2024年06月14日

『声優ラジオのウラオモテ #11 夕陽とやすみは一緒にいられない?』

TVアニメが放送を迎えた、二月公 先生が贈る青春声優エンタメ。第11巻は迫る高校卒業
を前に“由美子”と“千佳”が互いの距離感がどう変化していくのか、想いを巡らせます。
(イラスト:さばみぞれ 先生)

https://bookwalker.jp/de4581b85b-5975-42c1-a1e7-4b8e342ee77c/
https://seiyuradio-anime.com/


高校を卒業すれば友人たちと、何より“千佳”と逢う機会も減ると容易に想像できる未来。
そこに「コーコーセーラジオ」での大切なお知らせが“由美子”の心に哀愁を漂わせます。
対して、愛すべき“めくる”も認める“やすみ”の演技への評価の高まりに救われる所で。

ライバルの躍進に嫉妬を覚える“千佳”が“結衣”の演技に追いつめられ、足を踏み外し
そうになるのを父親の助言に、何より“由美子”の言葉に救われる場面が印象に残ります。
“乙女”を超えると嘯く“夕陽”が『わたしたち』と言わない頑固さも微笑ましい限りで。

お互いに進学先を聞くこともなく迎えた“千佳”と“由美子”。卒業式で“若菜”も心配
していた2人の卒業後の関係がどう変わるか。どんな大学生活を送り、そして声優人生を
歩んでいくか。仕込まれた結末まで読んで俄然、続刊が待ち遠しくなることうけあいです。

posted by 秋野ソラ at 01:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2024年06月13日

『男女比1:5の世界でも普通に生きられると思った?(2) 〜激重感情な彼女たちが無自覚男子に翻弄されたら〜』

三藤孝太郎 先生が贈る、無自覚男子に翻弄されるヒロインたちのラブコメディ。第2巻は
“将人”への恋愛感情を高めるJC、JK、JD、OLが思い思いに彼へのアプローチを進めます。
(イラスト:JIMMY 先生)

https://bookwalker.jp/dea60a8d9e-50e7-4ce4-9ab1-deeed5e8a2b5/
https://syosetu.org/novel/287965/


“将人”を巡るヒロインレースが深く静かに、そして苛烈に進んでいく緊張感が半端ない。
素が出せない“汐里”、妹から抜け出せない“由佳”、秘密を共有する“みずほ”とそれ
を察する“恋海”。各々が想いを募らせる中で、ひたすらに溺れていく“星良”だけ怖い。

今巻で印象深いのは“由佳”。“将人”とバスケを通じてプレイヤーとしても成長を遂げ、
お買い物デートも経験し、ファーストキスに強い憧れと夢では終わらせない覚悟を決める
一連の過程がとにかく純粋で、けれど異性としての魅力をしっかり魅せていくのが印象的。

「誰にでも優しいだけ」と言われ、かつて交際相手から別れを告げられた“将人”の昔話。
そして話の折々で彼のモノローグが示す「無自覚」への悔恨の念。真綿で首を締められた
彼を受け入れるのはハレムか、破滅か。怖いもの見たさいっぱいの次巻が待ち遠しいです。

posted by 秋野ソラ at 00:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2024年06月12日

『いつもは真面目な委員長だけどキミの彼女になれるかな?3』

コイル 先生が贈るラブコメディ。第3巻は母親との関係を見直し自分らしい生き方を模索
していく“紗良”と、映像を作る夢を見つめ直す“陽都”が互いに成長する姿を描きます。
(イラスト:Nardack 先生)

https://bookwalker.jp/deafcdc617-b7c0-4017-a8ad-8306cb5017b9/


後で“陽都”の血縁関係を聞いて掌を反す母親を、血の繋がった価値観の違う他人の如く
認識を改めて彼と共に生きる道を定める“紗良”が深く印象に残ります。その彼女が妹の
あるやらかしに詰問する姿もまた母親譲りに見えて思わず苦笑い。自己犠牲の精神も、か。

“友梨奈”の身に迫る窮地にも対応する“陽都”の危機管理能力の高さもさることながら
“安城”をはじめとするさくらWEBの面々とも熱い想いをぶつけ合える彼の映像作りへの
こだわりは羨ましくて格好良い。“友梨奈”の良き理解者に昇格する展開も実に興味深い。

心に「塊」を抱えた“紗良”を“楠木”や園長先生など、“陽都”以外にも愛してくれる
人たちがいるという救いを見るとまた胸に温かい感情がこみ上がってきます。彼に対する
依存性が強そうな彼女に心配しつつも、共に幸せになってくれることを信じて止みません。

posted by 秋野ソラ at 00:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2024年06月11日

『ツンデレ魔女を殺せ、と女神は言った。3』

ミサキナギ 先生が贈る学園ファンタジー。第3巻は魔女として投獄された“ステラ”を
誅する救世女としてツンデレ幼馴染を召喚してきた女神に主人公がどう抗うかを描きます。
(イラスト:米白粕 先生)

https://bookwalker.jp/defe51b1ce-e07f-43b6-b5ef-ddc519d54610/


“満月”を仕向ける女神最大の悪意に嫌悪する主人公にとって新旧ツンデレ対決の様相を
呈してきた今巻。“ステラ”を救うためには“満月”を説得しなければならない訳ですが
両者生粋のツンデレっぷりをここぞとばかりに発揮してピンチな状況なのに妙にコミカル。

“ステラ”救出に際し“アンリ”と“フィーナ”で態度が異なる点。“クインザ”に対し
周囲の態度が一変する凋落の兆し。この世界における「魔女」が如何に忌避される存在か
を女神自らが語る、その内容が主人公に仕向ける悪意も裏付けてもう驚きと納得の連続で。

〈女神の杖〉に入る意味も無くなった“ステラ”が次に定める目的、そしてその先にある
夢に興味津々・・・というところで一区切り。ツンデレにこだわってこの物語を作り上げた
ミサキナギ 先生の心意気に賞賛を送りながら、先生の次回作にも期待したいところです。

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2024年06月10日

『他校の氷姫を助けたら、お友達から始める事になりました』

皐月陽龍 先生の「第8回カクヨムWeb小説コンテスト特別賞&ComicWalker漫画賞」受賞作。
痴漢から救った美少女と友達以上に距離を縮めることになる高校生男子の葛藤を描きます。
(イラスト:みすみ 先生)

https://bookwalker.jp/de3420d6a3-f626-4658-bd7d-65dc7e64604e/


高校に電車通学する“海以”が車内でよく見かける名も知らぬ美少女は【氷姫】と呼ばれ、
話しかけようものなら冷たくあしらわれ、告白などしようものならすげなく断られる始末。
痴漢に遭った彼女を救った翌日、彼は突然声を掛けられた上にあるお願いをされるが──。

この先ずっと男性不信で過ごすか否か。【氷姫】こと“東雲”から大事な選択を託された
“海以”が、驚くほど速く恋人のような関係になっていく展開が印象深い。みすみ 先生が
描く、彼女の見せる表情の広がりからもその心境の変化が見て取れるのも演出として見事。

“東雲”が【氷姫】と呼ばれる所以となる「ある事情」が“海以”との絆に水を差す岐路。
それを前に臆する“海以”の背中を押す親友“巻坂”の言葉一つ一つが胸を熱くさせます。
すでに幸せいっぱいな“東雲”と“海以”の物語がどう続いていくのか、気になる所です。

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル