2024年03月11日

『夏目漱石ファンタジア』

零余子 先生の「第36回ファンタジア大賞・大賞」受賞作。「修善寺の大患」で暗殺された
夏目漱石が脳移植によって樋口一葉の体で蘇り、帝都に渦巻く陰謀に臨む顛末を描きます。
(イラスト:森倉円 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/202402soseki/322309001140.html


日露戦争後の対応に不満を抱く国民と、それを統制すべく言論の自由を奪いにかかる政府。
武装組織「木曜会」を設立し作家たちを率いて抗う“夏目漱石”は道半ばで凶弾に倒れる。
手術後、かつての許嫁“樋口一葉”の姿で生きることを余儀なくされた彼が取る道は──。

名立たる文豪や偉人の名はそのままに、まつわる逸話を物語を動かす要素として散りばめ
彼らの脳を狙う犯罪者「ブレインイーター」を自らも狙われる“漱石”が追いつめていく
文豪バトルファンタジーへと仕上げてきた 零余子 先生の知識量、構成力には圧巻の一言。

女学校の教師に赴任する“漱石”が“禰子”に助けられながら「木曜会」の面々と再会し
誰が敵で、味方なのかを見定めつつ臨む決戦の描写は 森倉円 先生の挿絵も相まって見事。
章間に挟まれるコラムも史実虚構が入り混じって読み応え十分。お薦めに足る大賞作です。

posted by 秋野ソラ at 00:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/190809945
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック