2022年09月08日

『砂の上の1DK』

「終末なにしてますか〜?」シリーズの 枯野瑛 先生が贈る新作は、産業スパイの青年が
潜入したある施設で研究されていた未知の細胞を巡って数奇な運命を辿る顛末を描きます。
(イラスト:みすみ 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/1dk/322205000214.html


産業スパイの“江間”は、ある研究所からの依頼にきな臭さを感じて辞退する。その直後、
別の組織による破壊工作が行われたその場所で旧知の少女が巻き込まれていることを知る。
組織に目をつけられるのを覚悟で救出するものの、少女の様子はいつもと違うようで──。

“沙希未”であって“沙希未”ではない。そんな状態の彼女を“アルジャーノン”と呼ぶ
“江間”も中々のものですが、その正体ゆえの言動を見せる彼女もまた刹那的で切なさを
覚えずにはいられません。“孝太郎”が分かりやすい、いい位置に居たのが印象深いです。

“アルジャーノン”と有限の時間を過ごした上で“江間”がらしくない行動に至った顛末。
冒頭で、自身のことを部外者と独りごちた「彼女」の言葉が思い返される結末を踏まえて
「彼女」が新たな物語の関係者となる未来があってもいいのではないかと思った次第です。

posted by 秋野ソラ at 00:46 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル