2020年09月18日

『楽園とは探偵の不在なり』

斜線堂有紀 先生が贈る新作は、天使によって二人以上殺した者は地獄へ送られるように
なった世界で、天使に運命を左右された者たちが集う島で起こる事件の顛末を描きます。
(イラスト:影山徹 先生)

https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000014599/


探偵の“青島”は、天使の存在がもたらした連続殺人事件の減少に日々無力感を覚える。
そんな彼に調査依頼をしてきた実業家“常木”から、彼は更なる依頼を持ち掛けられる。
天使が、「天使狂い」たちが集う常世島に来ないか、と。天国の有無を知るために──。

一人だけ殺すのは許される、あるいは大量殺人を起こしても地獄に落とされるのは一緒。
ルールに忠実な天使の意向を逆手にとり、島の館にて“常木”をはじめ次々と犠牲者が
増える中、蘇る“青島”の過去が天使の無慈悲さを、天使への憎しみを胸に滲ませます。

天国とは何か。問うても答えはない天使を前に、その意味を見い出した“青島”の覚悟。
“赤城”たちの想いに支えられ、探偵として戦い続けるその姿に救われる思いがします。
天使の祝福がない結末だけに。解決パートもお見事でオススメするに足るミステリです。

posted by 秋野ソラ at 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル
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