2023年07月11日

『不実在探偵(アリス・シュレディンガー)の推理』

井上悠宇 先生が贈る新作は、「ハイ」「イイエ」「ワカラナイ」「関係ナイ」の答えのみ
返す、謎多きダイスが示す推理力を頼りに真相へ辿り着く刑事とその甥の活躍を描きます。
(イラスト:遠田志帆 先生)

https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000375723


強面の刑事“百鬼”とその相棒が担当する、密室殺人とも自殺とも判断がつきかねる事件。
不可解な死因に奇妙な人間関係。犯人逮捕が刑事の仕事で、謎解きは名探偵がすることと
割り切る彼は甥の“現”を訪ねる。彼の傍にいるはずの不実在探偵の力を頼るために──。

“現”と“百鬼”たちが繰り広げる質疑応答の応酬。事件解決に向けた緊迫感のある場面
でありながら、読者としては「ウミガメのスープ」のような水平思考クイズをリプレイで
楽しんでいくような感覚で読み進められるのが新鮮。まず探偵がいない時点で驚きですが。

“烏丸”に“アリス”と名付けられた“現”のイマジナリーフレンドは結局のところ誰か。
“百鬼”たちが追う事件からその正体が明らかになる、かもしれない話の魅せ方が絶妙で。
他人に見えないものが見える“現”の追究をぜひ、共に見届けたい。シリーズ化希望です。

posted by 秋野ソラ at 00:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル