鴨志田一 先生が贈る青春ストーリー。シリーズ15冊目は「霧島透子」と向き合う“美織”
に同道する“咲太”が「思春期症候群」とは何だったのかを分析し、答えを導き出します。
(イラスト:溝口ケージ 先生)
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「透子」の歌が“美織”の止まった心を動かす大切な役割を担っていたのがまず印象的で。
これで“麻衣”が「透子」でなくなって一安心、で終わらないのが驚愕の展開でもあって。
“咲太”が今までしてきたことが何だったかを突きつける“ウサギ”の言葉が実にえぐい。
“咲太”が思春期症候群を通じて関わった人たちと会い、言葉を交わして、それでも迷う
姿を見て軌道修正を促すのが“理央”という、これまた心を揺さぶる演出。天井の模様に
例えた彼の言葉が、彼なりの「大人になる」やり方だったと思うと感慨深さもひとしおで。
“ウサギ”に答えを示した後の経緯を、これまた“咲太”が皆と再会するやり取りの中で
匂わせていく構成も実に本作らしい。そして「透子」の歌に素直な気持ちを乗せられる
大人になっているのが素晴らしい。本シリーズの無事完結を心よりお祝い申し上げます。