2023年02月22日

『占い師オリハシの嘘2 偽りの罪状』

なみあと 先生が贈るミステリー作品。第2巻は「オリハシは詐欺師」と糾弾する記事を
書いて冤罪をかぶせようとする謎の人物と、その思惑を調べるべく“奏”が奔走します。
(イラスト:美和野らぐ 先生)

http://taiga.kodansha.co.jp/author/namiato.html#link9784065311059


「オリハシ業」を営む“紗枝”にとって糾弾記事は痛くも痒くもないが、今日も代役を
務めてくれる“奏”のことを考えるとそうも言ってはいられない。妹を気にかけるよう
申しつけられた“修二”へ、ここぞとばかりに攻め続ける“奏”の強かさが微笑ましい。

吸血鬼の眷族になった友人を調べる依頼。恋人がなくしたペアネックレスの失せ物探し。
どこか切ない余韻の残る仕事を肩代わりする“奏”に接触を図る同業者“リン”の思惑。
疑惑追及の手をゆるめない「カンジョウ」の正体を予想しながら読み進めるのが楽しい。

前巻から続くシリーズものと意識づけるような犯人設定は読んで確かめてもらうとして、
今巻で明らかになる「ある人物」の強い想いこそ本作を語る上でなくてはならない要素。
歪な人間関係の行く末を興味深く見届けていきたいので、ぜひ続刊を希望する次第です。

posted by 秋野ソラ at 00:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

「テラーノベル」仕様変更概要(2023/02/22)




















posted by 秋野ソラ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | テラーノベル

2023年02月21日

『クセつよ異種族で行列ができる結婚相談所 〜看板ネコ娘はカワイイだけじゃ務まらない〜』

五月雨きょうすけ 先生の「第29回電撃小説大賞・銀賞」受賞作。種族間戦争の集結を機に
作られた17種族が集う実験都市にある結婚相談所のドタバタを描く婚活ファンタジーです。
(イラスト:猫屋敷ぷしお 先生)

https://dengekibunko.jp/product/kusetuyo/322210000103.html


「世界が百人くらいの村だったら、簡単に治めてみせるさ」とは只人族、帝国皇帝の言明。
以来、争っていた17種族を実験都市に共存させ、発生した諸問題の解決策を真なる平和の
道標とした。その都市に移住した猫人族“アーニャ”は異種族の結婚式を見て驚くが──。

郷里にはなかった「結婚」という概念に憧れ、華やかな面も闇の深い部分も目にしながら
結婚相談所の秘書係として悪戦苦闘する“アーニャ”の言動が面白い。本来の結婚相談所
として勘所もしっかり押さえられていて婚活の雰囲気が味わえるのもポイントが高い要素。

“ドナ”や“ショウ”が何の為に実験都市で結婚相談所を営んでいるかを紐解いていけば
自ずと作中で明かされる謎について得心がいくというもの。エピローグで未来ある逸話に
心温まるものを覚えつつ、どんな形で物語を深掘りしていくのか続きが楽しみな作品です。

posted by 秋野ソラ at 00:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2023年02月20日

『勇者症候群』

彩月レイ 先生の「第29回電撃小説大賞・金賞」受賞作。女神によって現れる勇者が魔物と
錯覚して人に襲いかかるのを食い止めるために戦い続ける勇者殲滅部隊の活動を描きます。
(イラスト:りいちゅ 先生 クリーチャーデザイン:劇団イヌカレー(泥犬))

https://dengekibunko.jp/product/hero-syndrome/322210000100.html


少年はある日突然、異世界に転生して女神から「勇者」として魔族を倒すよう依頼される。
早速襲ってきたゴブリンをスキルで圧倒・・・する彼の姿こそ異形。“アズマ”率いる部隊が
「勇者」と戦う様子を観ていた研究職の“カグヤ”にその部隊への異動辞令が届くが──。

元人間の勇者を殺す点に特化する“アズマ”。勇者を人間に戻す研究に賭ける“カグヤ”。
呉越同舟、犬猿の仲な2人が勇者との戦いを通じてある可能性に気づき、共に女神に対抗
していこうとする過程でグイグイと心の距離が縮まって、信頼を築いていく雰囲気が良い。

女神の悪辣さに巻き込まれた「勇者」の形容しがたい異形ぶりを劇団イヌカレーの挿絵が
見事に演出できている点も注目。勇者に寄り添えると覚悟を決めた“カグヤ”が、勇者が
見られる限られた時間の中で“アズマ”と共に何を為せるのか、続きが気になる作品です。

posted by 秋野ソラ at 00:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2023年02月17日

『99回断罪されたループ令嬢ですが今世は「超絶愛されモード」ですって!? 2 〜真の力に目覚めて始まる100回目の人生〜』

「丸山ひま。」名義のWeb小説をもとに、裕時悠示 先生が贈るループ令嬢ファンタジー。
第2巻は“カルル”を学院へ送るのを不安がる“アルフィーナ”が教師として同行します。
(イラスト:ひだかなみ 先生)

https://drecom-media.jp/drenovels/product/15
https://ncode.syosetu.com/n6469hq/


読心魔法を封じて行動したらどうなるか。“アルフィーナ”を失った帝国が彼女を偉人と
称えるほど掌返しをしているのが面白い。“カルル”もすっかり人気者で不安要素はない
かと思えば同じクラスの“ヒッパー”が示す態度が妙で首を突っ込みたくなるのが彼女流。

では読心魔法の封印を解除したら。“ヒッパー”の抱く敵愾心が思わぬ陰謀と結びついて
いると分かれば“アルフィーナ”が座視しないなどあり得ず。結果として夢の隠棲生活も
元の木阿弥になるのは言うまでもなく。王子たちの鬱陶しさも過激化していてむしろ危険。

なら100回目のループを手放してみてはどうか。その驚くべき実験結果はご確認いただく
として、“ヒイロ”がいろいろと有能というか万能な点が話の展開を支援していてすごい。
どこであろうと、何回目であろうと“アルフィーナ”が己を全うするその姿に天晴れです。

posted by 秋野ソラ at 00:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル