「ミミクリー・ガールズ」の ひたき 先生が贈る新作は、周囲に事件を誘発する体質だと
自認する双子の兄妹が定住せず全国を旅しながら路銀稼ぎに探偵業を営む顛末を描きます。
(イラスト:桑島黎音 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/322303000994.html 】
4月も近い雪山で吹雪に巻き込まれた“青士”と“赤音”が運よく宿泊に漕ぎつけた山荘。
部屋に盗聴器や隠しカメラがないか、オーナーが用意した食事に睡眠薬が盛られてないか
確認する彼が神経質になる様子はまるで事件が起こることを知っているかのようだが──。
法律を犯さず徹底的に証拠を集める“青士”。鋭い観察眼と卓越した話術を持つ“赤音”。
冒頭の「犯人の独白」から犯人が憤慨するまでの、流れるような追及の数々にまず圧巻で。
2人が言う「禁忌誘発体質」を訝しむ同業者“迷子”が次なる事件を誘発する流れも重畳。
探偵としてはちょっと詰めの甘い“迷子”や、彼女の関係者である“零”が見せる強かな
駆け引きなどからコミカルな要素を味わいつつ、タイトルにある「先廻り」の意味を堪能
させてくれる構成が魅力的です。ぜひシリーズ化してほしいと願う、オススメの一作です。
2024年01月03日
2024年01月02日
『探偵に推理をさせないでください。最悪の場合、世界が滅びる可能性がございますので。』
夜方宵 先生の「第19回 MF文庫Jライトノベル新人賞・審査員特別賞」受賞作。名探偵を
自称する美少女の助手になったミステリ好き少年が迷推理に振り回される顛末を描きます。
(イラスト:美和野らぐ 先生)
【 https://mfbunkoj.jp/product/tanteini/322308000958.html 】
交流のなかったクラスメイト“幸太”を助手に指名し、部室棟の一室を不当占拠していた
保健師“ゆゆ”を懐柔して拠点とし、「本格の研究」なるチームを立ち上げた“理耶”は
本格的名探偵を自称する美少女。そんな彼女に次々と助手や事件が舞い込んでくるが──。
学生が扱うにしては少々物騒な事件の謎を現場の調査や関係者の聴取を元に解決していく
だけだと「ラノベでミステリをやってみた」で終わる所にもう一品加えて様変わりさせた
のが本作。なるほど、これは「探偵に推理をさせないでください」と言いたくなる話です。
探偵が推理するのをどう妨害するか。“イリス”“姫咲”“雨名”と助手仲間からも一目
置かれるようになる“幸太”がミステリ好きだからこそ出来るアプローチの数々にご注目。
彼の秘密もさることながら“理耶”たちがどんな滅茶苦茶な事件に遭遇するのか期待です。
自称する美少女の助手になったミステリ好き少年が迷推理に振り回される顛末を描きます。
(イラスト:美和野らぐ 先生)
【 https://mfbunkoj.jp/product/tanteini/322308000958.html 】
交流のなかったクラスメイト“幸太”を助手に指名し、部室棟の一室を不当占拠していた
保健師“ゆゆ”を懐柔して拠点とし、「本格の研究」なるチームを立ち上げた“理耶”は
本格的名探偵を自称する美少女。そんな彼女に次々と助手や事件が舞い込んでくるが──。
学生が扱うにしては少々物騒な事件の謎を現場の調査や関係者の聴取を元に解決していく
だけだと「ラノベでミステリをやってみた」で終わる所にもう一品加えて様変わりさせた
のが本作。なるほど、これは「探偵に推理をさせないでください」と言いたくなる話です。
探偵が推理するのをどう妨害するか。“イリス”“姫咲”“雨名”と助手仲間からも一目
置かれるようになる“幸太”がミステリ好きだからこそ出来るアプローチの数々にご注目。
彼の秘密もさることながら“理耶”たちがどんな滅茶苦茶な事件に遭遇するのか期待です。
2024年01月01日
『死亡遊戯で飯を食う。5』
鵜飼有志 先生が贈る、デスゲームに興じる人々の生き様を描く物語。第5巻は右目の視力
を失いつつある“幽鬼”が生き残ろうとあがく様子を、師弟制度の逸話を絡めて描きます。
(イラスト:ねこめたる 先生)
【 https://mfbunkoj.jp/product/shibouyugi/322308000956.html 】
人にものを教える立場になって、自分がこれまで人に教わってきた様々なことを思い出す。
“白士”との邂逅の際には粋がっていた“幽鬼”の昔が見られたことや、押し掛けられた
“玉藻”の固い意志に困惑する“幽鬼”の今が覗けたことでそんな思いをまず抱くところ。
“幽鬼”が紹介された全盲のプレイヤー“鈴々”と会うのに必要な覚悟とは何か。それを
身をもって体感させられた“幽鬼”がへこたれずに“鈴々”が戦えてきた訳を始めとして
“幽鬼”に戦い方を教える意図まで見抜いていく顛末は互いに容赦がなくて思わず苦笑い。
「死なせたくないのなら、そばに置いておかなくちゃだめよ」と“鈴々”にいわれた一言。
人に教えることに責任を感じ続けていた“幽鬼”が出した結論とそれが導いた結末に驚愕
する間もなく、またとんでもない引きを用意してきた物語がどう続くか。次巻を待ちます。
を失いつつある“幽鬼”が生き残ろうとあがく様子を、師弟制度の逸話を絡めて描きます。
(イラスト:ねこめたる 先生)
【 https://mfbunkoj.jp/product/shibouyugi/322308000956.html 】
人にものを教える立場になって、自分がこれまで人に教わってきた様々なことを思い出す。
“白士”との邂逅の際には粋がっていた“幽鬼”の昔が見られたことや、押し掛けられた
“玉藻”の固い意志に困惑する“幽鬼”の今が覗けたことでそんな思いをまず抱くところ。
“幽鬼”が紹介された全盲のプレイヤー“鈴々”と会うのに必要な覚悟とは何か。それを
身をもって体感させられた“幽鬼”がへこたれずに“鈴々”が戦えてきた訳を始めとして
“幽鬼”に戦い方を教える意図まで見抜いていく顛末は互いに容赦がなくて思わず苦笑い。
「死なせたくないのなら、そばに置いておかなくちゃだめよ」と“鈴々”にいわれた一言。
人に教えることに責任を感じ続けていた“幽鬼”が出した結論とそれが導いた結末に驚愕
する間もなく、またとんでもない引きを用意してきた物語がどう続くか。次巻を待ちます。