「モブ恋」の 志村一矢 先生が約9年ぶりに電撃文庫から贈る新作は、世界を救う予言に
従って宿敵同士の男女が救世主となる子供を授かるため夫婦の営みに臨む顛末を描きます。
(イラスト:をん 先生)
【 https://bookwalker.jp/de07f6f425-fa5e-4c02-b031-9a1b93a384b0/ 】
空より降る「呪晶石」が放つ毒に、それを浴び変質した生物「呪晶獣」に脅かされる世界。
呪晶獣に住処を追われた白虎の民と、呪晶獣を討伐しその地を奪った朱雀の民が頭領同士
の決闘を続けて99回を迎えた日、未来予知の巫子が現れてから物語は大きく動き出す──。
巫子の名が“グリグリ”というネタの振り方、使者“リーリエ”と共に見せる下世話な面、
そこに“シラヌイ”と“アウラ”が初心な気持ちで子づくりに挑んでは及ばずという様子
を重ねることでコミカルに話を進めていくのが、世界の危機とは対称的で印象に残ります。
“ブラン”や“ヒバリ”をはじめとして、突如スタートした頭領同士の夫婦生活に色々と
思う所ある者たちのやっかみを受ける“シラヌイ”と“アウラ”がどうあしらうかも見所。
をん 先生の挿絵も艶めかしくてお見事。“シラヌイ”の男の沽券は守れるのか、注目です。