2020年09月04日

『記憶書店うたかた堂の淡々』

野村美月 先生が「講談社タイガ」から贈る新作は、驚くほど綺麗で無表情な顔をする青年
“一夜”が記憶を売り買いできることを利用する人たちが織り成す様々な物語を綴ります。
(イラスト:本山はな奈 先生)

http://taiga.kodansha.co.jp/author/m-nomura.html


本が好きな“静乃”にはそれを熱弁しても、それを熱心に聞いてくれる素敵な男性がいる。
そんな“誠”からある日「もう会えない」と連絡が。何度も連絡して繋がらないどころか
“誠”という人物は死亡していることが判明。戸惑う彼女にある記憶が沸き上がって──。

記憶を売り買いする、というのはどういうことか。示される実例に、時には命すら懸けて
相手に伝えたい想いを残したり、自身を表現することに繋げたりと興味深い小編の数々で。
婚活のアプローチに使われるとか、女優の矜持を維持するために利用するとか、実に斬新。

また、一度利用した人物が再び“一夜”のもとを訪れて更なる逸話を生み出していく構成
も小編同士に繋がりができて面白いと感じました。利用する人たちを見た“一夜”の反応
にも物珍しさを感じる注目すべき点かと。紙幅的にも読みやすくオススメできる一作です。

posted by 秋野ソラ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル
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