2014年07月08日

『陸と千星 〜世界を配る少年と別荘の少女』

野村美月 先生が贈る「文学少女」シリーズや「ヒカル」シリーズの原点とも言える物語。
両親の離婚話に悩む少女と母の愛が信じられない少年が出会う一夏を描くお話を拝読です。
(イラスト:竹岡美穂 先生)

http://www.enterbrain.co.jp/fb/pc/08shinkan/08shinkan.html#_01


物心ついた時から冷え切った関係にある両親を見て育った“千星”。努めて笑顔を絶やさぬ
ことで修復を図るも上手くいかず、別荘で決裂の時を待つ15歳の夏休みを迎えます。そして
かの地で助けられた少年が新聞配達をしていると知り、朝を待ちわびる日々が続きます。

新しい男を追いかけては別れて、を繰り返す母にうんざりし絵を描くことに没頭する“陸”
が生活費を稼ぐために已む無く続けている新聞配達でお屋敷の少女と顔見知りになります。
幸せそうな彼女の様子と自分の置かれている境遇の落差と、惹かれる何かを感じながら。

互いが互いの事情を知らず、誤解したまま思い込みだけで想いを募らせていくすれ違いと
“千星”が別荘で過ごす夏の間だけでは埋まらない2人の距離感が見せるもどかしさ。
切なさ溢れる展開に 竹岡 先生の一枚絵がまた素晴らしい締め括りを魅せる良作です。

posted by 秋野ソラ at 00:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/101456500
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック