支倉凍砂 先生が描く賢狼の娘と聖職者による旅路。第8巻は聖典印刷の計画を進めるべく
“コル”が放浪学生として過ごした大学都市に向かい、新たな騒動と出会いに遭遇します。
(イラスト:文倉十 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/spice-and-wolf/wolf-on-the-parchment/322202000066.html 】
天使のような聖女、と褒め立てられ結婚申込書が殺到するのも満更ではない“ミューリ”。
その返事にも使う紙やインクが不足している、と冷静に彼女をたしなめる“コル”が紙の
在庫を求めて訪れた大学都市も教科書売買を巡る策謀に揺れている、というのだから大変。
馴染み深い組織名「賢者の狼」を率いる“ルティア”、思いがけぬ「仲間」との出会いに
“コル”、そして“ミューリ”も感化するところがある様子で面白い。その一方で今回の
騒動の根幹を握る「敵」の片棒を、“ミューリ”に担がせることになる話運びが興味深い。
無闇矢鱈に“コル”を持ち上げる“カナン”の有能さにも目を見張りつつ、教会を倒すの
ではなく、その不正を糺したい、とその意味を語る“コル”の一言一言が印象に残ります。
新大陸に思いを馳せながら、変革の兆しに揺れる世界を旅する2人の行方を見守ります。