「たとえば俺が、チャンピオンから王女のヒモにジョブチェンジしたとして。」シリーズ
の 藍藤唯 先生が贈る新作は、完璧超人な少年がしでかすハイスペック青春ラブコメです。
(イラスト:kodamazon 先生)
【 https://fantasiabunko.jp/product/202301seishun/322210001360.html 】
人助けと称して他人の問題に首を突っ込み続けた結果、資産を食い潰された父の姿を見て
反面教師とばかりに「完璧」であり続けることを目指す“五代”。しかし彼も父の悪癖を
継いでいて、クラスメイト“木下”の困り顔を見て見ぬふりができずに声を掛けるが──。
努力家だけど上手くいかない“木下”の頑張りを適切に成果へと結びつけていく“五代”。
鮮やかな手腕に助けられる彼女が彼に熱を上げるのは自然な流れにも関わらず、彼に全く
下心がない、というのが報われない。アプローチが空回りする“如月”の言動もせつない。
“五代”がいないと生きていけない、けど数多いる友だちの一人にしかなれない。そんな
現実を突きつけられた後に“木下”がとった行動には敬意を表したいところ。彼のことを
知り尽くしている悪友“雑賀”とのやり取りも興味深くて、続きが楽しみなシリーズです。
2023年02月07日
2023年02月06日
『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか18 小冊子付き特装版』
大森藤ノ 先生が贈る、一端の冒険者である少年と矮小なる女神が織り成す眷族の物語。
第18巻は「戦争遊戯」の顛末を描き、その裏側を綴る小冊子付き特装版が同時刊行です。
(イラスト:ヤスダスズヒト 先生)
【 https://ga.sbcr.jp/product/9784815618711/ 】
圧力をかける【フレイヤ・ファミリア】、何より“オッタル”を前に劣勢の「派閥連合」。
加勢できない“フィン”が絶望しかける“リリ”に託す知識、そして「指揮官の心構え」。
彼女が“ヘディン”と繰り広げる頭脳戦、策の読み合いが予想外すぎてまず驚かされます。
圧巻の死闘を繰り広げる戦争遊戯。為す術なく終わりかけた瞬間にカサンドラが予言した
「風が吹く」あの演出は鳥肌もの。『アストレア・レコード』を間に挟む意味が、意義が
ここにありました。実況や解説に熱が入るたび、戦局の行方に目が離せなくのを覚えます。
圧倒的な紙幅の中で描かれる人間ドラマ、そして美の女神たる“フレイヤ”が望んだもの。
彼女を、“シル”を救うために全身全霊を捧げて辿り着いた結末にはもう胸が震えました。
小冊子で触れられる戦の断片も印象深い内容でお薦めです。続く新章も期待しておきます。
第18巻は「戦争遊戯」の顛末を描き、その裏側を綴る小冊子付き特装版が同時刊行です。
(イラスト:ヤスダスズヒト 先生)
【 https://ga.sbcr.jp/product/9784815618711/ 】
圧力をかける【フレイヤ・ファミリア】、何より“オッタル”を前に劣勢の「派閥連合」。
加勢できない“フィン”が絶望しかける“リリ”に託す知識、そして「指揮官の心構え」。
彼女が“ヘディン”と繰り広げる頭脳戦、策の読み合いが予想外すぎてまず驚かされます。
圧巻の死闘を繰り広げる戦争遊戯。為す術なく終わりかけた瞬間にカサンドラが予言した
「風が吹く」あの演出は鳥肌もの。『アストレア・レコード』を間に挟む意味が、意義が
ここにありました。実況や解説に熱が入るたび、戦局の行方に目が離せなくのを覚えます。
圧倒的な紙幅の中で描かれる人間ドラマ、そして美の女神たる“フレイヤ”が望んだもの。
彼女を、“シル”を救うために全身全霊を捧げて辿り着いた結末にはもう胸が震えました。
小冊子で触れられる戦の断片も印象深い内容でお薦めです。続く新章も期待しておきます。
2023年02月03日
『猫と竜 ねこじゃらし畑と皇竜への贈りもの』
シリーズ累計62万部を超す猫と竜、人間が紡ぐ日々を描く アマラ 先生のファンタジー作。
5冊目は「竜のまたたび」を求めて猫たちが奔走する話など5つの小編が収録となります。
(イラスト:大熊まい 先生)
【 https://tkj.jp/book/?cd=TD038722 】
四代目“モシャモシャ”が遭遇した事件の犯人探しを“チークロ”たちが手伝う逸話や、
探偵を目指す若き“ハッカ”が老猫“ミズバショウ”と出会って街のみんなの困りごとを
解決していく顛末など、今巻はシティアドベンチャー要素の強い小編ぞろいなのが面白い。
“コキア”が世話になる魔法の薬店、その店主“ノルエンダ”の為人が街の人の評判通り
だと分かる経緯が人情味あふれていて好感触。“ホタテグサ”の言い草も演出として絶妙。
“ガリー”が散歩がてら魔法学校で良い影響を享受しあえているのが窺えるのも嬉しい話。
「竜のまたたび」に纏わる話は今巻の総まとめみたいな騒がしさが感じられて実に楽しい。
「あなたの猫が『猫と竜』に登場!?」キャンペーンに関する アマラ 先生からの御礼文や
佐々木泉 先生のコミックスも巻末に掲載されていたりして、ボリューム満点の一冊です。
5冊目は「竜のまたたび」を求めて猫たちが奔走する話など5つの小編が収録となります。
(イラスト:大熊まい 先生)
【 https://tkj.jp/book/?cd=TD038722 】
四代目“モシャモシャ”が遭遇した事件の犯人探しを“チークロ”たちが手伝う逸話や、
探偵を目指す若き“ハッカ”が老猫“ミズバショウ”と出会って街のみんなの困りごとを
解決していく顛末など、今巻はシティアドベンチャー要素の強い小編ぞろいなのが面白い。
“コキア”が世話になる魔法の薬店、その店主“ノルエンダ”の為人が街の人の評判通り
だと分かる経緯が人情味あふれていて好感触。“ホタテグサ”の言い草も演出として絶妙。
“ガリー”が散歩がてら魔法学校で良い影響を享受しあえているのが窺えるのも嬉しい話。
「竜のまたたび」に纏わる話は今巻の総まとめみたいな騒がしさが感じられて実に楽しい。
「あなたの猫が『猫と竜』に登場!?」キャンペーンに関する アマラ 先生からの御礼文や
佐々木泉 先生のコミックスも巻末に掲載されていたりして、ボリューム満点の一冊です。
2023年02月02日
『狼と香辛料XXIV Spring LogVII』
完全新作アニメが制作決定している、支倉凍砂 先生が贈る元行商人“ロレンス”と賢狼
“ホロ”の旅物語。第7巻はサロニアを救ったことで起こる難題が彼らに降りかかります。
(イラスト:文倉十 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/spice-and-wolf/322209000250.html 】
【 https://hasekuraisuna.jp/ 】
“ロレンス”によりサロニアで木材を安く調達できなくなった港町カーランが放つ二の矢。
彼がトーネブルク領の森林監督官“マイヤー”からその話を知り、領主“マチアス”から
かの港町と薄明の枢機卿との関係、その名代として“エーブ”の存在を知るからさあ大変。
“コル”たちを後援して穏やかにしてているのかと思えば“マチアス”らの話からすると
商売っ気を出してでマウントを取りに来ているという“エーブ”。揺れ動く社会情勢の中、
彼女が悪いワケじゃない、という話を前にしても安易に乗らないのが流石は“ロレンス”。
煮え湯を飲まされる、というほどでもないにせよ、思惑通りに事が進まない“エーブ”に
思わず同情したくもなる今回の顛末。“コル”たちのことを慮る彼女だからこそ贈られる
助言を“ロレンス”たちがどう受け止め、道を進んでいくのか注目しておきたいものです。
“ホロ”の旅物語。第7巻はサロニアを救ったことで起こる難題が彼らに降りかかります。
(イラスト:文倉十 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/spice-and-wolf/322209000250.html 】
【 https://hasekuraisuna.jp/ 】
“ロレンス”によりサロニアで木材を安く調達できなくなった港町カーランが放つ二の矢。
彼がトーネブルク領の森林監督官“マイヤー”からその話を知り、領主“マチアス”から
かの港町と薄明の枢機卿との関係、その名代として“エーブ”の存在を知るからさあ大変。
“コル”たちを後援して穏やかにしてているのかと思えば“マチアス”らの話からすると
商売っ気を出してでマウントを取りに来ているという“エーブ”。揺れ動く社会情勢の中、
彼女が悪いワケじゃない、という話を前にしても安易に乗らないのが流石は“ロレンス”。
煮え湯を飲まされる、というほどでもないにせよ、思惑通りに事が進まない“エーブ”に
思わず同情したくもなる今回の顛末。“コル”たちのことを慮る彼女だからこそ贈られる
助言を“ロレンス”たちがどう受け止め、道を進んでいくのか注目しておきたいものです。
2023年02月01日
『死亡遊戯で飯を食う。2』
鵜飼有志 先生が贈る、デスゲームに興じる人々の生き様を描く物語。第2巻は30回目の
ゲームで脱落するのか否か、「三十の壁」のジンクスに挑む“幽鬼”の顛末を描きます。
(イラスト:ねこめたる 先生)
【 https://mfbunkoj.jp/product/shibouyugi/322209001591.html 】
「スクラップビル(10回目)」にてここぞとばかりにリーダーシップを発揮する“御城”。
前巻のエピソードやこれまでの経験を踏まえて“幽鬼”が彼女を格下だと分からせる展開
には舌を巻きます。「お情け」で助けられた“御城”が抱く劣等感はどれほどのものかと。
「ゴールデンバス(30回目)」で臥薪嘗胆の道を経て、打倒“幽鬼”の悲願を果たせるか。
これまた前巻の話が、今度は足枷となって“御城”に追いつめられる“幽鬼”も例の壁を
超えられないのか、とヒヤヒヤさせられました。彼女の軸のぶれ具合が気になるところで。
九十九を超える。その夢を描く過程は別に時系列に沿っていなくても成立するのが今作の
構成の妙でもあり、興味深い要素でもあって。プレイヤーへの〈運営〉、エージェントの
関わり方に空恐ろしさを感じさせる点も見逃せません。次もどう魅せてくるか楽しみです。
ゲームで脱落するのか否か、「三十の壁」のジンクスに挑む“幽鬼”の顛末を描きます。
(イラスト:ねこめたる 先生)
【 https://mfbunkoj.jp/product/shibouyugi/322209001591.html 】
「スクラップビル(10回目)」にてここぞとばかりにリーダーシップを発揮する“御城”。
前巻のエピソードやこれまでの経験を踏まえて“幽鬼”が彼女を格下だと分からせる展開
には舌を巻きます。「お情け」で助けられた“御城”が抱く劣等感はどれほどのものかと。
「ゴールデンバス(30回目)」で臥薪嘗胆の道を経て、打倒“幽鬼”の悲願を果たせるか。
これまた前巻の話が、今度は足枷となって“御城”に追いつめられる“幽鬼”も例の壁を
超えられないのか、とヒヤヒヤさせられました。彼女の軸のぶれ具合が気になるところで。
九十九を超える。その夢を描く過程は別に時系列に沿っていなくても成立するのが今作の
構成の妙でもあり、興味深い要素でもあって。プレイヤーへの〈運営〉、エージェントの
関わり方に空恐ろしさを感じさせる点も見逃せません。次もどう魅せてくるか楽しみです。