2018年09月27日

『「私が笑ったら、死にますから」と、水品さんは言ったんだ。』

隙名こと 先生の「第7回ポプラ社小説新人賞・特別賞」受賞作。15分で1万円、という
怪しげなバイトを勧めてきた笑わない美少女と関わる少年を軸に描く青春ミステリです。
(イラスト:爽々 先生)

https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8111259.html


クラスメイトからレアメタルなどと揶揄される“水品”からの依頼を承諾した“駒田”。
人体実験? 詐欺行為? 訝しむ彼は電車の中で雑誌を読むことを彼女から指示される。
男性から痴漢行為を受けるかも、と嘯く彼女の言葉に怯える彼はあることに気づく──。

偶然と不運で父を亡くした“駒田”。ネットワークが普及する昨今、その死を弄ぶ悪意
に晒された経験を持つ彼の機微、描写に思わず共に憤りを感じてしまいます。バイトを
通じてもたらそうとする小さな奇跡、その下敷きとなる意図が胸に重くのしかかります。

「私が笑ったら、死にますから」と言い切る“水品”が抱える心の傷とその原因。SNSに
長く触れてきた身として考えさせられる展開です。その傷と向き合い続けた彼女が出す
結論、それを受け止める“駒田”の葛藤。2人の顛末をぜひ見届けてほしいと思います。

posted by 秋野ソラ at 00:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル
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