2024年05月14日

『青を欺く2』

三船いずれ 先生が贈る、映画作りを通して描かれる青春ストーリー。第2巻は地域PR動画
の制作依頼を受けた“霧乃”たちが、役者を目指す“桜”の致命的な欠陥と向き合います。
(イラスト:ぶーた 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/aowoazamuku/322311001291.html


依頼元の意向に沿った映画制作という悩ましい条件、そこに“城原”たちと学年が1つ下
という“霧乃”の制約。作った映画をより多くの人に届けたい、できれば皆と共にと願う
彼女の焦りにも似た葛藤が、青春真っ只中で眩い撮影合宿の風景にどこか影を落とします。

PR動画のクランクアップで、自身が演じたラストシーンに疑義を示した“桜”が抱く悩み。
彼女が育ってきた家庭環境、とりわけ母親に起因するそれに心が折れそうになるところを
目の当たりにしながら手を差し伸べることもできず佇む彼の胸中は察するに余りある場面。

演じることに人一倍の労力を重ねてきた“桜”のために出来ることを懲りない“城原”が
やり抜く姿に心を打たれます。流石は嘘を吐くことに特化した彼ならではのアプローチで。
「あとがき」にある通り、話運びとして振り幅を変えたのがどう影響するか、見ものです。

posted by 秋野ソラ at 00:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル