知念実希人 先生が贈る新感覚メディカル・ミステリー。第6巻は小説誌、アンソロジー
に掲載された2小編と、“鷹央”学生時代の師に纏わる事件を描く書き下ろしを収録です。
(イラスト/いとうのいぢ 先生)
【 https://www.j-n.co.jp/books/?goods_code=978-4-408-55865-3 】
『禁断の果実』は、同じ時期に発生しては勝手に治る急性肝炎に毎年悩まされる少年の話。
彼の特徴と時期から納得かつ興味深い症例。『七色の猫』はNPO絡みであり得る事件だけに
“鷹央”の激高する姿が目に映るかのよう。ぜひ物語の中だけで納まってほしい結末です。
「遺された挑戦状」は“鷹央”が診断医を目指す契機をもたらした昔の指導医“氷魚”の
示唆した、誰かに殺される可能性を目の当たりにする話。“氷魚”が院長を務める病院で
脳梗塞により他界したと聞いた“鷹央”が鶴の恩返しならぬ鷹の仇討ちに臨む姿は印象的。
病院の運営方針を巡る“氷魚”と兄の確執。“鷹央”と“氷魚”が同族なことに嫉妬すら
覚えていた姪。師匠と弟子の関係に“氷魚”が何を託し“鷹央”がどう応えるか。まるで
詰将棋の如く進む顛末をも楽しむ2人が交わす言葉に不思議と心温まるものを感じました。