2024年01月31日

『義妹生活10』

TVアニメ放映の準備が進む、三河ごーすと 先生が贈る恋愛生活小説。大台に乗る第10巻は
“悠太”と“沙季”が高校最後の夏を恋仲としてどう過ごすか、悩ましい心情を描きます。
(イラスト:Hiten 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/gimaiseikatsu/322309001130.html
https://mfbunkoj.jp/special/gimaiseikatsu/


“沙季”の“悠太”に対する独占欲が膨らんでいく様子が微笑ましく、出会った頃からは
想像できない言動にニヨニヨ。だからこそ、彼にアプローチを仕掛ける“小園”と真意を
問いかけ合う“沙季”が見せる葛藤の極み、かつ彼女らしい考え方が窺えて印象的でした。

“悠太”は予備校の勉強合宿に臨む意欲を見せるものの「“沙季”にふさわしくないと」
という理由に首を傾げてしまう彼女。2人が整理できないモヤモヤした感情を“藤波”が
第三者の視点で紐解く顛末が目を惹きます。Hiten 先生の挿絵もなかなかに刺激的でした。

おちゃらけながらも切り込んでくる“読売”先輩も、恋愛の先達として的確に娘の悩みに
一つの解を示す母“亜季子”も、察する所まで来たなぁと思うと感慨深いものがあります。
購入特典にある“工藤”准教授が喜ぶネタを提供するケースもOKと思いつつ次を待ちます。

posted by 秋野ソラ at 00:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2024年01月30日

『モンスターの肉を食っていたら王位に就いた件 2』

駄犬 先生が贈る、勘違いから始まる狂食英雄伝。第2巻はドルセンの皇女“カーミラ”が
ファルーンに単身潜入し、なぜか正妃の座を懸けた決戦が始まったりする顛末を描きます。
(イラスト:芝 先生)

https://gcnovels.jp/book/1613


剣術指南役を務める“ヤマト”の配慮、“カーミラ”を妹にすべく臨む“フラウ”の思慮、
彼女たちのためとしても始まる妃候補選考会に名乗りを上げてくる“カサンドラ”の考慮。
“マルス”の苦慮を他所に、世界制覇に向けて流されていく彼の状況が相変わらず面白い。

モンスターの肉を「きちんと調理して食べるべき」という“カーミラ”の真っ当な意見が
新鮮に映るくらいの異常さが常態化しているファルーンで、“マルス”が生肉を食べねば
ならないという概念を王国内に固着させる逸話も出てくるのだから同情を禁じ得ない所で。

思いがけず運命に翻弄される“シーラ”の経緯や、ドルセンの政変で“カーミラ”を含め
思う所ある者たちが力を見せつける動きを踏まえて、いよいよファルーンへの風当たりが
強くなるであろう苦境すら何事もなく乗り越えそうな“マルス”の今後の挙動に注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2024年01月29日

『フルメタル・パニック! Family』

賀東招二 先生のSFアクションシリーズに新作登場。世界の命運を懸けた最終決戦から20年、
“宗助”と“かなめ”が結婚しても平穏とはほど遠い非日常な日常を送る様子を描きます。
(イラスト:四季童子 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/202401fullmetaFamily/322304001301.html


“一郎”が住む家の隣に越してきた小野寺一家。海外生活が長く、治安を気にしたりする
妙な所はあるが、同級生の“夏美”は本好きながら悪絡みする男共を軽くあしらう強さも
見せる美少女で気後れするほど。その彼女が突然また引っ越すと告げてきたと思えば──。

“宗助”の不器用な生き方が相変わらずで苦笑いしつつ、“かなめ”の艶めかしさが特に
印象的で、四季童子 先生の挿絵を交えていつ体を重ねる流れに突入してもおかしくない
妙な緊張感を味わいました。各話ごとに居を転々とする構成も彼ららしくて面白い点です。

両親の特徴を興味深い形で受け継いでいる“夏美”と“安斗”の振舞いも興味深いですし、
“恭子”たちのように“宗助”と“かなめ”を取り巻く友人たちのその後も見られるのは
ファンの一人としても有難い限り。騒乱必至の相良一家に平穏は訪れるのか、見ものです。

posted by 秋野ソラ at 00:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2024年01月26日

『神さま学校の落ちこぼれ 3』

日向夏 先生が贈るスピリチュアルスクールドラマ。第3巻は“ナギ”が実家の神社再建を
目指す参考として“トータ”の実家、江道大社を職業見学する中で騒動に巻き込まれます。
(イラスト:赤瓦もどむ 先生 制作協力/花とゆめ編集部)

https://www.seikaisha.co.jp/information/2023/12/25-post-kamisama-3.html
https://www.hanayume.com/sakuhin/?id=35


“スサノオ”を江道大社に取り込むためなら手段を選ばない父と、父に従順な姉。実家に
居たくない“トータ”の気持ちが見えてきたのと同時に、その姉“サクヤ”が迂遠な計画
を遂行しているとは知らない彼の甘ちゃんぶりに憤りというかやるせなさがこみ上げます。

見学に同行できない“ホシノ”に脳内で語りかけられる“ナギ”の気苦労に苦笑いしつつ、
「なんか出る」と噂の大社の博物館にある古い予言書から祖母が見た未来や“たける”が
やろうとしていることを探れないかと模索した結果が「あれ」なのがまた不穏で興味津々。

“トータ”の父、いや江道大社の悲願達成を目前にして“ツクヨミ”と“ナギ”が授業で
触れていた内容が立ちはだかってくる仕掛けが印象に残ります。“みるる”らしい言動に
暗い結末を明るく払拭してもらいつつ、“たける”の目論見を知るために次巻を待ちます。

posted by 秋野ソラ at 00:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2024年01月25日

『不可逆怪異をあなたと2 床辻奇譚』

古宮九時 が贈るオカルトアクション。第2巻は床辻消失の脅威を前にして土地神となった
“蒼汰”、妹の“花乃”、彼と命運を同じくする“一妃”が思い思いの感情をぶつけます。
(イラスト:二色こぺ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/tokotsuji/322303001004.html


“一妃”が青己兄妹の関係を「面白い」と表現する感覚。共に暮らすことを楽しめる情緒。
“双華”が姉の価値観に示す無理解。自分たちと共に在るべきと集約を図る決定的な齟齬。
命を懸けた姉妹喧嘩の果てに流した涙の意味もまた「人でなし」の象徴のようで印象深い。

“花乃”が遭遇した《血汐事件》。その犠牲者の一人“紀子”にまつわる怪異と対峙する
“蒼汰”や“一妃”の姿を見て、自分の胸にある恐怖と向き合って、自分に出来ることは
何かを模索し、自分が自分であるための生き方を選ぶまでに成長したあのやり取りは見所。

“蒼汰”が妹を守るため地柱を半端な形で引き継いだその覚悟。酷評する“墨染雨”にも、
呆れる“夏宮”にも、そして怒りをあらわにする“双華”にも物理と鋼の精神力で示した
彼らしい振舞いが圧巻。妹の決意すら尊重する並外れた彼と、床辻の未来に幸らんことを。

posted by 秋野ソラ at 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル