2023年06月29日

『霊能探偵・藤咲藤花は人の惨劇を嗤わない4』

綾里けいし 先生が贈るく現代伝奇ミステリ。第4巻は「神様」と邂逅し、滅亡も間近の
世界に在る“藤花”と“朔”が改めて救世の立役者として祭り上げられる顛末を描きます。
(イラスト:生川 先生)

https://www.shogakukan.co.jp/books/09453131


生者も死者も、どこに居ようとも在ろうとも、世界を構成する全てのものを呪う「神様」。
その達成のために振り撒かれる「伝染する殺意」と、抗うために必要な「藤咲の女たち」。
結局の所は藤咲家と関わらざるを得ない“藤花”と“朔”、何といたずらな運命なのかと。

殺伐とした世界を物ともせず2人だけのセカイに浸る“藤花”と“朔”の何と微笑ましく、
刹那で切ないことか。終末に向かう間にも受ける霊能探偵の内容も末世らしく、絶対なる
悪意をつまびらかにする彼女の変わらない様子からもどこか安堵してしまう自分がいます。

神殺し、そして神降ろし。あの日、「かみさま」に言われたことを“朔”が思い知る中で
彼が願うただ一つのことを心の底から吐き出した結果が導く幸せな結末の物悲しさたるや。
生川 先生の挿絵からも漂う余韻を噛みしめながら本作の完結を心より祝うことに致します。

posted by 秋野ソラ at 00:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル