2023年07月10日

『シャーロック+アカデミー Logic.1 犯罪王の孫、名探偵を論破する』

「転生ごときで逃げられるとでも、兄さん?」の 紙城境介 先生が贈る新作は、凶悪犯罪
に対応する探偵を育てる学園で、犯罪王の末裔が探偵を目指す顛末を描く学園黙示録です。
(イラスト:しらび 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/sherlockacademy/322301000872.html


犯罪演出家“不実崎未全”が披露する犯罪芸術に惹かれ、類する事件が後を絶たない時代。
後に犯罪王と呼ばれる彼の孫とは知らず育った“未咲”は何かと後ろ指を指されて過ごす。
そんな彼は探偵学園に入学し、探偵王の末裔“エヴラール”と運命の邂逅を果たすが──。

入学式から早々に、「模擬事件」を通して探偵を目指す新入生を試す生徒会長“瑠璃華”。
“未咲”たちが何かと物騒な事件に直面したり、その度に推理劇を披露していく展開の中、
振り返ってみるとこの構図に変わりがないことを分からせられる話の魅せ方は実にお見事。

「事件の手掛かりはすべて太字で示される」という布石の振り返りやすさも見所の一つで、
読み返してみると、話がより味わい深いものになることうけあい。“エヴラール”も驚く
“未咲”の推理力は、様々な思惑も踏まえてどこまで辿り着けるのか。続きが楽しみです。

posted by 秋野ソラ at 00:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2023年07月07日

『六畳間の侵略者!? 43』

健速 先生が贈る人気シリーズ。通算45冊目は“ラルグウィン”奪還に向けた“ファスタ”
や“グレバナス”たちの動向を探りつつ、万全の対策を講じる“孝太郎”たちを描きます。
(イラスト:ポコ 先生)

https://firecross.jp/hjbunko/product/1697


皇国議会で議論された「アライア帝が定めた特権」に関する解釈。“孝太郎”の係留策を
次々に打ち出す“エルファリア”の強かさには舌を巻きます。六畳間の面々が示す反応も
それぞれあって面白く、かつ興味深い。彼には悩みの種が増えて頭が痛い話でしょうけど。

“エルファリア”との話にも出た“ラルグウィン”奪還に対する備え。“ファスタ”との
関わりもあって、“孝太郎”が考える正義だけでなく対峙する相手にもまた信じる正義が
ある、だからこそ衝突する。その現実を改めて突き付けられた彼の葛藤が印象に残ります。

“グレバナス”との一戦では“孝太郎”たちも優位性で押し切るような決着はつけられず、
いよいよ難しい局面を迎えたことが結果としても見て取れます。例の闖入者には驚かされ
ましたけど、仲間を信じて切り抜けてくれることを信じつつ、次巻以降の展開をまちます。

posted by 秋野ソラ at 00:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2023年07月06日

『誰にも懐かないソロギャルが毎日お泊まりしたがってくる』

「ラピスリライツ 魔女たちのアルバム」のノベライズを担当した あさのハジメ 先生が
贈る新作は、ネット上の親友2人が同居する所から始まる甘くじれったい青春恋物語です。
(イラスト:ただのゆきこ 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/sologal/322303000117.html


“庵”がネット上の親友「サバトラ」と共に始めたWeb漫画は評判も上々で充実した日々
を過ごしている。ある日、住居トラブルに巻き込まれた親友を自宅で預かることになった
彼は、その親友が同じクラスで嫌われている女の子“綺奈”だと初めて知るのだが──。

ソロギャルとして過ごす“綺奈”の気概。社交的であろうと努める“庵”の矜持。そして
共に「創作」へと傾ける情熱と情念。互いに相手を同性だと思っていた“庵”と“綺奈”、
過去に縛られて生きてきた人生を変えるためのきっかけ作りが微笑ましくて、せつなくて。

“綺奈”のために“庵”はどうしてここまで気を遣えるのか。彼の双子の妹“いおり”の
指摘が胸に残ります。というか、彼女の思わせぶりな発言が俄然、気になって仕方がない
ワケでもありますけど。「工事」に例える粋な計らいがどんな物語を生むのか、注目です。

posted by 秋野ソラ at 01:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2023年07月05日

『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編9.5』

衣笠彰梧 先生が贈る新たな学園黙示録。2年生編・第9.5巻はインフルエンザに罹患した
“軽井沢”によって思惑が外れた“綾小路”と彼に関わる人々が過ごす冬休みを描きます。
イラスト:トモセ シュンサク

https://mfbunkoj.jp/product/youzitsu/322303000119.html


“一之瀬”の件ですれ違ったままの“綾小路”と“軽井沢”。恋人として関係することで
彼自身の中に変化が生まれるかどうかを探る様子が実験そのもの。成果がなければ冷淡に
切り離そうとする彼の心を知らず、彼女が繋ぎ止めきれるのか、引き続き注視したい所で。

これまでとは違い、“綾小路”の存在に目を掛ける人々があれやこれやと現れてきた点も
今回として見逃せない要素。“神室”など外からのアプローチは当然として、同クラス内
にも疑念が生じてきたことが今後を左右するか。3学期も早々に波乱万丈の予感がします。

“綾小路”を異性として気にする女子たちも増えつつある中、“坂柳”が一歩踏みこんだ
アプローチを仕掛けてきたシーンも印象深い。歯牙にもかけない彼がいつも通りなことも。
彼が“椎名”と例外的な距離感を取っている風なのも含めて情勢を見定める必要ありです。

posted by 秋野ソラ at 00:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2023年07月04日

『僕らの春は稲妻のように2』

鏡遊 先生が贈る新感覚ハイスピードラブコメ。第2巻は“白亜”との同居生活、そして
婚約発表と振り回していく彼女に負けじと“譲”も良好な関係を築くべく手を尽くします。
(イラスト:藤真拓哉 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/inazuma/322303000126.html


結婚式、そしてキス。“白亜”が生きているうちに実現できるかどうか、不安に思うより
行動に移すことができる“譲”の所作は今巻でも目を見張るものがあります。“紅坂”も
それを察して動いてくれる良い子で、“真白”は斜めに察しすぎて面白さ十二分な子です。

状況だけでなく場所すら変幻自在な“白亜”の自信にあふれた言動からは及びもつかない、
婚約発表で賑わう中で見せた不安な表情が、藤真 先生の挿絵とあわせて印象的。彼女も
“譲”もまだ中学生なんだ、というつい忘れがちなことを思い出させる一幕でもあります。

「愛してる」と言わせたい。“白亜”がそう言った意味の真実を打ち明けられてもなお
揺るがない覚悟を示す“譲”は彼女の傍に居続けられる、並び立てる存在になれるのか。
まだ6月まででこの密度感。夏の暑さに恋も愛へと昇華されるのか続きが気になる所です。

posted by 秋野ソラ at 00:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル