2024年04月19日

『月の白さを知りてまどろむ3』

古宮九時 先生が贈る、人の意志と覚悟を問う異類婚姻譚。第3巻は“サァリ”の血を求む
悪意が世の騒乱と共にアイリーデへ手を伸ばす中、彼女が神供を選ぶ決断の時を迎えます。
(イラスト:新井テル子 先生)

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“シシュ”の求婚するタイミングも、その流れで“サァリ”の不興を買うのも彼ならでは。
そんな微笑ましいやり取りを楽しむのも束の間、彼女の血を悪用する者共の悪意は彼の心
すら蝕むという醜悪さ。「客取り」の決断をここで迫られるのもまた彼女ならではなのか。

「女を守って死ぬ」という予言の真意。人の死とは何か。ヒトの姿をしているからこその
誤解を“サァリ”の供物になるということで体現して解く“シシュ”の振舞いが興味深い。
というかどこまでも察しの悪い彼の言動とそれに対する彼女の反応が面白くて仕方がない。

“サァリ”が“シシュ”と共に最大の悪意を退けたとしてもアイリーデに騒動は尽きない。
彼も「家」のことに振り回されて同情を禁じ得ないと思いつつ心はすでにアイリーデへと
移っているのが分かる後日譚の描写も印象深い。2人の悠久の幸せと完結を祝う次第です。

posted by 秋野ソラ at 00:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル