2022年12月30日

『Unnamed Memory -after the end-II』

古宮九時 先生が贈る大ヒットファンタジー。世界の理から外れた王と魔女のその後を描く
第2巻はファルサス史上最悪の王と関わる所から始まる“オスカー”たちの話を綴ります。
(イラスト:chibi 先生)

https://dengekibunko.jp/product/unnamed/322208000022.html
https://unnamedmemory.com/


不老であって不死ではない。何気なくその意味を思考する“オスカー”が実際に試行する
ことになる小国「アンネリ」での顛末。“リースヒェン”の選択を見守る姿から彼がただ
“ティナーシャ”を“ティナーシャ”だから愛していることが伝わってくるのが素敵です。

花嫁衣裳を拵えるなど微笑ましく新鮮な2年間の新婚生活を経て2人が訪れた、東の大陸
にある強国「セーロン」。その王子“アリスティド”に好意を寄せられるあたり男運には
難ありと言うしかない“ティナーシャ”が示す「王の魔女」としての不変の愛がまた素敵。

「イクレム」であの本に翻弄される“フィレウス”と命運を共にするはずの弟“セノワ”。
“オスカー”が逸脱者、“ティナーシャ”が魔女として彼らに介入する顛末に哀愁と希望
がないまぜになっていて印象深い。「UM」アニメ化を祝いながら、2人の足跡を追います。

posted by 秋野ソラ at 00:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年12月29日

『勇者刑に処す 懲罰勇者9004隊刑務記録IV』

ロケット商会 先生が贈るアクションファンタジー。第4巻は聖女計画の本格始動に向けて
発動される第二王都奪還作戦に内部工作員として“ザイロ”たちが容赦なく投入されます。
(イラスト:めふぃすと 先生)

https://dengekibunko.jp/product/yushakei/322207000024.html
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_AM19202963010000_68/


まず潜入。“ザイロ”に同行する“フレンシィ”が彼の与り知らぬ所で“パトーシェ”と
良き対抗意識を築いていて微笑ましい。“ジェイス”と“ニーリィ”の絆と覚悟が会話を
通じて都度伝わってくるのが印象深い。“ライノー”の異名と経歴が見えてくる点も注目。

続いて工作。“ドッタ”の副官に就いた“トリシール”の教育ぶりが面白い。同様に聖女
“ユリサ”へ“ツァーヴ”が発破をかけたことが後々のアレに繋がったのかと思うと実に
興味深い。“ベネティム”が裏工作のためについた嘘の代償が高くつきそうで気になる所。

そして総力戦。“ノルガユ”の聖印兵器、“タツヤ”の戦斧、“テオリッタ”が出す聖剣。
勇者らしい戦い方と犠牲に圧倒されながら、今回の顛末として“アバドン”が打った真の
布石の不穏さに慄く引き具合。聖女計画が人類に一体何をもたらすか、続きを見届けます。

posted by 秋野ソラ at 00:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年12月28日

『榮国物語 春華とりかえ抄 七』

一石月下 先生が贈る男女逆転中華譚。第7巻は“莉珠”の母懐妊を機に噴き出した陰謀に
宮廷中が巻き込まれ、入れ替わりの件が暴露された“春蘭”と“春雷”が覚悟を決めます。
(イラスト:ノクシ 先生)

https://lbunko.kadokawa.co.jp/product/shunkatorikae/322003000819.html


「とりかえばや」モノで最大の山場となるバレたタイミングが悪すぎて“春蘭”と“春雷”
には耐え忍んでほしいと願う一方、そこからの流れ読んで動く“秋明”の穏やかならざる
雰囲気から最悪の結末を受け止める覚悟を決めなければならないかと諦観すら感じる展開。

代用がきく関係性か否か。“秋明”の示した答えを“春蘭”なりに受け止め、導いた解を
“海宝”と、そして“春雷”と共有し、道を切り開いていこうとする覚悟に圧倒されます。
糾弾する者たちに対して、これまでに築いてきた「実績」が盾になる攻め手には惚れ惚れ。

