五十嵐雄策 先生が贈る青春リベンジストーリー。第2巻は“安芸宮”のいない2週目の
高校一年生を過ごす“藤ヶ谷”が、もう一度彼女に会うために手がかりを追い求めます。
(イラスト:はねこと 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/seisyunnisyume/322311000652.html 】
一度目とは別の高校で、“佐伯”や“美羽”も同じ高校に通うが“安芸宮”の姿は無く。
騒がしい教室の中にも、夏の日差しに晒される屋上にも、美術室に描かれている絵にも。
“美羽”が何度も言葉で、態度で示す好意に戸惑う“藤ヶ谷”の姿は同情すら覚えます。
中学時代に別れている、という“安芸宮”の手掛かりを掴むチャンスもまた「向日葵」
なのが“藤ヶ谷”らしい。彼女の姿を追い求めていく度に“美羽”の想いが空回りして
しまう報われない展開は得も言われぬ感情を呼び起こします。めっちゃいい子なだけに。
“安芸宮”が“藤ヶ谷”を拒絶する理由。何度も「やり直す」目に遭う彼女の心をまだ
理解しきれていないと思われる彼が選んだ道の先は正しそうに見えてぬか喜びの結末で。
「最後のタイムリープ」に臨む2人は共に未来を歩んでいけるか見届けたいと思います。
2024年03月22日
2024年03月21日
『幼なじみが絶対に負けないラブコメ12』
二丸修一 先生が贈る大人気ヒロインレース。第12巻は卒業記念のショートムービー制作に
込められた“哲彦”の意図を察した“末晴”が群青同盟の面々も巻き込んで手を打ちます。
(イラスト:しぐれうい 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/osamake/322303001007.html 】
【 https://osamake.com/ 】
父に母に、そして「彼女」に大きく生き様を狂わされた“哲彦”の心根がようやく見えて。
ここまで覚悟を決めている彼を止めにかかる“末晴”の意思と行動力に逞しさすら覚えて。
その両者に一定以上の理解を示す“玲菜”の立ち居振る舞いが今巻では印象深く映ります。
ショートムービーの演技に全力を注ぐ“末晴”の傍らで、ヒロインレースの小競り合いを
続けている“黒羽”や“白草”そして“真理愛”。彼女たちの知らないところで彼もまた
覚悟を決めたというのが驚きで“阿部”先輩と「彼女」のやり取りは必見とも言える場面。
“哲彦”の胡乱な計画も実現間近、という局面で水を差す“末晴”の一手がやはり見所で。
あの日あの時あの場所で始まった群青同盟を決着の材料に選ぶあたりは、エンタメ業界に
身を置く者としての宿命なのかも知れません。すべてに決着がつく最終巻を見届けます。
込められた“哲彦”の意図を察した“末晴”が群青同盟の面々も巻き込んで手を打ちます。
(イラスト:しぐれうい 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/osamake/322303001007.html 】
【 https://osamake.com/ 】
父に母に、そして「彼女」に大きく生き様を狂わされた“哲彦”の心根がようやく見えて。
ここまで覚悟を決めている彼を止めにかかる“末晴”の意思と行動力に逞しさすら覚えて。
その両者に一定以上の理解を示す“玲菜”の立ち居振る舞いが今巻では印象深く映ります。
ショートムービーの演技に全力を注ぐ“末晴”の傍らで、ヒロインレースの小競り合いを
続けている“黒羽”や“白草”そして“真理愛”。彼女たちの知らないところで彼もまた
覚悟を決めたというのが驚きで“阿部”先輩と「彼女」のやり取りは必見とも言える場面。
“哲彦”の胡乱な計画も実現間近、という局面で水を差す“末晴”の一手がやはり見所で。
あの日あの時あの場所で始まった群青同盟を決着の材料に選ぶあたりは、エンタメ業界に
身を置く者としての宿命なのかも知れません。すべてに決着がつく最終巻を見届けます。
2024年03月20日
『蒼剣の歪み絶ち』
那西崇那 先生の「第30回電撃小説大賞・金賞」受賞作。超常現象を引き起こす「歪理物」
の収集と破壊を担う調査員の一人、《魔剣》に呪われた少年が辿る数奇な運命を描きます。
(イラスト:NOCO 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/yugamidachi/322310000073.html 】
文字を食べる本《無題》によってその概念ごと物も、者も消失した住宅街に佇立する少女
“日継”の前に現れた調査員の少年と少女。“伽羅森”“アーカイブ”と名乗った2人は
あの本を絶対に破壊すると約束し彼は西洋剣を手に、彼女は歪理術を駆使して臨むが──。
《魔剣》を一度抜くと発動する、その剣に「生きたい」と願った代償に“アーカイブ”の
存在が欠かせないにしても、「己に決められた運命」に従って動く彼女に翻弄される彼が
実に不憫。彼女の存在があの忌まわしい過去にも直結しているだけに同情を禁じ得ません。
調査員としての仕事の一つ、と思っていた“日継”との件が物語の行方を大きく左右する
ことになる話運びは中々に興味深い。生き残ってしまった意味を捜し続ける“伽羅森”が
選んだ道は悲願を達成した喜びよりもどこか哀愁を漂わせ、不思議な読了感を味わえます。
の収集と破壊を担う調査員の一人、《魔剣》に呪われた少年が辿る数奇な運命を描きます。
(イラスト:NOCO 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/yugamidachi/322310000073.html 】
文字を食べる本《無題》によってその概念ごと物も、者も消失した住宅街に佇立する少女
“日継”の前に現れた調査員の少年と少女。“伽羅森”“アーカイブ”と名乗った2人は
あの本を絶対に破壊すると約束し彼は西洋剣を手に、彼女は歪理術を駆使して臨むが──。
《魔剣》を一度抜くと発動する、その剣に「生きたい」と願った代償に“アーカイブ”の
存在が欠かせないにしても、「己に決められた運命」に従って動く彼女に翻弄される彼が
実に不憫。彼女の存在があの忌まわしい過去にも直結しているだけに同情を禁じ得ません。
調査員としての仕事の一つ、と思っていた“日継”との件が物語の行方を大きく左右する
ことになる話運びは中々に興味深い。生き残ってしまった意味を捜し続ける“伽羅森”が
選んだ道は悲願を達成した喜びよりもどこか哀愁を漂わせ、不思議な読了感を味わえます。
2024年03月19日
『飯楽園-メシトピア- II 憂食ガバメント』
和ヶ原聡司 先生が贈る、食と自由を巡るメシ×ディストピア・ストーリー。第2巻は農場
という名の監獄で強制労働させられる“弥登”が“ニッシン”と再会する約束に挑みます。
(イラスト:とうち 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/meshitopia/322307000333.html 】
「いつかは農場を出る」と嘯く“弥登”が一度は挫けそうになりながらも“戸丸”を始め
様々な人との出会いから奮起していく様子は読んでいてエネルギーを貰える気がしました。
彼女が体験した「農場」というシステムは、現実世界の未来を色々と考えさせられました。
「弥登を絶対に迎えに行く」と息巻く“ニッシン”、それに同道する“古閑”“松下”が
それぞれに見せる葛藤が、これまでの生き様、背負うものの大きさを裏打ちして印象深い。
救出作戦の要となる「あの情報」を得るため挑んだ駆け引きでは、漢を魅せてくれました。
“弥登”と“ニッシン”が、「農場」の内外から二正面作戦を仕掛けていく過程で触れた
この日本の暗部を目にしてどんな想いを発露したか、ぜひ見届けてもらいたい話運びです。
続きそうな引き具合、でも「あとがき」では一区切り。このままでは勿体ない気がします。
という名の監獄で強制労働させられる“弥登”が“ニッシン”と再会する約束に挑みます。
(イラスト:とうち 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/meshitopia/322307000333.html 】
「いつかは農場を出る」と嘯く“弥登”が一度は挫けそうになりながらも“戸丸”を始め
様々な人との出会いから奮起していく様子は読んでいてエネルギーを貰える気がしました。
彼女が体験した「農場」というシステムは、現実世界の未来を色々と考えさせられました。
「弥登を絶対に迎えに行く」と息巻く“ニッシン”、それに同道する“古閑”“松下”が
それぞれに見せる葛藤が、これまでの生き様、背負うものの大きさを裏打ちして印象深い。
救出作戦の要となる「あの情報」を得るため挑んだ駆け引きでは、漢を魅せてくれました。
“弥登”と“ニッシン”が、「農場」の内外から二正面作戦を仕掛けていく過程で触れた
この日本の暗部を目にしてどんな想いを発露したか、ぜひ見届けてもらいたい話運びです。
続きそうな引き具合、でも「あとがき」では一区切り。このままでは勿体ない気がします。
2024年03月18日
『わたし、二番目の彼女でいいから。7』
西条陽 先生が描く少年少女の不健全な恋愛模様。第7巻は“遠野”を彼女にした“桐島”
が“橘”や“早坂”そして“宮前”との関係を整理できないまま、クリスマスを迎えます。
(イラスト:Re岳 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/nibanmenokanojo/322308000301.html 】
【 https://comic-walker.com/detail/KC_003276_S 】
デートをトリプルブッキングさせてしまう“桐島”に“浜波”のツッコミが追いつかない。
面白がってはいけない局面でありながら面白すぎる展開から、天才軍師として策を弄する
彼女ですら及びもつかない、彼の女性関係がもたらす心の力場と揺らぎはもはや狂気の域。
だらしなさに拍車の掛かる“桐島”の決定的瞬間を目の当たりにした“遠野”と“福田”。
それでも一緒に旅ができる神経に“浜波”が慄く傍らで、“遠野”も“福田”も己の道を
踏み外す覚悟を決める様子はまるでホラー。“早坂”も未練たらたらで着地点が五里霧中。
“桐島”が金色の夜叉になれるなら、こんな事態に陥ってはいない。“遠野”との一歩を
踏み出せない彼の心を他人の正目で評価する「彼女」の言葉が何と的確なことか。やはり
高校生活の清算が必要な彼らが次に選ぶフィールドや如何に。次巻も更に目が離せません。
が“橘”や“早坂”そして“宮前”との関係を整理できないまま、クリスマスを迎えます。
(イラスト:Re岳 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/nibanmenokanojo/322308000301.html 】
【 https://comic-walker.com/detail/KC_003276_S 】
デートをトリプルブッキングさせてしまう“桐島”に“浜波”のツッコミが追いつかない。
面白がってはいけない局面でありながら面白すぎる展開から、天才軍師として策を弄する
彼女ですら及びもつかない、彼の女性関係がもたらす心の力場と揺らぎはもはや狂気の域。
だらしなさに拍車の掛かる“桐島”の決定的瞬間を目の当たりにした“遠野”と“福田”。
それでも一緒に旅ができる神経に“浜波”が慄く傍らで、“遠野”も“福田”も己の道を
踏み外す覚悟を決める様子はまるでホラー。“早坂”も未練たらたらで着地点が五里霧中。
“桐島”が金色の夜叉になれるなら、こんな事態に陥ってはいない。“遠野”との一歩を
踏み出せない彼の心を他人の正目で評価する「彼女」の言葉が何と的確なことか。やはり
高校生活の清算が必要な彼らが次に選ぶフィールドや如何に。次巻も更に目が離せません。