2020年09月18日

『楽園とは探偵の不在なり』

斜線堂有紀 先生が贈る新作は、天使によって二人以上殺した者は地獄へ送られるように
なった世界で、天使に運命を左右された者たちが集う島で起こる事件の顛末を描きます。
(イラスト:影山徹 先生)

https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000014599/


探偵の“青島”は、天使の存在がもたらした連続殺人事件の減少に日々無力感を覚える。
そんな彼に調査依頼をしてきた実業家“常木”から、彼は更なる依頼を持ち掛けられる。
天使が、「天使狂い」たちが集う常世島に来ないか、と。天国の有無を知るために──。

一人だけ殺すのは許される、あるいは大量殺人を起こしても地獄に落とされるのは一緒。
ルールに忠実な天使の意向を逆手にとり、島の館にて“常木”をはじめ次々と犠牲者が
増える中、蘇る“青島”の過去が天使の無慈悲さを、天使への憎しみを胸に滲ませます。

天国とは何か。問うても答えはない天使を前に、その意味を見い出した“青島”の覚悟。
“赤城”たちの想いに支えられ、探偵として戦い続けるその姿に救われる思いがします。
天使の祝福がない結末だけに。解決パートもお見事でオススメするに足るミステリです。

posted by 秋野ソラ at 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年09月17日

『神話の密室 -天久鷹央の事件カルテ-』

知念実希人 先生が贈る新感覚メディカル・ミステリー。長編シリーズ6冊目は人気作家の
アルコール中毒とキックボクサーを襲う突然死の謎を“鷹央”と“小鳥遊”が診断します。
(イラスト/いとうのいぢ 先生)

https://www.shinchobunko-nex.jp/books/180197.html


「バッカスの病室」ではアルコール依存症の人気作家“宇治川”が密室の病室で中毒症状
を引き起こす謎に迫る“鷹央”。アルコール中毒に対する誤解を解く展開に得心しながら
“宇治川”が精神的に追い詰められる過程が今どきなだけに何とも身につまされるものが。

「神のハンマー」では“小鳥遊”と旧知の仲である“早坂”がキックボクシングで頂点を
目指すリング上で悲願達成の直後に命を落とす顛末に、ある可能性を見い出した“鷹央”。
まさか診断の行方を“小鳥遊”に任せるとは何事かと思いましたが、なるほど納得の一言。

“鷹央”が残したヒントを頼りに、そして何より“早坂”の意図を汲んで死の真相を掴み
“小鳥遊”なりの解決を導いた彼の姿に成長を感じると共に、自分に出来ないことを彼に
任せようと思った彼女の心境の変化には称賛すら覚えます。2人の絆の行方も楽しみです。

posted by 秋野ソラ at 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年09月16日

『あなたのことならなんでも知ってる私が彼女になるべきだよね』

藍月要 先生が贈る新作は、人の感情を色で把握できる少年が「愛されることがつらい」
と感じる苦悩に対し、彼を好きになったハイスペックな少女が恋愛下手ながら挑みます。
(イラスト:Aちき 先生)

https://famitsubunko.jp/product/anatanokoto/322005000140.html


気になる相手の「脈アリ判定」ができると評判の“空也”。今日も友人“勇治”の頼みを
聞いていると、天才美少女で人間嫌いと揶揄される“紅”から隣席で色々と指摘を受ける。
彼は「彼女が自分に恋心を抱いている」と気付いているだけに謎多き人物なのだが──。

言い出せず、募るばかりの想いを、持てる力と文明の利器を活用して“空也”の情報収集
にあてる“紅”の振舞いが終始徹底されていて、思わず引くくらいなのがまた面白い所で。
そんな彼女が要注意と見る彼の幼馴染“翠香”には恋愛感情の色が見えないのが謎多き点。

超人的な身体能力を持つ“翠香”が、時に体を壊してまで絵を描く“空也”を陰に日向に
支える献身的な姿は恋人のそれそのものなのに恋愛感情はないのか。その種明かしがまた
実に印象的で、だからこそ何らかの形で彼の生き様が報われてほしいと願いたくなります。

posted by 秋野ソラ at 01:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年09月15日

『小悪魔だけど恋愛音痴なセンパイが今日も可愛い 1』

遊歩新夢 先生が贈る新作は、吹奏楽部を舞台に繰り広げるイチャラブコメディ。初心者
である少年に個別指導を行うことになった大学の先輩が恋の音色を奏でる努力を重ねます。
(イラスト/ひつじたかこ 先生)

https://over-lap.co.jp/Form/Product/ProductDetail.aspx?pid=9784865546958


独学で楽器を弄ってきた“拓斗”は、全国大会常連校の吹奏楽部を訪れてそのレベルの
高さに圧倒される。珍しい経歴の彼に目をつけたOGの“恵理那”は吹かせた管楽器の音
に惚れ込み個人指導を買って出るが、彼女には「小悪魔」と称される悪癖があって──。

小学生6年生の“リュシー”に恋愛相談にのってもらう“恵理那”もアレなんですけど
彼女の助言を鵜呑みにして“拓斗”へ何度もサービスシーンを提供する姿が微笑ましい。
そんな彼女に鍛えられてトランペット奏者として実力をつけていく彼の成長ぶりも見所。

同じく“拓斗”の奏でる音に惚れ込む“波音”の追っかけぶり、物語の軸を担っていく
“リュシー”を加え、“恵理那”が抱えるコンプレックスをカルテットで払拭しようと
試みる“拓斗”の気概は実に熱い。恋の音色は誰のために奏でるのか注目したい所です。

posted by 秋野ソラ at 01:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年09月14日

『継母の連れ子が元カノだった5 あなたはこの世にただ一人』

紙城境介 先生が贈る同棲ラブコメ。ドラマCD付き特装版と同時刊行を迎える第5巻は
“結女”と“水斗”が互いを意識し始める中で“いさな”が自然と外堀を埋めていきます。
(イラスト:たかやKi 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/motokano/321911000109.html


前巻のバランスを崩した勢いで、そのまま攻めきれれば“結女”の勝ちなのでしょうけど
それが出来ればここまで“水斗”との関係を拗らせていないワケで。そんな複雑な彼女の
胸中を知ってもなお背中を後押ししてくれる“いさな”の考え方が驚異であり脅威であり。

その“いさな”を物の弾みとは言え押し倒し、母“由仁”に見られる失態を犯す“水斗”。
さらに「世話になっているから」と“いさな”の母“凪虎”に気風のいい挨拶を受けつつ
娘の隙がありすぎる姿を見て推察された上で気に入られるあたり、彼も中々の難物です。

誤解が誤解を招く勢いは止まらず、“いさな”を困惑させる事態に直面するその姿を見て
つい「みんな」との違いに悩む女の子であることを忘れている、と再認識させられます。
益々興味深い立ち位置にいる彼女が“水斗”と“結女”の仲をどうかき回すか注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年09月11日

『リアデイルの大地にて5』

Ceez 先生が贈る大人気エルフファンタジー。第5巻は王都に迫る魔物の群れに対処しつつ
託された妖精を頼りに“オプス”を探し続ける“ケーナ”が遂にその所在を突き止めます。
(イラスト:てんまそ 先生)

https://famitsubunko.jp/product/leadale/322005000146.html
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_AM19201033010000_68/
https://ncode.syosetu.com/n1247p/


“ケーナ”のネーミングセンスに今さら期待できるワケもなく名付けられた妖精“クー”。
“ルカ”とも仲良く愛らしい存在な妖精と共に「夜の神殿」の手がかりを掴む“ケーナ”。
ここにも彼女が「リアデイル」で過ごしてきた因縁が絡んでくるあたりは実に面白い展開。

王都の外で力を振るう“ケーナ”の強さは言うまでもなく、その間に現れた謎の大きな亀
に挑むこととなった“クオルケ”と“エクシズ”。2人が出会った謎の老爺の出した条件
には色々思わせるところがあり、今後もお世話になりたいと思う存在感にあふれた方かと。

“オプス”の拠点に挑む“ケーナ”に同行した“クロフィア”が彼女の人となりを知って
ギクシャクするのも無理はなく。それを戻そうと彼女にかけた「女王すら怒る」という声
には自由気ままな生き様が窺えます。鉄拳制裁のその先に何が起こるのか、興味津々です。

posted by 秋野ソラ at 00:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年09月10日

『いつか僕らが消えても、この物語が先輩の本棚にあったなら』

永菜葉一 先生が「MF文庫J」から贈る新作は、小説に魅せられた少年少女の青春創作活劇。
文芸部部長に導かれ、苦学生の少年と恋する少年が小説家でプロデビューを目指します。
(イラスト:なび 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/itsukabokuraga/322003001224.html


無職の父に暴力を振るわれ、妹を庇いながら新聞配達で日銭を稼ぐ中学2年生の“海人”。
報われぬ日々に疲れ、自暴自棄な彼に救いの手を差し伸べる少女“朱音”。文芸部部長
と名乗る彼女は「死にたいのなら小説を書け!」と言い、彼はそこに光を見い出す──。

物語を書く手法も、小説投稿サイトの存在も知らない“海人”が“朱音”指導のもとで
作家として実力をつけ、ライバル“浩太”と切磋琢磨する展開がサクセスストーリーを
演出しつつ、未来の描写を挟むことで先の読めない展開から緊張感を高めるのが上手い。

「物書きは読者の存在に生かされている」と作中で話に出る通り、技術論を語るよりは
作家になるしかない、という生き様を描くところに軸を置いている機微の描写が面白く
プロデビューを目指す勝負の行方も落とし所が興味深いお話。オススメできる内容です。

posted by 秋野ソラ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年09月09日

『育ちざかりの教え子がやけにエモい2』

鈴木大輔 先生が贈るエモ×尊みラブコメ。第2巻は“美優”が抱く淡い想いに気がついた
“ひなた”を軸として、“達也”も含めた色とりどりの恋わずらい模様を描いていきます。
(イラスト:DSマイル 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518627


風邪をひいた“ひなた”がここぞとばかりに“達也”へ色々お願いしちゃう話の導入部分。
軽々しく「好きだよ」とつぶやく彼女の言葉を軽く受け流せる彼の胆力はすでに称賛の域。
そんなしたたかな彼女が今回、警察沙汰を起こして補導されることになるとは露知らず。

前巻の騒動から真の意味で和解した“彩夏”、腹を探り合う2人を見守りながら恋バナに
淡白な姿勢を見せる“菜月”、そして引っ込み思案な自分を変えようと努力する“美優”。
そして自分の気持ちを整理しきれないまま迷走する“明日香”と機微の変化も注目の要素。

“ひなた”たちの指南をうけ、すっかり垢抜けた“美優”が全身全霊で臨んだ告白の行方。
それを見たから、だけではなく「あの場面」を見たからこそ責任を取りに来た“ひなた”
の意識の変化を“達也”は見極め、受け止めることができるのか。次巻も見逃せません。

posted by 秋野ソラ at 00:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年09月08日

『ホラー女優が天才子役に転生しました 〜今度こそハリウッドを目指します!〜』

鉄箱 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。ホラー女優が事故死し、転生した先は
お金持ちのご令嬢。子役からハリウッド女優を目指す未来転生型サクセスストーリーです。
(イラスト:きのこ姫 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518634
https://ncode.syosetu.com/n0230fu/


ホラー女優として名を馳せた“桐生鶫”をまるでホラー映画の呪いのように襲う交通事故。
気がつけば20年後のベッドの上で、銀髪碧眼の美少女“空星つぐみ”として転生していた。
彼女の演劇への熱を汲んだ両親はドラマのオーディション会場へ参加する手筈を整え──。

“鶫”が持つ演劇の才能をそのままに新生子役として大人顔負けの演技で周囲を惹き込む
“つぐみ”の快進撃が爽快。ト書きを使い各場面への導入をスムーズに促す演出もお見事。
そのままTVドラマ化しても問題なさそうな内容です。演者さんは大変だと思いますけど。

“珠里亜”たち同年代の友だちとの関わりだけでなく、“鶫”として共演した演者たちや
スタッフ、関係者との一方的な繋がりがどう作用していくのか楽しみな設定もちらほらと。
きのこ姫 先生の挿絵もホラーな役を演じる描写に合致していて好感。続きが楽しみです。

posted by 秋野ソラ at 00:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年09月07日

『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)2』

むっしゅ 先生による漫画連載も好調な みかみてれん 先生が贈るノンストップ・ガールズ
ラブコメ。第2巻は“真唯”に復讐する“紗月”が“れな子”と期限付き交際を始めます。
(イラスト:竹嶋えく 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/bookDetail/index/978-4-08-631379-7
https://seiga.nicovideo.jp/comic/47265?track=official_trial_l2


“れな子”を“真唯”の弱みと見る“紗月”。2人が仲直りしてほしいと願う“れな子”。
思惑が絡み合い“れな子”2週間の交際を始める“紗月”が、妻役として真摯に向き合う
姿勢がまず素敵。秘密を利用する悪女っぷりも、知られて動揺する姿もまた魅力的な要素。

なぜ“紗月”は“真唯”に復讐したいのか。家の事情も知り、裸の付き合いもしちゃう仲
を経て“れな子”が2人を羨ましいと思うのも納得で。改めて仲を取り持つため容赦ない
一撃を叩き込む姿は、あんなに油断が過ぎる身の振り方をするにもかかわらず雄々しくて。

“真唯”に対して言い訳めいた相談をしたり、今回の決闘を踏まえて慰めにかかったりと
“れな子”が「れまフレ」の関係を揺らせる中、彼女が思いも寄らず思わせぶりな言動で
募らせ続けた“紫陽花”の淡い想いがどう花開くのか、今から楽しみで仕方がありません。

posted by 秋野ソラ at 00:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年09月04日

『記憶書店うたかた堂の淡々』

野村美月 先生が「講談社タイガ」から贈る新作は、驚くほど綺麗で無表情な顔をする青年
“一夜”が記憶を売り買いできることを利用する人たちが織り成す様々な物語を綴ります。
(イラスト:本山はな奈 先生)

http://taiga.kodansha.co.jp/author/m-nomura.html


本が好きな“静乃”にはそれを熱弁しても、それを熱心に聞いてくれる素敵な男性がいる。
そんな“誠”からある日「もう会えない」と連絡が。何度も連絡して繋がらないどころか
“誠”という人物は死亡していることが判明。戸惑う彼女にある記憶が沸き上がって──。

記憶を売り買いする、というのはどういうことか。示される実例に、時には命すら懸けて
相手に伝えたい想いを残したり、自身を表現することに繋げたりと興味深い小編の数々で。
婚活のアプローチに使われるとか、女優の矜持を維持するために利用するとか、実に斬新。

また、一度利用した人物が再び“一夜”のもとを訪れて更なる逸話を生み出していく構成
も小編同士に繋がりができて面白いと感じました。利用する人たちを見た“一夜”の反応
にも物珍しさを感じる注目すべき点かと。紙幅的にも読みやすくオススメできる一作です。

posted by 秋野ソラ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年09月03日

『処刑少女の生きる道(バージンロード)4 ―赤い悪夢―』

佐藤真登 先生が贈るファンタジー作品。第4巻は失踪した“アカリ”と“モモ”を追う
“メノウ”の気苦労を他所に、彼女の導師“陽炎”が慈悲なき宣告を突きつけてきます。
(イラスト:ニリツ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815607135.html


“メノウ”が死ぬ未来に繋がる2つの可能性を知った“モモ”が“アカリ”と逃避行する
中で、時に衝突しながら、意外と仲良くしている様子は、緊張感を保ちつつも微笑ましい。
“アーシュナ”の珍妙な願いも受け入れて2人を追う“メノウ”は知る由もない話ですが。

旅中、“メノウ”が「魔導」とは何たるかを突き詰めていく間に、手痛いしっぺ返しを
喰らったり、“アカリ”を取り逃がしたり、あらぬ冤罪容疑をかけられたり、一つとして
報われることがないのが切ない。その上で“陽炎”から告げられるあの一言も容赦がない。

“陽炎”から告げられる「異世界人を送還する魔導理論」の残酷さに絶句する“アカリ”。
彼女のことを殺せるか、と先輩に問いかける“モモ”。いずれ殺意を向けてくるであろう
師匠に対して決意を示す“メノウ”。それぞれの思惑が物語をどう動かすのか、注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年09月02日

『スパイ教室03 《忘我》のアネット』

竹町 先生が贈る痛快スパイファンタジー。第3巻は前巻で居残ることとなった“ティア”
たちに何が起こったのか、捜しに向かう“リリィ”たちと時系列を分けて描いていきます。
(イラスト:トマリ 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/202001spy/322003001189.html


“屍”を斃す立場に選ばれた“ティア”たちを試す“クラウス”の意図が後々効いてくる
ワケですが、このほんわかした導入部分であの結末に影響するとは中々予想がつきません。
彼女たちなりの「連携」を活かせるか、“ティア”が背負う気苦労には同情するばかりで。

任務達成後の骨休み中に“ティア”たちの前へ突如現れた“アネット”の母を名乗る女性。
“マティルダ”の真偽を確認する術もなく、“ティア”の甘さにつけ入られる展開に俄然
緊張感が高まります。前もって“クラウス”は気づいていただけに、えげつない演出です。

仲の悪い陸軍情報部とのやっかみもあり、まさに内憂外患の状況で当事者“アネット”が
出した結論が、心を読んだ“ティア”と同様にただ驚かされるばかり。因果応報の結末に
胸をなでおろしつつ、遂に全員で「蛇」の正体を掴みに行く次巻の刊行が待ち遠しいです。

posted by 秋野ソラ at 00:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年09月01日

『クラスメイトが使い魔になりまして4』

鶴城東 先生が贈る険悪主従ラブコメ。第4巻は“美砂”として過ごした神様の改変により
“千景”との接点も力も無くした世界で“想太”は賭けに勝てるか、その行方を描きます。
(イラスト:なたーしゃ 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518610


平然と彼女として振る舞う“美砂”に、それを平然と受け入れる“想太”に、もどかしさ
だけが募る展開。この状況をどう打破するのか、と言えばやはり「あの人」しかいません。
名助演ぶりが光るだけに、思わず惚れそうになります。ここで終わってもいいくらいです。

妙に嫉妬深い“美砂”を躱しつつ、記憶を操作されたであろう“千景”の説得に試みるも
勘づいているはずなのに“想太”を避ける、という謎を解くパートに突入。期限が迫る中
気がはやる彼の気持ちが痛いほど分かるだけに、“美砂”へのストレスがたまる一方です。

逃げ切りを図る“美砂”、“想太”への悔恨をあらわにする“千景”、強い想いを正直に
示す“想太”、三者三様の実に面倒な機微を経て掴んだ未来はひとまず一件落着な感じで
ひと安心。変な女にばかり好かれる“想太”に幸あれ、ということで無事完結を祝います。

posted by 秋野ソラ at 00:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年08月31日

『たとえば俺が、チャンピオンから王女のヒモにジョブチェンジしたとして。』

藍藤唯 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。杠憲太 先生によるコミカライズも
決定した、天性の職業が人生を左右する世界で最強の無職が逆転人生を歩む人気作です。
(イラスト:霜降 先生(Laplacian))

https://fantasiabunko.jp/product/202008orechamp/322003001193.html
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_KS13201819010000_68/
https://ncode.syosetu.com/n1393fy/


コロッセオで王座を守り続ける“フウタ”は、相手の戦い方を模倣するスタイルに加えて
本来生まれ持つ職業を持たない〈無職〉であることからまるで悪役のような扱いを受ける。
疲弊した彼は経営者の甘言から過ちを犯し、コロッセオ追放され人生を彷徨うのだが──。

王国の第一王女“ライラック”に拾われた“フウタ”を世話するメイドの“コローナ”が
掴みどころのない性格でありながら魅せる場面が幾つもあって実に良いキャラクターです。
受動的な彼とは違い物語を動かしてくれる要員でもあり、目が離せない人物でもあります。

“フウタ”過去を知りながら客人として招いた“ライラック”の、最強になりたいという
想いの先にある真意。世界に挑むほどに熱い彼女に空恐ろしさを感じつつ、彼女の味方で
在り続ける彼がその期待に応え続けることができるのか。先が楽しみな物語に期待大です。

posted by 秋野ソラ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年08月28日

『ストライク・ザ・ブラッド22 暁の凱旋』

三雲岳斗 先生が贈る大人気学園アクションファンタジー。第22巻は異境と“カイン”の
遺産を押さえた“レン”に絃神島も握られた“古城”が徹底抗戦する完結巻となります。
(イラスト:マニャ子 先生)

https://dengekibunko.jp/product/stb/322003000221.html


“古城”に番う12人の「血の伴侶」を巡る女性陣の表に裏に見せる想いがまず面白くて。
中でも“紗矢華”が不本意ながら遂に本心をさらけ出す流れがお気に入り。その中でも
ヤキモチを焼くだけで最後の一歩が踏み込めない“雪菜”の言動がもどかしいのなんの。

駄洒落を考えるの大変そう、と登場する度にペースを崩される“ラードリー”の強さに、
“古城”へ決定的な一撃を与える“レン”に圧倒される流れを「血の伴侶」が覆す展開
には驚かされました。そして、この極限だからこそ“雪菜”が一歩踏み出せたことにも。

暴力的な「眷獣弾頭」の存在に秘められた“カイン”の希望、それを担う絃神島の奇跡。
異境や吸血鬼の位置づけも埒外の繋がりを魅せながら最後は「わたしたちのケンカ」で
締め括ってくれたのも見事。匂わせぶりな結末も興味津々ですがまずは祝・完結、です。

posted by 秋野ソラ at 00:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年08月27日

『はたらく魔王さま!21』

和ヶ原聡司 先生が贈る魔王と勇者の庶民派ファンタジー。第21巻は神討ちに挑む“真奥”
を襲う突然の体調不良が思いがけない結末に、そして覚悟へと繋がる最終巻となります。
(イラスト:029 先生)

https://dengekibunko.jp/product/maousama/321904000064.html


神討ち前に“真奥”たちがケジメをつけるべきこと。応じる“千穂”の両親との温度差に
苦笑いしながらも、すでに覚悟を決めていた親としての強さに圧倒されます。029 先生が
言及する「一回限りのゲストヒロイン」だった“千穂”の重要度は最後まで高止まりです。

“イグノラ”の壮大な目的、その背景にある想像を超えた歴史、意外に鍵を握る“漆原”。
明かされる情報量の多さにも圧倒されます。緊迫する局面を迎えたにも関わらずバトルも
なしに事態を収めてしまうあたりは実に本作らしい。神討ち後の、あのケリの付け方も。

神討ち後の動向を並行して描写する構成の中で描かれる各々の近況を楽しみつつ、ついに
“真奥”に対して“千穂”がワガママを言い切ったことに、それに応えた彼に惜しみない
賞賛を。エンドロールっぽい演出も実に格好良い。完結を祝いつつ、次回作にも期待です。

posted by 秋野ソラ at 00:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年08月26日

『異世界よ、俺が無敵の吸血鬼だ! 〜夜のハーレム性活は計画的に〜』

猪野志士 先生が贈る新作は、現代日本で社畜として働く吸血鬼が、吸血鬼のいない人間と
魔族が争う異世界へと召喚されて、第三勢力の立場を確立すべく活動する顛末を描きます。
(イラスト:イコモチ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322002000142.html


日々仕事に追われ、街を巡る吸血鬼駆除部隊から逃げ隠れする“栄一郎”。彼の足元に
突如現れた光に誘われ、気がつくとそこは異世界。彼を召喚した“フィズリ”の話から
この世界で望むままに生きると決めた彼は早速、彼女の柔な首筋に牙を突き立てる──。

吸血鬼というものが如何に恐ろしい存在かということを人間に、魔族に知らしめるべく
活動する“栄一郎”改め“アルガ”の思考が社畜時代の名残あふれていてどこか滑稽で。
彼に血を吸われ恍惚と愉悦に耽る少女たちの描写がエロノベで通用する水準なのも良し。

“アルガ”のことを知りたい“フィズリ”の満更でもない様子に対し、彼に惚れ込んだ
魔族の少女“オルムネ”がヤキモチを焼くやり取りが微笑ましく感じられるのも好感触。
“オルムネ”の過去を清算した結果、厄介事を背負い込む彼の生き様が気になります。

posted by 秋野ソラ at 00:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年08月25日

『友達の妹が俺にだけウザい5』

三河ごーすと 先生が贈るいちゃウザ青春ラブコメ。ドラマCD付き特装版が同時発売となる
第5巻は“彩羽”のウザかわいさを認める“明照”にニセ恋人の進捗確認が要求されます。
(イラスト:トマリ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815606237.html


ということで“真琴”から“明照”と“真白”がニセ恋人であることを忘れていないかと
読者に対してもフォローを入れるかのような展開。「5階同盟」の秘密を色々知った彼女
だからこそ立ち居振る舞いが難しい中で、想いを届けようと頑張りを魅せてくれました。

その想いを受け止める“明照”は“真白”からだけではない仄かな想いを感じ取っている
にも関わらず中途半端な立ち位置のままで。そんな彼に“音井”が重い一撃を叩き込んで
くれたことで彼の行動指針が固まったようにも見受けられます。今後の動向には興味津々。

“明照”が“彩羽”のウザ絡みを魅力と捉えた結果として、それをプロデュースしたいと
やや斜めの方向に思考が傾いたのは彼らしく。けれどその方針を知った彼女がどう思うか
考えが及ばないのもまた彼らしく。こぼれた涙と感情が報われることを願うばかりです。

posted by 秋野ソラ at 00:56 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年08月24日

『りゅうおうのおしごと!13』

白鳥士郎 先生が贈る熱血将棋コメディ。第13巻は“銀子”が史上初の女性プロ棋士になる
その裏側で“あい”がJS研のあるメンバーとの別れを経て、更なる成長の兆しを見せます。
(イラスト:しらび 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815606442.html


プロローグで「ずっと考えている女の子」に対し「おぼえててほしい」と沢山書いた手紙。
ドラマCDの脚本をリライトしてこれまでの思い出を振り返る「最後のJS研」を挟みながら
エピローグで「手紙を書いた人」からの熱い想いを胸に刻む“あい”の流す涙が愛おしい。

それにしても“シャル”に対してロリコン疑惑を誘発する言動を繰り返す“八一”を見て
“銀子”と恋人同士になれたのが不思議に思えてくるのがアレですね。“あい”も含めて
制裁を加えてたくなるのも致し方ないというか。JS研メンバーも思う所があるのは納得で。

巻末の短編「白雪姫と魔王の休日」で狸寝入りをきめこむ“銀子”が魅せる、ますますの
可愛らしさといったらもう。“八一”さんやりましたね、って話で。病室に乱入してくる
“月夜見坂”と“供御飯”が示す言動と想いにも注目しながら、次巻の刊行を待ちます。

posted by 秋野ソラ at 00:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル