2024年10月14日

『猛毒のプリズン 天久鷹央の事件カルテ』

TVアニメが2025年1月から放送開始となる、知念実希人 先生が贈る本格医療ミステリー。
天才エンジニアである友人からの最後の依頼に臨む“鷹央”を描く書き下ろし長編です。
(イラスト:いとうのいぢ 先生)

https://www.j-n.co.jp/books/978-4-408-55913-1/
https://atdk-a.com/


学生時代の“鷹央”とは旧知の仲である“燐火”から目くじらを立てられる“小鳥遊”の
不憫さには同情を禁じ得ない。けど彼が“鷹央”の関係をどう位置付けているか、それが
翻って“鷹央”がいま自分の在るべき場所を「統括診断部」と自認する様子が感慨深くて。

もう一人、“鷹央”をよく知る“零心朗”の財産、そして命を狙う今回の事件で第一章の
章題が意味するもの、そして彼女が容疑者になるという導入部分には驚かされるばかりで。
プロローグで挑戦状を用意したのは誰か、それを思い返しつつ臨む第三章の緊張感たるや。

そして「読者への挑戦状」を用意しようとした“鷹央”が再び真犯人を明らかにする場面
では並々ならぬ愛の強さ、そして業の深さを目の当たりにして驚きと戸惑いがない交ぜに
なる複雑な感情を味わいました。エピローグのテンションの高さに救われた気がします。

posted by 秋野ソラ at 02:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル