野村美月 先生が贈るビブリオミステリー。シリーズ5冊目は“むすぶ”が今の“夜長姫”
と出会うきっかけとなった一人の少女にまつわるエピソード他、短編を収録した一冊です。
(イラスト:竹岡美穂 先生)
【 https://famitsubunko.jp/product/322104000018.html 】
『少女パレアナ』に纏わる話では“妻科”たちが恋心に振り回される顛末を描く一方で、
『好色一代男』に纏わる話ではそもそも恋心は何ぞやで苦心する“若迫”の所作を描く。
関与する“むすぶ”がとばっちりを受けたり、頭を悩ませたりと苦労性ぶりを見せます。
『リルケの詩集』が関係する話では“悠人”の父“流人”、母“千愛”の特徴あふれる
夫婦関係に触れながら、彼自身の報われない恋模様とその内面に触れる描写が興味深い。
そこで鍵を握る一冊の本とある登場人物が今巻の軸となる逸話に繋がるのも見事な演出。
迎える『夜長姫と耳男』のエピソードでは“むすぶ”と“夜長姫”がいま共に在る理由、
“むすぶ”と“悠人”が絆を結ぶ契機となった或る少女の言動に圧倒されるばかりで。
それを経て色々な点が線となって結ばれる結末に得心がいきました。流石の一言です。
2021年08月05日
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