TVアニメ化に向け準備が進む、七菜なな 先生が贈る青春〈友情〉ラブコメディ。シリーズ
9冊目はアクセクリエイターとしても道に迷う“悠宇”の家に意外な人物が押し掛けます。
(イラスト:Parum 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/danjoru/322303001008.html 】
“悠宇”の心の隙間を埋める、というよりは気の向け方を変えるために現れたと言っても
過言ではない“城山”との住み込み修行スタート。同輩ではなく先輩を頼る形になるのも
彼女の年齢に見合わない感性を持っているから、という点を深掘りする話の数々が面白い。
“城山”と“悠宇”がアクセ談義に話を咲かせる楽しそうな雰囲気に水を差す新人バイト。
思いがけない女子の闖入もまた、彼にとってアクセとは何なのか、をいま一度見つめ直す
良いきっかけにはなったようで何より。“城山”と違って相性が悪いのは目を瞑るとして。
“日葵”や“凛音”を使って男女の友情を語る機会が無くなれば2人の出番も減るワケで。
姉の“咲”が都度告げる的確な助言に従って“悠宇”がまた一人、アクセ作りに邁進する
・・・ということでもなさそうな仕込みがどこで効いてくるか。続きを確かめる必要ありです。
2024年04月15日
『サイレント・ウィッチ -another- 結界の魔術師の成り上がり〈下〉』
依空まつり 先生が贈るファンタジー作品。シリーズ10冊目はスピンオフ。七賢人になる
以前の若き“ルイス”がその夢を、そして“ロザリー”との結婚を掴むため邁進します。
(イラスト:藤実なんな 先生)
【 https://kadokawabooks.jp/product/silentwitch/322307000844.html 】
“ルイス”の不幸な所は「七賢人になるのは“ロザリー”と結婚するため」ということを
知っておいてほしい人が知らない点。それ故にここまで拗れるし、誤解されるしで同情を
禁じ得ない展開の連続でした。転じて物語として面白くなる訳にもなるのでご愁傷様です。
“ロザリー”としてもようやく“ルイス”に再会できたと思えばあの様変わり様で戸惑う
のも無理はなくて。これは明らかに父が「あれ」をやらかしたせいなので彼女に非はなく、
彼女自身がその違和をどう埋めていくか、その過程から2人の絆を強く感じられて良き哉。
“モニカ”と“ルイス”の邂逅、七賢人の空席を巡る因縁、そして同期の関係に至る顛末。
彼女の才能を稀有なものと認めつつ、使える時にしっかりこき使う関係を築く彼の手腕は
田舎のクソガキから成長した証とも言えるかと。家族を得る彼の物語、とても素敵でした。
以前の若き“ルイス”がその夢を、そして“ロザリー”との結婚を掴むため邁進します。
(イラスト:藤実なんな 先生)
【 https://kadokawabooks.jp/product/silentwitch/322307000844.html 】
“ルイス”の不幸な所は「七賢人になるのは“ロザリー”と結婚するため」ということを
知っておいてほしい人が知らない点。それ故にここまで拗れるし、誤解されるしで同情を
禁じ得ない展開の連続でした。転じて物語として面白くなる訳にもなるのでご愁傷様です。
“ロザリー”としてもようやく“ルイス”に再会できたと思えばあの様変わり様で戸惑う
のも無理はなくて。これは明らかに父が「あれ」をやらかしたせいなので彼女に非はなく、
彼女自身がその違和をどう埋めていくか、その過程から2人の絆を強く感じられて良き哉。
“モニカ”と“ルイス”の邂逅、七賢人の空席を巡る因縁、そして同期の関係に至る顛末。
彼女の才能を稀有なものと認めつつ、使える時にしっかりこき使う関係を築く彼の手腕は
田舎のクソガキから成長した証とも言えるかと。家族を得る彼の物語、とても素敵でした。
2024年04月12日
『ちいさな君と、こえを遠くに3』
くうねりん 先生のコミックス発売も近づく、ツカサ 先生が贈る、夢を諦めかけた少年と
夢に向かう少女たちの物語。第3巻は“カナタ”たちが思い描く夢の行く先を描きます。
(イラスト:しらたま 先生)
【 https://lanove.kodansha.co.jp/books/2024/4/3.html 】
【 https://shonen-sirius.com/series/w_sirius/chiikoe/ 】
声優養成所でも頭角を現す“空”に対して差がつき始める“奏太”。忙しい彼女を気遣う
一方で、忙しさと年齢差が逢う機会も時間も削っていくことを受け入れてしまうのもまた
彼らしい。その中で隙を突くかのように彼へ想いを伝える女の子たちの前向きさが対称的。
もちろん“空”だって“奏太”に対する気持ちでは誰にも負けない、と時間の合間を縫い
自分の言葉でそれを伝える訳ですが、結果は想像するに難くはなく。見かねた“エレナ”
らしい喝の入れ方は彼らをちゃんと見てきた証左でもあることが分かって印象深い一面で。
“空”に対して“奏太”がしたいことは何か。土壇場で覚悟を決めた彼の持ち前の強さが
運命を引き寄せる展開にひとまず安堵するものの、“汀”も呆れるほど面倒な2人の関係
には驚かされました。タイトルに込めた意味もしっかり決まってお見事、と言えましょう。
夢に向かう少女たちの物語。第3巻は“カナタ”たちが思い描く夢の行く先を描きます。
(イラスト:しらたま 先生)
【 https://lanove.kodansha.co.jp/books/2024/4/3.html 】
【 https://shonen-sirius.com/series/w_sirius/chiikoe/ 】
声優養成所でも頭角を現す“空”に対して差がつき始める“奏太”。忙しい彼女を気遣う
一方で、忙しさと年齢差が逢う機会も時間も削っていくことを受け入れてしまうのもまた
彼らしい。その中で隙を突くかのように彼へ想いを伝える女の子たちの前向きさが対称的。
もちろん“空”だって“奏太”に対する気持ちでは誰にも負けない、と時間の合間を縫い
自分の言葉でそれを伝える訳ですが、結果は想像するに難くはなく。見かねた“エレナ”
らしい喝の入れ方は彼らをちゃんと見てきた証左でもあることが分かって印象深い一面で。
“空”に対して“奏太”がしたいことは何か。土壇場で覚悟を決めた彼の持ち前の強さが
運命を引き寄せる展開にひとまず安堵するものの、“汀”も呆れるほど面倒な2人の関係
には驚かされました。タイトルに込めた意味もしっかり決まってお見事、と言えましょう。
2024年04月11日
『黒幕ゲーム 学園の黒幕ですが完全犯罪で世界を救ってもいいですか?』
「ライアー・ライアー」の 久追遥希 先生が贈る新作は、超常の力で悪事を働く者たちを
断罪する捕獲者、その卵たちが最悪の未来を覆すべく完全犯罪組織を作る顛末を描きます。
(イラスト:たかやKi 先生)
【 https://mfbunkoj.jp/product/kuromakugame/322311001290.html 】
超常の力《才能》による犯罪を抑止する捕獲者の存在によって社会の秩序が保たれる世界。
有名捕獲者に憧れ養成学校に進学した“来都”は「夢」を見る。憧れの人、そして秩序が
失われる未来を。その絶望を回避すべく彼は仲間を集め、壮大な計画を実行に移すが──。
候補4人をどう仲間にするか。その手法もさることながら、個性的すぎるキャラクターと
《才能》の使い方が面白い。その4人を束ねる“来都”が限定的に夢で見る未来も秘密が
多い上に、彼が憧れる“光凛”との関係が一方的じゃないことに意味のある点も興味深い。
“来都”たちが「完全犯罪で世界を救う」とはどういうことか、を示す宿泊研修での一幕。
とある人物との腹の探り合いは、彼らが結成した完全犯罪組織の密かなデビューを飾るに
ふさわしい滑り出しでした。運命の悪堕ちを防ぎきれるか、彼らの活躍に注目したいです。
断罪する捕獲者、その卵たちが最悪の未来を覆すべく完全犯罪組織を作る顛末を描きます。
(イラスト:たかやKi 先生)
【 https://mfbunkoj.jp/product/kuromakugame/322311001290.html 】
超常の力《才能》による犯罪を抑止する捕獲者の存在によって社会の秩序が保たれる世界。
有名捕獲者に憧れ養成学校に進学した“来都”は「夢」を見る。憧れの人、そして秩序が
失われる未来を。その絶望を回避すべく彼は仲間を集め、壮大な計画を実行に移すが──。
候補4人をどう仲間にするか。その手法もさることながら、個性的すぎるキャラクターと
《才能》の使い方が面白い。その4人を束ねる“来都”が限定的に夢で見る未来も秘密が
多い上に、彼が憧れる“光凛”との関係が一方的じゃないことに意味のある点も興味深い。
“来都”たちが「完全犯罪で世界を救う」とはどういうことか、を示す宿泊研修での一幕。
とある人物との腹の探り合いは、彼らが結成した完全犯罪組織の密かなデビューを飾るに
ふさわしい滑り出しでした。運命の悪堕ちを防ぎきれるか、彼らの活躍に注目したいです。
2024年04月10日
『死霊魔術の容疑者』
駄犬 先生のWeb小説投稿作が書籍化。人買いの家に攫われ、死霊魔術師に買われた少女が
血筋とたゆまぬ努力とかけがえのない縁を活かし世界を動かす契機を作る顛末を描きます。
(イラスト:遠田志帆 先生)
【 https://gcnovels.jp/book/1645 】
【 https://ncode.syosetu.com/n4096if/ 】
かつて世界を支配していた「アスラの民」は魔法適性の高い少数民族。支配していた奴隷
階級の反乱により弾圧されたその民族の末裔“ルナ”は身を売られた先で死霊魔術を学ぶ。
とある騎士から身の上と魔術の師について聞かれた彼女は少しずつ打ち明けていくが──。
人買いの家における教育方針や身寄りがないという背景から独特な考え方を持つ“ルナ”。
彼女をある目的のために買った“カーン”。彼女は彼を、彼は彼女のことをどう思ったか。
互いの視点から描かれる、幸せそうだったのにどこか不幸せな話が切なさを感じさせます。
また、街で出会った“ラト”との最悪な出会いから、思いがけず長い縁を結ぶことになる
“ルナ”が辿った一連の顛末は、人としての理を外れてしまった彼女ゆえの、そして一人
残されていく者の生き様を印象づけます。得も言われぬ余韻が残る読了感を味わいました。
血筋とたゆまぬ努力とかけがえのない縁を活かし世界を動かす契機を作る顛末を描きます。
(イラスト:遠田志帆 先生)
【 https://gcnovels.jp/book/1645 】
【 https://ncode.syosetu.com/n4096if/ 】
かつて世界を支配していた「アスラの民」は魔法適性の高い少数民族。支配していた奴隷
階級の反乱により弾圧されたその民族の末裔“ルナ”は身を売られた先で死霊魔術を学ぶ。
とある騎士から身の上と魔術の師について聞かれた彼女は少しずつ打ち明けていくが──。
人買いの家における教育方針や身寄りがないという背景から独特な考え方を持つ“ルナ”。
彼女をある目的のために買った“カーン”。彼女は彼を、彼は彼女のことをどう思ったか。
互いの視点から描かれる、幸せそうだったのにどこか不幸せな話が切なさを感じさせます。
また、街で出会った“ラト”との最悪な出会いから、思いがけず長い縁を結ぶことになる
“ルナ”が辿った一連の顛末は、人としての理を外れてしまった彼女ゆえの、そして一人
残されていく者の生き様を印象づけます。得も言われぬ余韻が残る読了感を味わいました。