2023年02月14日

『コミュ症なクラスメイトと友達になったら生き別れの妹だった』

「彼女と俺とみんなの放送」の 高峰自由 先生が「第14回講談社ラノベ文庫新人賞・佳作」
を 永峰自ゆウ 名義で受賞して贈る、絶対バレてはいけない兄妹による青春ラブコメです。
(イラスト:かがちさく 先生)

https://lanove.kodansha.co.jp/books/2023/2/1.html


校内随一の才媛“如月”からの告白を断る“真藤”には理由がある。転校続きで居心地の
悪かった学生生活を変えようと自分を高め、「みんなの友だち」で在りたいという理由が。
そんな彼は同じクラスの“篠宮”が昔の自分みたいに一人ぼっちでいるのが心配事で──。

友だち作りが苦手な“篠宮”が実は“真藤”の妹である。とある都合で父親からはあまり
関わらないよう言及されるものの、手伝うくらいはいいだろうとついつい気に掛ける彼が
どんどん良い方向へ変わっていく彼女に好感を抱かない訳がない。これが中々のジレンマ。

“篠宮”の急な変化に周りがついてこれないこともある。悪意を向けられてしまう彼女に
“真藤”が講じる一手が頼られるのに慣れて、頼ることに慣れないあたりも実に彼らしい。
違った意味で2人は友だちで居続けることができるのか、興味深い関係が気になる所です。

posted by 秋野ソラ at 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2023年02月13日

『ステラ・ステップ』

「落ちこぼれ天才竜医と白衣のヒナたち」から約2年半ぶりとなる 林星悟 先生の新作は
災害で疲弊した国々の代理戦争に費やされる「アイドル」に纏わる人々の運命を描きます。
(イラスト:餡こたく 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/sutesute/322209001592.html


人の感情でエネルギーを生む「共心石」が降り注ぎ、技術革新によって国々が新興し富を
奪い合う世界。人の感情を震わす少女「アイドル」を戦わせてその優劣を競う「戦舞台」
で負け無しの“レイン”は、“ハナ”との出会いを契機に戦い方を大きく左右される──。

この世界におけるアイドルの象徴たる“レイン”。本来の意味でのアイドルたる“ハナ”。
対称的な2人の邂逅によって、特に“レイン”へ好影響が生じる一方、プロデューサーが
忌避し続けてきたアイドル特有の病が話題に出ることで変わる物語の雰囲気がまず印象的。

戦争の道具としてではなく、笑顔で愛と勇気と希望を歌うアイドルとして“ハナ”と共に
“レイン”頑張っていく過程、“フレア”との因縁の対決を経て切磋琢磨していく・・・で
終わらせない引き具合が一番の興味深い要素。未来に何が待つのか気になるシリーズです。

posted by 秋野ソラ at 00:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2023年02月10日

『転生王女と天才令嬢の魔法革命6』

TVアニメが放映開始を迎えた、鴉ぴえろ 先生が贈る異世界百合ファンタジー。第6巻は
ヴァンパイアの悲願が何たるかを突き付けられた“アニス”と“ユフィ”が抗戦します。
(イラスト:きさらぎゆり 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/202001mahoukakumei/322209001609.html
https://tenten-kakumei.com/


ヴァンパイアの魔石に蓄積された経験を受け継ぐ“レイニ”の急成長ぶり。その検証の
一助とすべく彼女の亡き母“ティリス”の過去を探るうちに、彼女を知る“ルエラ”から
事実と悪意を向けられる展開で、冒頭の百合百合しい演出も吹き飛ぶいきなりの緊迫感。

「永遠」を求める“ライラナ”から色々な意味でケンカを売られた“ユフィ”。彼女でも
苦戦を強いられる戦いの中、“アニス”が選択を求められる場面と“レイニ”がその前に
問いかけた言葉が被る演出が中々に小憎い。“ユフィ”が狼狽えるのも無理はないことで。

既知の過去にとどまるより、未知の未来へ飛び込む覚悟が決まっている“アニス”ならば
手にする結末もおのずと分かるというもので。彼女のことを認めている“ティルティ”の
あの一言も印象深かったです。一区切りついた物語がどう進んでいくか、次巻も注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2023年02月09日

『神は遊戯に飢えている。6』

TVアニメ化企画が進む 細音啓 先生の人類VS神々の至高のファンタジー頭脳戦。第6巻は
世界最強チームに対する疑惑を確認すべく“フェイ”たちが神秘法院本部へ乗り込みます。
(イラスト:智瀬といろ 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/kami_to_game/322209001593.html


神々に十勝したとき貰えるご褒美。その具体的な内容について触れられていなかったのも
驚きでしたが、そこに乗ってくる“レーシェ”の思惑に改めて“フェイ”との接点を予感
させる匂わせ方が俄然、気になります。彼女の不安定さ、その所以も注視が必要そうです。

“ヘレネイア”たちは神か否か。それを確かめる鍵となる“ウロボロス”のコントロール
もお手の物な“ミランダ”には流石の一言。まさか“パール”にその流れを崩されるとは
話運びも絶妙な調整具合。にも拘わらず手札を明かしてくる最強チームの思惑が興味深い。

画して再会した“ケイオス”に試されるように一戦交える“フェイ”。駆け引きで魅せる
ゲーム展開と共に、商売っ気あるメタ的な発言に更なる可能性を求める貪欲な姿が窺えて
思わずニヤリとしました。過去と現在を結ぶ秘密を共有した彼の次なる一手が楽しみです。

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2023年02月08日

『精霊幻想記 23.春の戯曲』

北山結莉 先生が贈る異世界転生譚。第23巻は“リオ”たちが超越者のルールを覆す手を
探す一方、恋わずらいが燻ぶる“貴久”を目にする“美春”へ選択肢が突き付けられます。
(イラスト:Riv 先生)

https://firecross.jp/hjbunko/product/1626


“リオ”が“エリカ”の軌跡を辿るうちに気づいてしまった、彼女を聖女にさせた人の業。
彼があの場面で一言二言、余計なことを言いたくなるのも無理はなく。もう一つ、勇者が
力を引き出すきっかけについて推論を得たことがこの先、何かに繋がりそうな気がします。

“セリア”が今や遊撃手のように世界を駆け回る中、両親の“ローラン”と“モニカ”が
迫る悪意を前に決めた、果断にして勇断な選択。気苦労の絶えない“セリア”に気を遣う
“アリア”、そして“リーゼロッテ”もまた先々を見据えて道を選んだ人たちでもあって。

“美春”が夢で強く勧められた「絶対に間違っていると思う選択をすること」という助言。
彼女に“貴久”が執着する理由にも触れられて、“トスカーナ”公爵が下した決断もまた
むべなるかなという局面で締め括られるエピローグがどんな争いを呼ぶのか、要注視です。

posted by 秋野ソラ at 00:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル