2022年10月24日

『恋は夜空をわたって2』

「STUDIO koemee」脚本を担当した、ラジオで繋がる青春ラブコメを 岬鷺宮 先生が自ら
小説化。第2巻は“壮一”の告白を断る“御簾納”の、複雑な胸の内に触れていきます。
(イラスト:しゅがお 先生)

https://dengekibunko.jp/product/koihayozorawo/322205000050.html
https://www.youtube.com/playlist?list=PLFBuj1-ksh3vEW3Ofe4j_Ml6J_EHfYI22


“御簾納”自身も断った理由がわからない、という絶望的な導入。配信を通じて、そして
直接やり取りする中で彼女が、好きという想いと共に“壮一”の存在をどう捉えていたか。
それが物語としてスルスルっと入ってくる描写の妙には思わずお見事、と言うしかなくて。

“壮一”も断られたからといって腐りきることなく、“御簾納”のことを慮って、今まで
通りの先輩・後輩とはいきませんが、彼女の気持ちの整理がつくまで見守り続けた姿勢が
惚れ惚れするくらい格好良くて。道化を演じるような場面もありましたがそこがまた良い。

“二胡”も驚く兄たちの繊細な関係に、彼女が一肌脱ぐ形で関与する顛末も見所の一つで。
「ラジオで繋がる青春ラブコメ」を演出する上で大切な人物であることは間違いないかと。
将来性を感じさせる話の結び方も含め、文句のつけようがない内容。イチ押しの一作です。

posted by 秋野ソラ at 00:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年10月21日

『99回断罪されたループ令嬢ですが今世は「超絶愛されモード」ですって!? 〜真の力に目覚めて始まる100回目の人生〜』

裕時悠示 先生の「丸山ひま。」名義による「小説家になろう」投稿作が「DREノベルス」
創刊ラインナップとして書籍化。何度も処刑される運命にある令嬢の逆転人生を描きます。
(イラスト/ひだかなみ 先生)

https://drecom-media.jp/drenovels/product/1
https://ncode.syosetu.com/n6469hq/


公爵令嬢“アルフィーナ”の人生は繰り返す。聖女暗殺の冤罪で断頭台に送られる所まで。
試行錯誤を繰り返してもその運命は変えられず。迎えた100回目の人生で彼女は婚約者の
皇子にまた断罪されるのか、と辟易していると意外な形で彼の本音を知ることとなり──。

聖女“デボネア”が下衆すぎて、いつ断罪されても文句なしな悪役なのにこれがしぶとい。
100回のループに耐えた“アルフィーナ”が得た力をもってしてもなお執拗に害意を示す
聖女に彼女がどう裁きを下すか。話運びも軽妙で読みやすく、楽しみやすい仕上がり具合。

“ライオネット”と“ヤヴンロック”の鞘当て具合が面白いですし。“カルル”の健気な
言動は見ていて一番報われてほしいと思いましたし。“キスリング”は人生を狂わされた
感じが被害者筆頭な感じで苦笑いしっぱなし。創刊を飾るにふさわしい一作、お薦めです。

posted by 秋野ソラ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年10月20日

『5分で読書 全力の「好き」をキミにあげる』

藤崎珠里 先生が「小説家になろう」に投稿していた短編に、書き下ろしを加えて書籍化。
10代女子の胸キュンが止まらない恋愛模様を思い思いの告白シーンを交えながら描きます。
(イラスト:花芽宮るる 先生)

https://www.kadokawa.co.jp/product/322206001128/
https://ncode.syosetu.com/s1181h/


タイトルに偽りなし。甘くて、こそばゆくて、ちょっぴり切なくて、胸が高鳴ったりして。
女の子だけじゃなくて、男の子も「好き」な想いを全力で魅せつけてくれるのがまぶしい。
というか訳ありとはいえ添い寝とか羨ましすぎるシチュエーション過ぎて身悶えしますよ。

長編小説を1冊読み切る、というのは訓練によって後天的に身につく能力だと考えていて。
特に若い方に対する足掛かりとして「まず短編から」という意味でこの「5分で読書」は
適していると認識しており、その一翼を 藤崎 先生の作品が担うことを喜ばしく思います。

学校等で行われる「朝の読書運動」のような場で、購入ないし図書館で借りられることで
実際に本作が活用されることを期待したいですし、その機会に見合う内容だと信じてます。
そして 藤崎 先生の更なるご活躍が商業作品で見られることを陰ながら祈念する次第です。

posted by 秋野ソラ at 00:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年10月19日

『アオハルデビル』

「オーバーライト」シリーズの 池田明季哉 先生が贈る新作。学校で見た不思議な光景を
目にした時から、悪魔に付け入られるほどの熱い青春に関わる少年の奮闘ぶりを描きます。
(イラスト:ゆーFOU 先生)

https://dengekibunko.jp/product/aohaldevil/322206001003.html


夜の暗闇に舞う、美しい少女を鮮明に映し、その身を焦がすはずの炎。忘れたスマホを
取りに学校へ潜入した“有葉”はそれを見かけた屋上へ急ぐが誰もいなくて。夢か現か
悩む彼が翌日登校するとモデルを務める“衣緒花”に有無を言わさず連れ出されて──。

養護教諭“佐伊”から告げられる発火事象の意味に“衣緒花”が驚くのは自然のことで。
その解決を無茶ぶりされた“有葉”が炎の謎に迫るべく彼女のことを理解しようとする
過程が、緊張感のある話なのにほほえましくて。彼が騎士然とするのも得心がいきます。

“有葉”にはモデルとして成功している様に見える“衣緒花”。彼女が思う青春と炎が
どう関係するのか。彼が彼女との「約束」を果たす覚悟、その顛末に圧倒されるばかり。
“ロズィ”の所作も物語と思いがけない関わり方をして印象深く、オススメの一作です。

posted by 秋野ソラ at 00:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年10月18日

『呪われて、純愛。』

「幼なじみが絶対に負けないラブコメ」シリーズの 二丸修一 先生が満を持して贈る新作。
記憶障害となった少年と、彼の前に現れた2人の恋人を巡る愛と壮絶な生き様を描きます。
(イラスト:ハナモト 先生)

https://dengekibunko.jp/product/norojun/322110000042.html


知人に関する記憶だけ抜け落ちている。病室で医師から告げられた“廻”を見舞う最初の
面会者は“白雪”という少女。彼は名前を思い出すので精一杯だが、どうやら恋人らしい。
続く“魔子”は彼にキスをし、本物の恋人だと言う。彼の過去に一体何があったのか──。

“白雪”の想いに応えるためにも、と“廻”が探る自分の記憶に不穏なものが漂い始めて。
“魔子”のモデルのマネージャーを務め、家族同然の付き合いがある意味も分かり始めて。
“廻”の記憶障害へ追い打ちをかける、「あの人」との再会からの展開は驚くしかなくて。

“白雪”と“魔子”が親友なのも分かる。“魔子”が“廻”を共犯者と呼ぶことも分かる。
罪と罰と、愛おしさと憎しみとが入り交じる三角関係が純愛かどうかを問いかけながらも、
鍵を握るのはやはり“廻”が記憶障害となった原因にありそう。続く展開に興味津々です。

posted by 秋野ソラ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル