2018年04月02日

『純真を歌え、トラヴィアータ』

古宮九時 先生が贈る新作は、力及ばずトラウマも背負い歌い手の道を諦めた少女の挫折と
大学で見かけたオペラの自主公演を見て新たな道を模索していく再生への道程を描きます。
(イラスト/とろっち 先生)

http://mwbunko.com/978-4-04-893698-9/


コンクールでの失敗を機に歌おうとすると声が出なくなった“椿”に、オペラサークルで
指揮を務める青年が「歌えるか歌えないかなんて、歌いたいか違うかじゃないのか?」と
指摘する。その一言が、歌を拒む頑なな彼女の心を、そして人生を揺さぶっていくが──。

ピアノ奏者としてサークル参加した“椿”が指揮者の“黒田”の考え方に触れ、彼がなぜ
「指揮者」であるかを知ってなお「音楽が好き」でいられるか。悩み続けた彼女の心情が
痛感できるだけに、流したあの涙に含まれる想いが響いてもらい泣きしそうになりました。

努力すればいつか必ず夢は叶う。そんな想いを厳しい現実に打ち砕かれた後の苦悩や葛藤、
その先に選ぶ道へ至る過程を見事に描き切った秀作。一人のソリスト志望が見せる機微を
通じて共感できる何かがきっとあるはず。人生の岐路に立ち、その先へ歩む姿をご覧あれ。

posted by 秋野ソラ at 00:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル
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