2023年06月30日

『夜獣使い 黒き鏡』

綾里けいし 先生が「ハヤカワ文庫JA」から贈る新作は美麗怪異連作ミステリ。失踪した
母からの手紙を頼りに、怪異専門の探偵から助手として迎えられた少女の運命を辿ります。
(イラスト:青依青 先生)


https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000015484/


“ひなげし”の身を脅かすナニカの存在から守ってくれた母はもういない。身寄りのない
彼女は母の手紙に示された「黒屋敷」を頼る他に伝手はない。地図にないはずのその場で
彼女が出会った黒ずくめの男“鏡見”は全てを察し、彼の助手になるよう提案するが──。

圧倒的救済か、完膚なき破壊。探偵“鏡見”が受けた怪異な依頼の解決が辿る必定の結末。
「人でなし」と自身を表す彼が、文学表現を引用しながら事件を例えていくのが印象的で。
大抵がおどろおどろしくなるその話を“ひなげし”が度々物理で張り倒してくのが驚きで。

数々の事件で裏から糸を引く“白い女”が示す害意に“ひなげし”もまた晒されていく中、
“鏡見”が思いがけない流れで告げる、彼女の母が失踪した謎に纏わる真相に二度驚きで。
読み終えて分かる章題の意義もお見事。構成も連作短編で読みやすくオススメの作品です。

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小説アプリ「テラーノベル」無断転載レポート(2023/06/30 [2])


































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小説アプリ「テラーノベル」無断転載レポート(2023/06/30 [1])




































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2023年06月29日

『霊能探偵・藤咲藤花は人の惨劇を嗤わない4』

綾里けいし 先生が贈るく現代伝奇ミステリ。第4巻は「神様」と邂逅し、滅亡も間近の
世界に在る“藤花”と“朔”が改めて救世の立役者として祭り上げられる顛末を描きます。
(イラスト:生川 先生)

https://www.shogakukan.co.jp/books/09453131


生者も死者も、どこに居ようとも在ろうとも、世界を構成する全てのものを呪う「神様」。
その達成のために振り撒かれる「伝染する殺意」と、抗うために必要な「藤咲の女たち」。
結局の所は藤咲家と関わらざるを得ない“藤花”と“朔”、何といたずらな運命なのかと。

殺伐とした世界を物ともせず2人だけのセカイに浸る“藤花”と“朔”の何と微笑ましく、
刹那で切ないことか。終末に向かう間にも受ける霊能探偵の内容も末世らしく、絶対なる
悪意をつまびらかにする彼女の変わらない様子からもどこか安堵してしまう自分がいます。

神殺し、そして神降ろし。あの日、「かみさま」に言われたことを“朔”が思い知る中で
彼が願うただ一つのことを心の底から吐き出した結果が導く幸せな結末の物悲しさたるや。
生川 先生の挿絵からも漂う余韻を噛みしめながら本作の完結を心より祝うことに致します。

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小説アプリ「テラーノベル」無断転載レポート(2023/06/29 [3])




























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