2020年08月05日

『このぬくもりを君と呼ぶんだ』

悠木りん 先生の「第14回小学館ライトノベル大賞・優秀賞」受賞作。地下都市を作り移住
を余儀なくされた人類の「地上に似た世界」にてリアルを渇望する少女の葛藤を描きます。
(イラスト:仲谷鳰 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518542


空も食物も人間関係すらも。偽物だらけの日常にウンザリし本物に憧れを抱く“レニー”。
サボり仲間の“トーカ”と共に学校を抜け出してはリアル探しに明け暮れる彼女がある日
一瞬赤く燃えた不思議な玉を手にする。太陽のような温もりをもう一度と願う彼女は──。

“レニー”が「太陽の欠片」と名付けた玉をきっかけに、太陽に憧れる人々の主義主張が、
地下都市に移住した際に出来た人々の軋轢が、“トーカ”とのかけがえのないつながりを
嘘に嘘を重ねて塗りつぶしていくのが、偽りのぬくもりを頼ってしまう彼女がもどかしい。

「太陽の欠片」に踊らされて何がフェイクで、何がリアルなのかを見誤りかけた“レニー”
を“トーカ”が命懸けで救いにかかる場面は胸熱くなるものが。仲谷鳰 先生の巻末漫画で
2人の後日譚を描く構成も攻めの構成で、未来に希望を感じさせるまとめ方でありました。

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル
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