四季大雅 先生の「第16回小学館ライトノベル大賞・大賞」受賞作。全身が徐々に塩化する
奇病で母を喪った少年が出会う少女との数奇な縁を描く涙で始まり、涙で終わる物語です。
(イラスト:柳すえ 先生)
【 http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530810 】
福島県郡山市にある小学校へ通う“八雲”が、塩化病に罹った母の欠損していく体を見て
その「空白」を埋めようと日々模索する中、校庭でピアノの美しい音色を耳にする。彼は
向かった音楽室で目を奪われるほど美しい少女“揺月”と出会い、絆を深めていくが──。
母の死を機に厭世的になる“八雲”を支える“揺月”。彼女もまた孤独に苛まれる環境に
あって慰める彼。惹かれ合いながらも、ピアニストとして有望な彼女のこと、自身の父と
生い立ちに引け目を感じる彼の心情が分かるほどに、彼女の抱く悲しみと相まって切ない。
“八雲”と“揺月”が歳を重ね、3月11日に故郷も絆も揺らされ、喜びも悲しみも共有し、
音楽に救われながら、やがてあの秘密基地へと還っていくプロローグの余韻は圧巻の一言。
「わたしはあなたの涙になりたい」という魔法の言葉がもたらす奇跡を、ぜひご高覧あれ。
2022年07月25日
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