・元魔女という頸木と積み重なる想いの間で揺れ動く不器用な恋愛模様を描きます。
(イラスト:えーる 先生)

https://lanove.kodansha.co.jp/books/2022/7/5.html


「友達になってくれ」と“護道”が言ってくれたのが嬉しくて、その感情が言葉や態度に
出てしまう“麻衣”が可愛いのなんの。それでいながら彼の言葉をそのままに受け止めて
一線を画してしまうあたり「面倒くさい人だな!」と呆れますし、もどかしく思いますし。

「やりたいことを見つけた」という“護道”の気持ちを嫌というほどに察した“比奈”の
切ない気持ち。彼女の想いを知った“麻衣”の頑なな決意。そこにタイミングが悪い彼の
あの発言がもたらした、身から出た錆とも言える展開は悲劇なのにどこか喜劇的でもあり。

拗れまくった“護道”と“麻衣”の関係を修復するには言葉しかない、ということで応酬
する姿は見ているこっちが恥ずかしくなるほど。世界を選び不幸になった2人だからこそ、
人を選んで幸せになってほしい。そう思える物語を描き切った 雨宮 先生に心から感謝を。

posted by 秋野ソラ at 00:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年07月05日

『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編7』

衣笠彰梧 先生が贈る新たな学園黙示録。2年生編・第7巻は迫る文化祭を前にBクラスへ
向けられる悪意、“長谷部”が抱く復讐の念と対峙すべく“綾小路”が表に裏に動きます。
(イラスト:トモセシュンサク 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/youzitsu/322202001156.html


“鈴音”たちのメイド喫茶がコンセプトカフェで対抗する“龍園”たちにどう打ち勝つか。
“高円寺”はさておき“長谷部”と“三宅”からも非協力的な態度を取られ分は補えるか。
「切り札」も含めて色々と折り込み済みで勝ちを狙いに行く“綾小路”がもうすごすぎて。

“長谷部”と“三宅”が考える“鈴音”と“綾小路”へ復讐する手段。目星はついている
“綾小路”が、彼女たちの心に響かせきれない一手を「あの人」が補うのは実に印象深い。
ここに辿り着くまでの展開が更に「ある人物」を陥れる罠にも繋がるのがまた空恐ろしい。

Dクラスに落ちた“一之瀬”たちに発破をかけたり“南雲”を改めてその気にさせてみたり、
と不確定要素を楽しみと捉える余裕すら見せる“綾小路”がどんな未来を見据えているか。
裏で暗躍する者たちの思惑も気にしつつ、ひとまずは“茶柱”先生に心から同情と御礼を。

posted by 秋野ソラ at 00:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年07月04日

『顔さえよければいい教室 1.詩歌クレッシェンド』

三河ごーすと 先生が「ファンタジア文庫」に初登場。引きこもりの妹と生活を支える兄が
天才たちの集う高校にスカウトされ、生きていくために成り上がっていく顛末を描きます。
(イラスト:necömi 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/202206kaosae/322201000790.html


新進気鋭のVSINGER“シーカー”として、動画配信サービスで密かに人気を集める“詩歌”。
妹の才能にあやかる“楽斗”は配信収益だけで生きていく難しさを悟りそうになるある日、
兄妹の秘密を知るスカウトマンから一流芸能人を育成する高校への入学を薦められて──。

動画配信をテーマに「顔さえよければいい」という言葉に様々な意味が見え隠れするのが
分かってくる話運びにまず惹かれます。歌唱力だけはプロレベルの“詩歌”をそのままの
“詩歌”としてどうプロデュースするか、“楽斗”の手腕が問われる点も興味深い要素で。

「すべての音を色で視ることができる」という“詩歌”だけが気づける「彼女」の真実と、
理解されないからこそ発生してしまう誤解。彼女の平穏な日常を守るべく動く“楽斗”が
常人ぶって中々の曲者っぽい所も注目。期待の新シリーズということで続きが楽しみです。

posted by 秋野ソラ at 00:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年07月01日

『犬飼いちゃんと猫飼い先生 ごしゅじんたちは両片想い』

竹岡葉月 先生が贈る新作は、動物病院で偶然出会った犬を飼う女子高生と猫を飼う青年の
もどかしい恋模様を、動物たちの目線や認識も交えながら描いていく年の差&犬猫物語です。
(イラスト:榊空也 先生)

https://lbunko.kadokawa.co.jp/product/322110000733.html


動物病院の待合室。ミニチュアダックスフントの“フンフン”は飼い主の“藍”が偶然に
出会った青年とのやり取り、物憂げな様子が気がかりで。彼が飼っている気位の高い白猫
“キャロル”に相談しても減らず口を叩かれる一方で。はてさて、どうしたものかと──。

“フンフン”や“キャロル”が思っていることは飼い主たちにはもちろん伝わってません。
“藍”が“心晴”のことを少しずつ知りながらも想いはやはり伝えられなくて。彼女との
距離感を気遣いながらも、“汰久”の登場に気が気でない彼の内心はもどかしくもあって。

発生した事象を“藍”や“心晴”の視点だけでなく動物たちの目線からも描くことにより
二人が知る由もない話の重要な要素にも踏み込んで描写できる、というのが実に面白くて。
彼が語る蘊蓄や騙り話の数々、それに振り回される彼女の様子も注目してほしい作品です。

posted by 秋野ソラ at 00:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年06月30日

『塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い6.5』

猿渡かざみ 先生が贈る青春ラブコメ。新規書き下ろし中編や、店舗特典用SSを四季ごとに
テーマ分けして収録する他、Twitter限定公開短編を加筆して再集録するなどした一冊です。
(イラスト:Aちき 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530711


「イマモテ」に振り回される女子がここにもいたとは驚きです。今巻と同時刊行を迎えた
猿渡 先生の新作『高嶺さん、君のこと好きらしいよ』の販促にもつながる構成がお見事。
やはり時系列に沿って話を並べていただけると頭の中にもスッと話が入ってくるものです。

普段は大人しい“こはる”がまれに調子づいたり、小悪魔要素を見せたりするのが可愛い。
“円花”と“蓮”の関係も二人なりのペースで進んでいるのも見て取れてニヨニヨできる
のもまた良し。“颯太”のバイト先でのやり取りをSSならでは話の種に使うのが好きです。

横に長い口絵を見て、ここまで登場人物が増えたものかと感慨深く思うところもあったり。
バレンタインで始まり、バレンタインでしめくくる今巻は“颯太”と“こはる”の意外な
繋がりを暗喩するのも印象に残る場面で、続く7巻でどう作用するか楽しみでもあります。

posted by 秋野ソラ at 00:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年06月29日

『高嶺さん、君のこと好きらしいよ』

猿渡かざみ 先生が贈る新作は、堅物な少年に助けられた少女が恋愛指南本を片手に想いを
伝えようと奮闘する姿を、彼の心情も交えつつ描く両片想い恋愛ハウツー・ラブコメです。
(イラスト:池内たぬま 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530766


美人すぎるが故に良くも悪くも噂が絶えない“高嶺”は校内で絡まれているところを鬼の
風紀委員長“間島”に助けられる。惚れた彼女は自身が称える恋愛指南本の内容をもとに
「高嶺さん、君のこと好きらしいよ」という噂を利用して、想いを伝えようとするが──。

“高嶺”の数少ない友人“瀬波”が呆れるほどに空回りするアプローチの数々が面白くて。
“高嶺”の口数が少ないのも、“間島”が正しくありたいと思うのも訳があって。2人が
両片思いなのにも意味があって。笑ってばかりじゃいられない恋愛の難しさに苦笑いして。

噂や第一印象といった要素を上手く使い分けて話を進める構成が印象深く、そこに漫画家
である 池内たぬま 先生ならではの演出も加わり、最後まで安心して読める仕上がり具合。
“高嶺”と“間島”の背中を押す友人たちの振舞いにも注目。文句なくお薦めの作品です。

posted by 秋野ソラ at 00:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年06月28日

『霊能探偵・藤咲藤花は人の惨劇を嗤わない2』

綾里けいし 先生が贈るく現代伝奇ミステリ。第2巻は「かみさま」亡き「藤咲」の家から
逃亡を続ける“藤花”と“朔”が未来視の力を持つ「永瀬」の家の陰謀に巻き込まれます。
(イラスト:生川 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530742


逃亡中のホテルでようやくイチャイチャできるかと思った矢先、占女の導きにより訪れた
“未知留”に水を差される“藤花”と“朔”。「かみさま」より劣る「永瀬」の力を補う
ため“朔”が持つ「異能を強める目」を欲するのも道理とはいえ“藤花”には迷惑な話で。

泳がない金魚、首のない死体、永瀬の深部。異能と共に、永瀬の闇に触れていく“藤花”。
「永瀬の本物」が抱く疑念に触れ、「永瀬の本物」を守る者たちの思念に直面する“朔”。
時の流れを掴んでいく“未知留”に命運を握られる2人が、共に死を覚悟するのも道理で。

緊張の糸を緩めるかのように登場した“甲斐羅”。登場した意味はすぐ察しがつくものの、
フラッシュバックするプロローグや口絵の意味が“藤花”と“朔”を苛む展開に驚かされ、
エピローグが語る言葉の数々に目を疑うばかりで。続きが出るまでもどかしさが募ります。

posted by 秋野ソラ at 00:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年06月27日

『変人のサラダボウル3』

平坂読 先生が贈る、変人たちの奇想天外おもしろ群像喜劇。第3巻は学校に通い始めた
“サラ”、もはや遊び人の“リヴィア”など、“惣助”にまつわる人々の日常を描きます。
(イラスト:カントク 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530735


「小学二年生の女子、水沢夢」にまず驚くしかない。“サラ”の口癖がうつるのも可愛い。
あだ名呼びやいじめといった現実を捉えつつ、思慕も、羨望も、嫉妬も一身に受け止めて
“サラ”が最終的に“惣助”も驚きのアレを顕示する姿はこの世界における幸せの証かも。

“リヴィア”が無知なのをいいことに“望愛”の望むまま生かされている様子もまた幸せ
に見えて泡沫であることは、これまた最後で見せつけられる訳ですが、さてどうなるやら。
合間に見える“ブレンダ”と“春花”の努力が空回りする姿を面白がりつつ思わず苦笑い。

前巻から“サラ”に騙された形で転校デビューに臨む“友奈”の姿から哀愁が漂う展開が
続くのかと思えば「災い転じて福となす」とも言える、救いのある新生活が訪れて一安心。
それどころか“惣助”の生き様が彼女の人生にもかかわる流れで将来展望が気になります。

posted by 秋野ソラ at 00:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年06月24日

『おいしいベランダ。 亜潟家のアラカルト』

竹岡葉月 先生が贈る大好評・園芸ライフラブストーリー。第11巻は“葉二”と“まもり”
の結婚後の様子を描く書き下ろし4編に、書籍未収録のSS13編をまとめた1冊となります。
(イラスト:おかざきおか 先生)

https://lbunko.kadokawa.co.jp/product/oishiiberanda/322110000732.html


ハネムーンに纏わる紛らわしい名前の料理を巡る思い出話に、結婚しても根は変わらない
“葉二”と“まもり”の様子を見ることができてひとまず安心したり。家族の縁が広がる
ことで発生するあれやこれやの対応、反応に積み重なる時間と絆を感じずにはいられない。

“まもり”たちに何となく触発される“湊”が、これまた実に紛らわしい“周”の言動に
振り回される話や、“葉二”と酒を酌み交わすまでに成長した“ユウキ”が報告を受ける
顛末も話の脇を固める内容で面白い。共に“まもり”の返しから「らしさ」が窺える所も。

「エピローグ」を読み終えた余韻から、「特典ショートストーリーズ」で各巻の前日譚や
後日譚、裏話など物語全体を補完する貴重な機会を得ることもできて、大満足の一冊です。
本作の結びをお祝いしつつ、新作『犬飼いちゃんと猫飼い先生』を楽しみにしておきます。

posted by 秋野ソラ at 00:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年06月23日

『やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく6』

ふか田さめたろう 先生が贈るすれ違いゼロの甘々ラブコメディ。第6巻は婚約者となった
“小雪”と“直哉”が高校3年生、大学生、そして家族となるまでを描く最終巻となります。
(イラスト:ふーみ 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815613549/


“小雪”を全力で推す“恵美佳”の目を逸らそうと白羽の矢が立った一見強面の“竜一”。
“直哉”の洞察力を裏付けに、2人をくっつけようと“小雪”の努力が空回りする間にも
実はラブコメ体質な“竜一”がやる時はやる、と魅せてくれるのが微笑ましくて良いです。

新聞部の部長“文乃”も驚きの、そして納得の“直哉”と“小雪”の「普通」を踏まえて
大学生活に突入していく2人がいつ一線を超えるのか。互いに互いを思い遣る結果として
迎える未来において、“小春”が2人の変わらない絆の深さを語ってくれるのが印象深い。

ラストは両親の能力を面白い形で継承した“小春”に振り回される“良太”少年の苦悩を
描きながら、新たな物語が始まるような雰囲気を感じさせつつ話を纏めるところも好感触。
最後まで安心して読み切れるラブコメでした。無事の完結を、心よりお祝い申し上げます。

posted by 秋野ソラ at 00:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年06月22日

『友達の後ろで君とこっそり手を繋ぐ。誰にも言えない恋をする。2』

真代屋秀晃 先生が贈る青春恋愛劇。第2巻は“夜瑠”からの熱い恋情よりも友情を優先
しきれない“純也”の葛藤とは別に、親友五人組の関係が揺れ動いていく兆しを描きます。
(イラスト:みすみ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/tomodachinoushirode/322202000065.html


GKD、こと「グループ内で彼女を作らない同盟」を守りたい気持ちは今も持ち続けながら
“夜瑠”からの「内緒で付き合う」という提案を振り払いきれない“純也”の心の描写が
生々しくて。彼しかいない、と背水の陣で臨む彼女が病んでしまうのかと不安になる程で。

綱を渡るかのような“純也”と“夜瑠”の距離感、揺らぐ感情を“青嵐”がバンド活動に
燃える文化祭や、恋に焦がれた彼女が辿った生き様がこれでもかと追い込んでいく展開は
これまた驚愕。「秘密で後ろめたくて、誰にも言えない裏切りの物語」へと誘われました。

同盟を揺るがす決定的な事案とは別に“新太郎”が本音を打ち明けたと思えば、前々から
思わせぶりな“火乃子”も動き出して。思う所ある“青嵐”、「秘密」を抱える“純也”、
秘密の恋に泥濘する“夜瑠”、それぞれの関係がこの先どう歪んでいくのか気になります。

posted by 秋野ソラ at 00:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年06月21日

『友達の後ろで君とこっそり手を繋ぐ。誰にも言えない恋をする。』

真代屋秀晃 先生が贈る新作は、中学からの仲良し男子三人組が、高校進学と共に加わった
少女二人をあわせた親友五人組となって友情と恋心の狭間に揺れる青春の日々を描きます。
(イラスト:みすみ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/tomodachinoushirode/322111000161.html


高校生になった“純也”は恋人を作るよりも友人たちとの青臭い思い出を大切にしたいと
考え、“青嵐”や“新太郎”に“夜瑠”“火乃子”を交えてバカ騒ぎする日々を謳歌する。
ある日、“青嵐”に気があるらしい“夜瑠”から“純也”は衝撃の「告白」を受ける──。

“純也”たちが提唱する「彼女を作らない同盟」に相反する考えを辛辣なまでにぶつける
“夜瑠”が見せる二面性にまず驚かされます。同盟を組むに至る彼の苦い過去を知らない
彼女にやられ放題の展開に、五人組破滅の時が早くも訪れるのかとやきもきさせられます。

“夜瑠”が恋をする背景にも深すぎる心の傷があることを知った上で、本作の題名にある
状況へ陥るのか。その導線と、“純也”が知る由もない心の変化に戸惑うのも無理はなく。
難しい選択を迫られる彼は同盟を死守することができるか。続きが実に気になる物語です。

posted by 秋野ソラ at 00:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年06月20日

『竜殺しのブリュンヒルド』

東崎惟子 先生の「第28回電撃小説大賞・銀賞」受賞作。神命を受けた白銀の竜が守る島で
育った人間の少女が竜殺しのいる帝国に運命を翻弄される様を描く本格ファンタジーです。
(イラスト:あおあそ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/ryugoroshi_brunhild/322110000036.html


「エデン」を守る竜に殲滅された人々の中で、唯一生き残った少女“ブリュンヒルド”。
その竜に育てられた少女は竜を愛し、竜に愛されるようになるが、再び島を狙う帝国軍に
竜を殺され、囚われる。そこで彼女は帝国が誇る竜殺しの家の末裔だと知らされるが──。

“ブリュンヒルド”の実父である“シギベルト”が彼女へ愛を示さない様子に業を煮やす
“ザックス”の気遣い。家督争いで彼女に一度は妬みの感情をぶつけた“シグルズ”との
本音の語らい。帝国軍人として祭り上げられていく彼女の想いに響くのかが興味深い展開。

竜の狂信者たちに果たした説明責任。身を挺して竜から守った帝国の街並み。竜殺しの力
に隠された秘密。何度もフラッシュバックする「エデン」での思い出と遵守すべきルール。
竜として、人として生きた“ブリュンヒルド”が選んだ道の悲愴さに胸打たれる物語です。

posted by 秋野ソラ at 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年06月17日

『声優ラジオのウラオモテ #07 柚日咲めくるは隠しきれない?』

二月公 先生が贈る青春声優エンタメ。第7巻は“夕陽”と“やすみ”が頑張り続ける姿を
見守る“めくる”の想いに触れつつ、彼女が考える声優としての在り方、矜持を描きます。
(イラスト:さばみぞれ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/sayyouradio/322202000055.html


声優ファンでありながら声優になった“めくる”だからこその葛藤や想いが伝わってきて
読み進める内にどんどん彼女の魅力に惹かれていく内容。『じゅーどるラジオ』の顛末が
その最たるもので「声優を活かす声優」を目指した彼女だからこそ見せられる感情が熱い。

オーディションに対して本気になれない。“めくる”の更なる躍進を切望する“成瀬”も
指摘せざるを得ない、彼女も自認する弱み。声優業を続けられなかった人たちのためにも
変わらなければいけない、と考え抜いた末の彼女の決断は見る側にも重く、そして切なく。

気合の入れ直し方を間違えた“めくる”に対して、親友の“花火”が活を入れ直す方法が
今巻の副題やイラストから窺えるのも面白い。ベテラン声優と相対しても臆することなく
臨める“めくる”に「らしさ」を残しているのもまた良い。彼女に対する株が急上昇です。

posted by 秋野ソラ at 00:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年06月16日

『姫騎士様のヒモ2』

白金透 先生が贈る異世界ノワール。第2巻は迷宮都市の治安維持のため配備された聖護隊
に“ヴァネッサ”の兄が、彼女の死の真相を突き止めるべく“マシュー”をつけ狙います。
(イラスト:マシマサキ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/himekishisamanohimo/322201000060.html


やがて訪れる、かもしれない迷宮攻略の時を迎えた時ことを“マシュー”が示唆した際に
“アルウィン”が取った行動。これを見て彼女は彼とどう在りたいのか、尋ねてみたいと
改めて感じました。恋だの愛だの、単純には推し量れない彼女の心境、実に気になります。

そんな姫騎士様に今回も迷惑をかけてしまう形になる“マシュー”の身から出た錆な話の
数々に苦笑が絶えません。しかし、彼も彼女の迷宮病を何とかしようと「清濁併せ呑む」
方法で尽力しているのが見て取れるので、今巻も憎めない立ち居振る舞いに魅せられます。

迷宮都市に来た“ヴィンセント”が“マシュー”をどう見極めたのかも見所の一つですが
今回の騒動につながる“太陽神”の手口が、見方を変えればさも悪魔のようで憎たらしい。
都市の危機、そして姫騎士様の窮地が迫る中、ヒモとして選ぶ決断を見届けたいものです。

posted by 秋野ソラ at 00:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年06月15日

『ひとつ屋根の下で暮らす完璧清楚委員長の秘密を知っているのは俺だけでいい。』

西塔鼎 先生が贈る新作は、成績優秀、品行方正、東欧人のハーフで眉目秀麗と疎遠ながら
幼なじみのいる少年が、彼女のとある秘密と日常を共有していく顛末を描くラブコメです。
(イラスト:さとうぽて 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322202000056.html


“黒川スヴェトラーナ”。校内で「姫君」とも称される彼女だが昔は物怖じする女の子で
良く世話を焼いたものだ、と独りごちる“俺”。ある日、家族の都合で彼女を家に預かる
ことになった彼は、彼女から未だ残る「怖がる癖」を克服する手助けを求められるが──。

主人公を「たっくん」「たーくん」「たの字」と呼ぶことで誰が喋っているかを印象づけ
ているのが、彼との会話を楽しむ上でのポイントとまず感じました。最初から“チカ”と
彼に呼ばせる“黒川”の「特訓」に至るまでの動機づけも分かりやすく、好感が持てます。

“霞野”や“鳴宮”を始めとする友人、知人たちに“黒川”の怖がりがいつバレるのかと
ヒヤヒヤしつつ、彼女の仄かな想いは伝わるのかモヤモヤしつつ安心して読了することが
できるラブコメになっているかと思います。さとうぽて 先生の挿絵による演出も絶妙です。

posted by 秋野ソラ at 00:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年06月14日

『私のほうが先に好きだったので。2』

佐野しなの 先生が贈る青春泥沼トライアングル。第2巻は“桜子”の彼女となったはずの
“安芸”が“小麦”から過去の想いをぶつけられて揺れ動く、泥沼必至の展開を描きます。
(イラスト:あるみっく 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815611583/


“安芸”に関しては、彼の恋愛相談に答えた姉の辛辣な言葉がすべてを表しているとしか
言えなくて。結婚を前提にしている訳でもないにしろ、“桜子”がいない間に“小麦”と
元の関係に戻るのを受け入れるなんて誠実さが欠けていて情状酌量の余地もないというか。

“小麦”にとって不幸なのは、“安芸”への気持ちを引きずったまま、彼の心境を知って
しまったということ。諦めたはずなのに、諦めきれない。易々と割り切れないのが人の心
とは言え恋か友情か、二者択一を迫られれば選ばざるを得ないのが彼女の業というものか。

“桜子”にしてみれば“安芸”も“小麦”も求めてしまっている時点でもう救う手立てが
無いように見えて。彼の気持ちも、彼女の心情も察してしまうことができる“桜子”故に
進む道は唯一つ、と突っ切るのがつらい。このラストを繋ぐ 佐野 先生の腕の見せ所です。

posted by 秋野ソラ at 00:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年06月13日

『高嶺の花には逆らえない』

冬条一 先生の「カクヨム」投稿作が書籍化。入学と共に校内随一の美少女に一目惚れを
する少年と、その友人となるモテ男が恋に振り回されていく様を描く新感覚ラブコメです。
(イラスト:ここあ 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530681
https://kakuyomu.jp/works/16816452218689030051


引きずり続けた中学時代の初恋に別れを告げ、高校で同じクラスとなった“立花”に恋を
する“佐原”。意を決して告白を決めた矢先、友人となった校内一のイケメン“進藤”に
先を越された“佐原”。憂鬱な彼は翌日、友人の様子が何やらおかしいことに気づく──。

“進藤”と付き合い始めたはずの“立花”が弁当を作ってくれたり、名前呼びしてきたり
と“佐原”が戸惑うのも無理はなく。そんな彼が偶然出会うぽっちゃり系少女“武田”に
彼の家族の心を掴まれていく展開とその手腕が面白い。こんな外堀の埋め方があるのかと。

“進藤”の思惑を“立花”が知っている点。そもそも彼女が抱えている胸の内。それらを
知る由もない彼が彼女に目をつけたのが運の尽きというか。悪あがきを続ける彼、そして
岡目八目で状況を見守る“美紀”を前に“佐原”はどう振る舞うか、続きが気になります。

posted by 秋野ソラ at 01:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年06月10日

『賢勇者シコルスキ・ジーライフの大いなる探求 S.ex(すぺしゃる・えくすとら)』

有象利路 先生が贈る危険球ギャグラノベが「Born Digital」、電子特別編として初登場。
担当編集の思惑も、ページ数の制約も外れて、“サヨナ”たちが自由気ままに振舞います。
(イラスト:かれい 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322109000431.html


ギャグというのは受け手の感性に寄る部分も多く、評価が分かれることもしばしばですが
世知辛い昨今、こうして肩ひじ張らずに読める本作の存在は有難いものと感じている所で。
1巻と2巻の間にあった話がやたら多いあたりにも政治的な背景が感じられてつい苦笑い。

それにしても一段とヒロインらしくない“サヨナ”の立場が面白い。“カグヤ”のほうが
余程それらしいのがまた興味深くて。パロディのネタも下ネタも攻めて、責めての連発で、
編集部としても幾度となく確認に追われたことでしょう。その甲斐ある内容だと思います。

「電撃文庫」編集部を離れた 土屋 さんへの恨み言というか愛があふれる仕掛けが満載で。
あとがきも含めて読み終えた際に、改めてチームとして作品が作り上げられていることが
窺えて一読者としても感慨深いです。有象 先生、担当編集諸氏も含め、お疲れさまです。

posted by 秋野ソラ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル