2022年09月02日

『琥珀の秋、0秒の旅』

9/9に映画「夏へのトンネル、さよならの出口」が公開となる、八目迷 先生が贈る新作は
時が止まる現象に巻き込まれた少年と少女の二人旅を綴る、時と四季シリーズ3作目です。
(イラスト:くっか 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530865


人にさわれない、という特性をもつ少年“麦野”が嫌々ながら参加した修学旅行。旅先の
函館で彼は、すべてが静止する世界で佇立する事態に陥る。偶然出会った少女“井熊”と
思い当たる節を考える内に、彼は叔父が語っていた「琥珀の世界」のことを思い出す──。

唯一の手掛かりたる“暮彦”の住む東京へ徒歩で向かう“麦野”と“井熊”の無謀な旅路。
反りの合わない2人の距離感が、衝突や拒絶を繰り返しながら受容されていく様子は実に
こそばゆい。特に、強がりきれない“井熊”が見せる弱さには希望すら見い出すほどです。

再び時を動かせる可能性に気が付いた“麦野”が選ぼうとする道も彼らしく、だからこそ
「0秒の旅」という表現が腑に落ちる読了感が秀逸で。再び立ち尽くす局面を迎える彼が、
僅かな希望を頼りにしてでもいい、逃げない人生を歩んでくれたら、と願って止みません。

posted by 秋野ソラ at 01:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル
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