2024年01月19日

『作家軽飯 〜失われた食を求めて〜』

サークル「作家軽飯」のコミックマーケット103における頒布作品。コロナ禍の影響により
畳まざるをえなかった数々の飲食店、そこで出されていた様々なメニューに思いを馳せて
カルロ・ゼンさん、蝉川夏哉さん、津田彷徨さんが筆を走らせた短編を収録されています。

https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=2183096


カルロ・ゼンさんの短編。「5分の3ビーフ」のちょっとした認識齟齬にカルロさんを苦笑
と共に擁護しつつ、もう出会うことのない味と、それらが形成してきた文化とも言うべき
何かの断絶に触れる度、胸中に哀愁が漂います。自分のご近所の変遷も思い浮かべながら。

蝉川夏哉さんの短編。今やドクターストップによって手が出せないような一品も交えつつ
大阪を軸として消えてしまった味もあれば思わぬ再会を期する話があって救われもしたり。
そしてなんと言っても描写に力の入り具合が窺える富士そば。自分も富士そば大好きです。

津田彷徨さんの短編。今年の正月にEテレ『ナンブンノイチ (14) 278分の1のヒトって?
ネットで小説を発表する人』で好きなネタを仕込んできたかのような茶目っ気にクスッと
しながら、終わりもあれば始まりもある話にどこか前向きになれる読了感を味わいました。

posted by 秋野ソラ at 00:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 同人誌