2024年07月17日

『吸血令嬢は魔刀を手に取る2』

小林湖底 先生が贈る最強バディアクション・ノベル。第2巻は夜ノ郷で行われる新たな
イベント「神託戦争」を巡り、逸夜が夜煌刀としての力を狙う者の陰謀に巻き込まれます。
(イラスト:azuタロウ 先生)

https://bookwalker.jp/decbe03508-a705-4ab0-a0a9-652aac11d3c0/


「六花戦争」の参加者“ナナ”が“逸夜”の元を訪ねてきた目的、「神託戦争」への誘い。
あからさまで胡散臭い彼女の不審な言動を見破る術もなく、“ノア”と共になし崩し的に
参加の道を辿る彼が相対する「神殿」関係者の傲岸不遜ぶりは目に余るものの強敵すぎて。

そもそも“ナナ”は“逸夜”をなぜ「兄さん」と呼ぶのか。“ノア”に対する当て馬かと
思いきや彼と意外な所でつながりを見せて、しかもそれが今回の肝にもなる興味深い布石。
「神殿」の悪意に仇なす“骸川”が彼らの行動を後押しする振舞いには好感すら覚えます。

口絵で“逸夜”が放つあの力強い言葉。彼が“骨瀞”の誇示する圧倒的な力にどう抗うか、
様々な要素がパズルのピースを嵌めるかのようにその道筋を作っていく話運びが見どころ。
ドラゴン亭での賑やかなひと時を微笑ましく見守りつつ“ノア”を応援したいと思います。

posted by 秋野ソラ at 00:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2024年07月16日

『吸血令嬢は魔刀を手に取る』

「護衛のメソッド」の 小林湖底 先生が贈る新作は、人間を特別な力を持つ刀へと変える
異界の者たちの闘争に巻き込まれた少年の数奇な運命を描くバディ・アクション作品です。
(イラスト:azuタロウ 先生)

https://bookwalker.jp/de81788ee2-bb8e-4940-97c1-dabb0d93b478/


“逸夜”が住む街で発生している連続失踪事件。彼の妹“湖昼”もその被害者の一人で、
行方を探す彼が容疑者として目を付けたのは同級生の謎多き才媛“ノア”。彼女を尾行
する彼が辿り着いたビルには血まみれの彼女、そして甲冑を纏った犯人に襲われて──。

落命寸前の“逸夜”を夜煌刀という武器に変える力を有する「ナイトログ」という種族
である、と語る“ノア”の逸話が御伽噺のようで。けれど彼にとっては人ならざる物に
なった現実をどう受け止るべきか迷う、その心がバディを組む原因に繋がるのが面白い。

“ノア”が臨む「六花戦争」に、否でも応でも巻き込まれる“逸夜”が彼女と共に戦う
過程で“湖昼”捜索の糸口を掴み、思いがけない結末へと誘われていく話の流れが見所。
2人の関係はどういう意味での「パートナー」足り得るか見届けたくなるシリーズです。

posted by 秋野ソラ at 00:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2024年07月15日

『緋弾のアリアXLI 原罪の龍王』

シリーズ累計900万部突破。赤松中学 先生が贈る大スケールアクション&ラブコメディー。
第41巻は若返りの術を受けた“ラスプーチナ”を守る“キンジ”が大人の義務を示します。
(イラスト:こぶいち 先生)

https://bookwalker.jp/deed4be4e3-f5da-4b90-9eb6-83ae59a8a619/


犯罪者としての“ラスプーチナ”ではなく、幼児となった“ちな”を見て“キンジ”が
かつて「女嫌い」とあだ名をつけられた己の本質を再認識したはずが、あれよあれよと
父性愛に目覚めていく過程が面白い。恋だの愛だのを論ずる前に一足飛びな所がまさに。

“キンジ”一人で育児は流石に無理、ということで協力を仰ぐ女性陣の反応も様々なのが
いつも通りでまた楽しい。“ちな”が彼女たちの母性をくすぐる手腕もさることながら、
事の発端とも言える“リービアーザン”すら懐柔にかかる父としての彼の言動は見所で。

“ちな”の身を襲う不測の事態に際し、“キンジ”が「不可能を可能にする男」として
今回もとんでもないことをしでかす綱渡りっぷりを魅せてくれるワケで。何度も世界を
救う彼はそもそも大学受験への準備が万全なのか。国外逃亡先で確かめさせて頂きます。

posted by 秋野ソラ at 00:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2024年07月12日

『小説 夜のクラゲは泳げない 2』

TVアニメ「夜のクラゲは泳げない」シリーズ構成・脚本を担う 屋久ユウキ 先生が小説化。
アニメ5〜8話の内容を収録し、躍進する匿名アーティスト「JELEE」が陥る岐路を描きます。
(カバーイラスト:popman3580 先生 原作:JELEE 本文挿絵:谷口淳一郎 先生)

https://www.shogakukan.co.jp/books/09453194
https://yorukura-anime.com/


「JELEE」の新曲動画が思いがけずバズって、有名イラストレーターによるファンアートも
アップロードされたりと俄然飛躍の兆しを見せる中で“まひる”が描いた絵に掛けられる
心無いコメント。絵を描くことに自信を欠く彼女の悩み方が等身大の少女として映ります。

仲間に言えず悶々とする“まひる”の機微を汲み取り、“花音”が彼女に絵を描くための
動機づけを図るリーダーっぷりを見せるやり取りがまさに心を揺さぶられる、魅せる場面。
「海月ヨル」として自分の物語を作り出そうと覚悟を決める“まひる”の姿が感慨深くて。

“まひる”たちの前向きな姿勢に影を落とす、連綿と繋いできた時の流れ。何の因果かと
腰を砕かれる境遇を前にしても「JELEE」としてやりたいことを貫く覚悟の決まり具合が
印象に残ります。彼女たちが引き寄せたいたずらな運命が物語をどう動かすか見ものです。

posted by 秋野ソラ at 01:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2024年07月11日

『小説 夜のクラゲは泳げない 1』

TVアニメ「夜のクラゲは泳げない」シリーズ構成・脚本を担う 屋久ユウキ 先生が小説化。
アニメ1〜4話の内容を収録し、匿名アーティスト「JELEE」を結成する少女4人に触れます。
(カバーイラスト:popman3580 先生 原作:JELEE 本文挿絵:谷口淳一郎 先生)

https://www.shogakukan.co.jp/books/09453191
https://yorukura-anime.com/


クラゲ好きな“まひる”が通う絵画教室で描いた絵は渋谷の壁の落書き防止アートとして
採用されるも、今では落書きに覆われ、彼女が筆を置く一因になっている。彼女が自分の
絵を汚す路上ライブ配信者と、それに激高する謎の少女とのやり取りに目を奪われて──。

何者かになりたくて、でもなれなくて。その“まひる”の悩みに風穴をあける“花音”の
歌でみんなを見返したいという熱い想いと自己実現に繋げる匿名シンガー「JELEE」という
アプローチ。特別になる為に踏み出す一歩の大切さを実感する“まひる”の心境が印象的。

“まひる”と“花音”の熱量に応える“キウイ”や“めい”にもまた道に立ち止まる懊悩
を抱えていて、そしてそれを抱えたまま「JELEE」躍進を夢見てひた走る4人の姿が眩い。
重ねた努力が一つの転機を生んだ時、物語がどう動くのかを確かめるべく続きに臨みます。

posted by 秋野ソラ at 01:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル