衣笠彰梧 先生が贈る新たな学園黙示録。2年生編・第8巻は各クラス男女で2名ずつ合計
8名がグループとなる修学旅行の意図を探りながら、各々が先を見据えた行動を取ります。
(イラスト:トモセシュンサク 先生)
【 https://mfbunkoj.jp/product/youzitsu/322206001088.html 】
メンバーの割り振り方法。自由行動の時間が多い旅程。グループ単位での行動厳守の徹底。
“綾小路”が修学旅行に対して抱く心配事について言及する場面がホワイトルーム生との
問題に一つの区切りをつけ、新たな局面に移ったことを印象づけるようで意味深長な展開。
“龍園”や“鬼頭”といった悩ましいメンバーと同じグループになる“綾小路”が旅行を
通じて得た知見、見届けた覚悟、晒した手の内。“綾小路”以外にも着実な変化が窺える
興味深い内容。特に目を引いたのが“山村”。“櫛田”のあの顔が見れたのも意外ですが。
体育祭で“綾小路”に接触してきた人物に心当たりがある“坂柳”。力が及ばず悔し涙を
隠し切れない“一之瀬”。彼を「ジョーカー」と認めるに足る材料を得つつある“堀北”。
計画実現を信じて止まない“龍園”。各クラスの命運がどう分かれるか、続きに注目です。
2022年10月31日
2022年10月28日
『ビブリオフィリアの乙女たち』
宮田眞砂 先生先生が贈る新作は、本を読んだ人の記憶を読み取れる文学少女と識字能力に
障害を持つ探偵少女が、図書館で読んだある本を巡る謎に二人三脚で臨むミステリーです。
(イラスト/切符 先生)
【 https://www.seikaisha.co.jp/information/2022/09/26-post-bib.html 】
「話を読んで」と“文詠”に頼む“花奏”は物語が大好きだけど文字の読み書きに障害の
ある少女。“花奏”が今回興味を示したのは森鴎外の『舞姫』。学園の人気者“真壁”と
“文詠”がイチャイチャしていたという噂の発端となる本だから気になったと言うが──。
『舞姫』の原文、現代語訳を並べながら“文詠”の「行間を読む」能力を演出する描写が
まず印象的。そこから現れる「黒いコートの男」に纏わる話が、虚構と現実を彷徨うかの
ように“文詠”たちを翻弄していく展開が「新本格ミステリ」を謳うのも得心がいきます。
次々と明らかになる重い事実。事件の犯人が抱いた修羅の心。物語になぞらえて対象者の
心情を描きつつ、その心を動かすために“文詠”たちが選ぶ言葉も物語や、作者の人物像
から紡ぎ出していく構成が興味深い。文学好きな方には特にお薦めしておきたい作品です。
障害を持つ探偵少女が、図書館で読んだある本を巡る謎に二人三脚で臨むミステリーです。
(イラスト/切符 先生)
【 https://www.seikaisha.co.jp/information/2022/09/26-post-bib.html 】
「話を読んで」と“文詠”に頼む“花奏”は物語が大好きだけど文字の読み書きに障害の
ある少女。“花奏”が今回興味を示したのは森鴎外の『舞姫』。学園の人気者“真壁”と
“文詠”がイチャイチャしていたという噂の発端となる本だから気になったと言うが──。
『舞姫』の原文、現代語訳を並べながら“文詠”の「行間を読む」能力を演出する描写が
まず印象的。そこから現れる「黒いコートの男」に纏わる話が、虚構と現実を彷徨うかの
ように“文詠”たちを翻弄していく展開が「新本格ミステリ」を謳うのも得心がいきます。
次々と明らかになる重い事実。事件の犯人が抱いた修羅の心。物語になぞらえて対象者の
心情を描きつつ、その心を動かすために“文詠”たちが選ぶ言葉も物語や、作者の人物像
から紡ぎ出していく構成が興味深い。文学好きな方には特にお薦めしておきたい作品です。
2022年10月27日
『友達の妹が俺にだけウザい10 小冊子『10.5巻』付き特装版』
満を持してのTVアニメ化が決定した、三河ごーすと 先生が贈るいちゃウザ青春ラブコメ。
第10巻は中学時代の“明照”と“彩羽”たちを描く過去編。特装版と同時刊行となります。
(イラスト:トマリ 先生)
【 https://ga.sbcr.jp/product/9784815615994/ 】
【 https://www.ganganonline.com/title/505 】
“明照”にウザくない“彩羽”、というのも中々に新鮮な上に昔を語る彼のツッコミ役に
回る“真白”が実は色々と後手後手だった、という事実が面白い。音にこだわる“音井”
らしさも表しているように感じる彼女の名前がいよいよ明らかになった場面も見逃せない。
“彩羽”がウザくなるきっかけも乙女らしさ全開で、そんな彼女の変化を促す“明照”の
お節介ぶりが彼女だけでなく「5階同盟」に関わるみんなに良い影響を与えてきた経緯、
その原動力となる逸話と努力の過程で彼自身も変わっていったのが分かるのも見どころで。
特装版では“明照”に対する“彩羽”のウザさが、彼も辟易するくらいぐんぐんと強さを
増していく過程が見て取れます。本編を読んだ後に見比べてみると味わい深さもひとしお。
一路順風・・・には見えない局面を彼らがどう捌くか。次巻でその様子を確かめたいものです。
第10巻は中学時代の“明照”と“彩羽”たちを描く過去編。特装版と同時刊行となります。
(イラスト:トマリ 先生)
【 https://ga.sbcr.jp/product/9784815615994/ 】
【 https://www.ganganonline.com/title/505 】
“明照”にウザくない“彩羽”、というのも中々に新鮮な上に昔を語る彼のツッコミ役に
回る“真白”が実は色々と後手後手だった、という事実が面白い。音にこだわる“音井”
らしさも表しているように感じる彼女の名前がいよいよ明らかになった場面も見逃せない。
“彩羽”がウザくなるきっかけも乙女らしさ全開で、そんな彼女の変化を促す“明照”の
お節介ぶりが彼女だけでなく「5階同盟」に関わるみんなに良い影響を与えてきた経緯、
その原動力となる逸話と努力の過程で彼自身も変わっていったのが分かるのも見どころで。
特装版では“明照”に対する“彩羽”のウザさが、彼も辟易するくらいぐんぐんと強さを
増していく過程が見て取れます。本編を読んだ後に見比べてみると味わい深さもひとしお。
一路順風・・・には見えない局面を彼らがどう捌くか。次巻でその様子を確かめたいものです。
2022年10月26日
『ひきこまり吸血姫の悶々9』
小林湖底 先生が贈るコミカルファンタジー。第9巻は“コマリ”が助けられた“スピカ”
からの意外な共闘提案をもとに星砦の野望を打ち砕くべく鉱山都市へ臨む顛末を描きます。
(イラスト:りいちゅ 先生)
【 https://ga.sbcr.jp/product/9784815616434/ 】
【 https://magazine.jp.square-enix.com/biggangan/introduction/hikikomari/ 】
“スピカ”の支離滅裂な言動。執り成す“アマツ”からのの警告。“コマリ”も困惑する
状況でも流されつつ受け入れて前に進むところは相変わらず面白い。“フーヤオ”などの
取り巻きから因縁をつけられるあたりのやり取りも含めたスラップスティックな雰囲気が。
鉱山都市を預かる星砦の一員“ネフティ”をやり込める顛末の裏で、“フーヤオ”が抱く
信条に綻びを生じさせる、胡乱で、迂遠な計画が判明する一連の流れが衝撃的で、これが
実にえげつない。その顛末を見た“コマリ”の取る、軸のぶれない言動が印象に残ります。
「孤紅の恤」や「逆巻の玉響」といった力をもってしても、力の及ばない出来事は訪れる。
そんな場面を目の当たりにした“コマリ”が心で受け止め、決意を示す姿に更なる成長を
感じます。そんな彼女の想いも知らず悪意を向ける者たちの登場に続きが気になる所です。
からの意外な共闘提案をもとに星砦の野望を打ち砕くべく鉱山都市へ臨む顛末を描きます。
(イラスト:りいちゅ 先生)
【 https://ga.sbcr.jp/product/9784815616434/ 】
【 https://magazine.jp.square-enix.com/biggangan/introduction/hikikomari/ 】
“スピカ”の支離滅裂な言動。執り成す“アマツ”からのの警告。“コマリ”も困惑する
状況でも流されつつ受け入れて前に進むところは相変わらず面白い。“フーヤオ”などの
取り巻きから因縁をつけられるあたりのやり取りも含めたスラップスティックな雰囲気が。
鉱山都市を預かる星砦の一員“ネフティ”をやり込める顛末の裏で、“フーヤオ”が抱く
信条に綻びを生じさせる、胡乱で、迂遠な計画が判明する一連の流れが衝撃的で、これが
実にえげつない。その顛末を見た“コマリ”の取る、軸のぶれない言動が印象に残ります。
「孤紅の恤」や「逆巻の玉響」といった力をもってしても、力の及ばない出来事は訪れる。
そんな場面を目の当たりにした“コマリ”が心で受け止め、決意を示す姿に更なる成長を
感じます。そんな彼女の想いも知らず悪意を向ける者たちの登場に続きが気になる所です。
2022年10月25日
『今日も生きててえらい!3 〜甘々完璧美少女と過ごす3LDK同棲生活〜』
岸本和葉 先生が贈る、甘やかしたがりな彼女と過ごす甘々同居生活を描くラブコメディ。
第3巻はハワイ旅行中の“冬季”と“春幸”に水を差す者が起こす騒動と顛末を描きます。
(イラスト:阿月唯 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/ikiteteerai/322206000004.html 】
旅行先で助けた少女から王子様扱いされる“春幸”。“冬季”にとっても災難な出来事と
なる少女、西園寺家の令嬢“夏海”の登場、その扱いに苦慮する“冬季”の姿が珍しくて
興味深い展開に。それにつけても“夏海”が見せる所作の数々が愛おしいほどにポンコツ。
“春幸”を取り合うまでもない“夏海”が“冬季”に勝負を挑む訳は微笑ましく思いつつ、
その背景に渦巻く陰謀にはやるせなさ、というか切なさを覚えつつ。応対する“冬季”の
規格外ぶりと、彼を害する意思のある者に対する際限のない容赦のなさが印象に残ります。
“冬季”が涙を流すことになる展開も、彼女と共に人生を歩むと決めた“春幸”の決意が
より鮮明に映る形となってこれまた良かった。彼女の両親が見せる反応も微笑ましくて、
希望に満ちあふれる2人の未来を応援したくなる、そんな読了感が味わえること必至です。
第3巻はハワイ旅行中の“冬季”と“春幸”に水を差す者が起こす騒動と顛末を描きます。
(イラスト:阿月唯 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/ikiteteerai/322206000004.html 】
旅行先で助けた少女から王子様扱いされる“春幸”。“冬季”にとっても災難な出来事と
なる少女、西園寺家の令嬢“夏海”の登場、その扱いに苦慮する“冬季”の姿が珍しくて
興味深い展開に。それにつけても“夏海”が見せる所作の数々が愛おしいほどにポンコツ。
“春幸”を取り合うまでもない“夏海”が“冬季”に勝負を挑む訳は微笑ましく思いつつ、
その背景に渦巻く陰謀にはやるせなさ、というか切なさを覚えつつ。応対する“冬季”の
規格外ぶりと、彼を害する意思のある者に対する際限のない容赦のなさが印象に残ります。
“冬季”が涙を流すことになる展開も、彼女と共に人生を歩むと決めた“春幸”の決意が
より鮮明に映る形となってこれまた良かった。彼女の両親が見せる反応も微笑ましくて、
希望に満ちあふれる2人の未来を応援したくなる、そんな読了感が味わえること必至です。