2024年05月31日

『境界のメロディ』

男性アイドルグループ「Kis-My-Ft2」のメンバーでもある 宮田俊哉 先生が贈る初作品が
メディアワークス文庫に登場。ドラマCD付き特装版も同時発売となる音楽×青春小説です。
(イラスト:LAM 先生)

https://mwbunko.com/product/kyomelo/322309000385.html


学生時代に盟友“カイ”とデュオを組みデビューの夢を掴むはずであった“キョウスケ”
は盟友の不慮の死と共に夢も音楽も手放して無為な一年を過ごす。命日の法要を済ませた
“キョウスケ”の前に「忘れ物を取りに来た」と告げる生前の姿の“カイ”が現れて──。

“カイ”に急かされつつ、“キョウスケ”が彼の死を境に足を止めてしまった人々の背を
押す過程と、再び一歩前に踏み出す人々の変わる姿を見ていると救われるものがあります。
その一方で“カイ”に見られる「ある変化」が“キョウスケ”ともに不安感を抱かせます。

“カイ”がこの世に残した忘れ物。“キョウスケ”が彼と共に音を合わせるきっかけから
唯一無二と認めるまでに至った振り返りがあるだけに、2人で作った最後の曲があの世に
届くような余韻を残す結末が印象的。宮田 先生の更なるご活躍にも期待が持てる作品です。

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小説アプリ「テラーノベル」無断転載レポート(2024/05/31)




























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2024年05月30日

『孤独な深窓の令嬢はギャルの夢を見るか』

数々の作品を上梓してきた 九曜 先生が「電撃文庫」に初登場。昼の学校では深窓の令嬢、
夜のコンビニではギャルとして振る舞う少女と縁をもつことになる少年の物語を描きます。
(イラスト:椎名くろ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/galyume/322310000065.html


同じクラスで接点のない優等生の“瑞希”と、鼻つまみ者の“公親”。そんな2人が夜の
コンビニで会い、しかも彼女がギャル系ファッションの装いでいることを知る者はいない。
こんな状況になった所以は「ある事件」に遭遇した彼女を彼が助けたところまで遡る──。

「特別な何か」になりたい、と願う“瑞希”の本心に気づいてくれた“公親”に淡い想い
を募らせていく彼女のが何ともこそばゆい。けれど彼女が「深窓の令嬢」と「ギャル」の
乖離を埋めなければならない時は来る。その際に見せる彼女の立ち居振る舞いが印象深い。

まっとうな人間になりたい、と思う“公親”がその道半ばであったが故に“瑞希”の救い
となれた不器用さ、無骨さが実に格好良い。彼女と再び関わっていくことで変化する彼を
見届ける“竜之介”と“セレナ”の関わり方にも注目。2人の変化に期待したい作品です。

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小説アプリ「テラーノベル」無断転載レポート(2024/05/30)























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2024年05月29日

『塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い9』

猿渡かざみ 先生が贈る青春ラブコメ。第9巻は“姫茴”のSNSが大反響を呼び盛況に沸く
「cafe tutsuji」を巡って不安と葛藤が交錯する“颯太”と“こはる”の機微を描きます。
(イラスト:Aちき 先生)

https://www.shogakukan.co.jp/books/09453190
https://urasunday.com/title/1301


「カフェのお手伝いさん」として忙しない日々を送る“颯太”を励ましたい、とあれこれ
手を尽くす“こはる”のいじらしさは相変わらず。そんな彼女の前のめりな空回り具合が
まさか“颯太”の進路問題として波紋を起こすことになるとは予想だにしていないワケで。

「cafe tutsuji」に込められた想い。それを知っているが故に父親からあの発言があれば
“颯太”が冷戦に突入するのも致し方なくて。けれど他にやりたいこともない彼が迷いに
迷うのも無理はなくて。軸が定まるまでの彼の葛藤は見ていてしんどいものがありました。

「カフェアルバイター」としての地位を与えた“清左衛門”の、何と言葉足らずなことか。
振り返ってみるとそこに尽きる今回の顛末でしたが、結果的には彼の成長にもつながって
御の字といった所でしょうか。あの「ASMR」の流れに可能性を感じつつ、次巻を待ちます。

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