“白水”が示す最大の悪意に打ち勝つ鍵となる人物が、“秋明”にとっても意外な結末を
もたらしてくれる話運びは爽快。“海宝”もよくぞここまで待ったものです。“春雷”も
含めて希望ある未来の兆しも窺えて大満足です。無事の完結を心よりお祝い申し上げます。

posted by 秋野ソラ at 00:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年12月27日

『青春ブタ野郎はマイスチューデントの夢を見ない』

鴨志田一 先生が贈る青春ストーリー。シリーズ第12冊目は“透子”から思春期症候群を
与えられた“紗良”と“麻衣”に迫る危機を巡り“咲太”が聖夜に色めく街を奔走します。
(イラスト:溝口ケージ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/aobuta/322105000008.html
https://ao-buta.com/


「霧島透子を探せ」「麻衣さんが危ない」。2年前に刊行された11巻を読み返すと確かに
「彼」はそう言っていたし、“透子”と「#夢見る」の話はまだ終わってない、と再認識
しつつ、意味ありげな素ぶりを見せる“紗良”が先触れなのかを見定める過程が興味深い。

「思春期症候群を治さないでください」。そう宣言する“紗良”が“咲太”を塾の講師と
することにこだわる理由から探りを入れていく彼の強かさは色々と先輩感をにじませます。
試される彼女もさることながら、そのとばっちりを受ける“理央”には同情を禁じ得ない。

「姫路さん、二十四日は予定空いてる?」。“咲太”が予定を確認して臨んだクリスマス
デートが意外な方向へ転がっていく展開には悲喜こもごもあって楽しませてもらいました。
幸せな時間を噛みしめているはずの彼と“麻衣”に何の差があったのか、続きに注目です。

posted by 秋野ソラ at 07:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年12月26日

『アストレア・レコード3 正邪決戦 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 英雄譚 小冊子付き特装版』

スマホRPG「ダンまち〜メモリア・フレーゼ〜」周年イベントの内容を 大森藤ノ 先生自ら
加筆修正して書籍化。第3巻はオラリオの皆が総出で最大悪、絶対悪との決着に臨みます。
(イラスト:かかげ 先生 キャラクター原案:ヤスダスズヒト 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815617554/


人として守るべき正しい道。私欲を捨て、公共のためにすること。「義」に含まれる意味
を紐解くと正義の尖兵たる“アリーゼ”だけでなく、“エレボス”たちにもその軸となる
条理を心に刻んでいることが分かる。まさに信じる正義のぶつかり合いが印象に残る今巻。

“フィン”の布石でどうにか堪えるオラリオが巻き返す契機となるあの勝鬨に胸を熱くし、
“リオン”の宣誓と突き進む道に対し絶対悪が示したありうる未来の一つに切なさを覚え、
“アストレア”が裁いた“エレボス”の悪と最後の受け答えの内容に驚嘆するばかりです。

小冊子の短編まで読み終えて1巻を読み返すとプロローグで馳せる想いも染み渡りますし、
あとがきで英断を迫った担当編集氏と、腹を括った 大森 先生には感謝の念が絶えません。
託された「英雄」の歩み。蒔かれた「悪」の残滓。本編で引き続き追っていきたい所です。

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2022年12月23日

『りゅうおうのおしごと!17』

白鳥士郎 先生が贈る熱血将棋コメディ。第17巻は奨励会に入らずプロになる道を模索する
“あい”。スパコンが示す百年後の将棋に挑む“八一”。各々が進む孤独の道を描きます。
(イラスト:しらび 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815617905/


将棋界を築いてきた歴史が拒む“あい”の夢。歩むほどに孤立していく彼女の姿は見るに
堪えないほど。でも、彼女の心を見守り、期待を寄せる人たちも出てきて救われる思いが
しましたし、あの揮毫と人々の歴史を信じて“碓氷”と対峙する姿はまさに圧巻、天晴れ。

《淡路》の棋譜が示す最悪な結末に抗い続ける“八一”。挫けそうになる彼の心を支える
“銀子”の存在、その愛の深さに感嘆するのも束の間、彼女の母“笙子”から告げられる
真実の重さで押し潰されそうになる彼の心に、そして未来に救いはあるのかが気になる所。

“あい”が行く道や、“八一”の心情すら俯瞰するような“天衣”。盤上の動きを優位に
進めているように見える彼女が見せる「絶望」とは。“創多”や“雷”抱く偏愛の行方は。
帰郷した“鏡洲”の選ぶ未来は。気になる点いっぱいな中で迎える運命の対局に注目です。

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2022年12月22日

『りゅうおうのおしごと!16.5 〜あねでしのおしごと!〜【電子限定配信版】』

白鳥士郎 先生が贈る熱血将棋コメディ。TVアニメのBD・DVD特典小説を大幅加筆・修正し
電子書籍専売となる第16.5巻は、“八一”が竜王になる一戦を軸に物語の起点を綴ります。
(イラスト:しらび 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815618506/


竜王戦第七局。“碓氷”竜王に挑む“八一”の勝負はもつれた末にあの「ひな鶴」の場へ。
二日制のタイトル戦に纏わるあれこれを、竜王を世話する女将“亜希奈”、解説者として
同行する“銀子”、未だ将棋に目覚めてもいない“あい”の目線から描かれるのが面白い。

「システム」を構築した“碓氷”との対局を通じて急成長を続ける“八一”を見て焦燥を
抱く“銀子”の機微が、後々への布石にも感じられるのが印象的で。そんな彼女を手玉に
取る“鵠”が相変わらずで何より。担当記者の領分として描かれる“和田”の顛末も見所。

BD・DVDの封入特典小説を読む機会のない身としても、この第16.5巻として読めることを、
また「第15.5巻」の試みが功を奏したからこその今巻があることを大変喜ばしく思います。
それぞれの「はじまり」が最新巻から先の展開でどう結びついていくのか、興味津々です。

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2022年12月21日

『豚のレバーは加熱しろ(7回目)』

2023年のTVアニメ放送に向け準備が進む、逆井卓馬 先生の豚転生ファンタジー。第7巻は
世界を元に戻す命運を握る“セレス”の未来を護るべく“ジェス”たちが力を尽くします。
(イラスト:遠坂あさぎ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/butaliver/322208000011.html
https://butaliver-anime.com/


超越臨界の解除方法は「契約の楔を身に宿す者」がいなくなること。“シュラヴィス”が
“ノット”への害意を暗喩し、“ジェス”たちが代替策を探すべく彼女と逃避行を続ける
中で度々“ノット”が示す自己肯定感の低さが一層際立つ展開で、見ていて痛々しいほど。

厳しい状況が続く逃避行の中で“ジェス”たちが再会した“シト”が語る「主君殺し」の
真意。イェスマという制度に対する憤りをあの形で示すしかなかったのかと思うと切ない。
こんなにも報われないことばかりの世界で“ノット”の辿り着いた道がせめてもの救いか。

主人公がラッキースケベなイベントもこなして一段落したかのように見える逃避行の顛末。
しかし忘れてはならない冒頭のやり取りと、彼のもとの世界における身体に迫る命の危機。
“ジェス”が手にしたあの紙が嫌でも思い出させるその瞬間とどう向き合うのか注目です。

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2022年12月20日

『あした、裸足でこい。2』

岬鷺宮 先生が贈る青春×タイムリープストーリー。第2巻は今と昔の“千華”との関係
に困惑しつつ、彼女と親友“萌寧”との間に発生するわだかまりを“巡”が深掘りします。
(イラスト:Hiten 先生)

https://dengekibunko.jp/product/hadashidekoi/322203000070.html


“千華”もまた「最悪の結末」を避けるため何度も試行錯誤を重ねてきていることに加え
“巡”とは別々に「目的」を果たすべく動く、と宣告される驚き続きの導入部。今までと
違う「何か」を試そうとしている彼女に巻き込まれる彼への期待が高まるというものです。

“千華”の突飛な行動、その影響を強く受けることになる“萌寧”が抱く彼女への依存心。
夢に向かって動き始めている周囲を見て、焦りにも似た思いで始まった“千華”の夢探し。
“萌寧”の心の深い部分に触れ、その軸が思いがけない形に落ち着く一連の流れが面白い。

“千華”が「nito」として決定的に間違う瞬間に“萌寧”が関係すると気付いた“巡”の
懸命な「お願い」を受け入れた“千華”の振舞いが、挿絵の演出も含めて印象に残ります。
また一歩、違う未来へ進むであろう流れに更に一手打つ彼の布石がどう効くか、注目です。

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2022年12月19日

『天使な幼なじみたちと過ごす10000日の花嫁デイズ』

五十嵐雄策 先生が贈る新作は、1人の少年が3人の幼なじみと出会い、その中の1人と
結ばれるまでの過程を、年代ごとの思い出を散りばめながら描いていく青春ラブコメです。
(イラスト:たん旦 先生)

https://dengekibunko.jp/product/10000days/322208000008.html


隣家に越してきた幼い“花織”の愛らしさに庇護欲を掻き立てられた“啓介”も早15歳。
彼は「絶対にお嫁に出したくない大事な天使で妹」と守り続る一方で、彼女は幼き頃の
「結婚してお嫁さんになる」という約束を信じ続ける小学一年生へと成長していて──。

幼なじみ同士で結婚する結末をまず見せつつ、“啓介”にとって年下の“花織”とどう
結婚に繋がっていくのかを楽しむ・・・のかと思えば年上の“和花菜”、同輩の“舞花”も
彼にとっては「幼なじみ」であり、彼女たちも少なからず思う所あるのが実に興味深い。

五十嵐 先生が言及されている「関係性」の変化。印象的な場面を、年代を前後しながら
切り貼りすることで描けているのが演出的にも、構成面でも「お見事」と言うしかなく。
色々踏まえた上でのエピローグが良い引き具合になっていて、続きが気になる作品です。

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2022年12月16日

『デモンズ・クレスト1 現実∽侵食』

「ソードアート・オンライン」の 川原礫 先生が贈る新作。MR(複合現実)を舞台にした
MMORPGを体験する小学生たちが、突如巻き込まれたデスゲームで生き抜く顛末を描きます。
(イラスト:堀口悠紀子 先生)

https://dengekibunko.jp/product/demonscrest/322207000033.html
https://web.hykecomic.com/landing_pages/e3512e1ba8f3bbd28a4dae72867a5989/29.html


VRMMO-RPGのテストプレイヤーに選ばれた、小学6年生の一人“ユウマ”が直面する現実。
校内でも別格の美少女“綿巻”がゲーム内で無貌の怪物となり友人たちを襲うという惨劇。
しかもここで死んだら本当に死ぬ、と聞いた彼はゲームで得た力を駆使し戦うのだが──。

いきなり始まったデスゲームを前に、限られた知見と向こう見ずな勇気をもって前へ次へ
と進んでいく“ユウマ”たちの「これが小学生か!?」と言わんばかりの活躍ぶりがすごい。
敵味方の判断がつきにくいプレイヤーとの駆け引きやバトル描写の妙など見どころ満載で。

堀口 先生にイラストを担当してもらうあたりも印象深い。ウェブトゥーン向けに動かした
企画ということで、原作より最悪そちらで物語の進行を追っていくことになりそうな予感。
“サワ”が見せてきた意味深長な発言の真意を辿れるはずの次巻の刊行が待ち遠しいです。

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2022年12月15日

『双星の天剣使い1』

「公女殿下の家庭教師」の 七野りく 先生が贈る新作は、不敗の英雄が転生した1000年後
の世界で、名家の美少女らと共に激動の世を駆け抜けていく戦乱ソードファンタジーです。
(イラスト:cura 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/202211tenken/322203002023.html
https://kakuyomu.jp/works/16817330647579911239


煌帝国の大将軍であった“英峰”は冤罪で身を追われ、盟友“英風”に後世を託し自決。
彼の死後1000年を経た世界で、死線をさまよった“隻影”はその記憶と武才を受け継ぐ。
張家の居候となった彼は「地方文官になる」というかつての夢を目指そうとするが──。

眉目秀麗、文武両道の“白玲”が太刀打ちできない“隻影”に嫉妬と羨望と思慕の念を
ないまぜにした面白い振舞いを見せるのがまず可愛い。なんだかんだ言いながら彼女を
大切に扱う彼の不器用な真摯ぶりに、彼女のみならず惚れこむのも納得の話運びが見所。

“泰嵐”が帝国北方の辺境地を、“隻影”と彼にほれ込んだうちの一人“明鈴”の類稀
なる才能にも助けられて守り抜けるか。帝国を狙う強者の存在、その思惑に“隻影”は
気付けるか。“白玲”は彼の制裁の座を射止めることはできるのか。続きが楽しみです。

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2022年12月14日

『ライアー・ライアー12 嘘つき転校生は影の守護者に閉じ込められています。』

2023年からのTVアニメ放送が決定した、久追遥希 先生が贈る学園頭脳ゲーム&ラブコメ。
第12巻は学年末対抗戦を目前に何者かに攫われた“緋呂斗”の孤軍奮闘ぶりを描きます。
(イラスト:konomi 先生(きのこのみ))

https://mfbunkoj.jp/product/liar-liar/322207001277.html
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_MF02201299010000_68/
https://liar-liar-anime.com/


8ツ星を目前にして彩園寺家の都合に巻き込まれる“緋呂斗”。彼の自力を問われる展開、
上がり続けるゲームの難易度、期末総力戦のエントリーまでに脱出できるかという緊迫感。
どんな窮地においても変わらず最後まで足掻き続ける彼の姿勢に思わず安堵すら覚えます。

彩園寺家の守護者が暗躍しているとも知らず、手をこまねくしかない“白雪”の悲愴感と
もどかしさがひしひしと伝わってくるのがつらい。とは言え、やられっぱなしなままでは
終わらせないのが“更紗”も含めた“緋呂斗”と運命を共にする者たちの矜持。流石です。

どんなイカサマでアッと言わせてくれるかは読んで見届けていただくとして、8ツ星昇格
を阻む障壁にも心躍らせる“緋呂斗”は「本物」になれるか、《アルビオン》の“春虎”
が持つ《シナリオライター》はどこまで先を見通せてるか。次巻も目が離せないようです。

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2022年12月13日

『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん5』

燦々SUN 先生が贈る大人気ロシアンJKとの青春ラブコメディ。第5巻は“マリヤ”から
打ち明けられた想いを持て余しつつ“政近”が学園祭を通じて気持ちを整理していきます。
(イラスト:ももこ 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/roshidere/322203002218.html
https://pocket.shonenmagazine.com/episode/316112896949465972
https://ncode.syosetu.com/n2778gf/


認識齟齬。記憶違い。“マリヤ”からの告白に色々と追いつかない“政近”の様子が新鮮。
チークキスっぽい何かを仕掛けておいてなお一歩引いて見守る、彼女が彼を思い遣る姿に
いじらしさを感じます。男性のようなアプローチをする“有希”とは別物の雰囲気づくり。

“毅”たちのバンドの欠員を埋めるため“政近”が“アリサ”に手を貸してもらうくだり
では、独占欲の向きが“アリサ”からだけでなく“政近”からも感じられたのが印象深い。
意味ありげな展開の中でもしっかりラッキースケベな場面を用意しておくのは流石の一言。

学園祭でクイズ研究部を通じて仕掛けてきた「選挙戦の要素」。“アリサ”が“有希”と
真っ向から戦う意義、そして意地を魅せて、見せつけてくれました。パートナーと
して名アシストを決めた“政近”の胸に去来する何かを見極めるべく、次巻を待ちます。

学園祭でクイズ研究部を通じて仕掛けてきた「選挙戦の要素」。“アリサ”が“有希”と
真っ向から戦う意義、意地を魅せて、見せつけてくれました。今回もパートナーとして
名アシストを決めた“政近”の胸に去来するものが何かを見極めるべく、次巻を待ちます。

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2022年12月12日

『本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜第五部「女神の化身10」』

香月美夜 先生が贈る大人気ビブリア・ファンタジー。第五部・10巻は“ジェルヴァージオ”
の行方を追う“ローゼマイン”たちが陰謀の渦巻く中心地となる貴族院に総力戦で臨みます。
(イラスト:椎名優 先生)

https://tobooks.shop-pro.jp/?pid=170353519
http://www.tobooks.jp/booklove/
https://ncode.syosetu.com/n4830bu/


待ってました、の魔王降臨。目的のために悪辣の限りを尽くし、愚か者どもに鉄槌を下し
愉悦に浸る“フェルディナンド”の姿を見て、これほど胸のすく思いがしたのは久しぶり。
あの“ジェルヴァージオ”すら障害物のような扱いなのが、爽快と言わずして何とするか。

歴史を動かした「講堂の戦い」の隙間と周囲の状況を埋める閑話集「中央の戦い」がまた
必読レベルの内容。余裕そうに見えた“フェルディナンド”の実態、“ラオブルート”の
因果応報ぶり、“アナスタージウス”が抱く無力感などなど、印象深い場面が目白押しで。

英知の女神“メスティオノーラ”を降ろした“ローゼマイン”もいよいよ神懸かってきて
“ハルトムート”が涙を流すのを微笑ましく思いつつ、不甲斐ない王族に愛想を尽かした
“フェルディナンド”がどんな無理難題を吹っ掛けるか、予断を許さない次巻も注目です。

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2022年12月09日

『七日の夜を抜け出して』

『豚のレバーは加熱しろ』の 逆井卓馬 先生が「星海社FICTIONS」に初登場。入学した
高校の七不思議に纏わる超常現象に巻き込まれた少年少女の葛藤を描く青春ミステリです。
(イラスト/藤実なんな 先生)

https://www.seikaisha.co.jp/information/2022/10/31-post-nanoka.html


頂上探求部。山の上に建つ遊辺高校の七不思議を研究する部活に体験入部しようと今は
放置された旧校舎を訪れた“中里”。他に入部へ興味を示す“田子”“垣木”“北別”
と合流した集合場所の教室から出られなくなる所から4月7日の長い夜が幕を開ける──。

夜が明けるまでに七不思議の謎を解かないと生霊にされる、という緊迫した状況の中で
“中里”たちが怪異に巻き込まれながら力を合わせて迫っていく謎を想像しながら読み
進めていくのが楽しい。その過程で見えてくる4人がそれぞれ抱えている秘密に要注目。

“中里”が公平を望む理由。“垣木”が彼を助手に選んだワケ。“田子”が妙に物知り
なのは何故か。“北別”が頂上探求部の活動にこだわる意味は。過去と現在が結びつき、
迎えた朝に漂う不思議な余韻はぜひ読んで確かめていただきたい、そう思える一作です。

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2022年12月08日

『ミミクリー・ガールズII』

ひたき 先生が贈る痛快ガンアクションコメディ。第2巻は札幌冬季五輪が目前の日本で
超国家企業連合(カルテル)が仕組む戦争を抑えるべく“クリスティ”たちが臨みます。
(イラスト:あさなや 先生)

https://dengekibunko.jp/product/mimicrygirls/322207000039.html


合衆国、極東連邦、そして日本。カルテル戦争派が札幌で起こすというテロの対策会議。
そこに集う為政者がデザイナーチルドレンばかりなのも世界観を象徴する構図で印象的。
国同士の駆け引きに付き合いつつ観光も満喫する“クリスティ”たちの豪胆ぶりが凄い。

「戦争屋」とのドンパチ、特に旧式戦車でアレに挑むくだりは緊張感と浪漫いっぱいで
見ていて楽しい。時折はさまれる下ネタジョークとの落差が妙に洋画的なのも面白い点。
血気盛んな“クリスティ”たちの尻を拭う“メアリー”には同情の念すら覚えるところ。

今回、カルテル戦争派の思惑は想像以上に規模が大きい話と分かるのもさることながら、
札幌のタワーホテルでさりげなく発生したあの出来事が思っていたより響いてきたこと、
改めて「ミミック」とは何かが気になる続きをどう描くか、注目しておきたいものです。

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2022年12月07日

『S級学園の自称「普通」、可愛すぎる彼女たちにグイグイ来られてバレバレです。2』

裕時悠示 先生が贈る「陰キャ無双」ラブコメ。第2巻は無事に二学期を迎えた“和真”
が悩める美少女たちを「普通」に救いつつ、“瑠亜”のやっかみをあしらっていきます。
(イラスト:藤真拓哉 先生)

https://lanove.kodansha.co.jp/books/2022/12/2.html
https://ncode.syosetu.com/n2678gb/


普通になるための一歩として美術部に仮入部する“和真”。彼が先輩“ましろ”の見せる
力のない笑顔を本来の姿に変えてあげたい、と大立ち回りを演じることになる顛末が爽快。
いい笑顔が見れて読み手も幸せ。地下書庫がより騒がしいことになる結果は言わずもがな。

そしていよいよ開催される「和真くん会議」。“涼華”の抜け駆けも見逃さない女性陣の
完璧な布陣で臨むプールデートで元トップアイドル“ちとせ”と“瑠亜”とのしがらみを
断ち切る“和真”の「こんなこともできるのか」感に圧倒されます。取れ高バッチリです。

“さくら”のご厚意による執り成しも意を介さない“瑠亜”と“泰造”の言動が徹頭徹尾
「悪者」としてのそれを示すからこそ、“和真”の振舞いが勧善懲悪として成立する構図。
これが生み出す心地よさは間違いない。世界が彼の魅力に気づくのは何時か、見ものです。

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2022年12月06日

『西野 〜学内カースト最下位にして異能世界最強の少年〜 13』

ぶんころり 先生が贈る学園異能青春ラブコメ。第13巻は中二病まっ盛りの少女“奥田”
から羨望を一身に受ける“西野”と、その姿に気を揉む“ローズ”たちの機微に触れます。
(イラスト:またのんき▼ 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/nishino/322204000949.html


言動の端々から身悶えするほどのイタさを覚える“奥田”が“西野”を同類とみなすのも
納得。彼女の積極的な姿勢に満更でもない彼を見て、特に“志水”がソワソワする様子が
もう身から出た錆。彼の仕事に巻き込まれた“奥田”が彼との距離をどう詰めるかが見所。

“奥田”のみならず女子の姿が何かと絶えない“西野”を見て“鈴木”が仕組んだ合コン。
そこに裏があると見た“ローズ”が案じた一計にもまた彼を少なからず思う少女の影在り。
“鈴木”の末路は推して知るべし、としても彼が誰を選ぶのかもう予想がつかない展開に。

事の顛末において、“ローズ”に対し“ガブリエラ”が「こういう行いが増えた気が」と
自己分析するくだりが同意しかなくて思わず苦笑いしました。その“ローズ”が番外にて
しかけたアレや、更なる闖入者の動向も気になる引きからどう話を結ぶのか、要注目です。

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2022年12月05日

『死亡遊戯で飯を食う。』

鵜飼有志 先生の「第18回MF文庫Jライトノベル新人賞・優秀賞」受賞作。賞金と死が隣り
合わせのデスゲームへ身を投じ続けることに心地よさを覚える少女の生き様を描きます。
(イラスト:ねこめたる 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/shibouyugi/322207001275.html


知らない部屋の、知らないベッドで起床した“幽鬼”。気づけば着衣も知らないメイド服。
でも慌てることなく大部屋へ移動した彼女が目にしたのは同じメイド服を着た5人の少女。
“幽鬼”が落ち着いているのは、今から始まる「ゲーム」が初めてではないからだが──。

場面数をカウントする構成。似た言い回しの反復。淡々とデスゲームに興じる“幽鬼”が
持つ熱量の低さ。確実に、容赦なく死者が出る展開。防腐処理という要素の巧妙な使い方。
文章の区切り方も含めて割切りがしっかりしていて、一気に物語に惹き込ませてくれます。

「ゴーストハウス」と「キャンドルウッズ」にかけて馴れ合い、駆け引き、そして容赦の
ない選択を迫り、迫られる中で“幽鬼”が自分をどう評価して、自己表現に繋げていくか。
その過程が印象的で、思い描く自分にどう近づけていくのかが気になる、注目の作品です。

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