2020年12月16日

『桃瀬さん家の百鬼目録』

日日日 先生、ゆずはらとしゆき 先生、SOW 先生、森崎亮人 先生共著で綴る現代の御伽噺。
物語の英雄として顕現したはずの無力・無能・無職な女性が悪鬼妖怪と対峙していきます。
(イラスト:吠L 先生)

https://dengekibunko.jp/product/fakelore/322004000040.html


「夷狄」、世界を脅かす悪いものたち。幼少の折から怪異を視て、感じることのできる
“みろく”は自身が「桃太郎」と自覚し顕在者となった・・・はずがその力は弟“小太郎”に
発露し若くして夢破れる。今や大学も休学し赤貧の身となった彼女は風前の灯火だが──。

「一寸法師」の件では“師匠”にしごかれて他の権限者と迷惑な夷狄の存在を目にして、
「ものぐさ太郎」の件では顕在者とは選ばれし者という誤解を実体験を通じて崩されて、
「浦島太郎」の件では心霊現象の類と本物の夷狄との違いを否が応でも見せつけられて。

“小太郎”と小太郎ガールズが見せる明るさと、“みろく”がにじませる暗さとの対比。
そこに意味があるのでは、と匂わせる描写に彼女の存在意義が見い出せることに期待し、
あとがき代わりの「創作ノート」に驚きながら、続く次巻の刊行を待ちたいと思います。

posted by 秋野ソラ at 00:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル
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