2023年02月16日

『レプリカだって、恋をする。』

榛名丼 先生の「第29回電撃小説大賞・大賞」受賞作。オリジナルの代わりに嫌な日常を
こなす「レプリカ」が抱いた初めての恋を描くちょっと不思議な青春ラブストーリーです。
(イラスト:raemz 先生)

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“素直”には「セカンド」と称する、自分と瓜二つの存在がいる。学校に行くのが億劫な
ときなど肩代わりしてもらったりする便利な存在だ。幼い頃の喧嘩で仲直りを代行させる
目的で生んだ「セカンド」の変化や機微に気づくことなく、任せきりの日々は続くが──。

踵をダメにされたローファー。どこかに行きたいという願望。隠し続けて貯めた五十円玉。
ハーフアップの髪型にする区別。「セカンド」ではない名前。レプリカにも当然ある痛覚。
あの日、文芸部に入部してきた“秋也”と“ナオ”が心通わせていく過程が実に興味深い。

“律子”の言うダブルでも、ドッペルゲンガーでもない。オリジナルがあってのレプリカ。
きっかけはどうあれ、レプリカだって当たり前のように人として生きて、恋をしてもいい。
そう読み手の心をねじ伏せてくれる、爽快感あふれる青春ラブストーリー。オススメです。

posted by 秋野ソラ at 00:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル