2017年06月23日

『宝石吐きのおんなのこ(6) 〜旅立ちを告げる手紙〜』

なみあと 先生が贈るファンタジーノベル。第6巻は“イラージャ”の失恋について悩みを
重ねる“クリュー”が、宝石学校の体験入学に単身臨むことでその答えを掴もうとします。
(イラスト:景 先生)

https://www.amazon.co.jp/dp/4865292640
http://ncode.syosetu.com/n4843br/


“イラージャ”の失意を知って空回る努力を見せる“ソアラン”はさておき、彼女の気持ち
や“スプートニク”の反応を見て理解も納得も出来ない“クリュー”の一途な想いが深い。
お世話になる“マリア”に言われた通り、学校でどう学んで大人になるのか興味津々です。

一方、そっけない態度で“クリュー”を送り出した“スプートニク”。彼女がいなくて清々
していたのかと思えば予想以上に依存していたことを端々で示しており、ついついニヨニヨ。
気になって様子を見に来た“ユキ”の鋭すぎる指摘を、彼が真に理解する時はくるのか否か。

見た目は恐い“クルーロル”が隠れ好々爺ぶりを見せてくれて微笑ましく思ったりなど油断
していたら、あのタイミングで“ソアラン”の仕掛けが発動。“スプートニク”の絞り出す
願いが一人でベッドに潜る“クリュー”には届くわけもなく、新たな騒動を予感させます。

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2017年06月22日

『十歳の最強魔導師2』

天乃聖樹 先生が描く、十歳少女と仲間たちの魔法学校ライフ。第2巻は“ジャネット”と
“アリシア”の仲を取り持とうとする“フェリス”の周囲で、ある誘拐事件が起こります。
(イラスト:フカヒレ 先生)

http://herobunko.com/books/hero45/6753/
http://ncode.syosetu.com/n6583dj/


妙に達観した“アリシア”の自分に対する素直さ。頑なな“ジャネット”の素直じゃなさ。
対称的で印象深い二人が“フェリス”のひたむきさ、優しさに触れていくことで少しずつ
違った視点を、新しい自分を見つけていく展開に心温まるものを感じました。微笑ましい。

魔術師候補生を狙う誘拐事件の調査に動き出した“ダニエラ”が早速遭遇した不審者の姿。
かの悪意に巻き込まれた“ジャネット”が抱える心の隙間も話を進めていく上で軸となる
展開を見せます。予想以上に吹っ切れた彼女の言動に父か困惑する様子はとても面白い。

ほんわかした日常が見せるコミカルさと「探究者たち」が突きつける非日常のシリアスさ。
いろいろな対比が見どころとなった今巻、“フェリス”の圧倒的な強さと精神的な幼さに
救われたチームメンバーたちが一緒になってどんなお休みを過ごすのか楽しみであります。

posted by 秋野ソラ at 00:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年06月21日

『北欧貴族と猛禽妻の雪国狩り暮らし』

書籍化した 江本マシメサ 先生の「小説家になろう」投稿作品が文庫サイズで再リリース。
貧乏貴族青年と元軍人女性が一年間の契約結婚を機に始める辺境スローライフを描きます。
(イラスト:防人 先生)

http://tkj.jp/book/?cd=72721101
http://ncode.syosetu.com/n7855ck/


男装の麗人として羨望される“ジーク”と、辺境の国の雪男と蔑まされる“リツハルド”。
共に婚期を逃した身として舞踏会で出会った二人。いきなり結婚を申し出た彼を別室に迎え
その真意を問いただした彼女が「一年間、仮の夫婦でいてほしい」という、その理由は──。

思わぬ形で結婚生活をスタートさせた“リツハルド”の視点で描かれる雪国の狩り暮らし
生活で徐々に心の距離を縮めていく“ジーク”が微笑ましくて実に良い。巻末にある短編
「ジークリンデの雪国日記」で語られるその胸の内がまたその様子を印象付けてくれます。

人の好さに定評のある“リツハルド”も“ジーク”に思慕の情を抱いていた“エメリヒ”の
来訪に内心穏やかではなかったご様子。こちらも「仮」の字を取るべく気持ちを培っている
雰囲気が窺えて何より。引き続きどんなスローラブライフを二人が過ごすのか興味津々です。

posted by 秋野ソラ at 01:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年06月20日

『エクスタス・オンライン 03.アダルトモードと課金の狭間でポエムを叫ぶ魔王』

久慈マサムネ 先生が贈るエクスタシーVRMMOファンタジー。鬼八頭かかし 先生による漫画
連載を控える中で刊行される第3巻は絶体絶命を窮地を迎える“堂巡”の逆転劇を描きます。
(イラスト:平つくね 先生)

http://sneakerbunko.jp/bookdetails/?pcd=321610000482


“サタン”により国も城も奪われ、圧倒的な力も見せつけられ、その上“朝霧”には呪いを
仕掛けられてしまう“堂巡”。“ヘルシャフト”として彼女と逃避行を続けるしかない彼の
焦りと、彼女が抱えるゆっくりと確実に迫る死に対する不安が未曽有の窮状を演出します。

“堂巡”として出来ることも少なく、クラス内でどう動くかも今回は特に重要なポイント。
とか言いながらエロい場面は見逃さないのが彼。“有栖川”はいったいどうなったのやら。
“哀川”の出番は今回少なめですが、あのシーンは中々に興味深い。先々どうなることか。

選択肢は限られている、一縷の望みに託すしかない。その状況下で“堂巡”が選んだ最善の
道とは。魔王対魔王の激突の行方は。熱い展開とポエムが今巻も目白押しです。“朝霧”と
培った関係も満更では・・・といった場面で受けた衝撃告白は物語をどう動かすのか注目です。

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2017年06月19日

『本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜第三部「領主の養女W」』

香月美夜 先生が贈る大人気ビブリア・ファンタジー。第三部・4巻は新しい印刷機や紙の
開発に力を尽くす“ローゼマイン”、そんな彼女のことを思わしくない人物が来訪します。
(イラスト/椎名優 先生)

http://www.tobooks.jp/books/book_494.html
http://ncode.syosetu.com/n4830bu/
http://seiga.nicovideo.jp/comic/18228


そんな訳で組版印刷。“フェルディナンド”の絵も広める道を諦めない“ローゼマイン”の
姿勢が実を結ぶか興味津々。やらかすネタもないかと思えばまだまだ、楽しませてくれます。
“ブリギッテ”の服装が実を結んだことに加えて“ダームエル”も・・・と期待しておきます。

“ローゼマイン”の活躍がまさか“ダルア”と“ダプラ”の違いに苦悩する事態を招くとは。
“フェルディナンド”も進退を決める形となり、物事が動きつつあることを予感させます。
二人の色恋沙汰について言及する場面は今後どういった展開を招くのか大いに気になる所。

口絵でハリセンを持っていた“ローゼマイン”。何で? と思えばあの一発。あれはスカッ
としました。自分がヤツを張り倒したかったくらいで。身内の権力争いに巻き込まれていく
彼女は本作りに専念できるのか。そもそも自分の身は守れるのか。次巻が待ち遠しいです。

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2017年06月16日

『蜘蛛ですが、なにか? 6』

馬場翁 先生が「小説家になろう」で公開していた迷宮サバイバル・ストーリーの書籍版。
第6巻は“アリエル”たちとアラクネとなった“姫色”の呉越同舟な旅の様子を描きます。
(イラスト:輝竜司 先生)

http://kadokawabooks.jp/product/149/
http://ncode.syosetu.com/n7975cr/
http://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_KS11000007010000_68/


“姫色”への弟子入りを求めて突飛な行動に出る“ロナント”の斜め上な向上心に苦笑。
彼がだいぶ無茶をしてくれたことで改めて“姫色”がやってのけたことの凄さや大迷宮が
伝わりました。得たヒントをもとに大人しく後進の育成に務めていただきたいものです。

不信な爺さんを放置し、ついに行動を起こした並列意思たち。並列意思会話集でも見せた
違和感の正体に気付いた“姫色”がついに決断を下します。これには胸がスッとする思い
でした。ますますの強さを示す彼女を“アリエル”がどう判断したか、も見所の一つかと。

悩み多き“ソフィア”には“アリエル”、“メラゾフィス”には“姫色”が意外な手段で
道を指し示すことになり、勇者は勇者で前に進もうと努力しているし、で希望にあふれる
展開が多かったのが良かった。ただ、状況は未だ不穏なままなので次巻も目が離せません。

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2017年06月15日

『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか12』

大森藤ノ 先生が贈る、一端の冒険者である少年と矮小なる女神が織り成す眷族の物語。
第12巻はファミリアに課せられた強制任務「遠征」に“ベル”たちが挑む顛末を描きます。
(イラスト:ヤスダスズヒト 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797392807.html


Lv.4となった“ベル”に“フェルズ”から示された戦う理由。ダンジョンアタックで目標
と定めた「下層」で目にする初めての風景や敵に期待や不安を織り交ぜながら進んでいく
彼らを、ある強化種の怪物が襲撃するところから想像以上の厳しさを目の当たりにします。

同行した“アイシャ”をも驚愕させる、敵の執拗で狡猾な戦闘スタイルに翻弄され続ける
“ベル”は一人窮地に。そこで出会った新たな異端児とのエピソードが彼の中にある軸の
ぶれを無くし、力と覚悟の強さを増していく描写に繋げる展開にはゾクゾクさせられます。

追い詰められる“アイシャ”たちの深まる絶望感を一気に払拭する“ベル”の急速に上り
つめた更なる圧倒的な強さが熱くて。12巻まで話を進めてまだここまで熱くさせてくれる
のかとただ脱帽するしかなく。それでいてまだ遠征は続くのだから期待せざるを得ません。

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2017年06月14日

『女神の勇者を倒すゲスな方法2 「返事がない、ただの聖女のようだ」』

笹木さくま 先生が贈る異世界勇者攻略譚。第2巻は城をも吹き飛ばす強力な魔法を放つ
聖女に立ち向かうため、“真一”は“リノ”をアイドルとして活動させる作戦に出ます。
(イラスト:遠坂あさぎ 先生)

http://ebten.jp/eb-store/p/9784047346796/


“クランクルム”枢機卿の秘蔵っ子、聖女“サンクティーヌ”。立ち居振る舞いは確かに
聖女そのものな彼女の闇にあたりをつけた“真一”だが、取り巻きが多くて“アリアン”
の時みたいなアプローチは仕掛けられない。そこで外郭を巻き込むのがアイドル活動です。

同世代の友達が少ない“リノ”の背景に、相変わらず“魔王”の親バカぶりが垣間見えて
微笑ましく、またアイドル活動を通じて人気を高めていく彼女が見せる心からの優しさが
ますます魅力を高めていく様子と、対称的な“サンクティーヌ”との描写が実に絶妙で。

容赦なく間違い続けた“サンクティーヌ”の言動に、慈悲なくゲスな対応で臨む“真一”。
彼女の末路がどうなるのか、が今巻の焦点であると共に“リノ”の物語でもあったかと
感じさせてくれる顛末でした。彼女の胸を突く動かす鼓動はどこへ向かうのか楽しみです。

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2017年06月13日

『魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 2』

手島史詞 先生が贈る、不器用な魔術師と美少女エルフの共同生活を描く物語。第2巻は
襲撃してきた竜の少女を引き取ることで、子供ができたかのような新生活が始まります。
(イラスト/COMTA 先生)

https://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/726.html


当時の魔王候補の一人が、まさか竜の少女とは。敵愾心むき出しの“フォル”を余裕で
あしらう“ザガン”や優しい“ネフェリア”と共に過ごすことで徐々にほだされていく
様子も微笑ましいですし、何より二人の関係もよりモヤモヤした感じで実にこそばゆい。

冒頭から貧乏くじを引かされる“シャスティル”の前に現れた聖騎士長“ラーファエル”。
魔術師を500人以上も倒した彼は“フォル”の親の仇でもあるという。色々なことに直面
して悩む彼女を諭したのはやはり“ネフェリア”、同士とも言える2人の関係にも注目。

“ザガン”とも衝突する“ラーファエル”ですが、彼から告げられる様々な真実と真意に
読み手としても驚かされるばかり。誤解がここまで進むと流石にどうしようもないもので。
エピローグの顛末にも思わずニヨニヨ。“シャスティル”も報われてほしいなと思います。

posted by 秋野ソラ at 00:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年06月12日

『魔術破りのリベンジ・マギア 1.極東術士の学園攻略』

子子子子 子子子(ねこじし こねこ)先生の「第10回HJ文庫大賞・大賞」受賞作。魔術師を
育成する学園で起きた怪事件を解決する顛末を描くハイエンド魔術バトルファンタジーです。
(イラスト/伊吹のつ 先生)

https://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/729.html
http://revenge-magia.net/


セイレム魔女学園──魔術師を育成する最高学府で発生し続けている生徒の連続失踪事件。
全員が容疑者という状況下で助けを求めたのが陰陽師を束ねる外部組織、陰陽寮。良好な
関係を構築することも込みで派遣された“晴栄”は、ある決意を胸に足を踏み入れる──。

学園長にあてがわれたメイド“ティチュ”に早速失態を見せてしまう“晴栄”ですが強さ
に関しては折り紙つき。コミカルな日常生活の裏で暗躍する犯人の布石も分かりやすく、
それでいて簡単には解決させない構成にもなっているのでよく纏まっている感があります。

巻末の参考文献が示す通り魔術に関する記述は相当に気を遣って描写されており、それが
魔術の異種格闘技戦を描く上での厚みに繋がっていて好感触。始まったばかりの“晴栄”
の青春に加え、土御門の家との関係をどうするのかにも注目したい期待の新シリーズです。

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2017年06月09日

『異世界駅舎の喫茶店 小さな魔女と記憶のタルト』

『ミスター味っ子』の 寺沢大介 先生に推され満を持して刊行となる Swind 先生の異世界
転移スローライフ・ストーリー。第2巻も“タクミ”と“ニャーチ”は大忙しの模様です。
(イラスト:pon-marsh 先生)

http://tkj.jp/book/?cd=02727801
http://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_MF00000034010000_68/
http://ncode.syosetu.com/n2046cp/


実は紅茶党、という意外な側面を見せる“タクミ”に譲られる希少な麺類と新メニューの
作成依頼。これがまたおいしそうで。料理を通じて人の縁を更に広げていくと共に駅員と
しての心構え、ひいてはサービス業に携わる上で大切なことを示す彼に男気を感じます。

今回“ロランド”の他に不遇な少女“ルナ”を引き取ったことで料理を作る動機づけと、
作る際の説明へと繋げるパターンが増えて流石だと感じました。喫茶店が軌道に乗った
ところで改めて“タクミ”は未来をどう見据えるのか、実はずっと気になっております。

同月刊行となる 神名ゆゆ 先生のコミックス1巻も拝読。こちらは料理を食べる描写に
注力している、とのことでこちらも飯テロ感が半端ない。“ニャーチ”が愛嬌たっぷりで
愛らしいこと間違いなし。書籍とは違う本作の魅力が味わえるので合わせてお薦めです。

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2017年06月08日

『ようこそ実力至上主義の教室へ 6』

衣笠彰梧 先生が贈る新たな学園黙示録。第6巻は例年退学者が出る期末テストへの対策を
立てる各クラスと、体育祭で注目を集めてしまった“綾小路”がどう振舞うかに注目です。
(イラスト:トモセシュンサク 先生)

http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1539


Dクラスに黒幕がいると確信しつつも特定に至らない“龍園”の絶妙な距離感と駆け引き。
何度も走る緊張感がまた面白い。“綾小路”も足がつかないよう念入りに手は打ってますが
それこそ足元をすくわれないか怖いもの見たさに似た感覚を抱かせてくれる見所の一つで。

一方、前回の失態から考えを改めた“堀北”に立ちはだかるのは“櫛田”。まさに内憂外患
と言える状況でこれまたトリッキーな期末テストを乗り越えられるか、という展開も静かに
熱いやりとりを魅せてくれます。“綾小路”も“堀北”と距離を置きたい状況下ですので。

打開策として一つの賭けに出た“櫛田”と“堀北”の裏で空恐ろしい「保険」を掛けていた
“綾小路”の余裕な態度に、いよいよ同じ土俵で“龍園”と争う日の接近を予感させます。
2017年7月にTVアニメ放送開始となる本作、続刊の内容にますます期待と注目を集めます。

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2017年06月07日

『世界の終わりの世界録<アンコール>10』

細音啓 先生が贈る王道ファンタジー。第10巻は「世界録」の役割と共に終焉を乗り越え、
“エルライン”も成し遂げられなかった未来を掴み取る“レン”たちの戦いを描きます。
(イラスト:ふゆの春秋 先生)

http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1541


ようやく“ナスターシャ”の存在意義が、そして「世界録」本来の役割が明らかになって
胸をなでおろす思いでした。そして全てが繋がった、と感じられるあの高揚感は何と表現
したら良いやら。過去の象徴たる終焉の精霊と未来の魁たる“レン”の戦いは圧巻の一言。

力を手にしてしまった者たちと、力を持たなかった者たち。物語の中で都度描かれる両者
それぞれの背景や心情、価値観や目標がこの世界を、世界の終わりを形成してきたのだと
“ミスティ”や“イシス”“フィオラ”“ゼルブライト”の挿話からも改めて窺えます。

文句なしの大団円、かつエピローグは読了感も申し分なし。同梱の「COVER ILLUST BOOK」
に添えられた先生の解説一つ一つにも物語に込められた想いを垣間見るようで堪能させて
もらいました。最後まで読めたことを幸せに思います。先生の次回作にも大いに期待です。

posted by 秋野ソラ at 00:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年06月06日

『ジャナ研の憂鬱な事件簿』

酒井田寛太郎 先生の「第11回小学館ライトノベル大賞・優秀賞」受賞作。先輩の後を継ぎ
「ジャーナリズム研究会」編集長を務める少年が抱く報道へのトラウマと葛藤を描きます。
(イラスト:白身魚 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094516791


時には過激な内容も辞さないことで知られる学生新聞「波のこえ」。過去の苦い経験を経て
ジャーナリズムをエゴイズムと解くようになった“啓介”はそれを毒にも薬にもならぬもの
にしようとするが、ある事情を抱える女子生徒を助けることで思わぬ方向へと動き出す──。

モデルの経験をもつ“真冬”に仕組まれた罠に気付いた“啓介”。洞察力、情報分析能力の
高さが次々に浮き彫りとなっていくからこそ彼が抱く「報道」への思いと重さが伝わるかの
ようで。独特の面倒くさい人間関係も日常系ミステリーの作風に一役買う形となっています。

期せずして校内の厄介ごとを解決していく流れが最後の「さようなら、血まみれの悪魔」に
結びついていく話の構成もお見事。“啓介”を軸としながらも“真冬”の物語でもあったと
言える締め括りも良い読了感を味わえました。シリーズ化を希望したいお薦めの作品です。

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2017年06月05日

『キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦』

細音啓 先生が贈る新作は、長く続いた機械仕掛けの国と魔女の楽園の争いに和平を求めて
動く両国の英雄たる少年と少女の出会いと衝突、葛藤を描くヒロイック・ファンタジーです。
(イラスト:猫鍋蒼 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321701000667


「星霊」──高度機械化文明により発展した帝国が触れた星の深部から噴き出す未知の力。
触れた者は法力を得ると共に帝国から迫害され、やがて独立しネビュリス皇庁を建国する。
強引に和平交渉を図る“イスカ”と帝国打倒を狙う“アリス”の邂逅が運命を動かす──。

やり方は違えども、共に百年も続く戦争を止めようとする狙いは同じ。皇庁の星霊部隊を
圧倒する力を持つ“イスカ”と、帝国の兵器動力炉を単独で破壊する力を持つ“アリス”、
二人が中立地帯で度重なる偶然により互いを知り、困惑していく話運びに惹き込まれます。

古き確執に従い争うのか、それとも新しい未来を求めて戦うのか。“イスカ”と“アリス”
の想いをも利用する者たちも垣間見えて、物語の導入としては十分に魅せてもらいました。
猫鍋蒼 先生のイラストも盤石で、場を和ませてくれる“ミスミス”一押し。お薦めです。

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2017年06月02日

『妹さえいればいい。7』

満を持して2017年秋のアニメ化が報じられた、平坂読 先生が贈る青春ラブコメ。第7巻は
“那由多”との交際を始めた“伊月”の新生活や周囲の反応を描くところから始まります。
(イラスト:カントク 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094516777


口絵や挿絵にもありますが“那由多”がああなるのは必然。“伊月”もご愁傷様なことで。
そんな二人の様子を素直に喜んで見ることができない“千尋”がまたいじらしいというか。
物語の鍵を握る仕掛けは未だ発動せず平穏ですが“千尋”は秘密を最後まで隠し通せるか。

“京”への失恋を明らかにした“春斗”が新たに向き合うこととなった、同業者の“初”。
二人のやり取りには目を見張るものが。作家が抱く「恐怖」を吐露する心情やそれをどう
受け止めるか葛藤する様子は印象深く、読み手としても自戒の念を新たにさせられました。

“真騎那”と“アシュリー”から語られる、共通の友人“幽”のエピソード。風変わりな
彼女が吐露した弱音が胸に突き刺さるかのようで、切なくなりました。作品の向こうには
それを世に送り出した作者がいる、ということを念頭に置ける読者でありたいと思います。

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2017年06月01日

『転生したらエルフの王宮をハーレムにデキました!』

三門鉄狼 先生が「みかど鉄狼」名義で「美少女文庫」から贈る新作は転生ハーレムもの。
エロゲ新作を抱えて死んだ青年がエルフに転生して国を、美少女たちを救っていく物語です。
(イラスト: ゆらん 先生)

http://www.bishojobunko.jp/c/item/82960021063950000000.html


“フィーネガルド”国王の生誕五千年を祝う祭に襲撃をかける“ダークエルフ”の軍勢。
強力な雷撃魔法をもつ王女“エミリア”は慢性的な魔力不足に陥っており打つ手なしかと
いう場である田舎の貧乏貴族が「魔力を回復させることができる」と申し出るのだが──。

“カイル”が性行為を行うことで相手の魔力を回復できる稀有な能力を研鑽したことにより
次々と国の逆境を打破していきます。回復させるために必要な攻めるポイントも人それぞれ
となっており、迎える場面と相まって滾らせる描写も幅を持たせられる構成になっています。

“エミリア”が抱える「ある疑問」と“カイル”が気遣う「ある想い」が全てを吹っ切った
ところの描写がもうスゴいとしか言いようがなく。話も大団円でしっかりと纏めてきたので
流石ですな、と思いました。 ゆらん 先生のイラストとも相性良さげで堪能できる一冊かと。

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2017年05月31日

『ぼんくら陰陽師の鬼嫁 二』

秋田みやび 先生が贈る、退魔お仕事仮嫁語。第2巻は“皇臥”のもとに“芹”の友人から
悪霊憑きの依頼が舞い込み、今回もまた尻込みする彼を、彼女が嫁として奮い立たせます。
(イラスト:しのとうこ 先生)

http://www.kadokawa.co.jp/product/321610000573/


“本間”が主催する「廃墟研究会」の活動に同行したことを契機に黒く長い髪にまとわり
つかれる症例が増えた“沙菜”。彼女を助けるべく動いてくれる“皇臥”が何やかんやと
言いながら優しい。格好良いかと言われると今回も首をかしげたくなるため実に悩ましい。

今回は新しい式神として朱雀の“錦”、普段はシナモン文鳥を形どっているためその差異
が激しい彼が参加することで“祈里”の抱える問題点が浮き彫りとなります。“皇臥”が
彼女にとやかく言うのもおこがましい気がして、“芹”の語る想いに共感しておりました。

“沙菜”たちを障る根本を断つために元凶となる村を訪れた“皇臥”が切り札として用意
したアレがいかにも彼らしくて苦笑い。願わくば“祈里”の頑固な認識を“芹”が解して
くれることを願ってやみません。そして契約結婚が真の関係に至ることを期待したいです。

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2017年05月30日

『はたらく魔王さま!17』

和ヶ原聡司 先生が贈る魔王と勇者の庶民派ファンタジー。第17巻は正社員になる機会を
逃した“真奥”が山積する魔界の問題を前に残るのか戻るのか、大事な選択を迫られます。
(イラスト/029 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-892892-2/


「魔王が正社員になる」というコメディ要素がここまで物語を大きく左右するシリアスな
キーワードになるとは。“芦屋”や“漆原”だけでなく、“恵美”や“千穂”たちも彼を
気遣う場面がそこかしこに見られて“真奥”も幸せ者だな、と改めて感じさせてくれます。

一方、“木崎”が異動になる、ということで彼女にもそれなりに悩むところがあることが
分かり、より人間的な魅力が増したように感じます。彼女から“真奥”たちに告げられた
言葉をどう噛みしめるか、も今回の話の中で重要な軸を担うことになるので要チェック。

本当に気苦労の絶えない“真奥”が下した決断と誠意を前に“恵美”が思わず相好を崩す
様子が可愛らしくて微笑ましくて。そんな和やかな雰囲気をぶち壊す、やるせない引きに
不安がいっぱいで気を揉みます。次巻はそう間をあけずに刊行されることを願うばかり。

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2017年05月29日

『暴血覚醒《ブライト・ブラッド》』

中村ヒロ 先生の「第8回GA文庫大賞・奨励賞」受賞作。血を使う魔法を学ぶ学園で奴隷の
ような扱いを受ける弱き男子学生たちが反抗戦を仕掛けていく青春学園異能バトルです。
(イラスト:加藤いつわ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797391787.html


元女子高である私立赤百合学園に入学し、あふれる期待と下心を胸に門をくぐる“弥彦”。
そこへ女子代表の美少女“藤堂”らが交流の一環として持ち掛けてきた「血戦」の賭けに
のって、負けた彼らが目にしたのは、奴隷として彼らを蔑む冷血少女の一面だった──。

ものの見事にハメられた“弥彦”たちの知れば知るほど力量の差があることに愕然とする
展開を転入生の少女“灯花”が崩してくれるか・・・と思えば彼女もある問題を抱えていて
頭を悩ませます。ここで血魔法がもつ特性と“弥彦”も知らない彼の秘密が鍵を握る訳で。

徹頭徹尾、悪役たる“藤堂”たちに反抗しきれるのか、手に汗握る熱い展開がまさに見所。
幼なじみの“睦紀”が報われてほしいな、とも思いますが話の流れとして致し方ないかと。
よく纏まっている上に余韻でも魅せてくれますし、お薦めできる新人賞作品だと思います。

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル